ドラマチックアドベンチャーゲーム『龍が如く』シリーズに、“真島吾朗”という伝説の男がいる。その生き様を見事に凝縮したような、すさまじいゲームプレイ体験だった。
『龍が如く』シリーズの新作ではない。『SHINOBI 復讐の斬撃』の話である。2026年4月3日(金)配信開始のDLC“セガ ヴィランズ ステージ”で、最強の忍者ジョー・ムサシは、セガの歴史に名を刻む3名と火花を散らすことになる。敵はデスアダー、Dr.エッグマン、真島吾朗。いずれ劣らぬカリスマだ。


配信に先立ってプレイさせていただいた中で、筆者がとくに感銘を受けたのが真島吾朗ステージ。まさに、圧巻だった。真島吾朗については『龍が如く』シリーズでリアルに描かれている。時代の推移とともに歳を重ね、それでも自分を貫き通す生き様に心惹かれた人も多いはず。彼の人間性をそのまま圧縮したかのようなステージ道中とボス戦に、始終圧倒されたのである。

あれはまさか、数々のドラマがくり広げられたミレニアムタワーか。

キャバレー・グランド。『龍が如く0』の記憶がよみがえり、心臓を直につかまれたような感覚に陥った。

そして最後の戦いの場は男たちの約束の場所、神室町。我々はいつもここに帰ってくるのだ。
真島吾朗という熱い男に魅せられた人はもちろん、彼を知るきっかけとしてもぜひおすすめしたい当DLC。以下、真島の兄さんに惚れ込んだ男のひとりとして、ステージの概要をお伝えしていく。
なお、ステージ道中とボス戦のネタバレに触れる内容になるため、これから予備知識なしでプレイしたい方は要注意。また、各ボスのいわゆる“最終形態”については伏せようと思う。
※記事内でのボタン表記は、PS5のDualSense ワイヤレスコントローラーのものに準拠しています。
※“セガ ヴィランズ ステージ”では、津波など自然災害を想起させる表現がございます。そのため、一部の方には不安感やストレスを感じる場合がありますので、プレイいただく際は予めご注意ください。ステージ、それは男の人生の縮図
真島吾朗への熱い思いをさっそく原稿にぶつけたいところではあるが、より深く魅力を理解していただくためにも、『SHINOBI 復讐の斬撃』とDLCの概要について解説させてほしい。
本作は1987年以降、さまざまなタイトルが制作されてきた『忍 -SHINOBI-』シリーズの最新作。世界征服を企む巨悪“ルーズ卿”が率いるENE-CORPに平穏を打ち砕かれた伝説の忍者ジョー・ムサシが、復讐の炎を胸に戦い抜くハイスピードアクションゲームだ。


直感的に操作できるボタンの割り当てやレスポンスのよさにより、思うがままの操作が可能。ジョー・ムサシをただ動かすだけでも気持ちいい。
DLC“セガ ヴィランズ ステージ”では、ルーズ卿が使いすぎたとある力の余波により、3つの次元の裂け目が発生。ENE-CORPは未知の世界の力を手に入れるために、大規模な軍勢を派遣した。この蛮行を阻止しつつ、それぞれの裂け目の核である“力の源”を倒すべく、ジョー・ムサシは行動を開始する。


本編をゾーン4までクリアーすると当DLCをプレイ可能。
今回出現した力の源は、いずれもセガの名作ゲームに登場した強敵たち。『ゴールデンアックス』シリーズの最終ボスであるデスアダー、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズの自称悪の天才科学者Dr.エッグマン、そして『龍が如く』における伝説の男のひとり、真島吾朗。新旧セガっ子にはたまらないラインナップだ。
DLCではデスアダーと真島吾朗のどちらかのステージ1から挑戦可能。両者のステージ2をクリアーすると最終決戦となるDr.エッグマンステージが出現する。


デスアダーと真島吾朗との戦いでは、ステージ1はボス戦なし。ステージ2で道中を突破すると、いよいよボスとの戦いとなる。


背景やボス戦に散りばめられた原作要素がセガファンの心をくすぐる。
そろそろ真島吾朗ステージについて受け止める準備はできただろうか。だが、ファンの方はもう少し待ってほしい。まずはこの熱き男を知らない人に向けた紹介から。
真島吾朗は『龍が如く』シリーズの主人公のひとり“桐生一馬”にとって永遠のライバル的存在。最初は中ボスのひとりとして登場したのだが、極道の世界でもあまりに異質な破天荒ぶりを見せつけ、「桐生チャ~ン」という忘れがたい響きとともにプレイヤーたちの心をつかんだ。一発で。

初登場時の第一印象は“クレイジー”のひと言。作中でも“嶋野の狂犬”と恐れられた。
当DLCでは彼の狂気的な面が多めと感じられるが、それは上辺の印象と言える。実際にステージをプレイすると途端にその奥が姿を現し、真島吾朗の原点が迫ってくるのだ。人気の秘密を垣間見た気がする。
筆者はステージ1の開始時点で気分が高揚した。目に入るのは、長らく『龍が如く』の舞台として描かれた神室町。ただし、この空間は時そのものが凝固したようなもので、明らかに違和感がある。

スタート地点ですでに、天下一通りや吉田バッティングセンターの看板など、真島吾朗ゆかりの地の断片が見える。

この裂け目に進軍したENE-CORPの戦力が敵として待ち受ける。一掃して進もう。
ステージ1を少し進むと、背景に特徴的な高層ビルが見えてきた。『龍が如く』シリーズでさまざまなドラマや最終決戦がくり広げられてきた舞台・ミレニアムタワーだ。

ステージ1の序盤からここが出てくるとは、あまりに意外。
ミレニアムタワーが見え始めたあたりから、敵の攻撃は激しさを増した。細い足場での戦いを強いられたり、こちらの攻撃ではひるまず吹き飛ばせないアーマー持ちの敵が多く出現したりと、一筋縄ではいかない。
『龍が如く』ファンとして本作に初めて触れる人は、このあたりから戦闘に苦戦することだろう。当ステージをより没入して体験するために、いくつかアドバイスを送りたい。これだけでも戦いやすさが変わるはず。
- R1で出す“旋転”は無敵時間あり。少しでも危険と感じたら出す。
- 空中で攻撃してくる敵は限られるので、敵の頭上を取るのが定石。
- かたい敵とやわらかい敵が同時に出現したら、忍法ゲージや手裏剣を惜しまずに使い、やわらかい敵を素早く倒す。
- アーマー持ちの敵はひるまないのが厄介。空中左スティック下+△(金剛落)連打や地上△長押し(赫念當て)などで素早くアーマーを削る

ゲージが溜まるのに時間がかかる忍術も惜しまず使おう。厄介な敵が多く「これはめんどうそう」と感じたら、すぐ忍術・火龍の術を出すくらいでOK。

忍術・衹水(しすい)の術は体力回復技なので便利。だが、攻撃忍術にゲージを使ったほうが総量としては失う体力が少なく済むことも。見極めるべし。
そうして敵を蹴散らしつつ突き進んでいくと、ステージの様相がしだいに変化。紫がかった背景に加え、地中深くに潜っていくような行程になる。
さらには結晶を攻撃することで対応した壁が一定時間消えたり、足場が出現したりといった時間制限付きギミックが出現。これはENE-CORPの仕業ではないだろう。まるで、誰かの深層心理の底へと潜っているように思えるのだ。

大量の結晶が鋭利なトゲになっているのも印象的だ。
さらに先へ進むと、電流で遮られた地形が出現した。この電流や結晶のトゲはトラップだ。ジョー・ムサシがこれらに触れると大ダメージを負い、付近の復活地点やすぐ近くの上空に戻されてしまう。
侵入してくるジョー・ムサシやENE-CORP軍を拒み、追い返そうとしているのだとすれば、先ほどの“誰かの深層心理”という予想が真実味を増す。

二段ジャンプすると触れてしまう絶妙な位置に電流トラップがあるなど非常に厄介。とはいえ、敵をぶつければ一撃で倒せるので戦闘に活用できる。

電流デスマッチを制したところでステージ1が終了し、蛇柄を模した装束“狂犬スタイル”が手に入った。蛇柄と言えば真島吾朗のトレードマークだ。
ステージ2に入ると、背景はよりカオスさに拍車をかける。見覚えのある店舗が入り乱れ、車は宙を舞った状態で静止。上下が反転した部分もあり、つい目を奪われて敵の攻撃を食らってしまう。
さらに入り組んだ細い通路も現れた。複雑な形状から、人の心をより強くイメージさせる。やはりこの世界は真島吾朗という男の記憶のように思う。内面に秘めた得体のしれないどろどろしたものをギュッと固めて形にしたもの。侵入を拒絶しているようでいて、一方では道順を示す道路標識もあちこちにある。なにかを導き、待ち望んでいるようにも感じられた。

カオスさのあまり見逃しそうになったが、異様な角度になった神室町ヒルズらしきビルを確認。真島吾朗を語るうえで欠かせない場所である。

通路が狭いのに、旋転の無敵時間を無効化する“ダークアタック”を放つ敵が出現。電流などのトラップより厄介だ。
そうして、より激しくなるENE-CORP軍との戦いを、なんとか切り抜けて進んだ先。不意に目に飛び込んできた看板に思わず息を飲んでしまった。ついその場に立ち止まる。

これは、まさか。

間違いではなかった。キャバレー・グランドだ。
キャバレー・グランド。『龍が如く0』で描かれた、初代『龍が如く』以前の時代に真島吾朗が経営を任されていたキャバレーだ。
きらびやかな電飾に反して、ここは真島吾朗という危険な男を極道の世界から遠ざけるために用意された、言わば監獄だった。極道の世界に返り咲き、いち早く成したいことがあった真島吾朗にとっては辛い時代。同時に、さまざまな出会いを経て、“誰よりも楽しく生きる”という狂気と紙一重の人生観と、極道としての侠気を形成した大切な思い出でもある。
大事にしまわれるように眠るキャバレー・グランド。ここまでの行程を振り返り、確信した。やはりこのステージは真島吾朗の記憶であり、半生の体現だ。『龍が如く』シリーズが進むに連れて歳と出会いを重ね、考えかたは少しずつ変わっていったが、変わらず貫き通したものがあったのも事実。彼の人生に筆者はいま、触れている。

理解が押し寄せてきて胸の中がいっぱいになり、同時に怒りも湧いてきた。この場を汚すENE-CORP、許すまじ。
キャバレー・グランドでの激戦を終えると、さらに入り組んだ地形が続くが、不思議と敵はいっさいいない。不気味な静けさを切り裂くようにたどり着いたステージ最奥部、そこでついにあの伝説の男が姿を現わす。

降りしきる雨の中、静かに靴音が響いた。
vs 真島吾朗、その極意にさらなる強さを学ぶ
ステージ2の最奥部は、ステージ1のスタート地点と同じく神室町天下一通り。ここが真島吾朗の記憶であるなら、神室町に帰着するのは当然だ。激しい戦闘曲でファンの心を揺さぶってくる。


待ちに待った真島吾朗との戦い。その戦いぶりにも真島吾朗ならではの輝きがあった。とくに筆者が圧倒されたのは、“意外性”の表現だ。
つぎになにをしてくるか読み切れない。突発的であり、狂気さえ感じさせる攻撃の組み立てに翻弄される。その中に隠された一本気を見極められたことで、真島吾朗の生き様をより深く学ばせてもらった。

その破天荒ぶり、まさに狂犬。それでいてまっすぐな侠気を感じさせる質実剛健さもあり、攻略を組み立てる楽しさがある。
開幕直後、なんのためらいも前触れもなしにドスを振るう真島吾朗。広範囲かつリーチの長い4連撃に、さっそく出鼻をくじかれた。それにしても、ボイスもあいまって、じつに楽しそうに戦うものだ。

一見、無造作だが、とくに上方向にも範囲が広い1撃目と2撃目が避けづらい。まるで格ゲーの対空技だ。上空が安全という意識がつぶされる。
ならば距離を取ろう。そう思ったら、今度は宙高く跳躍してのドス投擲である。空中のドスを蹴り飛ばす攻撃は原作でも印象的。加えて、無数のドスを3連続で投げつけてくる攻撃も非常に速い。少しでも旋転のタイミングがずれると被弾してしまう。


近接武器のドスではありえないはずの、あまりに破天荒な攻撃。
それでも、宙に跳ぶ瞬間と着地する瞬間はかなりの隙があると見た。旋転でドスの雨をくぐり抜け、着地時に連続攻撃を叩き込む筆者。だが、真島吾朗にそんな常識は通じなかった。

着地を狙って、一気に距離を詰めたのだが……。

そこでいきなり回転攻撃である。
完全に虚を突かれた。この回転攻撃はダークアタックなので、旋転の無敵時間では回避できない。横向きの攻撃範囲がかなり広く、近距離で避けるには上空に逃れるしかない。
しかし予備動作も短く発生が速いため、見てから上空に逃れるのはかなり難しい。着地を狙って攻撃し始めたところで出されると、ほぼ食らってしまう。
着地後の攻撃はランダムのようで、この回転攻撃以外にも、先ほど触れたドス連撃1撃目で上空に逃げたこちらを叩き落としてくることもある。予備動作を見る前にジャンプで逃れても安全ではないのだ。

回転攻撃は遠くで出されるぶんには見え見えだが、不意に出されると非常に厄介。
さらなる大技もある。原作でも見せた分身攻撃だ。分身の連続突進を避け損なうと拘束され、渾身のバット攻撃を確定で食らってしまう。まるで真島吾朗も忍者であるかのようだ。
この分身、何度か見て慣れればタイミングよく旋転したり、ジャンプで高さをずらしたりといった方法で比較的簡単に回避できる。ドス投擲と同じく、終わり際などに隙が生まれるのだが、それは真島吾朗の罠でもあり、うかつに近づくと回転攻撃や不意討ちの餌食に。

分身からの拘束攻撃のダメージはかなり大きく、絶対に食らいたくない。
意外性。本作での真島吾朗の戦闘スタイルは、このひと言に集約されると思う。攻撃しようと近づきたいものの、行動を予想できない。だが、何度も挑んでいるうちに動きがわかってきた。まるで対話を重ねたかのように。
回転攻撃の予備動作は短いが、何度も見れば判断できるようになる。ドス斬撃や分身攻撃も、タイミングがわかれば旋転に二段ジャンプにと対処方法が見えてくる。戦いながら気付いたことがある。一見狂気じみた真島吾朗の戦いかたは一本の筋が通っているように思うのだ。だからこそ、攻略の組み立てがおもしろい。これこそアクションゲームの醍醐味。

最初は予想外だった動作を、しだいに見極められるように。ここから自己流の攻略につなげるのがおもしろい。
戦いの中で、真島吾朗の海のように広く深い人物像を理解できた気がした(ごく一部だと思うが)。桐生一馬も、ケンカを通じてこのような気分を味わったのだろうか。だからこそ、筆者も改めて“真島の兄さん”と彼のことを慕いたくなった。
そして、真島の兄さんはただ攻略しやすいだけのボスで終わるわけがないのだ。体力がある程度減ると、ジャケットを脱ぎ捨てて背中の般若の入れ墨をあらわにしつつ、本気のスタイルを見せてくる。


ステージが一変。これはまさか、『龍が如く2』の地下闘技場か。
本気になった真島の兄さんの実力は、みなさん自身の目で確かめていただきたい。対話のネタばらしは無粋だと思うから。
戦いを終えると、新たな忍術“分身”を獲得可能。周囲に分身を出して命中した相手の“処刑ゲージ”を大きく減らし、一撃必殺の“シノビ・エクスキューション”につなげやすくなる技だ。必殺技を託されたかのようで、とてもうれしい。


発動までの隙が大きくちょっと扱いづらいのも、じつに兄さんらしい。意外性のある戦いかたを組み立てたうえで使いこなしたい。
戦いを終えても『龍が如く』名場面の記憶の奔流が止まらない。命のやり取りを通して、少しは兄さんに近づけた気がしてうれしかった。本作のアクションゲームとしての充足感が高いのはもちろん、加えてここまで満足できるのは『龍が如く』ファン冥利に尽きるかと思う。

兄さんは笑っていた。ジョー・ムサシとの戦いも楽しんでもらえたのだと思いたい。
DLCステージは、一度クリアーした後でも“アーケードモード”で何度でも挑める。DLCステージをすべてクリアーすると、DLCボス全員と連戦をくり広げる“DLCボスラッシュ”と、本編ボスとDLCボスのすべてと連戦する“究極ボスラッシュ”をプレイできるようになる。


とてつもない難度を誇る新たなチャレンジ。兄さんならきっと笑って突っ込んでいくだろう。続かねば。
ケンカを通じてあなたが受け取ったものを胸に、ぜひ何度でも本DLCに挑戦していただきたい。真島吾朗という男の生き様を感じ取れたなら、『龍が如く』シリーズを遊ぶのもいいだろう。また少し、真島の兄さんの違った姿が見えてくるかもしれない。