2023年10月6日に発売した『人生ゲーム for Nintendo Switch』。YouTube配信などで取り上げられて話題となり、いまでもじわじわと売れ続けており定番ゲームになりつつあるそうだ。
けっこうおもしろいSwitch版『人生ゲーム』
じつに12年ぶりにコンシューマーゲームとして発売された『人生ゲーム for Nintendo Switch』。本作でも、“億万長者を目指して総資産が多かった人が優勝”という基本ルールは変わっていない。だが、成長やイベント、カードの使用など選択が多く用意されていて、プレイヤーが望んだようにステータスを伸ばすシミュレーションゲーム的な楽しさも備えている。詳しくは試遊リポートをチェックしてほしい。
発売から1年経っても、定期的なアップデートでモードや職業、衣装などさまざまな新要素が追加。久しぶりにプレイすると「DLC1本分ぐらいあるんじゃないか」と驚いてしまう。
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キャラクリエイトは髪型や顔つき、服装が豊富なのでついつい夢中になってしまう。選択肢もアップデートで増えていた。
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職業は発売後から警察官、芸人、教師、バスケ選手が追加された。
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パートナーをキャラクリエイトできる機能も搭載。
進化はこれだけではなく、2024年11月28日にはついに専用ルーレットコントローラーも発売された。発売から1年が経っても勢いがあり、ロングセラーなタイトルになりそうだ。
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佐戸
この、クリック感のある音と、手触りがたまらないですよね。ついつい回しちゃいます。年末になんとか発売が間に合ってよかったです。
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!!!
無邪気にルーレットコントローラーを回すダンディーなこの方こそ『人生ゲーム for Nintendo Switch』のプロデユーサーを務めたタカラトミーの佐戸憲一氏。この際だから聞いてみよう。じわ売れの要因って何なんですか?
佐戸憲一(サドケンイチ)
タカラトミー デジタル事業室 室長。『人生ゲーム for Nintendo Switch』や『デュエル・マスターズ プレイス』のプロデューサーを務める。
『デュエル・マスターズ』のデジタルカードゲームを作りたくてデジタル事業室を設立
ーー『人生ゲーム for Nintendo Switch』についてうかがう前に、タカラトミーは一度ゲーム事業から撤退したとお聞きしたのですが……。
佐戸
おっしゃる通りです。この話をすると本題の『人生ゲーム for Nintendo Switch』にたどり着くまでちょっと長くなりますけど大丈夫ですか?
ーーはい、お願いします。
佐戸
私はもともとカードゲーム部の部長でした。『デュエル・マスターズ』や『WIXOSS -ウィクロス-』などのトレーディングカードゲーム(TCG)を取り扱っていて、タカラトミーでも売上が大きい事業です。
そもそものきっかけは、2014年にBlizzard Entertainmentさんからデジタルカードゲーム(DCG)である『ハースストーン』がリリースされたことです。これが、カードゲームの先端層のプレイヤーたちの間で流行り始めていて、TGCの仕事をしていた私にとってすごく衝撃でした。
「TCGのつぎに来るのは絶対にDCGだ。うちで売上がいちばん大きい『デュエル・マスターズ』のDCGならば売れる!」と、勢いで企画書を作りました。それを『デュエル・マスターズ』のパートナーであるウィザーズ・オブ・ザ・コーストさんに提出したんです。しかし、タカラトミーはあくまで玩具メーカでして。ゲームの開発や運営は得意じゃなさそうだから不安だということで断られてしまいました。
ーーそれは手厳しい……。
佐戸
でも悔しくて諦めきれなかったんですよ。DCGは絶対に来ると思っていたので。実績を作ろうと思ってカードゲーム部の中でデジタル事業を立ち上げて、弊社オリジナルのDCGアプリ『WAR OF BRAINS』を2016年にリリースしました。
しかし、開発会社を3社も変えることになり、落ち着いたころにはユーザー数や売上的にも厳しくサービス終了に。実際に運営してウィザーズさんが仰っていたことが身にしみました。ほんとうに私たちは(運営型のオンライン)ゲームに関しての知見や経験がなかったと。
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『WAR OF BRAINS』のゲーム画面。ノウハウなどがないためかリリース後は問題が続いたそうだ。
佐戸
そんな経験も踏まえてウィザーズさんにもう一度、情熱を込めてプレゼンしたところようやく認めていただけました。そうして生まれたのが『デュエル・マスターズ プレイス』(デュエプレ)なんです。リリースから5年目なのですがおかげさまで好調で、去年を大幅に超える過去最高売上になっています。
ーー執念が実っての大成功ですね。ちなみに『デュエプレ』好調の要因はどのような点にあるのでしょうか?
佐戸
プレイヤーの年齢層でいうと20代が中心なんですね。そのターゲット層に向けたコラボイベントや、クリーチャーを擬人化したオリジナルキャラクターの実装などがポイントだと思います。圧倒的に反響が大きかったのは、やはりVTuberグループのにじさんじさん、ホロライブさんとのコラボですね。あとはアニメ『【推しの子】』コラボも好評です!
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佐戸
またカード開発チームも5年の経験で、『デュエプレ:オリジナルカード』も絡めながら、ゲーム開発が、より上手くなった事も好調の大きな要因です。そして、デジタル事業が勢いづいているので何かもう1タイトル作ろうとなったところに『人生ゲーム』の話が持ち上がったんです。
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『デュエプレ』のプレイ画面。
12年ぶりの『人生ゲーム』開発のきっかけは『桃鉄』
ーー『人生ゲーム』のデジタルゲームの発売は、Wii向けソフト『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』以来12年ぶりだったそうですね。前作は評判や仕上がりの面ではあまり芳しくなかったようなイメージがあります。
佐戸
私が新入社員として会社に入ったとき、ちょうどプレイステーション(PS)で『DX人生ゲーム』が発売され、売上本数的には2、30万本くらいでした。ただ、あの時代は売り上げ至上主義で、低予算で毎年新しいタイトルを出す方針だったそうです。定番ゲームにも関わらず毎年リリースするとなると、差があまりつけられないため、強引に味付けして変な方向に行ってしまうことがありました。
Wiiの時代には予算をさらに絞らなければならなくなっていたそうで……。当時の私は部署が違いましたが、新作の開発にはそうとう苦労していたと思います。そのような経緯もあってじわじわ売れなくなっていき、気付けばコンシューマータイトルを発売しなくなっていました。
ーーそして、新しい部署でNintendo Switchにて再挑戦という。きっかけは何なんですか?
佐戸
やはり、2020年の年末に発売したコナミさんの『桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!〜』(桃鉄)が大ヒットしたことです。調べると、売れかたが特徴的なんです。昔プレイしていた人が大人になって子どもと遊んだりですとか、幅広い層にリーチしているのはさすがですよね。
そんなときに、弊社の営業マンが「とあるバイヤーさんが「『桃鉄』が売れてるから、タカラトミーさんもSwitchで『人生ゲーム』を出せばいいじゃない」という情報をあげていました。
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『人生ゲーム』……? あっ、それだっ!それで行こう!!!
佐戸
(当時常務だった現タカラトミー)社長の富山彰夫が「これ検討したら?」と、その情報を私にメールしてきて。それを見て「そうだ、デジタル事業室でコンシューマタイトルを出すなら『人生ゲーム』だ。なんで気づかなかったんだろう!」って。
ーー青い鳥は近くにいた、みたいな話ですね。『桃鉄』のヒット要因などは分析されていましたか?
佐戸
私自身 『桃鉄』シリーズがとても好きなんですよ。学生時代に友だちと集まってずっと遊んでいましたしね。
システム面を参考するのも大事ですけど、『桃鉄』のよさをそのまま『人生ゲーム』に持ってくるのは難しいわけです。『桃鉄』シリーズはプレイヤーどうしで足を引っ張り合うのも楽しい要素ですが、これは『人生ゲーム』には向いてないんですよね。
ーーそう思ったきっかけが何かあったのでしょうか?
佐戸
本作を作り始める前にPSの『DX人生ゲーム II』を引っ張り出して、うちの妻と娘といっしょに遊んでみたんです。相手からお金を取ったりする“仕返しマス”がおもしろい要素だったんですけど、いざそれをやるとギスギスしちゃうんですよね。いまの時代にあったチューニングが必要で、新しく作る方は足の引っ張り合いがあまり起きないようなゲームにしたいと思ったんです。
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複数人でプレイしているといっしょに合コンに参加することも。総資金の競争はあるもののギスギスしそうなイベントはなく、ライバルというよりは幼馴染の同級生的な気持ちで楽しめる。
ーーたしかに、競争はあるけどプレイヤー全員がそれぞれ楽しめるようなゲームになっていますね。
佐戸
当然1位を目指してほしいけど、2位でも3位でも「今回の人生は楽しかったよね」と思えるようなゲーム体験を目指しました。たとえば、この相手と結婚したいとか、こういう職業に就きたいとか、目的を各自で決めて楽しめるようになっています。
また、シリーズ過去作にもおもしろいタイトルはもちろんありますが、マスに止まったらその内容に従うことがほとんどで、こういう職業に就きたいと思っても狙えないことが多かったんです。
そのため、基本的にはルーレットによる運要素を中心にしつつも、シミュレーションゲーム的要素を入れています。選択肢を設けて望む方向に進めたり、自分で選択できるところを増やすという点に注力していますね。
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プレイが終わると人生の振り返り。総資金での勝ち負けはあるものの、みんな楽しそうな人生。ハッピーな気持ちで再プレイしたくなる。
プレイヤーのみなさんのお陰で職業が増やせました
ーー発売後して好調と伺ったのですが、その要因はどう分析できましたか?
佐戸
発売のタイミングでは、配信者さんや芸人さん、VTuberさんなど多くの方々に配信で遊んでもらったのが大きかったと思います。多人数で集まって遊べるし、プレイスキルの差が出にくいので、制作時から配信に向いてるだろうなとは思っていました。
配信でタイトルが大きく知られた後は、本来のターゲットであるファミリーに向けてテレビCMを打ったりなど、オーソドックスに広告を展開して認知を広げたのがよかったかなと。また、前作から期間が空いてからリリースされたため、期待感もあったと思いますね。
ーー現在でもじわじわと売上本数を伸ばしているみたいですね。
佐戸
ボードゲーム盤『人生ゲーム』と同じポジションとして認知してもらえているかなと思っています。年末に友だちどうしで集まって遊びたいとか、年始に親戚が集まるからプレイしたいなどの需要に応えられるので、定番のゲームとして定着してほしいですね。
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ボードゲーム版『人生ゲーム』も安定した人気を誇る。投資に特化した『人生ゲームFIRE』など新作も展開している。
ーーゲーム内の要素もアップデートで多数追加されていて、遊びの幅がかなり広がったように感じます。これは発売前から計画にあったのでしょうか?
佐戸
これほど更新をかけるとは当初はそこまで考えてなかったです。初めてNintendo Switchのゲームを開発したので時間の余裕がなくなり、少し妥協してしまったかもしれない、というのは反省点です。
ですが、おかげさまで売上本数が伸びたため、新しい要素を作る余裕ができました。こうしてアップデートできているのは購入していただいたプレイヤーのみなさんのおかげです。寄せられたご意見をもとにした機能や、本当はやりたかったけどできなかった機能が追加できています。
ーー最近ではルーレットコントローラーも発売されて話題になっていますね。
佐戸
こちらも開発当初は考えておらず、発売後に企画したものになります。先ほども話題にあがった『桃鉄』や、バンダイナムコエンターテインメントさんの『太鼓の達人』のように“ずっと長く売れるソフト”、“定番ソフト”にするため、発売後に長く売るにはどうしたらいいのかを分析しました。
専用コントローラーや周辺機器が発売されることで、それが新商品として話題になったり、小売販売店での売り場が整備されたりするなどの効果があると知りました。それならば『人生ゲーム』にちなんだルーレットコントローラーがいいだろうということで企画しました。
任天堂関連の卸売業をしている任天堂販売さんにこの企画を相談すると「やった方がいいと思っていた」といわれました。相思相愛でした(笑)、先方からアドバイスをいただきつつ開発した次第です。
ーールーレットコントローラーのこだわりについてもお聞かせください。
佐戸
やはり、ルーレットの動きが画面とリンクする点ですね。ルーレットの下にあるセンサーで読み込んだ情報をゲーム内に反映する仕組みになっています。
ボードゲーム版だと、ルーレットの針が数字と数字の間ギリギリで止まることがあります。ただゲームではそういったあいまいな部分は判定しづらいです。そのためボードゲーム盤と違って、カチッと数字が示される形に仕上げています。
じつは、ルーレットコントローラーの開発はゲーム周辺機器に強いHORIさんにお願いしています。年末に間に合わせるには期間が限られていたのですが、完成度の高いものを仕上げてくれました。本当にプロフェッショナルな仕事でした。すばらしい完成度だと思います。
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じつはホリ製だったルーレットコントローラー。
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回し比べるとボードゲーム盤はシャーっと滑らか。ルーレットコントローラーはカタタタタッ……と小気味のいい音が鳴る。
今後のアップデートで職業追加! コラボDLCも計画中
ーー『人生ゲーム for Nintendo Switch』は今後もアップデートの予定がありますか?
佐戸
まだ確定ではないのですが、2025年もアップデートを継続していきたいですね。無料アップデートで職業などを追加したいのと、IPコラボによる課金型のDLCをやってみたいなと考えています。相性のいいIPと組めればさらに盛り上がるんじゃないかなと、現在話を進めてるところです。
ーーすごく楽しみです。最後に、このインタビューを読んでくれた読者へのメッセージをお願いします。
佐戸
『人生ゲーム for Nintendo Switch』は今後も話題を作りながら、長くやっていきたいと思っています。もし次回作を作るとしたら、さらにバージョンアップした『人生ゲーム』を出したいなと。現在は日本でしか売っていませんが、世界に向けても販売できるようにしたいです。
現在『人生ゲーム for Nintendo Switch』『デュエプレ』がともに好調で、部署の人員も増えています。さらなるコンシューマータイトルやアプリゲームも水面下で企画しております。タカラトミーのゲームにぜひご期待ください。