台湾のメーカー・USERJOY TechnologyよりPCにて発売予定の『三国群英伝:Arena』。“三国志”のキャラが戦う3D対戦格闘ゲームだ。 USERJOY Technologyは三国志を題材にした『三国群英伝』シリーズなどを数多く手掛けるメーカーで、シリーズ作はおもに軍団を率いて戦うストラテジーゲーム。2021年には『三国群英伝8』、2023年には基本無料の『三國群英傳M』のサービスが開始されている。
そんな『三国群英伝』シリーズ初となる3D対戦格闘ゲームが、『三国群英伝:Arena』である。2026年5月1日~3日の3日間にわたって開催された日本最大級の格闘ゲーム大会“EVO Japan 2026”では試遊ブースが披露されたほか、Steamでは期間限定でデモバージョンが配信された。
本記事ではブースの模様を紹介するほか、デモ版でのゲーム内容もご紹介。さらに、本作プロデューサーへのインタビューもお届けしよう。

三国志格ゲー、じつは少ない
三国志を題材にした対戦格闘ゲームは意外にも数は少なく、2017年にリリースされた近未来世界の武将たちが戦うマニアックな『三國演武』や、武将が女の子として登場する『恋姫†夢想』シリーズを2D対戦格闘ゲームにした2016年の『恋姫†演武』などが存在(『恋姫†演武』は超名作です)。

いちばん有名なところだと、コーエーテクモゲームスの看板タイトル『真・三國無双』シリーズの前身作である『三國無双』になるだろう。アクションゲームになる前は、3D武器格闘ゲームだったことは知っている人も少なくないはず。
そして、3D武器格闘ゲームと言えば『ソウルキャリバー』シリーズを連想する人もいるのでは。三国志×3D対戦格闘ゲームという、ドストレートすぎるがゆえに目新しい部分も少ないのだが、間違いなく刺さる人には刺さるタイトル。それが『三国群英伝:Arena』だ。


武器を複数持つバトルシステム
プレイヤーは関羽や呂布など、有名武将たちを操作して対戦相手とバトルをくり広げる。キャラクターデザインは三国志のパブリックイメージに近い感じで、関羽ならば長い髭に青龍偃月刀。夏侯惇だったら隻眼の戦士といった見た目になっており、違和感なく受け入れられるだろう。

やはりゲーム的に必要か、といったところで孫尚香と貂蝉も使用可能。デモ版では8名のキャラクターが使用できたが、製品版では全12キャラクターが使用可能になるとのこと。現時点で判明しているのは、関羽、荀彧、呂布、張飛、夏侯惇、董卓、孫尚香、貂蝉。


キャラクターにはそれぞれ主武器が設定されており、関羽ならば偃月刀、張飛なら矛、呂布なら戟と、だいたい武将たちの逸話やイメージどおり。ユニークなのが選択式の副武器で、バトル中に武器を持ち替えることが可能。
主武器に設定された武器は変更できないが、もう1本の副武器は全武器種から選択できる。キャラクターそれぞれ身体の大きさ、足の速さの違いなどはあるが、副武器の存在により攻撃アクションの面だけで言えば全キャラクターほぼ共通と言える作りになっている。

キャラクター選択画面で副武器を選択できる。
もうひとつユニークな点が、武器が壊れてしまうこと。ガードゲージがあり、ガードしすぎるとその試合中に武器が壊れてしまう。2本壊れたらどうなるのかというと、素手で戦うことになる。戦えなくもないが、さすがに攻撃力は大幅に下がる。
とはいえ、試合中によほどガード重視じゃないと壊れないくらいには頑丈かつ、その前に試合が終わるような全体ダメージ量ゆえに、現状ではオマケ的なシステムに感じた。


素手になると弱体化するが、これはこれでユニーク。
3D格闘ゲームらしい3すくみバトル
さて、本作は3D武器格闘ゲームファン向けに端的に言うと、中身は『バーチャファイター』シリーズに近い作りになっていると感じた(後述するが、そもそも『バーチャファイター』を目指して作り始めたとのこと)。

3D格ゲーらしく画面奥か手前への横移動も可能だが、前に進むか後ろへ下がるか、といった前後の攻防がメインになっており、横移動やガードは投げに弱く、投げは打撃には絶対勝てない、打撃はガードに勝てない、というシステムになっているので、『バーチャファイター』のような3すくみで成り立っている。

ボタンは攻撃ボタン、投げボタン、ステップボタン(横移動など)の3つで構成されており、とてもシンプル。攻撃と投げは方向キーの同時入力で出す技が変化。難しいコマンドはなく、連打しているだけでもそれなりに連続技も出せる。ステップは方向キー2回入力などでも可能だ。ちなみにガードは方向キー後ろ(いわゆるレバーガード)。


方向キーを入れずに攻撃するとスピードの早い上段攻撃。前攻撃ならば中段攻撃、後ろ攻撃なら横移動に強い回転攻撃、下ならば下段攻撃などなど、いずれの武器も3D対戦格闘らしい技構成になっているので、慣れている身からすると直感的に操作できた。



ジャンプ動作も存在。下段攻撃を避けながら移動&攻撃する手段といった、3D格闘ゲームの基本的な動作になっている。
共通システムとして、全武器で“構え”がある。後ろ+投げボタンで構えを取ることができ、構え中には多彩な派生技をくり出せる。構えの特性はなかなかつかみにくいところだったが、まあ全武器共通で強力な技が出やすいかなといった印象。攻撃ボタンを1個に絞る代わりに、構えでバリエーションを増やしているのだろう。なお、構えからは前進しながらの投げなども出せる。

さらにもうひとつ共通システムとして、全キャラクターで上段・中段・下段の3つを受け止めて反撃できる、いわゆる当て身技が出せる。攻撃の受け止めに対応する方向+投げボタンで発動でき、中段、下段ならば空振りモーションがある。上段の当て身技は構えと共通であり、構え中に相手の攻撃を受け止める性能になっている。

相手の攻撃に合わせて……。

当て身技を成功させると……。

そのまま反撃し、切り返せる。
当て身自体はそこまで威力はなく、上段当て身中に中段攻撃を食らうと失敗となり、よろけ状態に移行してしまうため、単発技を見切ってカウンターを狙うのはハイリスクローリターン。相手の連携に割り込んで使うのがいまのところよさそうに見えた。

独立式の構えは、上段攻撃を当て身できる(その動きは……レイッ!)。

しかし中段攻撃を食らってしまい、カウンターでダメージアップ&よろけ状態になる。
全体的には地に足を付けての地味な戦いになるのだが、体力が瀕死状態になると、1ラウンド中のみ使用できる超必殺技が使用可能。それなりに派手で、威力の高い連続技を叩き込んでくれる。

武器変更などややこしそうな面もあるが、操作も読み合いもかなりシンプル。攻撃、投げ、ガード(と当て身)、そして横移動といったわかりやすい攻防が楽しめた。もちろんやり込んでいくと、武器相性のようなものが見えてきて、適宜武器を切り替えながら戦うゲームにもなりそうだ。
3D対戦格闘ゲームは大半のタイトルが“浮かせ技からコンボを狙う”といった作りになっているが、本作には浮かせ技の概念がなく、すべてよろけ状態からコンボを狙う仕組み。基本的に、覚えておきたいコンボとしては、よろけを誘発する技を当てる→コンボ用の3段技を当てる……くらいのようなので、初心者にもとっつきやすいだろう。

“スタッガー”という状態表示が、よろけ状態。

たとえばよろける技をヒットさせると、相手がスタッガー状態になるので……。

そこに追撃を入れるのが本作のおもなコンボになっている。
武器が壊れる、という点で『サムライスピリッツ』シリーズを連想する人もいると思うが、狙って壊すものでもないので、ガード一辺倒にならないようにしているシステムなのかも。また、武器まわりをポンポン変更できる仕様によって、マニアックだが3D対戦格闘だったころの『モータルコンバット』シリーズを個人的には思い出した。

武器変更はいつでも自由に可能。


横移動しながら武器変更をすると、武器を変えながら攻撃できる。
試遊したざっくりとした感想
まだまだ開発途中のバージョンなので、よろけ状態→よろけ状態みたいな永久コンボが見えたり、まだ本当に開発中なんだろうなと思える部分も少なくない。ただ、全体的にはリッチなグラフィックに王道的な3すくみバトルと、武器のリーチ差によるチャンバラバトルが楽しめた。
いまのところ全武器共通性能を全員で使うため、キャラクター差みたいなものが少なく、ある意味ではバランスが取れている。ただ、共通システムで賄われている部分が多いため、せっかくその武将を使ったからには、何かしらの個性が欲しいなとも感じた。一応、少しだけ性能差はあるのだが。

張飛らしい槍術を見せてくれるが……。

扇子も装備できるため、妖術のようなもので戦う張飛も見れてしまう。
投げ技は下段や背後投げなどはすべて共通モーションで、下段投げならばパワーボムをしたりするのだが、プロレス技がちょっと多くてビックリしつつ笑った。まあ、関羽や貂蝉がジャーマンスープレックスするのおもしろいからいいか、と許容できたりもしている。


関羽がいきなりジャーマンをドーン!

貂蝉もドーン!


貂蝉が三国時代にプロレス技で戦っていた歴史は知っているね?
素手になると共通して八極拳を使うことになり、張飛が裡門頂肘をし始めるのもなんだかおもしろい。拳法だからそうなるのかな……? といった半分冗談な部分は置いておくとしても、小ダウン攻撃、大ダウン攻撃、起き上がりの攻防などなど、節々から本当に『バーチャファイター』リスペクトから始まったんだな、と感じられる部分も多かった。もちろん、武器格闘なのでリーチの差などはすごくあり、実際の味わいはぜんぜん違うのだが。

関羽の裡門頂肘。生まれて初めて見た。
なお、デモ版では対戦のほか、トレーニングモード、オンライン対戦も楽しめた。トレーニングモードは、昨今の格闘ゲーム的な機能はだいたい揃っており、ちょっとかゆいところに手の届かない部分はあるが、製品版ではより使いやすくなっていそうな予感。


ひとり用のストーリーモードは、一般兵などと戦っていき、武将討伐を目指すローグライトのような作り。道中で得た強化アイテムや回復アイテムなどを駆使して、何度もくり返し遊べそうだ。




一般兵との戦いもある。

ランダムイベントなどもローグライトらしい要素。
開発者へインタビュー!
“EVO Japan 2026”の出展ブースではオフライン対戦のほか、その場でオンライン対戦も体験可能だった。試遊するとグッズなどがプレゼントされたほか、1日目にはプロゲーマーのウメハラ選手、ET選手(台湾の年長プレイヤー)が登壇し、エキシビションマッチも実施された。



アーケードコントローラーのプレゼント企画なども実施されていた。

日本のベテランであるウメハラ選手、台湾のベテラン・ET選手がエキシビションマッチを実施。ブースには多くの観客たちが詰め寄せた。
そんな『三国群英伝:Arena』ブースにいたプロデューサーに直撃。本作の開発が始まった経緯や、今後の展望などを詳しくお聞きした。
高 尚麟 氏(がお しゃんりん)
『三国群英伝:Arena』プロデューサー。USERJOY Technology所属。(文中は高)

高プロデューサー
――2025年12月の発表以来、個人的に注目していました。久々に三国志を題材にした格闘ゲームが出ることに喜んでいるのですが、なぜ今回開発することに決まったのでしょうか?
高
まず我々USERJOY Technologyは、30年以上にわたり、三国志のゲームを作り続けています。『三国群英伝』シリーズもそうですし、ほかにも『幻想三国誌』シリーズなども展開しています。といった中で、開発の発端となったのは弊社の社長が対戦格闘ゲーム好きだったことです。
――では社長の一声で開発が決まったと?
高
開発チームのほうに「どうにか三国志の対戦格闘ゲームが作れないか」とお願いされたのが、正直な経緯になりますね。社長は『バーチャファイター』シリーズが大好きで、いまもプレイしているんです。ですから『バーチャファイター』のような3D対戦格闘ゲームを自分の会社でも作りたい、と考えたと聞いています。
――初代『三國無双』ですとか『ソウルキャリバー』シリーズを連想する人も少なくないのかなと思いますが、着想を得たり意識されていましたか?
高
はっきり言ってしまうと、何も考えずに「とりあえず3D対戦格闘ゲームを作ろう」と、がむしゃらに開発がスタートしたので、何も意識していません(笑)。社長の“『バーチャファイター』好き”から始まっているので『バーチャファイター』要素は根元にちょっとありますが、まずはとにかく三国志を格闘ゲームにすることを目指しました。
PVなどの反響で「これって〇〇じゃない?」ですとか、「〇〇に似ている」など意見をいただくこともありますが、それは勘違いでして。実際のところは「いやぁ、参考とかすら深く考えないでスタートしまして……」と返すしかないです(苦笑)。流れるような技を動きで戦えるようにしようですとか、そういった精神的な部分は『バーチャファイター』から参考にさせていただいた部分はあります。
――なるほど。三国志の武器格闘といったところで、三国志が題材ゆえに武器種はかなり限られると思います。どのようにバリエーションを増やしたのでしょうか?
高
扇子などのちょっとファンタジックなものもありますが、たしかに限られているので難しいところです。そのため、本作では主武器に加えて、副武器を自由に選択できるようにして、戦闘スタイルのバリエーションを増やしました。
――使用可能な武将は「三国志ならば外せないよね」という代表的なキャラクターと、貂蝉などの女性キャラクターといった選出に見えます。どのように決めたのでしょうか?
高
基本的には人気の武将たちかつ武力に長けている者たちを選びました。それとは別に、やはり女性キャラクターも欲しいというところで、孫尚香と貂蝉を登場させました。今後も人気武将のほかにも、歴史的に戦ってもおかしくない女性キャラクターは増やしたいと考えています。リリース後も、3ヵ月ごとに新キャラクターを追加したいと考えているので、ぜひご期待ください。
――三国志であること、武器を選択して戦えること、といった要素がありますが、ほかにとくにアピールしたいポイントはありますか?
高
複数の武器で戦えることは、ほかの武器格闘ゲームにもなかなかないシステムかと思います。それでいて、武器ごとに耐久力があって、使いかたによっては壊れてしまう。そして2本の武器が壊れてもまだ素手で戦える余地を残しています。このあたりは本作ならではの要素なのではないでしょうか。
――Steamでのデモ版も配信されましたが、プレイヤーたちの反応をどう見ていますか?
高
アジア圏の方々は三国志を知っていて、日本でも人気がある題材ですから、すごく反響をいただけてうれしいです。そこは、ある程度狙い通りの感想をいただけました。ただ、欧米諸国では三国志がまだまだマイナーですので、「海外展開で本当に売れるのだろうか?」と、正直心配している部分もあります。
ですが、対戦格闘ゲーム自体はどんどん人気が上がっているジャンルですので、格闘ゲームであるというところから、三国志の認知度も上がるといいなと。いまはタイトル自体の知名度を、もっと上げていきたいですね。
――ストーリーモードもありますが、ローグライト系のシステムになっていて驚きました。なぜ取り入れたのでしょうか?
高
やはり三国志がテーマですので、三国志の物語を楽しめるものにしたかったのと、ほかの格闘ゲームでは味わえない要素を入れるために差別化しました。デモ版では1ステージのみでしたが、製品版ではさまざまな戦場をテーマにした物語が楽しめる予定です。
――遊ばせていただいたところ、対戦部分に関しては永久コンボがあったりと、まだ開発途中なんだなと思える部分もありましたが、今後どのようにブラッシュアップしていく予定なのでしょうか。
高
仰る通り、本当にまだ開発中のものですので、拙い部分が出てしまうのは申し訳ないです。ご容赦いただきたいのは、我々は対戦格闘ゲームを作ること自体初めてで、まだまだ未熟なところがあります。今回の出展も含めて、どんどん皆さんの意見を聞いて改善したいと思っています。個人的にも、高い壁を乗り越える挑戦者の気持ちで開発に取り組んでいます。
――ちなみに個人的な感想としては、効果音がややチープに感じてしまい、第一印象としてよくないかな……と。見た目はいいのに、すごくもったいなく感じました。
高
ありがとうございます。もっと質の高いものにしてほしいとチームにお伝えします!
――ぜひお願いします! 本作の発売予定はまだ未定ですが、いつごろになる予定ですか?
高
予定としては、Q3(2026年10~12月)または、Q4(2027年1月~3月)にリリースしたいな、と考えていますが、じつのところ本作を基本無料ゲームにするのか、それとも有料販売タイトルにするのかもまだ決めていない状況です。現在キャラクターは8名いますが、リリース時には12名のキャラクターで戦えるようになりますので、ぜひ期待を寄せて続報をお待ちいただければと思います。
