リズムゲーム『Cytus』や『DEEMO』で知られる制作スタジオRayarkから、Kkore Yeh氏とStanley Huang氏が台湾から来日。『Cytus II』、『DEEMO II』などに楽曲を提供している シンガーソングライター・アマギセーラさんとの鼎談が行われた。
Rayarkの作品はシリーズ累計3000万ダウンロード以上をたたき出し、いわゆる“音ゲー”と呼ばれるリズムゲームのジャンルの中でも、コアなファンがいることで有名だ。
また、Rayarkのリズムゲームの特徴として、徹底した世界観の構築が挙げられる。
ストーリーパートがあってリズムゲームがある、のではなく、リズムゲームの中に物語があるのだ。こうした唯一無二とも言える体験が、音ゲーマーの心をがっちり掴んでいる。
そんなRayark作品のファンであるアマギさんが、プロデューサーのふたりに開発の際に意識している点、インスピレーションの元はどこかなど、ファンも気になっているであろう質問を投げていった。終始、和気あいあいとした雰囲気で行われた特別鼎談の様子をお届けする。
Kkore Yeh(ケーコア イェー)
Rayark所属。『DEEMO』シリーズ担当プロデューサー。(文中はK)。
Stanley Huang(スタンリー ホアン)
Rayark所属。『Cytus II』シリーズ担当プロデューサー。 (文中はStanley)。
アマギセーラ
フリーのシンガーソングライター。『Cytus II』『DEEMO II』などに楽曲を提供 。(文中はアマギ)。
新作を鋭意制作中? Rayarkの社風とインスピレーション
アマギ
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。おふたりが日本に来るのは何年ぶりですか?
Stanley
5年ぶりくらいです。
K
プライベートで日本に来ることもあるので、久しぶりという感じはしないです。直近だと、2024年末に広島と名古屋へ観光に行きました。
アマギ
そうなんですか! 広島は牡蠣がおいしいですよね。
K
はい。あと印象に残っているのは、名古屋の居酒屋“世界の山ちゃん”です。
アマギ
(笑)日本旅行をお楽しみいただけだようでよかったです! 音楽のことも聞いていきたいんですけど、おふたりはどのようなキッカケでRayarkに入社したんでしょうか。
K
もともとハードコアな音楽ゲーマーで、学生時代にアーケードゲームにハマったことがこの道を目指すキッカケになりました。じつは当時、Stanleyともゲーマー仲間としてすでに知り合いだったんですよ。
Stanley
そうですね。Rayarkへの入社の時期はちょっとズレていますけど。
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アマギ
当時、おふたりがハマっていたアーケードゲームというのは?
K
Stanley
アマギ
うれしい! 私、『ポップンミュージック』に楽曲提供させてもらっているんですよ。いつか『ビートマニアIIDX』にも収録されるようにがんばりますね。
そういえば、Rayarkでは、社内でお酒を飲みながら仕事をしてもいいという噂を聞いたんですけど、本当ですか?
Stanley
あっ、よく言われるんですけど、実際のところ、「お酒を飲みながら仕事してる」というわけじゃないんです(笑)。Rayarkはセルフマネジメントを大事にしていて、オンとオフの切り替えを大切にしています。
K
そうそう。勤務時間外に、気の合うメンバーでちょっと集まって軽く飲んだり、ゲームをしたりすることはありますけど、それはあくまでオフの時間の楽しみであって、仕事には一切支障はありません。
アマギ
自由な社風ですね! 最近だとどんなゲームが流行っているんですか?
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K
やっぱり『モンスタハンター ワイルズ』ですかね。仕事の連絡はSlackで行っているのですが、いっしょにゲームをする人を募集するチャンネルもあって、そこが「『モンハン』やろう!」の連絡ばかりです(笑)。
Stanley
日本の番組だと『SASUKE』が台湾で人気なんですよ。社内でもみんなで集まって、観て盛り上がることがあります。ちょっとした交流の時間になっていて、和やかな雰囲気になりますね。
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アマギ
『Cytus II』のリリースから7年、『DEEMO II』のリリースから3年が経ちました。私と『Cytus II』の出会いは楽曲『Starry Summoner』が収録されたタイミングなのですが、スタイリッシュな世界観と謎に満ちたストーリーに引き込まれたのを覚えています。『Cytus II』に込めた思いをお聞かせください。
Stanley
当時、楽曲を提供していただきありがとうございました。『Cytus II』は独自の世界観を大事にしていて、そこに沿った楽曲、ストーリーをユーザーへ提供することを意識していました。
アマギ
まさか民族調の楽曲が『Cytus II』に収録されるとは思ってもみなかったですし、楽曲のジャンルが豊富で、その懐の深さが『Cytus II』の魅力のひとつだと思います。
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アマギ
『DEEMO II』の「音楽で雨を降り止ませ、世界を救う」というコンセプトがすごく好きです。本作は癒やしがテーマなのかなと感じたのですが、どのような思いで作られたんでしょうか。
K
『DEEMO II』の世界での雨は、災害のようなものですね。ロマンチックな雰囲気もありますが、雨に触れるとやがて消えてしまうという、きびしい世界でもあります。あと、『DEEMO』シリーズに共通して、“音楽を通して記憶を呼び覚まし自分と向き合う”ことをテーマにしています。ゲームの中だけではなく、現実世界でも音楽は魔法のような力を持っていると考えていますので、ユーザーの心を揺さぶるような体験を届けたいと思って制作しました。
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アマギ
ものすごく素敵な考えですね。私も音楽は魔法のようなものだと思っていますし、魔法の冒険に出かけられるような楽曲を作りたいと日ごろから考えているので、その思いにはとても共感します。
『DEEMO II』はリズムゲームだけじゃなくて、アドベンチャー的な要素が加わった作品ですが、この要素を盛り込んだのにはどういった意図があるんでしょうか?
K
音楽ゲームというジャンルにとらわれないものを作りたかった、という思いがあります。音楽ゲーマーだけでなく、RPGが好きな人や、アドベンチャーが好きな人にも親近感を持ってもらえるように、要素を追加しました。
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アマギ
先ほど『beatmaniaIIDX』や『pop'n music』のお話がありましたが、他に影響を受けたゲームはありますか?
Stanley
僕は『キングダム ハーツ』ですね。僕が関わってきた過去の作品も、多少は『キングダム ハーツ』のエッセンスがあると思います。
アマギ
『キングダム ハーツ』のどういった部分が好きですか?
Stanley
いろいろな『ディズニー』の作品がつながっていって、ひとつの作品になっているところですね。
アマギ
Kさんのほうはいかがですか?
K
いろいろなゲームを遊びますが、やっぱり一番好きなのは音楽ゲームです。『ビートマニアIIDX』シリーズの「HAPPY SKY」では、ある条件を達成すると特別な演出が現れて、暗雲が立ち込めた後、冥王星に突入するような衝撃的な演出があり、それがとにかく印象に残っています。その時に登場するラストのボス曲は、当時も今もなお高難度で、強烈に記憶に残っている楽曲です。
アマギ
ゲーム以外で、日本のコンテンツで注目しているものがあれば教えてください。
Stanley
僕は『魔法少女まどか☆マギカ』が好きなので、チェックしています。いつかお仕事でも関われたらうれしいですね。
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アマギ
Rayarkさんは音楽ゲーム以外にもさまざまなゲームをリリースしていますが、RayarkさんがゲームBGMにかけるこだわりがあれば教えてください。
K
会社としても、やはり音楽へのこだわりは強いほうじゃないかなと思います。没入感を深めたり、ユーザーの体験として記憶に残るような音楽を作るようにしています。
アマギ
こちらもその基準を満たせるような音楽をがんばって作りますね!
作曲家として気になっていることもあって、DTMと生演奏の大きな違いって何でしょうか? 使い分ける理由などあれば教えてほしいです。
K
ゲーム開発側の意見なんですが、DTMはデータ自体にノーツやタイムスタンプがありますので、ゲームを作るときに楽ですね。生演奏には生演奏のよさがあるので使いたいときもあるんですが、DTMに比べると、ゲームに取り込む際に少し工夫や調整が必要になることもありますね。
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アマギ
以前“Rayark Wonderland”などのオフラインイベントが開催されていましたが、ほかにもeスポーツイベントやコンサートなどの開催予定はありますか?
※Rayark Wonderland……2019年06月12に開催された。Rayarkのサウンドとゲームが融合した大型イベント。 K
オフラインイベントならではのよさはたくさんあります。会社とファン、またファンどうしのコミュニティを作るうえでも大事です。タイミングがあればまた開催したいとは思っているんですが、残念ながら、いまのところその予定はないですね。
Stanley
中国では最近、ゲーマーどうしのオフ会のような音楽イベントが増えてきています。僕たちとしてもオフラインイベントの大切さは感じていますので、実現したいですね。
アマギ
ぜひぜひ、検討をお願いいたします!
ちなみに、これはRayarkファンみんなが気になっていることだと思いますが、新作の開発は行われているんでしょうか?
K
Rayarkは常におもしろいゲームを作ろうと努力していて、この数年間でボツになった企画もそれなりにあるんですよ。まだ公式的な発表はできませんが、新作は鋭意制作中です、とだけお伝えしておきます。
アマギ
わぁ! 楽しみにしています!
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アマギセーラの信念、世界は音楽でつながれる
Stanley
アマギさんはシンガーソングライターとして活動する一方で、自主制作の同人音楽も制作されていますよね。仕事としての音楽と、アートとしての音楽は、どのようにバランスを取っているんでしょうか。
アマギ
お仕事で楽曲を作る際は「こういう風に曲を作ってほしい」とオーダーがあるので、それは必ず満たすものを作るようにしています。子どものころから『ファイナルファンタジーVII』のようなファンタジーRPGが大好きで、影響を受けていますね。
音楽は世界中のどこにでも溢れていて、どの国のどんな人とも心をひとつにできるのが音楽だと思っています。そして、私にとってその象徴が民族音楽なんです。やっぱり、自分の好きなものを芯に置いて曲を作ったほうが聞いてくれる方も楽しんでもらえると思うので、自分の好きなエッセンスを入れつつ、ゲームファンのみなさまにも満足していただけるような楽曲を作っています。
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K
そうですね。音楽は世界共通の言語みたいなもので、たとえば二胡の音色を聞いたら中国を思い浮かべますよね? 民族楽器が奏でる民族調の音楽はそういった力を持っていて、ゲーム作りに活かすときもあります。
アマギ
そうなんですよね。これからも民族調の音楽を作り続けます!
K
引き続き、楽しみにしています。
Stanley
今度、大阪・関西万博でのライブ出演もありますよね? 世界的なイベントですが、意気込みや、世界に伝えたいことはありますか?
アマギ
日本人として、日本の誇るゲームの音楽はこんなにかっこいいんだぞ! というのを力いっぱい歌って伝えたいですね。
私をプロの音楽家にしてくれたのがRayarkさんだと思っているので、自分の音楽を発信することですこしでも恩返しになればいいなと思っています。
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Japan Expo Paris in Osaka 2025 概要
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日程:2025年4月26日(土)、27日(日)
場所:大阪・関西万博会場内 EXPOアリーナ
公式サイト
サイバーコネクトツー新作家庭用ゲーム『戦場のフーガ3』。
代表兼製作総指揮の松山洋による作品紹介、および公式応援アンバサダーのアマギセーラとNeontetraによるライブステージを開催。
アマギセーラ プロフィールサイト
Rayark公式サイト