『カミとミコ』レビュー。現代知識で無双しながら人類史を紡ぐ。赤坂アカ×リアル脱出ゲームのSCRAPが贈る世界創造謎解きアドベンチャー

『カミとミコ』レビュー。現代知識で無双しながら人類史を紡ぐ。赤坂アカ×リアル脱出ゲームのSCRAPが贈る世界創造謎解きアドベンチャー
 神視点で謎を解く爽快感、ベタ甘にプレイヤーを全肯定してくるミコの愛らしさ、そして思いがけず感情を揺さぶられる展開。
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 結論から言えば、めちゃくちゃおもしろかった。まずは太鼓判を押しつつ、その魅力を叫びたい。

 “世界創造×謎解き”をコンセプトとした、PCでもスマホでも遊べるアドベンチャーゲーム『
カミとミコ』が2026年4月23日に発売される。

 本作は、マンガ
『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』『【推しの子】』(原作)で知られる赤坂アカ氏がストーリー・キャラデザインを担当、リアル脱出ゲームで著名なSCRAP代表の加藤隆生氏が“謎”を手掛けている。

 本稿では、そんな本作の先行プレイをもとにレビューをお届け。なお謎を解く体験を損なわないよう、そしてストーリーから得られる体験を損なわないよう、可能な限り序盤の展開のみに絞って紹介していく。

当たり前の現代知識が猛威を奮う快感

 本作は、プレイヤーがいわゆるゴッドである“カミ”となり、巫女たる“ミコ”に対し啓示を与え、人類を発展させていく謎解きアドベンチャー。

 幕開けの舞台は、およそ紀元前100万年。人類にとってまったく過ごしやすい環境ではない。ひたすら寒く、獣に立ち向かう術も持たず、人口も目減りしていくような時代だ。
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 緩やかな滅亡に瀕しているなか、集落の巫女であるミコは「民をどうにかしなければ」と、藁にもすがる思いで禁じられた術に手を出し、プレイヤーである“カミ”を呼び出すことに成功する。
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 現代の知識を持ってすれば、当時の人類を救い生かすアイデアは無数にある。「そんなに寒けりゃ火を起こせばいいじゃない」とか、「獣が怖い? 石器で武器作って囲んで殴ろうぜ」とか。

 これが口頭で伝えられるのであれば話は簡単だが、カミたるプレイヤーはミコに直接意志を伝えられない。カミはミコの言葉がわかるものの、ミコはカミの言葉がわからないのだ。こればかりはカミの力をもっても越えられない壁らしい。

 そこで登場するのが“カミノイシ”だ。石と意思がかかってるわけですな。プレイヤーはこのイシをミコに提示することで啓示を授け、間接的に人類を導いていくことになる。
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このカーソルが合っているものがカミノイシ。基本的にはこれを使い、組み合わせてゲームを進めていく。
 たとえば序盤では上の画像のように、“話”と“聞く”という2種類のカミノイシがある。ただし、“話”だけでも、“聞く”だけでも意味を成さない。これを組み合わせて提示し、“話を聞く”というインスピレーションを与える必要があるのだ。

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カミノイシは展開次第で増えていく。組み合わせのパターンも劇的に増えていくため、そこからはヒラメキが重要になる。
 ちなみに、プレイヤーは何と言ってもカミである。ゴッドということは、なんと天候を自在に操ることも可能なのだ。マジ全能。

 具体的には、晴れ、雨、風、雷の4つを駆使することで、啓示だけではどうにもならないことを、物理的にねじ伏せられることもある。
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 とくに火を起こす文化がなかった時代、人類に「どうやって火が発生するか」を気付かせるため、どの天候を利用すべきかは、現代人たる我々にはアタリがつくのではないだろうか。
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火があれば肉だって焼いて食えちまうんだ! 人類史における明確なブレイクスルー。

 本作のとくにおもしろい点は、プレイヤーの意図がミコに伝わった瞬間だ。現代人からすれば当たり前のことを伝えているだけなのに、ミコがめちゃくちゃ驚いてくれる。「そうか、閃いた! ハッ……これが神のお告げ……!?」といったテイスト。いや、実際こちとら神様なんだけどね?
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 このあたり、“異世界転生ものにおける知識無双”に通じる優越感と言えばわかりやすいだろうか。承認欲求がもりもりと満たされていく。これに加えカミノイシと天候操作を利用した謎解きが求められるので、考え抜いてピタっとハマるとじつに爽快なのだ。

 しかし、これがすんなりうまくいかないのが奥深い。

 例として、「水を運びたい」と言われたら、「そりゃ器があればいいだけだろう」という答えはパっと出る。
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 ただし時代は100万年前。当然、コップもなければ鍋もない。となると、そもそも「器という概念」から教えていく必要がある。

 古代において、手っ取り早く器を作るにはどうするか。そう、粘土だ。小学校でも教わるくらいの知識だ。

 「ミコはこんなこともわからないのか、しょうがないなあ〜!」とニヤニヤするのも束の間、そもそも「器を作れたからと言って、そこに水を入れる」という発想が当時の人類にはない。

 さらに器を作れたところで、焼きを入れないと固まらない……、と順序立てて考えていくと、じつは複雑な工程を経ていることに気付かされる。

 我々が当たり前のように享受している文明は、だれかの閃きや連綿としたプロセスを経た結果なのだ。これらをひとつずつ丁寧に紐解いていき、ミコとともに歴史を進めていくことが、本作の基本的な流れとなる。

加速度的に発展する文明。待ち受ける人類の業。そして……?

 ここまで読んでいただけたらおわかりかもしれないが、ミコがね、もうね、かわいすぎるんだよ……!!
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 年相応らしい無邪気さもありつつ、カミたるプレイヤーにベッタベタに依存してくるのである。そのうえで小悪魔的に煽ってきたりもするので、立場はこっちのほうが強いのに、手の平で転がされてる感もあって、なんかもうたまらない。
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 ちなみにカミノイシの組み合わせによっては、正解にいたらないことも当然ある。ただ、この反応のバリエーションが異常なほど多い。おまけにリアクションのすべてが全方位に愛くるしいのだ。

 なおミコを「トントン」とタップすると“謎”を解くヒントをくれるのだが、ここは親切設計でもあり、もどかしいポイント。
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 あくまで筆者の体感だが、とにかく全能感を味わう方向でプレイしていくと、できるだけ間違えたくない。バシっと一発で答えを示して、ミコに「デキるカミ」と思われたい!

 しかし、ヒントにいたっても発言がいちいちかわいいので、それはそれで聞きたくなってくる。

 わざと間違えてミコの反応をつぶさにチェックするもよし、解凍の精度を高めて有能なカミを演じるのもよしと、人によって楽しみかたはいろいろ出てきそうだ。

 こうしてミコとともに石器時代を切り抜け、人類は滅亡を免れる。しかし、ミコは肉体的にはふつうの人間だ。当然、別れがやってくる。

 彼女は超常たるカミと異なる存在……ではあるのだが、なぜか当たり前のように転生し続ける。しかも前世の記憶まで引き継いでいる。
『カミとミコ』レビュー。現代知識で無双しながら人類史を紡ぐ。赤坂アカ×SCRAPが贈る世界創造謎解きアドベンチャー

 カミは役目を一旦終えると眠りについてしまうのだが、彼女は何万回も転生をくり返し、時代ごとにカミの目覚めるのを延々と待っているわけだ。健気すぎる……。

 ちなみに、ミコの衣装はその時代の立ち位置によって全部違う。そのどれもがグッドルッキングなのである。
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 「数十年の付き合いだよね〜」どころの知己ではない。何万年にもわたる付き合いになるのだ。ミコとの絆を深めるバディものらしい雰囲気もあり、そこもまたいい。

 なおいまさらながら、本作は人類が文化を得る時間軸からのスタートである。刻は現代に向かって進んでいくのだ。

 しかし人類の歴史を思い返してほしい。文明が発達し、定住が始まり、国ができてからいったい何があっただろうか。どの時代が切り取られているかはネタバレになるのでさておき、「あっ……」となる地点はどうしても出てきてしまう。

 そこでミコとの関係値が重要になるのだが、話を進めれば進めるほど、ミコに愛着が湧いてくる。カミのことを全面的に信じまくっているし、何よりカミとコミュニケーションを取れるのはミコだけ。ミコにはカミしかいないし、カミにはミコしかいないのだ。
 
 タイトル通り『カミとミコ』を中心として人類史が紡がれていく、正しく“セカイ系”なのである。

 展開によっては人類の醜悪さに目を背けたくなることもある。筆者は「こんな人間たち、生かす価値があるのか……?」と憤慨し、雷による人類へのダイレクトアタックを敢行したりもしたが、その結果がどうなったのかは伏せておこう。

 そして本当に神がいたとしたら、こんな感情になるのかな……とも感じた。

 自分のことを盲信してくれる巫女がいたら、そりゃあ可愛がりたくもなる。人類にもよい発展をしてほしいと願う。ただ、よかれと思って与えたものがすべていい方向にいくとも限らない。神視点でのジレンマも存分に味わえるだろう。

 何にせよ、深掘りするほど致命的なネタバレになってしまう。書きたいことはいくらでもあるが、書けないことがもどかしい。

 ただ強いて付け加えると、赤坂アカ氏らしい意表を突いた展開の数々には、思わず声が出ること請け合いだ。

 そしてドット絵の雰囲気にバッチリ合った、ファミコン調のチップチューンも名曲揃いだった。全年齢が楽しめるゲームとは思うが、ファミコン直撃世代はとくに感慨深くプレイできそう。サントラも出してくれないかな……。

 というわけで、謎解き、アドベンチャー、そして先の読めない物語。どれかにピンと来た人は、ぜひ『カミとミコ』をチェックしてみてほしい。

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