
KURO GAMESが掲げる理念――「挑戦こそが偉大」11年の歩みとつぎなる未来
KURO GAMESは中国・広州(こうしゅう)を本拠地とするゲームスタジオで2014年に設立。2016年に『戦場のツインテール』でデビューし、2020年リリースの3DアクションRPG『パニシング:グレイレイヴン』がスマッシュヒットを記録。そして、2024年にサービス開始されたオープンワールドRPG『鳴潮』が大ヒット中の中国を代表する新星ゲームスタジオのひとつだ。
しかし、「KURO GAMESは現在すでに従業員2000人を超えているんです」と担当者からそう聞いて筆者は改めて気付かされた。KURO GAMESはもはや新星ではないのだと。
本稿では、そんなKURO GAMESの主要各スタッフに訊いた話をまとめ、わかりやすくインタビュー形式に再構築してお届けする。
新星スタジオとして出発し、いまや中国の開発会社として揺るぎない存在となりつつあるKURO GAMESのこれまでの歩みと哲学、展望をお伝えしていこう。
なお、今回の取材では複数部門の方から話を聞くことができたが、わかりやすくするため回答者の名前はKURO GAMESで統一している。
『パニシング:グレイレイヴン』――挑戦が生んだ3Dアクション
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――『パニグレ』がリリースから6年経っても活力を保っている理由、コアな競争力となっている要素とは何でしょうか?
まず題材としての廃墟系サイエンスフィクションです。これにより、ゲームは長期にわたる表現の幅を持つことができ、キャラクターやモンスターのデザイン、そして絶望と希望が交錯する物語体験を提供できます。
つぎに、ゲームのコアなプレイ体験です。パズル要素と戦闘の組み合わせは長期間にわたり独自性を保ちつつ、操作面にも新しい試みを導入しようとしています。さらに、ゲームIP(知的財産)のエコシステム構築です。過去6年間のコンテンツ蓄積をどのようにユーザーの感情に結びつけるかが重要です。振り返ると、『パニグレ』はこの点でまだ完全とは言えません。現在、多くの企画が進行中で、将来的にはより極めたゲーム体験を提供できるようにしたいと考えています。
『鳴潮』――アクションの進化、フィードバックの重み
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――『鳴潮』は過去最大規模での制作になったかと思いますが、開発中に困難などはありましたか?
――『鳴潮』のキャラクターは同ジャンルで比較してもトップクラスに作り込まれていると感じますが、アクションやデザインの考えなどを聞かせてください。
しかし、フルールドリスは特殊な体型を持つため、フィールドでの自由な探索を実現するには、まったく新しいフィールド用のインタラクションや移動ロジックをイチから作り込む必要がありました。人員的にも大きな負担で、しかも時間も限られていたのですが、チームの“徹夜続きの奮闘”(笑)の努力で、最終的に皆さんが目にしている姿に仕上げることができました。
――必殺技モーションもかつてないほど派手で気にいっています。
ただし、フルールドリスの強さを表すために、三剣合一後の振り下ろしは軽くひと振りでありながらも圧倒的な力を感じさせる必要がありました。そこで私たちは“意識流”のような表現をあえて取り入れ、この軽さが生む重みを体験できるよう工夫しています。
――ビジュアルのデザインについてはどうでしょうか?
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オーガスタとユーノは “両者は太陽と月がともに輝く存在”を体現するため、つねに並べて考えました。どちらかが劣ってしまえばコンセプトが成立しないからです。 ふたりはいずれも運命への反抗者ですが、その手段は異なります。演出では日と月の要素を重視し、空に日月が交替するイメージを表現しています。
――ありがとうございます! ではオーガスタからお願いします。
戦闘面でも、オーガスタは太陽を象徴し、力と王権を表しています。共鳴によって鍛造された大剣で豪快に戦い、グリフェックスを従えることでセブン・ヒルズの象徴性をさらに強めています。解放時には剣骸のひと振りひと振りが民から王への信頼を表し、その攻撃は一層勇猛さを増します。
――古代ローマを思わせる衣装デザインについてお聞きしたいです。
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衣装デザインでは、月をテーマに、髪の毛先を三日月型にカールさせ、内部に白い月光ハイライトと星の点描を施しています。青白の配色で“夜空に浮かぶ月”を表現。敏捷な設定に合わせ、動きやすい衣装デザインにしました。
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完全な写実ではなく、幻想要素を取り入れつつも現実的なロジックから逸脱しすぎないこと。その現実と幻想のバランスを大切にしています。プレイヤーにとって心地よいと感じられるキャラクターを目指し、今後もファンに愛される魅力的なデザインを積極的に生み出していきます。
――千咲についてもお聞きできますか?
一方で、赤い瞳、危険な雰囲気を放つ電子首輪、包帯、巨大なハサミといった要素が“非日常”を象徴し、背後に秘められた物語性やミステリアスさを際立たせています。続く物語で彼女の背景がさらに描かれる予定ですので、ぜひご期待ください。
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高速なアップデートというのは、裏を返せばチームの成長の証でもあります。サービス初期にはさまざまな困難がありましたが、その中で試行錯誤を重ねることで、より充実したフィードバックの仕組みを作り上げ、内部の制作パイプラインも改善することができました。そして何より、どうすればプレイヤーにとって魅力的で期待を超えるコンテンツを届けられるのか、その理解が深まったと思います。
長期的に運営していくタイトルである以上、ただ安定させるだけでは不十分です。つねにプレイヤーの想像を超える体験を提供していくことこそが、私たちが変わらず掲げている目標です。
――高い開発スピードでコンテンツを生み出す一方で、3分間でも高品質な体験を届けるという方針を強調されています。両者は矛盾しないのでしょうか。
『鳴潮』を5年、10年、さらには20年と続く健全な作品に育てていくためには、プレイヤーが積み重ねていく日々の体験をどれだけ充実させられるかがもっとも大切なのです。
――挑戦には必ずしもよい反応ばかりではなく、ときにネガティブなフィードバックもともなうかと思います。そうした中で、チームはどのようにプレッシャーを乗り越え、力を維持しているのでしょうか。
そしてもうひとつは、挑戦を解決する過程で得られるスキルアップです。この成長や達成感は、管理手法の改善や心理的ケアよりもずっと大きな力をもたらしてくれます。また、私たちにはプレイヤーを愛し、チームを愛し、ゲームを愛するという理念があります。これは会社が上から押しつけたスローガンではなく、チームの仲間が自発的に掲げたものなんです。まさに私たちがふだんから自然にやっていることだと思います。
もちろん、その前提には公正で適切なリターンが必要です。メンバーは情熱を注ぎ、スキルを磨くことでよりよい生活を望んでいる。KURO GAMESとしてもこの点は体系的に改善を進めています。たとえば2024年、『鳴潮』が大きなマイルストーンを迎えた際には、全社員に対してインセンティブを支給しました。価値に見合うリターンがあってこそ、競争力は長く続くのだと考えています。
多作品体制へ――そしてKURO FEST
――新プロジェクトとしてコードネームが公開されている『NAMI』や『SUN』は現在どのような状況でしょうか。
『NAMI』は外向けに比較的早い段階で公開されたため、注目や期待も大きいですが、実際には開発の中〜前期段階にあります。まだユーザーにお披露目できるレベルには達していません。『SUN』についても現状答えできることはありません。
つぎの段階での新作は、KURO GAMESが現在持つ“快適ゾーン”を突破し、アクションジャンルにおいてこれまでにない体験や新たな方向性を提供できることを目指しています。ユーザーが思わず歓声を上げるような、これまでのKURO GAMES作品とは一線を画す高品質なゲームになる予定です。
――『NAMI』がどういった作品かの概要はお聞きできませんか?
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以下翻訳(※編集部訳)
RECRUITMENT CAMPAIGN(人材募集)
NAMIは“アクションマルチプレイヤーオンラインRPG”です。アンリアルエンジン5で開発、全世界向け、全プラットフォームに対応予定です。物語の始まり、ひとつの炎が生まれた。彼女は幻想の時代に生まれた……ここは機械と魔法の時代。
【オリジナルIP】露出した歯車、ルーンの鎧、エネルギーで動く巨大な兵器。分断された山河、沈みゆく大地、魔法でも逃れられない影。炎が揺れ消えようとするとき、選ばれし英雄たちに炎の光を授けた…ここは英雄がつぎつぎと現れる時代。【個性的なキャラクター】彼らは個性豊かで体格もさまざま、独自の立体戦闘・機動方法を持つ。互いに惹かれ合い、次第に集まり、つぎつぎと訪れる強敵に立ち向かう……。
―― こうした中で2025年8月9日にはKUROFESTが開催されました。なぜここまで大規模なイベントを開催しようと思ったのですか?
――約束を守ったのですね(笑)。オフラインイベントを重視する理由はなんでしょうか?
「越えて、よりよく」――KUROが語る未来
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KURO GAMESは“成長型の会社”であり続けることを目指し、挑戦の先に新たな価値を提示し続けます。ソロンは“魅惑的”という言葉をくり返し用いました。それは単なる規模拡大ではなく、独創的で、惹きつけ、業界を変え得る魅力的な作品を創るという意味にほかならなりません。
もちろん課題は多いです。タイトルをいかにして複数のカルチャー層へ広げるか。どう優れた人材を育成するか。急成長による“大企業病”をどう防ぐか。でもKURO GAMESは恐れません。“挑戦即ち偉大”という信念を胸にこれからも前に進み続けます。
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