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『アストロボット』アストロの名前の由来は開発スタッフも困惑したもの? モンキー・クライマー担当は体操経験者など、ファンミーティングで貴重な開発エピソードを公開!

byジャイアント黒田

『アストロボット』アストロの名前の由来は開発スタッフも困惑したもの? モンキー・クライマー担当は体操経験者など、ファンミーティングで貴重な開発エピソードを公開!
 2025年2月27日、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)東京オフィスにて、『アストロボット』Team ASOBIファンミーティングが開催された。このイベントには『アストロボット』のフォトコンテストに参加し、抽選で選ばれたファンが招待されており、Team ASOBIのメンバーによるスペシャルトークや開発者へのQ&A、クイズコーナーなど、1時間30分にわたるプログラムを堪能した。
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Team ASOBI登壇者
  • スタジオディレクター:ドゥセ・ニコラ氏
  • シニアゲームデザイナー:森田玄人氏
  • シニアゲームプレイプログラマー:吉田 匠氏
  • シニアコンセプトアーティスト:中井俊彦氏
  • アートディレクター:ブルクナー・セバスティアン氏
  • 3Dアーティスト:杵渕美帆氏
  • リードエンバイロメントアーティスト:川口真由氏

 本稿では、『アストロボット』の貴重な開発秘話も明かされた、ファンミーティングの模様をリポートする。なお、ファン向けのイベントということもあり、本記事には『アストロボット』に関するネタバレも入っているので、これからプレイする方はご注意を。『アストロボット』ファンの方は、ファミ通.comで掲載したTeam ASOBIのインタビューもどうぞ!

これまでの作品で蓄積されたアイデアや技術が『アストロボット』に集約

 ファンミーティングは、“Team ASOBI スペシャルトークセッション ~アストロ誕生秘話~”のコーナーからスタート。ニコラ氏によるTeam ASOBIの紹介が行われた後、アストロがどのようにして誕生したのか、開発秘話が語られた。『アストロボット』を生み出すまでに、Team ASOBIが手掛けたタイトルは下記の通り。
  • 『The Playroom』(2013年。PS4にプリインストールされたソフト)
  • 『The Playroom VR』(2013年。無料でダウンロードできるPS VR専用タイトル)
  • 『ASTRO BOT: RESCUE MISSION』(2018年。アストロが主人公のPS VR専用タイトル)
  • 『ASTRO’s PLAYROOM』(2020年。PS5にプリインストールされたソフト)
 アストロの原型となるロボットは『The Playroom』から登場しており、森田氏によると、アストロに受け継がれているマフラーは、「操作するキャラクターを見失わないようにする目的でデザインされた」という。

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『The Playroom』に登場したロボット。
 『The Playroom VR』のエピソードでは、アストロのキュートな動きの秘密が明らかに。吉田氏は、「アストロがカメラを向いて手を振ってくれますが、キャラクターがこちらを向いてくれる姿がすごくかわいくて。VRのときにそういった姿を実験的に作っていました」と教えてくれた。
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上の写真の左上にこちらを向くロボットの姿が。これがベースとなり、カメラに向かってサービス精神旺盛(?)なアストロが誕生した。
 また、主人公ロボットがアストロになったPS VR『ASTRO BOT: RESCUE MISSION』の開発エピソードでは、ニコラ氏の口からアストロの名前の由来がつぎのように明かされた。「(アストロの名前は)アストロボーイと似ていると言われますが、関係ありません。“A”から始まる名前にしたのは、PlayStation Storeで頭のほうに表示されるようにするためでした。そこからどんな名前にしようか悩んで、スペースアドベンチャーで主人公がロボットだったので、“アストロ”に決めました」。

 この発言を受けて森田氏は、「最初は何を言っているんだろう(苦笑)」と困惑したそうだが、「いまではすごくなじんでいます」と続けた。
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 PS VR『ASTRO BOT: RESCUE MISSION』の開発と同時期に、次世代機向けのタイトル(『ASTRO’s PLAYROOM』)でどんなことができるのか、研究も行われていたという。吉田氏によると、その研究の一環で生み出されたアクションは、『アストロボット』のモンキー・クライマーのアクションに継承されたそうだ。

 なお、「担当したプログラマーは体操経験者で、実際に鉄棒ができるそうです。その体験が生きてモンキー・クライマーのゲームプレイになりました」とのこと。あのぐるぐる回る感覚は、経験者による実体験から生まれていた!

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モンキー・クライマーは、小さなサルのボットを背中に装着してパワーアップした姿。長い手を使って岩を投げられるほか、急斜面や巨大な敵を登ったり、鉄棒の回転の反動を利用してジャンプしたりできる。
 さらに『アストロボット』のエピソードでは、中井氏が手掛けた貴重なコンセプトアートなどをもとに開発秘話が明かされた。
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 母船となるプレイステーション5を修理するコンセプトアートでは、中井氏が「PS5をバラバラにして修理していいのかなってドキドキしました(笑)」と当時の心境を語り、ファンの笑いを誘う一幕も。ちなみに、ニコラ氏がハードウェアを担当しているスタッフに相談したところ、「スペースシップなのでぜひ」と快諾されたそうだ。
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 また、『サルゲッチュ』や『ゴッド・オブ・ウォー』など、歴代プレイステーションの名作ゲームが体験できるヒーローステージも、最初から考えていたという。ボスを倒した後に開放されるという設定はそのままだが、公開されたコンセプトアートには、“MINI STAGE”の文字が……。

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 ニコラ氏は、「ヒーローステージは、当初はひとつのミニステージとして考えていましたが、どんどん大きくなりました。ぜんぜんミニじゃないですね(笑)」と語り、やりたいことが増えて大きなステージになったことを教えてくれた。

 ラストバトルがシューティングゲームになり、苦労したエピソードも。エンディングやヒーローステージに関しては、下記のインタビューで詳細をお聞きしているので、ぜひチェックしてほしい。
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 ほかにも、敵の“SUMO ENEMY”やパワーアップのブルドックブースター、モンキー・クライマーを例に、ポストイットからアイデアを出し合い形にする流れが紹介された。

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張り手攻撃が印象的な“SUMO ENEMY”。
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モンキー・クライマーは、ほかのモチーフも検討されたが、最終的にサルに落ち着いたという。

ブルドックブースターのエサはお肉だった!? ファンの質問に開発者が回答

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 続いては、参加者が事前に用意した質問に登壇者が答える“Team ASOBIへの質問コーナー!”に。参加者からは下記の質問(※質問は一部編集、抜粋するなどして掲載)が行われた。
  • Q1:アストロくんたちはエネルギー補給をどうしていますか?
  • Q2:大量の宝石が降ってくる場所では、処理が快適で感動しました。ほかにも裏ではすごい処理をやっていた場所があれば教えてください。
  • Q3:どうしてボットをいっぱい入れたんですか?
  • Q4:ボスたちのモチーフはどうやって考えられたんですか?
  • Q5:『アストロボット』ではたまに日本語が聞こえてきます。ボイスを変えようと思った理由を教えてください。
 Q1のアストロのエネルギー補給に対して、ニコラ氏は「細かいルールは考えていないです」と答えつつも、その理由を「(アストロには)口がないから」と明かしてこう続けた。「アストロに口をつけることも検討しましたが、口があるとかわいさがちょっと変わってしまったのと、口をアニメーションする問題なども発生するので、口はなしにしました」。

 ちなみに、本作にはブルドックブースターにエサをやるシーンがある。ニコラ氏よると、「最初はホネではなくお肉でした。でもこの世界でお肉だとリアルすぎるので、おもちゃっぽいホネに変えました」とのこと。

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ブルドックブースターのパワーアップを放置していると、アストロがホネのエサをあげることも。

 Q2のすごい処理の場所は吉田氏が回答し、「PS5の処理能力限界ギリギリまで使っていて、宝石のほかにすごいのは水の表現です。パワーアップのスポンジになって水をバシャバシャ出すところは、フレームレートが安定しなくてたいへんでした。最後の最後までずっと最適化を行っていましたね」と教えてくれた。

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水を吸収すると巨大化するスポンジのパワーアップ。巨大化した状態で、体を絞ると吸収した水を周囲にまける。

 ちなみに、吉田氏によると「最初のステージ(空中庭園チュートリアル)で切ることができる丸太も、裏ですごい処理を行っている」そう。しかし、地味なせいか気づいてくれるプレイヤーは多くないようで、「丸太をスルーして先に進んじゃう人が多いんです。“切ってくれ! 切ってくれ!”と思いながら実況動画を観ています(笑)」と切実な想いを明かし、会場は笑いに包まれた。

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空中庭園チュートリアルに配置された丸太。アストロのホバリングで切ることができるので、スルーしていた方はお試しあれ。

 幼い参加者が質問したQ3のボットを多数入れた意図には、森田氏が「たくさんのキャラクターをバタバタ動かす楽しさはデモのときから感じていました。今回はPS5の性能で実現できたのと、PSが30周年でいろいろなキャラクターを使えることになり、たくさん入れました」と回答。

 そしてニコラ氏が、「いちばん好きなキャラクターは誰ですか?」と質問者に逆質問。「『ロコロコ』のキャラクター」という答えに、開発者やファンの共感を得ていた。

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『ロコロコ』は“カクレオン宙域”の“コロガルバレーの大合唱”に登場。

 Q4のボスのモチーフは中井氏が「基本的に“遊び”に集中してほしい」と回答したうえで、つぎのように教えてくれた。「見たこともないようなモチーフは選ばないようにしています。世界中の誰が見てもわかりやすいことを大事にしているので、タコ、ヘビ、カメレオンといったモチーフを選びました」。

 さらに、ニコラ氏は「そのうえで、遊びかたのテーマも決めています。パワーアップによってどんなアクションを体験させるのかを考えました」と補足した。

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最初に立ちはだかるタコのボスは、パワーアップのツインフロッググローブを駆使して戦いをくり広げる。

 Q5のアストロのボイスに関する質問には、ニコラ氏が回答。「ボイスを作るときに、真似できる音で考える必要がありました。世界で販売することも考えると、どの言語が正しいのか答えはありませんが、日本語は真似しやすいですし、きれいな言語だと思います。たまに英語も入れましたが、うれしいとき、痛いとき、怖いときなどに日本語のセリフを入れました」。
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クイズの賞品やファンへのプレゼントで豪華アイテムも

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 Q&Aが終わると、豪華賞品も用意された“アストロクイズコーナー!”が開催された。出題される下記の7問に、ファンが◯、×、□、△の札を挙げて回答し、正解数を競い合った。

  • ・Q1.アストロが初めて登場したゲームはどれ?
  • ・Q2.「ピポピポ ピポゲッチュ」のステージでは合計何体のサルをゲッチュできる?
  • ・Q3.このスペシャルボットの名前は?
  • ・Q4.ラスボス「ネビュラックス」との戦闘時に出てくるルーレットの選択肢はいくつ?
  • ・Q5.この試練の名前は?
  • ・Q6.アストロのパワーアップのうち、生き物モチーフではないものは何種類?
  • ・Q7.いま現在、『アストロボット』でレスキューできるボットの数は全部で何体? ※ただし『ASTRO’s PLAYROOM』で入手できる4体は除く。

 なかなかの難問……。ニコラ氏たちも頭を悩ませる難問や引っ掛け問題もあったが、ファンの中にひとりだけ全問正解者が! これはすごい。上位入賞者たちには、開発スタッフの手からアストロぬいぐるみや缶バッジが贈呈された。
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 クイズコーナーが終わると、『アストロボット』初のファンミーティングはいよいよフィナーレ。会場に駆けつけたファンとの記念撮影が行われ、中井氏、セバスティアン氏、杵渕氏、川口氏がイベント中に描いたイラストがお土産としてプレゼントされた。
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開発者によるサイン会も行われ、ファンたちが列を作り、クリエイター陣に想いを伝えていた。
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会場の一角には、アストロとピポサルのペーパークラフトが載せられたロボットトイ“toio(トイオ)”も飾られており、華麗なダンスを披露していた。
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      集計期間: 2025年03月24日09時〜2025年03月24日10時