スクウェア・エニックスが2012年に発売したニンテンドー3DS用RPG『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』。同作の完全版にあたる『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』をベースに、リマスター化&新要素を追加した『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー HDリマスター』が、2025年6月5日にNintendo Switch 2用ソフトとして発売される。
シリーズ誕生から約13年の時を経て、最新ハードで蘇る『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』。HDリマスター化にともない、ユーザーインターフェースが一新されたほか、Joy-Con 2のマウス操作を使ったミニゲーム2種類や、便利なイベント倍速機能などが追加された。
本記事では、『ブレイブリー』シリーズの生みの親であり、シリーズの総合プロデューサーを務める浅野智也氏と、本作でプロデューサーデビューを果たす松下直史氏へのインタビューをお届け。ニンテンドー3DS特有の機能を活かしていたシステムはどう移植されたのか? リマスター化するにあたってこだわったポイントは? などなど、たっぷりと語ってもらった。
浅野智也氏(あさの ともや)
スクウェア・エニックス
『ブレイブリー』シリーズ総合プロデューサー
松下直史氏(まつした なおふみ)
スクウェア・エニックス
『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー HDリマスター』プロデューサー
原作発売から約13年 新ハードで待望のリマスター化
――『ブレイブリーデフォルト』1作目のオリジナル版が発売されてから約13年、新ハード発売というタイミングでリマスター化を決めた理由を教えてください。
浅野
厳密に言いますと、このタイミングを狙ったというわけではないんです。2022年の春ごろ、チームのメンバーで「もうすぐシリーズが10周年を迎えるけど、これまで応援してくださったお客様たちに、いちばん喜んでもらえることは何か」と話をしたんですね。高橋(高橋真志氏。オリジナル版ではアシスタントプロデューサーを担当。『オクトパストラベラー』シリーズや『ブレイブリーデフォルトII』ではプロデューサーを務める)には「10周年なんですよ!?」と詰められたりもして……(笑)。
※高橋氏の“高”の字は、正しくははしごだかです。
――「何もやらないでいられるわけがない!」ということですね。
浅野
新作を作るのか、リメイクやリマスターを作るのかなど、いろいろな方向性が考えられましたが、「1作目をいまの遊びやすい環境でプレイできるようにしよう」という話になりました。それで「松下さん、あと半年で10周年なんだけど、なんとかなるかな?」と相談したりしたんですが、なるわけがなく(笑)。開発スケジュールを調整していったところ、ちょうどNintendo Switch 2の発売と重なりまして、いいタイミングに恵まれました。
松下
ちょうどその話し合いをしていた時期に、“ニンテンドー3DSのニンテンドーeショップが、2023年3月に閉鎖される”ということが告知されたんです。自分はその対応をすることになったのですが、国内だけではなく、海外のユーザーさんたちからも「まだ閉じないでほしい、オンライン機能(※)を使いたい」とかなりの反響があったんですね。「まだ遊びたいと思ってくれる、熱意のあるお客さんがこんなにいるんだ」と感動しまして……この方々に喜んでいただけるタイトルを出せるなら、それはすばらしいことだと思い、10周年にはさすがに間に合いませんでしたが(笑)、リマスターに向け決意を新たにしました。
※フレンド登録やすれちがい通信は、ニンテンドー3DSシリーズ本体どうしでローカル通信を行うため、オンラインサービス終了後も引き続き利用が可能です。浅野
『オクトパストラベラー』や『トライアングルストラテジー』をきっかけに浅野チームを知ってくれる方も増えたのですが、「『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』は遊んだことがない、気になる」という声をよく聞くようになっていまして、そういった方々に届けたいという思いもありました。
――『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』オリジナル版はニンテンドー3DSの機能を活かした仕様が多く、他機種で再現するのは難しいところもあったと思いますが、リマスター化にあたって苦労したことは?
松下
やっぱりUIですね。2画面で構成されていたものを1画面にするということで、UIはすべて作り直しになりました。快適に遊べて、かつ初心者の方にも情報がわかりやすいUIを作るのには苦心しました。またARムービーは、オリジナル版ではニンテンドー3DS本体を上下左右に動かして楽しんでもらっていましたが、今回はコントローラの操作でカメラの角度を変えられるようにして、なるべくオリジナル版に近い形で楽しんでいただけるようにしています。
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原作では、ニンテンドー3DS本体を動かすことで、さまざまな角度から楽しめたARムービー。HDリマスター版では、ムービー中にコントローラを動かすことでカメラの角度を変えられるように。
浅野
ニンテンドー3DSの特徴だった裸眼立体視はさすがに実現できませんでしたが、プレイをしている人が画面を見て「なんだか立体的だな」と感じられるように、キャラクターの移動にともなってカメラがちょっと揺れるような調整も入れています。これは松下さんと、開発を担当したキャトルコールの皆さんがこだわってくれました。
松下
グラフィックはフルHDに対応していて、とてもきれいに出力されています。もともと原作のグラフィックが、ニンテンドー3DSの水準以上で作られていたというのもありますし、原作愛を持って開発してくれたキャトルコールさんによる本作へのこだわりも大きいです。
浅野
単に原作からアップコンバートをしたというわけではなく、例えば金属や布の質感もリマスター版に合わせて細かく調整されていたりして、すごくリッチな仕上がりになっていると思いますね。
――通信機能にかかわる仕様についてはいかがでしょうか。
浅野
ニンテンドー3DSのすれちがい通信そのものは再現できませんが、それに近い遊びができるようになっています。当時、“みんなで遊ぶ、ひとり用RPG”というコンセプトを掲げていましたが、そのコンセプトがリマスター版でも表現されていますね。
――“すれちがい通信に近い遊び”とは、具体的にはどんな仕様になっているのですか?
松下
プレイヤーはプロフィールを設定し、自分の技とともに世界に向けて配信できます。そのカードを持ったNPCが、ゲーム内の街にランダムで配置されますので、皆さんは“街を歩くことで、ほかのプレイヤーとすれちがう”ような体験ができるんです。「ほかのみんなも冒険しているんだな」という感覚を楽しんでもらえるとうれしいですね。それともちろん、フレンド機能も活かしています。ハード本体の機能でフレンド登録しているユーザーどうしで、フレンド召喚やアビリンクの仕様を楽しんでいただけます。
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――そのプロフィールカードがどの街に配置されるかは、プレイヤーがどの地点でカードを配信したかに左右されるのでしょうか。
松下
いえ、ストーリー進行や場所は関係なく、配置はランダムになります。ちなみにプロフィールカードにはメッセージを入れられるほか、ハード本体で設定しているユーザーアイコンか、もしくは『ブレイブリーデフォルト』の世界観に合ったアイコンを設定できますので、お好きなほうを使っていただければと思います。
――ちなみに、すれちがいで村人を集めて楽しむノルエンデ村の復興は、ニンテンドー3DSでは、スリープ中でもゲーム内の時間がカウントされて進行するという仕様でした。今回、Nintendo Switch 2本体をスリープしている状態でも進みますか?
松下
今回もニンテンドー3DS版と同様、スリープ中でも時間は経過しますので、快適に村の復興を進めて頂けると思います。
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――オリジナル版プレイヤーにはおなじみの、COMタロウやCOMジロウ(仮想フレンドのような存在)は健在ですか?
松下
もちろんいます。原作と同様に、登録されているフレンド数が多くはない状態で、ゲーム内で冒険者に話しかけると紹介してもらえます。
――ニンテンドー3DS固有の機能に由来する仕様以外は、基本的に、『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』の完全版にあたる『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』の内容を踏襲しているのでしょうか。
松下
はい、ストーリーやシステムは『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』準拠です。ただ、『ブレイブリーセカンド』に関わる仕様は削除しています。バトル中に使えた“ブレイブリーセカンド”コマンドや、クリアー後に見られた『ブレイブリーセカンド』予告ムービーなどがそうですね。
浅野
『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』は、その名の通り、続編につなげるために作ったタイトルでした。ですので、続編の予告として、ムービーだったり、“ブレイブリーセカンド”のコマンドが入っていたりしたのですが、今回はまず『フライングフェアリー』の物語を楽しんでいただこうということで、削除しています。
松下
ただ、“ブレイブリーセカンド”に付随する“ダメージ限界突破”の仕様は、なくしてしまうのがもったいなかったので、必殺技のパーツとして残しました。ぜひ見つけてもらえればと思います。
それと、序盤のバトルバランスは、当時「ちょっと難しい」という声もありましたので、少しだけやさしめにしています。魔法の価格が安くなったりだとか、本当に細かい調整なのですが。それに加えて、難易度設定も可能ですので、どなたでも遊びやすいかと思います。
――『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』では、ネットワークを介して追加のボスが配信されていましたが、これらの追加ボスはどうなりますか?
松下
一部の配信ボスは、ゲーム内のいろいろな箇所で会えるように再配置しています。やり込み要素として楽しんでいただければと思います。
両手でのマウス操作が生み出す、新しいゲーム体験
――ここからは、リマスター版の大きな特徴であるミニゲームについてうかがいます。今回収録されるミニゲーム2種類は、どちらもNintendo Switch 2のマウス操作を活用したものですが、どのような経緯で実装にいたったのでしょうか。
松下
『ブレイブリーデフォルト』といえば、ハードのいろいろな機能を活用していることがウリのひとつでしたので、新ハードで発売するのなら、やはり新ハードならではのものを入れたいという気持ちがありました。リマスター版の開発を担当しているキャトルコールさんも非常に熱意がありまして、「マウス操作で何か作ってみよう」となりました。
浅野
やっぱり作り手としては、新しいハードで、新しい機能を使って作れるのは楽しいですよね。皆さんも、両手でマウス操作をするのがどんな感覚なのか早く知りたいと思いますし、ローンチのタイミングでこういったミニゲームを入れられたのはよかったです。
松下
キャトルコールさんといっしょにいろいろなミニゲーム案を出していたのですが、「数をただ増やすよりは、ひとつのミニゲームのボリュームを充実させよう」ということで、今回の2種類のミニゲームが生まれました。リズムゲーム“光で応援 リズムキャッチ”はすんなり決まりましたね。両手でマウス操作するリズムゲームは、いままでにない体験ができそうでしたし、画面からゲーム内容が伝わりやすいと考えました。
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――“光で応援 リズムキャッチ”は、Revoさんの楽曲でリズムゲームがプレイできるというのも魅力ですよね。
松下
一部の楽曲ではキャラクターが踊りますが、じつはあのダンスは振付師のゲッツさんにお願いしています。ゲッツさんが踊った動画を撮って、開発がそれを見ながら、ひとつひとつ手付けでモーションを付けているんです。さらに言うと、リズムゲーム用にキャラクターモデルを作り直しています。
――えっ、リズムゲーム用に?
松下
もともとの3Dモデルでは、ボーン(3Dモデルの骨にあたるパーツ)が足りなくて、ゲッツさんの動きを再現できないということで……リズムゲームパートだけ、別モデルになっていたりします。通常のゲームパートと同じものに見えるように調整しているので、気付きにくいとは思いますが、じつはとても苦労しました。でもそのおかげで、振り付けの特徴を再現することができて、ご本人も驚かれていましたね。
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――ところで、細かい質問になりますが、遊べる楽曲の中に『純愛▼(※)十字砲火[Long Version]』があるようですが、これはRevoさんのアルバム『ルクセンダルク大紀行』に収録されていたものでしょうか?
※▼はハートマーク松下
はい、その通りです。ゲームのストーリー上で流れる『純愛▼十字砲火』はショートバージョンなのですが、今回のリズムゲームではキャラクターのダンスを見せるということで、曲にはある程度の尺が必要でした。であれば、絶対に『純愛▼十字砲火[Long Version]』を入れたいと思いまして、Revoさんにご提案して実現しました。
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――『ルクセンダルク大紀行』の曲をゲームで聴けるのはうれしいです。楽曲はストーリー進行に応じて解禁されていくのですか?
松下
はい。ミニゲームを最初からやり込めるようにしてしまうと、本編がおろそかになるかも……というご意見は『ブレイブリーデフォルトII』でもありましたので、ストーリー進行と連動させています。合間合間でミニゲームを楽しんでいただければと。また、”ミニゲームを遊ばないと本編が進行しない”という仕様にはしていませんので、無理にプレイしていただく必要はありません。あくまでミニゲームは、本編の横に添えてあるものですので。
――遊ぶか遊ばないかはプレイヤー次第ということですね。もうひとつの、“リングアベルのパニッククルーズ”についても教えていただけますか?
松下
“リングアベルのパニッククルーズ”は、ダブルマウスで、ほかでは見たことがないようなゲームにしよう! というコンセプトで作っていきました。
浅野
誰にとっても未体験の操作方法ですから、なんと言いますか、ついアワアワしちゃうようなものにしたかったんです。
松下
事前にプレイした宣伝スタッフから「いっぺんにいろいろできないよ~!」という声が上がったりしたのですが、自分としては狙い通りで、思わずニヤニヤしちゃいました。このパニック具合を皆さんに楽しんでもらえたらと思います。
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――私も事前にプレイさせていただきましたが、両手でマウス操作をしていると、なんだかいままでに使ったことのない神経を使っているような感覚がありましたね。
松下
利き手ではない手でマウスを使う機会はないですからね。開発スタッフも、バランスについては議論を重ねました。
――とはいえ、開発チームの中には、難易度エキスパートを余裕でクリアーできる方もいるんですよね。
松下
はい。キャトルコールの皆さんは誰よりもやり込んでいて、「ここは、こう操作するとうまくいくんですよ」とテクニックを実演して見せてくれたりします。自分も相当プレイしたので、腕がちょっと太くなった気がします(笑)。
――(笑)。ところで、“リングアベルのパニッククルーズ”にハエ叩きが登場するのがどうしても気になるのですが、これはスーパーファミコン用ソフト『マリオペイント』のオマージュでしょうか……?
松下
そうですね、オマージュというかリスペクトと言いますか。自分も『マリオペイント』ユーザーでしたので、もうマウスといえば、ハエ叩きだろうと。ちなみに“リングアベルのパニッククルーズ”に登場する虫は、複数回叩けるんですよ。一度叩いた後に再び叩くとスコアが追加されます。余裕があればぜひチャレンジしていただきたいです。
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――ミニゲームをクリアーすると、どんなうれしいことがありますか?
松下
クリアー報酬はいろいろありますが、目玉は“Dの手帳”の新規エピソードです。原作でもシナリオを担当していた網代恵一さんに3つほど新しいお話を書いてもらいまして、ミニゲームをプレイすると、それらのエピソードが少しずつ解禁されます。ほかにも、“エンカウント率 0%”の設定が解放されたり、便利なアイテムと交換できるメダルが手に入ったりします。
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浅野
網代さんのテキストには、生島さん(生島直樹氏。浅野チームタイトルのアートディレクター)がイラストを添えていて、そちらも見どころです。
松下
新規エピソードは、サイドストーリーのような内容になっています。ティズとアニエス、イデアとリングアベルが、この時期に何をしていたのか……というのを深堀りするようなエピソードです。それと、アスタリスク所持者たちのエピソードもあります。
浅野
網代さん、すごいボリュームで書いてくれたよね。ニンテンドー3DSの解像度だったら読めなかっただろう、というくらいの文章量になっています。
――それはとても読み甲斐がありそうです。
松下
ちなみに自分は、『ブレイブリーデフォルトII』でも“B&D”というミニゲームを担当していたんですよ。僕は『ブレイブリーデフォルトII』チームに途中から入ったのですが、そのころミニゲームの開発は保留状態だったので、「では自分が担当して進めます」といって仕様書を書きました。B&Dの担当は、自分とプログラマーとグラフィッカーの3人くらいしかいなくて、SEのディレクションも自分がやったくらいだったので、思い入れがあります。それから数年経って、まさか自分がまた『ブレイブリー』で、しかも新ハードでミニゲームを作るとは思っていませんでしたが、とても楽しく作れました。
原作ファンが気になるあの仕様の行方と、浅野チームの今後
――原作をプレイした人は、“あのシーン”でカメラが使えるかどうかが気になっていると思うのですが、あのシーンはどんな仕様になっているんでしょうか?
松下
USBカメラへの対応はかなり悩みまして、検討を重ねたのですが、今回は非対応としました。というのも、いまは顔を公開せずにゲーム実況を配信される方も多いですから、カメラ機能をプレイヤーの許可なく活用するのは、いろいろと不都合があると考えたんです。
――確かに、ゲーム配信を楽しんでいる方が、意図せず顔をさらしてしまう可能性がありますね。
松下
かといって、あのシーンの直前でプレイヤーに許可を取るのも興ざめですし、そもそも、誰もが周辺機器としてカメラをセットするわけではないですし……と、かなり悩んだ結果、対応は見送ることとしました。
浅野
とはいえ、あのシーンに何もないわけではありませんので、そこは楽しみにしていてください。
――カメラに代わる何かがあると……? 楽しみにしています。さて、今回はローンチタイトルとしてのリリースになりましたが、Nintendo Switch 2という新ハードでの開発はいかがでしたか?
松下
開発環境は、任天堂さんにご協力いただき戸惑うことなく進められました。マウス操作については、これまでにないものですので研究する必要がありましたが、それも順調に進んだと思います。任天堂さんに“光で応援 リズムキャッチ”をお見せしたときは、「マウス操作をこういう風に活かしたんですね、これは新体験ですね」と言っていただいたりもしました。
――マウス操作にはいろいろな可能性がありそうで、今後どんな遊びが生まれるのか、いちゲームファンとして楽しみです。では最後に、浅野チームの今後の展開についてお伺いできますか?
浅野
現時点で詳しくお話しできる予定はありませんが、浅野チームタイトルとしてはいろいろと準備を進めておりますので、続報にご期待ください。
――松下さんは、まずは本作を送り出してやっとひと息、というところだと思いますが、今後のご予定はいかがでしょうか。
松下
今回のリマスター版が、未来にもつながるように全力で取り組んだつもりです。まずはこれを皆さんにじっくり遊んでいただいて、そのあいだに、自分もつぎに向けて動ければと思っています。
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