プレイヤーはシェルターの管理者として、個性豊かなケモノたちや生存者と協力しながら資源を管理し、生存圏を広げていかなければならない。毒霧によって脅かされる環境の中で、拠点を発展させながら危険地帯を探索し、いかにシェルターの仲間たちと生き延びるのかも重要に。
本作には施設の整備や強化を進める拠点運営に加え、外の危険地帯への探索、ヒーロー編成による戦略バトル、さらにはほかプレイヤーとの連携要素など、多方面にわたるプレイ要素が組み込まれている。かわいらしいケモノたちと過酷な終末世界が織りなすギャップも、作品を象徴する魅力のひとつ。

こうした設計の背景には、StarUnionがこれまで『ザ・アンツ』で築いてきたゲームデザインが活かされている。同作ではアリの社会を舞台に、プレイヤーがリーダーとしてアリ塚を築き、資源の確保や拠点の発展、アライアンスによる協力を通じてコロニーを拡大していくという体験が可能だった。
この記事では開発チームへのメールインタビューを通じて、本作の世界観やゲームシステム、キャラクター設計に加え、『ザ・アンツ』での開発経験が、本作にどのように活かされているのかについて話を伺った。
ケモノたちが挑む終末サバイバル『ラストファーリー:サバイバル』とは
もし、日常的に吸っている空気そのものが生命を奪うとしたら——そんな世界をイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。作中では毒霧が大地を覆い、もともと温厚な獣人たちでさえ、それを吸うことで理性を失い、危険な変異体へと変わってしまいます。生存者たちは最後のシェルターに集まり、浄化装置が生み出すわずかな安全な空気の中で生き延びているんです。
プレイヤーはそのシェルターの指揮官として、資源の確保や拠点の建設、そして同盟との協力などを通じて崩壊した文明の再建を進めていきます。単に生き残ることが目的ではなく、最初は壊れかけた浄化装置があり、わずかな住民しかいない小さな拠点が、やがて文明再生の象徴となる都市へと成長していく——。その過程そのものを描くことを目指しています。
――本作の舞台となる“毒霧に覆われた終末世界”とは、どのような世界となるのでしょうか。
空気はもっとも希少な資源となり、外の探索ではつねに毒霧の侵食にさらされます。一方でシェルター内部では、浄化装置の稼働こそが生命線です。つまり浄化装置は単なる施設ではなく、小さな町の“心臓”であり、文明最後の火種そのものと言えるでしょう。
さらに文明崩壊によって従来の秩序は完全に失われ、各シェルター単位で新たな社会構造が再構築されていきます。その中で異なるシェルターどうしが協力するのか、それとも弱肉強食の関係になるのかは、プレイヤーの選択に委ねられています。

中盤に入ると、英雄を派遣して廃墟を探索し、希少資源を確保しつつ変異体との戦闘にも挑むことになります。拠点だけではどうしても資源が足りなくなってくるため、英雄の育成と外部探索の重要性が一気に増していくでしょう。
そして終盤では拠点がある程度安定し、視点がワールドマップ全体へと広がっていきます。同盟を組み、他勢力との資源や拠点を巡る競争に参加していくフェーズです。たとえば、朝はネイラを率いて探索へ送り出し、昼は浄化施設の強化に時間を割き、夜は同盟メンバーと大型資源拠点の争奪戦に挑む、といったリズムになります。
こうした“個人での発展”と“同盟での協力”が循環していく点こそが、本作の長期的なゲーム体験の核と言えるでしょう。
毒霧に覆われた世界はどのように生まれたのか
その中で毒霧という設定を選んだ理由は、ゾンビや核戦争のように“外敵を倒せば解決できる危機”にはしたくなかったからです。ゾンビであれば戦うか逃げるかという選択になりますが、毒霧はそもそも“呼吸そのもの”を脅かしてきます。つまり、戦うだけでは解決できない。浄化装置という存在以外に、生存手段がない世界にしたかったわけです。その唯一性こそが、本作の世界観の核になっています。
――『ザ・アンツ』で培われた資源管理、生存、共同体、長期運営のノウハウは、本作にどのように活かされていますか。
そのため本作では同盟共生の概念を強め、すべてのシェルターが独立しながらも、単独では生存できない構造を採用しています。同盟は支援や建設協力に加え、領地争奪や資源競争を通じて、互いに成長していく存在になっているんです。
――『ザ・アンツ』はアリの社会を描き、本作はケモノたちのシェルターを描いています。チームとして“非人間社会”をテーマにした戦略ゲームを継続している意識はありますか。
例を挙げますと、獣人のネイラのようにかつて対立していた相手と同じシェルターで生きていくこともあるわけです。人間として描けば倫理的に重くなる選択も、獣人というフィルターを通すことで、プレイヤーは少し距離を持って状況を見つめられるようになります。
――今回、世界の危機として“毒霧”を選んだ理由を教えてください。ゾンビや核戦争などではなく、毒霧にした意図は何でしょうか。
しかし毒霧の場合は、“敵を倒す”という発想そのものが通用しません。むしろ“呼吸”という、生存のいちばん根本の部分を直接脅かしてくる存在なんですよね。だからこそ、拠点にある浄化装置が単なる施設ではなく、シェルターそのものの生命線になります。ここが止まった瞬間に全滅する、という緊張感がつねに付いて回る設計です。
プレイヤーにはその感覚をずっと持ちながら遊んでほしいと思っていて、そこが従来の終末系ストラテジーとのいちばんの大きな違いだと考えています。

そのためプレイヤーも、単なる拠点運営ではなく、ネイラやルナといったキャラクターたちの人生や選択に関わっていくことになるわけです。
終末世界を生きるケモノたちのキャラクター設計
また、動物イメージに由来する既存の印象、たとえば狐は賢い、猫は孤高といったイメージも活用することで、プレイヤーがキャラクターをスッと理解できるようにしています。
――日本のプレイヤーは“推しキャラ”を見つけて楽しむ傾向があります。各キャラクターに覚えてもらいやすい魅力や見どころは用意されているのでしょうか?
たとえばネイラの場合、“秩序に裏切られた人物”という設定があり、救援を信じた末に見捨てられた過去を持っています。その経験があるからこそ、他者を簡単には信じられない性格になっているわけです。日本の皆様にも、戦闘能力の高さに加えて、“強さ”と“悲しさ”の両面を持つように設計しているネイラを知っていただきたいです。




“時間が経つのを待つ”のではなく、“その都度の判断が問われるゲーム”を目指して
資源が少しずつ蓄積されてくると、今度は浄化装置そのものの強化が可能になります。これによって浄化できる範囲が広がり、これまで毒霧に沈んでいたエリアを再び解放できるようになるんです。そこに新たな居住区や医療施設を建てて、住民を受け入れていく流れですね。
最終的には、単なる拠点というより“都市を再建していく”感覚に近くなっていくでしょう。施設の強化も単なる数値の変化ではなく、生存できる領域そのものを広げていく意味を持っています。

ただ、当然ながら資源はひとつの行動にしか使えません。なのでプレイヤーはその都度、拠点の維持を優先するのか、人口拡大を取るのか、それとも戦略的な機会を狙うのか、といった判断を迫られることになります。こうした選択の積み重ねが、そのまま“指揮官としての責任”につながっていく設計です。
――終末世界らしい“資源が足りない”緊張感を、プレイヤーに負担として感じさせすぎないための設計はありますか?
たとえば政令システムでは、資源が足りない状況になると住民に対して強制的な労働指示を出すことができます。いわゆる“奴隷主モード”と呼んでいるものです。ただ、その分住民の幸福度は大きく下がってしまいます。つまり、どのタイミングでそれを使うのかがプレイヤー側の重要な判断になるわけです。
それに加えて、放置報酬やローグライク要素(塔攻略)も組み合わせています。初回クリアー時にはまとまった資源が手に入りますし、放置収益も段階的に増えていく設計です。オフラインの時間も無駄にならず、自然と資源が積み上がっていく仕組みですね。私たちが目指しているのは、“時間が経つのを待つゲーム”ではなく、“その都度どう判断するかを考えるゲーム”なんです。
――プレイヤーに“数字を管理している”のではなく、“ひとつのシェルターを守っている”と感じてもらうための工夫を教えてください。
安全区域で暮らす住民がいて、施設を修理する技術者がいて、研究を進める科学者もいる。警報が鳴れば住民は避難しますし、浄化装置のアップグレードによって環境そのものも変わっていきます。そうした変化を通して、プレイヤーには“数字を管理している”という感覚ではなく、“人々の生活を守っている”という実感を持ってもらいたいと考えています。
“戦力が高いから勝てる”訳ではない。編成が勝敗を左右する戦略バトル

――チームとして「これこそ『ラストファーリー:サバイバル』らしい体験だ」と感じている探索・戦闘要素もお伺いしたいです。
そうした変化の中で、絶望から生存圏を少しずつ取り戻していく感覚こそが、本作の核にあるものだと考えています。
“毒霧”をどう実感させるか。開発チームが直面した最大の課題
――開発中に「このゲームは成立した」と感じた瞬間はありましたか。
その中で「浄化装置が弱いと状況が持たない」という声が出た瞬間に、この世界観やルールが確かに伝わっていると感じました。
日本のプレイヤーや『ザ・アンツ』のファンに届けたい本作の魅力

一方で大きく異なるのは“体験の軸”です。『ザ・アンツ』が群体としての発展を描くのに対して、本作では誰かを守るという物語性に重点を置いています。キャラクターにはそれぞれ名前や記憶があり、プレイヤーは単なる管理ではなく、その生活や関係性に関わっていく形になります。
――最後に、本作を楽しみにしている日本のプレイヤーへメッセージをお願いします。
終末の世界において本当に支えになるのは、施設や装置ではなく、ともに歩む存在だと考えています。賢いキツネ、孤高の白猫、勇敢なトラ、頼れるクマ——それぞれが異なる過去と信念を持ち、傷を抱えながらも前へ進んでいるんです。
ぜひ日本のプレイヤーの方々にも、こうしたキャラクターたちを好きになっていただきたいと願っています。そして彼らとともに困難を乗り越え、希望を見つけ、失われた文明にもう一度火を灯していく体験を楽しんでもらえればと思います。














