ロゴジャック広告

【スト6】“SFLワールドチャンピオンシップ 2024”背水の逆転劇でGood 8 Squadが2度目の王者に! チームでバトンをつなぐドラマは涙なしに見られない

byあみだ

【スト6】“SFLワールドチャンピオンシップ 2024”背水の逆転劇でGood 8 Squadが2度目の王者に! チームでバトンをつなぐドラマは涙なしに見られない
 2025年3月9日に実施された、カプコンより発売中の対戦格闘ゲーム『ストリートファイター6』の公式チーム大会『ストリートファイターリーグ: ワールドチャンピオンシップ 2024』のリポートをお届け。
広告
 本大会『ストリートファイターリーグ: ワールドチャンピオンシップ 2024』(以下、SFL WC2024)は、日本・アメリカ・ヨーロッパの代表チームがバトルをくり広げる世界最高峰のチーム戦だ。

 これまでの大会ではアメリカが会場となっていたのだが、今回は日本・両国国技館が会場ということで、日本代表のGood 8 Squad(以下、G8S)を応援するべく多くのファンが駆け付けた。国技館内に設置されたG8Sの物販ブースにも長蛇の列ができあがっていたことからも、チームの人気が見て取れる。

 さらに、Punk選手やAngryBird選手など海外のスター選手を生で見られる貴重な機会として、彼らを応援する人々も多く見受けられた。
[IMAGE][IMAGE][IMAGE]
 3月9日限定の催しとして、試合開始前にスペシャルゲスト篠原涼子さんによるスペシャルライブが行われた。『ストリートファイター』シリーズファンにはおなじみの名曲『愛しさと切なさと心強さと』を生で披露してくれたのだが、実際に現地で歌声を聴く迫力は筆舌に尽くしがたいものがあった。
 さて、本稿では記事タイトルにもある通り、見事優勝を飾ったG8Sの試合を振り返りつつ、現地で試合を見ていた筆者の試合直後時点での感想を合わせてお届けしていこうと思う。まだ結果を知らない当時の筆者によるリアルな感想を見てもらおうという試みだ。

 また、配信終了後に行われたインタビューの内容もあわせてお届けしていくので、ぜひ最後まで目を通してほしい。

オープニングマッチの相手はPhenom選手率いる“Ninjas In Pyjamas”

 本大会のオープニングマッチとなったのは、AngryBird選手やPhenom選手など先日のカプコンカップ個人戦でも活躍した選手を有するヨーロッパ代表の“Ninjas In Pyjamas”(以下、NIP)だ。

 本大会はホーム/アウェイを交代で行う総当たりの予選が行われ、そこから上位2チームによる70ポイント制の決勝戦が行われた。詳細なルールは以下の画像もあわせて確認してほしい。
[IMAGE][IMAGE]
 初戦はアウェイ側からのスタートとなるG8Sは、先鋒をガチくん選手のラシード、中堅をぷげら選手のジュリ、大将をカワノ選手の豪鬼が務めた。

 余談だが、オフラインかつ会場が日本・両国国技館である本大会ならではのポイントとして、オーダー発表の瞬間から会場のファンとリアルの場でドキドキを共有できるのはオンラインでは味わえないよさだった。
[IMAGE]
 先鋒戦、ガチくん選手のラシードに対してはPhenom選手のキャミィが出陣。空中機動変化が豊富なキャミィに対してラシードの対空技“スピニングミキサー”の相性が悪く、“バーンアウト”寸前のゲージ状況でもOD版“スピニングミキサー”を使わざるを得ないシーンが見受けられた。

 しかし、そこは世界最高峰のラシード使い・ガチくん選手。レベル2スーパーアーツ“イウサール”を使った連携からPhenom選手の防御を破り、先鋒戦を逆転勝利。“イウサール”発動時の「行けー!」という会場全体の一体感はまさしく手に汗握ると言った感じで、わかりやすくラシードのターンになるこの技の魅力が遺憾なく発揮された試合だったと思う。
[IMAGE]
 次鋒戦は、ぷげら選手のジュリに対してBig Bird選手のラシードが出場。弱攻撃が短いジュリにとって、“中アラビアンサイクロン”を使った攻めを展開するBig Bird選手。なかなかに苦戦した印象だったが、ぷげら選手らしい丁寧な技振りでじっくりとBig Bird選手を追い詰めて勝利した。

 この試合で特筆すべきは、先述した通り強力な必殺技である“イウサール”に対して、ぷげら選手が“ジャストパリィ”から後ろ投げというハイレベルな対策を見せた点。非常にゆっくりと進んでくる“イウサール”は、キャラクターに接触する瞬間を見極めるのが難しいのだが、この大舞台で“ジャストパリィ”をやってのけたぷげら選手の練習量が見て取れた一幕である。
[IMAGE][IMAGE]
投げの演出時間を活用してイウサールをやり過ごすという練習に裏付けられた対策。
 大将戦は、カワノ選手の豪鬼に対して、AngryBird選手が同キャラクター戦を仕掛けた。持ちキャラクターの中にはケンもいるAngryBird選手だが、個人戦も含めて豪鬼に対しては豪鬼を使用している模様である。

 “前+強パンチ”のヒット確認など、高難度のテクニックを惜しげもなく披露するAngryBird選手に対して、カワノ選手は小技を使ったスピーディーな固めや、強の“金剛灼火”を絡めたダブルアップなど絡め手も駆使して対抗する。構図としては、力のAngryBird選手に対し、技のカワノ選手といった印象で、とくにAngryBird選手の“百鬼襲”を絡めた3次元的な動きがかなり機能していた印象である。
[IMAGE]
 序盤は好調にリードしたカワノ選手に徐々にAngryBird選手が対応し始め、試合はフルセット2−2までもつれたが、最終的にカワノ選手が勝利を収めた。とくに、2−2のファーストラウンドは両者バーンアウト状態で波動拳を撃ち合うという緊張感MAXな最終局面となり、会場全体が祈るように見守った。筆舌に尽くしがたい極限状態が展開されるので、ぜひ実際にチェックしてみてほしいラウンドである。
[IMAGE]

現地観戦していた筆者の“リアルタイムな感想”

 ということで、1戦目終了時の筆者です。初戦の印象としては、アウェイ側ときびしい条件下で全勝できた点は非常に大きいアドバンテージとなりそうです。流れもいいまま連戦を迎えられそうですね。とくに、大将戦のデッドヒートをカワノ選手が取れたところが分岐点となりそうです。

 アウェイ側の性質上、今回は出場できなかったYHC−餅選手も、ホーム側での被せに期待できます。次戦のFLYQUESTはキンバリーが多い特殊なチーム。筆者はキンバリーも使っていた時期があるのですが、意外にヨガフロートに明確な回答が少ない(あるだけマシですが)ので、ダルシムの登場に期待できるかもしれませんね。

連戦で迎えるのはPunk選手率いるアメリカ代表チーム“FLYQUEST”

 連戦となるG8Sが相対するは、アメリカを代表する強豪プレイヤーPunk選手が率いる“FLYQUEST”だ。キンバリー使い2名(Punk選手も含めると3名)を有する特殊なキャラクタープールが特徴のチームとなっている。今回のアウェイ側は“FLYQUEST”となっており、先鋒がPsycho選手のキンバリー、次鋒がSHINE選手のキンバリー、大将をPunk選手のキャミィが担当する布陣で第2試合が開幕した。
[IMAGE]
 G8Sは、Psycho選手のキンバリーに対してカワノ選手の豪鬼が出陣。競技シーンでは全体数が少ないキンバリーというキャラクターがどのように躍動するのか。注目の試合となった。

 開幕、スピード感と多彩な起き攻めで翻弄するPsycho選手だったが、カワノ選手は1セット目の終盤で豪鬼のレベル2スーパーアーツ“崩天劫火”からのダブルアップを決め、流れを取り戻していく。このダブルアップは、豪鬼側のボタン選択で表裏択がかかるという非常に強力なセットアップなのだが、それを承知のPsycho選手は“ドライブパリィ”を選択、それを読み切ったカワノ選手が表裏を捨て着地投げを選択するという高度な駆け引きが行われ、お互いにハイレベルであることを前提とした読みあいは見応えがあった。
[IMAGE]
金剛灼火後に、遅らせしゃがみ中キックを空ぶるとちょうど起き上がりに技が重なるというセットアップ。
 続く次鋒戦、SHINE選手のキンバリーに対してはYHC−餅選手のダルシムが登場。会場が揺れるほどの歓声を背に受けながら戦いの場へと赴いた。そもそもハイレベルなダルシム使いが希少ということもあり、海外選手に対して優位が取れるのではないかと目されていたYHCー餅選手の活躍が期待された。
[IMAGE]
 試合では、1ラウンド目からほぼパーフェクトでSHINE選手のキンバリーを圧倒する餅選手。“島根の仙人”が見せる華麗なダルシムの一挙手一投足に歓声が上がった。このままいけるのでは? という空気が会場を包んだが、徐々にSHINE選手がキンバリーの空中起動変化とドライブラッシュの機動力を活かして接近するチャンスを増やしていく。

 最終的には画面端に追い込むチャンスを増やしたSHINE選手がダルシムの防御面の弱さを攻略し、勢いそのままに逆転勝利を収めた。焦らずじっくりとダルシムを追い詰めることに成功したSHINE選手のメンタル面が光った試合である。
[IMAGE]
 チームポイント10−10で迎えた大将戦は、Punk選手のキャミィに対してぷげら選手のジュリが出陣。ジュリVSキャミィという組み合わせは、高リーチな対空技を持つジュリが比較的優位という印象の組み合わせだが、それはあくまで一般的な試合での話。Punk選手のキャミィはほぼ空中戦を仕掛けず、「未来が見えているのではないか?」と思うような地上戦の精度でぷげら選手を追い詰めて行く。とくに、1ラウンド目でPunk選手が見せたの差し返しの鋭さは必見だ。

 嫌な印象を与えられた1セット目ではあったが、瞬時に地上戦を修正したぷげら選手が徐々に盛り返していく。試合全体を通してベタ足で殴りあう両者だったが、最終ラウンドにてぷげら選手がここいちばんで決めた空対空からの“OD疾空閃”が高度の関係で空ぶってしまい、その後Punk選手が踏み込み下段からのコンボを決めPunk選手がチームを救う結果となった。

 とはいえ、先鋒戦をカワノ選手が制していたことにより獲得点数が50点となったことで、G8Sは2位以上が確定。決勝戦への進出権を獲得した。
[IMAGE]

現地観戦していた筆者の“リアルタイムな感想”

 やはり、キンバリーに対して餅さんのダルシムが出てきましたね! 実況のアールさんも言っていましたが、思ったよりキンバリー側が“面倒臭い”というマッチアップです。細工手裏剣のセットプレイに明確な回答を持っていたことからも、元々キンバリーに対して出るつもりで仕上げてきていたんじゃないかなーという印象でした。ただ、あくまで“面倒臭い”だけであってダルシム側も対空面がかなりきびしく、あらかじめ“ヨガフロート”で浮かんでおいてからのジャンプ強キックだったり、発生の遅い立ち強キックだったりを狙わなければなりません。実際、試合でも餅選手がかなり“ヨガフロート”→強キックを置き気味に撃っていたので、注目して見てもらえるとおもしろいかもしれません。

世界最強はアメリカか、日本か。最終決戦G8S VS FLYQUEST

 決勝で待つG8Sに対して、欧州VS北米対決を制して上がってきたのはFLYQUESTだった。Punk選手 VS AngryBird選手という黄金カードは、日本国内とはまた違った攻略が随所に見受けられる試合だったので、気になった人はこちらもご覧になってみてほしいところである。

 決勝戦は、さきに70ポイントを獲得したチームが勝者となる。1位通過となったG8Sがホーム側、2位通過となったFLYQUESTがアウェイ側からスタート。1巡目のオーダーは、FLYQUESTからは先鋒から順番にPsycho選手、SHINE選手、Punk選手となった。
[IMAGE]
 1巡目初戦は、Psycho選手のキンバリーに対して予選同様にカワノ選手が出場。予選では付かず離れずの間合い管理が功を奏してカワノ選手が取っていたものの、この試合ではキンバリーの“水切り蹴り”(スライディング)がかなり有効に機能し、カワノ選手の豪鬼に対して2−1でPsycho選手が勝利を収めた。
[IMAGE]
低姿勢で飛び道具も抜けられる特殊技“水切り蹴り”。
 続く中堅戦は、SHINE選手に対しガチくん選手がラシードで迎え撃つオーダーに。キンバリーに苦手意識があったというガチくん選手だが、試合ではドライブゲージの駆け引きで優位をとり、相手を“バーンアウト”に追い込んでからの“イウサール”を使い、2−0で中堅戦を取り返す。
[IMAGE]
 大将戦は、Punk選手に対して再びぷげら選手がジュリで立ち向かって行った。序盤はぷげら選手が取ったものの、中盤以降で地上戦のうまさを見せつけながら自身の気持ちを乗せていくというPunk選手らしいプレイで勢いに乗り、3−2で大将戦を制した。バーンアウト中も積極的に歩き投げを狙うという豪胆なプレイには会場からもどよめきが巻き起こった名試合である。

 これにより、点差は30-10と劣勢に。しかも、有利なはずのホーム側で点数を取れなかった点から、立ち上がりとしては不調なスタートとなった。
[IMAGE]
 2巡目はアウェイ側となったG8S。なんとか追いつきたい展開でのオーダーは、先鋒から順にガチくん選手、ぷげら選手、カワノ選手となった。キンバリーにも対応する形で、大将をカワノ選手が担当する布陣である。
[IMAGE]
 FLYQUESTからは先鋒でPsycho選手が出陣。SHINE選手に勝率のいいガチくん選手に対して、違うプレイスタイルのキンバリーをぶつけるという戦略のようだ。SHINE選手は“OD早駆け”を使ったハイスピードな展開からガチくん選手の投げ抜けを誘う攻防を制し、さらにはスーパーアーツを要所で当てる勝負強さを披露。キンバリーのハイスピードな展開とじっくりした展開を巧みに使い分けてガチくん選手に勝利。点差40ー10と折り返し地点をいい流れで通過した。
[IMAGE]
勝負を決めたPsycho選手の踏み込み中足。技ありの一手だった。
 中堅戦は、ぷげら選手に対して出てきたのはまさかのChrisCCH選手のED。キャラクター的にはいわゆる“被せ”にはなっていないこのマッチアップ。それゆえに、逆に不気味さも感じるようなオーダーだ。

 通常技による殴り合いを重視するスタイルのChrisCCH選手が要所で置き技をヒットさせ、ぷげら選手のジュリとの接戦を制する。とくにしゃがみ中キックの使いどころが見事で、相手のしゃがみ状態に当たらないことを利用して、踏み込んだ時にだけ当たることを想定した必殺技キャンセルを見せていた。空振りのリスクはあるものの、この試合では空振りはほぼなく、撃つタイミングの見極めも見事だった。
[IMAGE]
勝利後、かなり感情を露わにしていたChrisCCH選手。恐らくぷげら選手のジュリに対してかなり対策を練ってきたのではないだろうか。

 大将戦、追い詰められたG8Sに対し、FLYQUESTからはPunk選手のキャミィが登場。中堅戦の結果を受けて50-10となり、負ければ終わりという状況。これには会場からもカワノコールが巻き起こる。声援を一心に浴びながら強敵Punk選手に立ち向かうカワノ選手の姿は、言葉にできないほど頼り甲斐のある背中だった。

 ぷげら選手との試合ではべた足の地上戦を見せたPunk選手だったが、飛び道具が強力な豪鬼に対しては積極的に空中戦を仕掛けていく。キャミィの空中機動変化技“キャノンストライク”を使ったスピーディーな仕掛けをするも、これに対しカワノ選手がほぼすべて対空技“昇龍拳”で切って落として見せた。

 ここいちばんの勝負所で見せたコマンド投げ“朧”による奇襲も炸裂し、なんと3-0でカワノ選手が勝利。遅らせキャンセル波動拳、朧、対空と“技あり”なポイントが多く見受けられ、カワノ選手の引き出しの多さが感じられた。
[IMAGE][IMAGE]
 カワノ選手が繋いだ3巡目。点差は50-30。アウェイ側のFLYQUESTのオーダーはPsycho選手、SHINE選手に続いてPunk選手もキンバリーを使用する“キンバリー3連戦”という奇抜なオーダーを展開する。

 先鋒戦はPsycho選手のキンバリーに対してぷげら選手のジュリが出場。負けるとリーチがかかる危機的状況の中、会場もぷげらコールで必死の応援を贈る。声援を力に変えながらプレッシャーを跳ね除け、先鋒はぷげら選手が2−1で勝利。さらに中堅戦ではガチくん選手もぷげら選手を追いかける形でフルセットフルラウンドの激闘を制し、Punk選手へ挑戦するカワノ選手へバトンを繋いだ。これにより50-50の同点となり、勝負の行方は大将戦に託される形となる。
[IMAGE]
 あまりにドラマチックな展開に会場のボルテージも最高潮。カワノ選手へのアツいコールは生放送の方でも聞き取れるほどの声援で、筆者も観戦しながら熱いものがこみ上げてくるのを感じた。

 しかし、そんな日本ファンの祈りをへし折るように、1ラウンド目はPunk選手がダブルパーフェクトで勝利。続く2ラウンド目もレベル3スーパーアーツを喰らってほぼ0に近い体力状況からの逆転を決め、先にリーチをかける。
[IMAGE]
 もう1セットも落とせないという極限状況の中、バーンアウト状況まで追い込まれたカワノ選手。しかし、Punk選手のドライブインパクトに対して後ろ投げを決めた瞬間から、逆転劇の火ぶたが切って落とされた。

 2度にわたる中段攻撃の揺さぶりをガードしきり、何とか1セット取り返したカワノ選手。さらにこの試合から、キャミィとは異なりメインの対空技が通常技であることを逆手にとって“斬空波動拳”を機能させていく。キンバリーの多彩な攻めに対応しながら画面端に追い込む時間を増やし、2-2まで盛り返した。
[IMAGE]
 神がかり的な逆転劇の決着まであと1セットというこの状況。完全に実力が拮抗している両者は当然のようにフルラウンドフルセットの状況にもつれる。

 勝負の決め手となったのは、Punk選手がフェイントとして多用していた空中機動変化技“肘落とし”に対し、カワノ選手が1点読みの前強パンチを合わせたシーンだろう。さらに、その後の起き攻めでPunk選手の無敵技を潰すことに成功したカワノ選手は怒涛の4連続投げを決め、文字通り勝利をつかみ取った。
[IMAGE]

現地観戦していた筆者の“リアルタイムな感想”

 この4連続投げを決めたシーン。3回目が通った瞬間に「行ける」という確信を感じました。カワノ選手なら最後まで投げ切ってくれるという思いがあったし、“流れ”としてこの投げは通るというオカルトめいた信頼感がある不思議な投げでしたね。絶対に投げに行く予感はしたのに、絶対に抜けられない感触がある。魔法をかけられたみたいでしたね……。あまりの名試合っぷりにカメラを持ちながら思わず涙してしまう。それほどに劇的な勝利でした。
[IMAGE][IMAGE]
 表彰式では、激闘を制したG8Sの4名に優勝を記念した指輪が贈呈された。勝利インタビューの中で印象的だったのはぷげら選手のコメントで、「こんなに大勢の人がぷげらぷげらと叫んでいる状況がおかしくて、肩の力が抜けたと同時に……幸せでした」とクールなぷげら選手にしては珍しく涙を流しながらコメントを残した。
[IMAGE][IMAGE]
 表彰式後には、カプコン代表取締役社長 辻本春弘氏より、来年度のカプコンプロツアーについて発表が行われた。

 まずは、来年度より3年間にわたり
『ストリートファイター6』とeスポーツワールドカップ(通称、EWC)が連携することが発表された。これにより、カプコンプロツアー上位者(今回の場合は個人戦の上位入賞者とチーム戦を制したG8S)がEWCへの出場権を獲得するほか、EWCの優勝者が“カプコンカップ12”への出場権を獲得するなど、EWCとカプコンカップが相互に連携していくとのこと。

 さらに、来シーズンからはプレミアポイントシステムの導入が発表。プレミア大会(カプコンカップの予選)の優勝者のみならず2位以下の選手にも順位に応じたポイントが付与されるようになり、カプコンカップへの出場権は最終的なポイントにより決定される。正確に実力を測れることを狙いとしたシステムと思われる。

 最後に、トリを飾る特大ニュースとして来年度の“カプコンカップ12”も、日本・両国国技館で開催されることが明らかとなった。また再びこの両国国技館で試合が見られる。日本人として非常にうれしい発表をもって、5日間にわたる“カプコンカップ11”に幕が下ろされた。
[IMAGE][IMAGE][IMAGE]

本当に優勝おめでとう!勝利したG8Sへのインタビューをお届け

 本記事の締めとして、試合後に行われたインタビューの模様をお届けしていく。最後の4連続投げや今後について、団体戦の魅力などなどさまざまなお話を聞かせてもらった。
[IMAGE]
――優勝おめでとうございます。カワノ選手の最後の4連続投げは最高に痺れました。あのとき、4連続で投げに行けた理由と気持ちをお聞かせください。

カワノ選手
 投げに行く直前に、“OD波動拳”を使ってレベル1スーパーアーツを潰せたというのが大きかったです。「これは抜けられてもいいから最後まで行こう」と“OD波動拳”が当たった段階で決心していました。立ち回りでは勝っていた自信があったので、逆に無敵技を喰らってもローリスクだったんですよね。

――最後、FLYQUESTは全員キンバリーというオーダーでしたが、それに対するG8S側のオーダーはどのように決定しましたか?

ガチくん選手
 先鋒のPsycho選手には、最後に僕が負けていたので出づらい部分はあったのですが、ゆうくん(ぷげら選手)がまだキンバリー戦をやっていない中で自信があるということで、先鋒はぷげら選手に託しました。SHINE選手には被せたときに僕が勝っていたので自分が担当し、最後のPunk選手にはキャミィだろうとキンバリーだろうとカワノ選手にお願いするオーダーでした。

――EWC、カプコンカップ12への出場権を獲得した点については、現在どのようにお考えでしょうか?

ガチくん選手
 さすがにしばらくは休みたいですね(笑)。でも、多分やること自体は変わらなくて、来年度のリーグ戦も勝てるように取り組んでいきますし、ほかの活動もやっていきたいと思います。

YHC-餅選手
 新しい大会に出られるな、やった! という感じですね(笑)。楽しくゲームして、結果として大会でいい成績を残したいというスタンスですね。

ぷげら選手
 あまり活動自体は変わらないですが、切符を持った状態で1年をスタートできる機会はなかったので、いままでと違う取り組みを考える余地があるなと思っています。

カワノ選手
 海外に行く機会が減ったわけですが、ダイエットをしようと思ったときに海外の食生活はなかなか合わないんですよ。なので、これを機に日本でダイエットをしてメディア受けを気にしていこうかなと思います。痩せようと思ったらいつでも痩せられます。

ぷげら選手
 マジで真に受けないほうがいいです。

――以前、YHC-餅選手は海外大会は体力的に参加しづらいという話をされていましたが、EWCには参加される予定でしょうか?

YHC-餅選手
 一応、参加する予定です。ですが私、ただのサラリーマンですからね!? ただのサラリーマンが仕事終わりに楽しくゲームしているだけですから(笑)。でもいい大会だといろいろな人から聞いているので、仕事の都合も何とかしつつ、体力的にも最近は調子がいいのでがんばって参加しようと思います。

――今回は団体戦での優勝でしたが、G8Sの皆さんからみた団体戦の魅力をお聞かせください。

ガチくん選手
 僕が負けてもほかの3人が勝ってくれたり、ほかの人が負けても僕らでフォローできたりと、個人戦だと味わえない感覚があります。さらに、日本12チームの代表として出場した部分で大きなものを背負いながら挑戦できてすごく楽しかったです。

YHC-餅選手
 昔の偉い人が言っていましたが、4人チームで出場するとうれしさも4倍、楽しさも4倍、悔しさも4倍になるわけです。今回、こうして優勝できたので4倍うれしいですね。決勝では自分の出番はありませんでしたが、ChrisCCH選手には自分が行くつもりでした。もしかしたらダルシムを嫌がってChrisCCH選手が出てこなかったのかもしれませんね! ダルシムを嫌がってテリーを出されたらそれはそれでちょっとやりにくいところもあるんですけど……。結果としてチームで勝つことに貢献できたと、そういうことにしてもらえると助かります(笑)。

ぷげら選手
 見ている人の応援や熱量が、団体戦だと4人分の塊になるのですごいなと思います。個人戦で勝ってもうれしいだけですが、団体戦だとチームの勝利とは別で個人としての成績もあって、うれしさ100%だけではないところがおもしろいと思います。今日は、本来7割悔しい結果なんですけど、あまりにもカプコンカップがうれしすぎますね(笑)。

カワノ選手
 月並みですが、協力できることがいいですよね。今日は自分が勝てましたけど、国内戦の時にはEDを餅さんが倒してくれたり、ぷげさんが勝率No1でチームを引っ張ってくれたり、ガチさんが面倒くさいところ行ってくれたりとかで、チームメンバーの短所を補いながら協力できるというのが強いチームだと思いました。

――前回優勝した時とは異なり、今回は日本での開催でしたがメリットは感じましたか?

ガチくん選手
 やっぱり会場の声援は力になりました。声援のおかげで50-20というピンチから流れをつかんで逆転できたんだと思います。

YHC-餅選手
 やっぱり声援ですね。それはガチくんも言っていた通りすごく力になりました。これだけ大勢の人が集まって応援してくれるというのは力になります。

ぷげら選手
 ふだんは海外の大会に出ることが多いですが、声援なども含めた雰囲気が違いますね。今回は声援に助けられたところもあり、日本開催にあやかれた部分は大きかったと思います。

カワノ選手
 自分は対戦するときに緊張度合いなどプレイ以外の面もチェックするんですよ。それを踏まえて攻守の選択肢を決めるのですが、今回は声援もメタ的にとらえて「こっちのほうが通る」という風に判断できたので、すごくありがたかったです。

――自国開催ならではの有利に働いた要素があれば教えてください。

ガチくん選手
 直前までいい練習ができたのはホームアドバンテージかなと思います。海外にいったときもオフ対戦などはできるのですが、今回のキンバリーのようなキャラクターは使い手が少なく気軽に対戦できるわけではありません。今回は日本で強いキンバリー使いと直前まで対戦できたのはアドバンテージになったと思います。

YHC-餅選手
 近いのがいちばんですね。島根からでも飛行機ならあっという間ですが、ここから海外に行くとなると自分は疲れてコンディションが悪くなってしまうと思います。今日はコンディションもいいですし、自分としては近さが大きかったと思います。

ぷげら選手
 ふだんの生活の中で大会に挑めたのはアドバンテージになったと思います。ギリギリまで自宅で寝起きできるし、食事もふだんとあまり変わらないですしね。

カワノ選手
 さっきと重なりますが、声援面が大きかったですね。ちょっと気の毒に思う面もありますが、僕が海外に行ったときは逆の立場ですから。本当に力になりました。
[IMAGE]

取材を終えて

 以上で3月8日の個人戦も含む“カプコンカップ11”のレポートは終了となるのだが、最後に筆者の感想をお話しようと思う。長らく主戦場が海外だった国際大会が、自分の知る限り初めて日本に訪れた本大会。何よりうれしかったのは、日本選手がプライドを持ってこの大会に挑み、意地を見せてくれたところだ。G8Sメンバーの皆さん、そして個人戦を優勝した翔選手も「日本の大会だからこそ勝ちたい」という思いを話されており、それを結果で示してくれたのがいちファンとして嬉しかった。あえて文体を崩させてもらうが、最後のグッパチの逆転劇とかヤバいでしょ! 見ていて本当に目頭が熱くなった。近年まれにみるアツい試合をくり広げてくれた選手の皆様に、最大限の感謝を贈りたい。
      この記事を共有

      本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

      集計期間: 2025年03月25日18時〜2025年03月25日19時