『電気街の喫茶店』レビュー。メイド喫茶はもちろん、電気街の再現度やフィギュアなどのコレクション要素の本気度がすごい。日本のオタク文化へのリスペクトを感じる

byありみち

『電気街の喫茶店』レビュー。メイド喫茶はもちろん、電気街の再現度やフィギュアなどのコレクション要素の本気度がすごい。日本のオタク文化へのリスペクトを感じる
 “電気街”、と聞いて思い浮かぶのは、おそらく東京・秋葉原と大阪・日本橋のふたつ、という人が多いのではないでしょうか。

 本稿で取り上げる『電気街の喫茶店』は、大阪・日本橋の電気街を舞台にしたメイド喫茶スローライフアドベンチャー。2Dのドット絵で描かれる日本橋の再現度がすさまじく、ジャンルは違いますが『龍が如く』シリーズや『ペルソナ』シリーズの街の完成度がよぎってしまうほどです。

 そして、本作のメインはメイド喫茶の運営。かわいい女の子たちといちゃいちゃしつつ、閉店寸前まで追い込まれた“メイド喫茶・ふわふわ”の再建を目指しましょう。

 2024年11月18日にPC(Steam)にて配信開始となったメイド喫茶スローライフADV
『電気街の喫茶店』のレビューをお届けします。
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※本記事はPLAYISMの提供でお届けします。

ブラック企業の社員からメイド喫茶の店長へ

 メイド喫茶と言えばかわいいメイド服、かわいい料理、そしてお客さんに「ご主人様、お嬢様」と愛らしく接客してくれるメイドさん。これらが頭の中に浮かんできますが、本作の冒頭はそんな癒やし空間とは真逆の場所から始まります。
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トイレくらい好きに行かせてください。

 本作の主人公は、とんでもないブラック企業に勤めていたのです。秒単位で管理される休憩時間、罰則としての無賃労働、残業は当たり前で残業手当はもちろんなし。上司らしき男性からは「ファンタジーの世界かな?」と思うくらいのパワハラ発言が。

 ここでプレイヤーの誰もが「やめちまえよ、そんな会社」と思うでしょう。主人公もさすがに嫌気がさしたのか、売り言葉に買い言葉で上司へ「こんな会社辞めてやらぁ!」と辞表を叩きつけます。
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「あいつ、会社辞めるってよ!」のスタンディングオベーション。

 同僚たちから祝福と叱咤激励のスタンディングオベーションを受け、主人公は颯爽と退職。しかし彼は社員寮に住んでいたため、そこを追い出され、一気に住所不定無職の身になってしまいます。そこで出会ったのが、メイド喫茶“ふわふわ”の店員・シロです。
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真面目で純粋で魔法少女オタクな女の子。かわいい。

 メイド喫茶“ふわふわ”は店長の不在が続いており、主人公は店の二階にある部屋も借りられるという条件に食いついて、いきなり店長を務めることに。ここからメイド喫茶“ふわふわ”が再始動します。
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やらなきゃいけないことはたくさんある。

 本作のストーリーは、どことなくハーレム系のライトノベルや、ギャルゲーの文脈を感じさせます。この雰囲気に慣れているプレイヤーは「あぁ、これこれ」と安心感を覚えるでしょう。

 「こんなかわいい女の子とこんな素敵なことがあっていいのか?」と思うほどいちゃいちゃイベントが発生します。でも、ブラック企業であれだけ不幸な目にあってきた主人公だから、その反動でいいことが起こっているのかも……。
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オタクに優しいギャルというか、オタクなギャルのミユ。
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絶賛中二病を罹患中のファフナ。
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巫女服と眼鏡属性にメイド服まで加わってしまうほのか。

メイド喫茶を経営して運営資金とお小遣いを稼ごう

 毎週火曜日から日曜日まで、主人公は日中メイド喫茶“ふわふわ”を営業していきます。(毎週月曜日は定休日)。

 まずは控え室で担当シフトの設定。メイドさんたちには接客、調理などそれぞれ得意分野があるので、彼女たちにあったシフトを組みましょう。
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 営業中、メイドさんたちは接客をしたり、注文の入った料理を作ったりと、自動で働いてくれます。店長の主人公は毎回ホールに入るので、注文を取ったり、食事の配膳をしたりしてヘルプにまわりましょう。
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料理のドット絵も細かくてめちゃくちゃ種類がある。

 ときには、特別なお客さんが来てくれることも。特別なお客さんはカウンター席で対応可能です。オーダーにあったドリンクを提供しましょう。
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 毎日の売上は店の運営資金と、店長の給料とに分かれて管理されます。この給料がめちゃくちゃ大事。理由は後述します。

あらゆるものを集めてまわれ! 目指せコレクターへの道

 どんなジャンルのゲームでも、“コレクション要素”というお楽しみ要素を見かけることが多いかと思います。

 本作にもコレクション要素はあり、あくまでサブ要素ではあるんですが、「いやこれメインだろ」と言いたくなるほどの力の入れ具合なのです。
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  • フィギュア
  • ポスター
  • ゲーム
  • カプセルトイ
  • バッチ
  • トレカ
  • レコード

 どうですか。このラインアップを見て、“本気”を感じませんか(しかもゲームはさらに細分化されていてPCゲーム、レトロゲーム、紳士ゲームがあった)。

 先ほどメイド喫茶の運営のところでお金が必要と書きましたが、まさにこれが理由です。オタクをやるにはお金がかかる。これはどのジャンルにも共通して言えることかと思います。
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カプセルトイの演出が“ガチ”。
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メニューの拡充や店員のスキルアップに使える実用的なアイテムもある。
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どこかで見たようなあんなゲームも……?

 お金と引き換えにゲットした戦利品は、自宅のコレクション棚に飾ることもできます!
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 個人的にうれしかったのは、PLAYISMから販売されているほかのゲームがコラボとして出ていたこと。『グノーシア』や『溶鉄のマルフーシャ』、『薔薇と椿』などのゲームが店頭に並ぶ中、『VA-11 Hall-A』を見つけたときはテンション爆上がりしました。
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ジルのメイド服姿だと……?

日本橋に実在する店舗がゲーム内に。果ては通天閣まで

 先述したコレクション要素のガチ具合もそうなのですが、本作は“本物”への追究がとんでもないです。どれくらいかと言うと、主人公の部屋から見える景色の中に通天閣を入れたいから、実際に通天閣に許可取りをするくらい。

 ほかにも実在するお店にこだわって制作しているとのことなので、駿河屋を始めとした実在する店舗の一部をご紹介したいと思います。
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コレクターなら一度はお世話になっているだろう駿河屋。
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入れるお店の大部分は買い物もできる。

 ちなみに、日本橋コラボ店舗は以下の通り。
  • 1904/1904 (すらっしゅ)
  • たこ焼き得心 日本橋店
  • カラオケ レインボー
  • くそオヤジ最後のひとふり
  • ゲーム探偵団
  • JUNGLE
  • 駿河屋
  • Swallowtail
  • スーパーポテト
  • ソフマップ
  • 通天閣
  • 兎月屋書店
  • ドラゴンスター
  • 日本橋商店会
  • 無限麻辣湯
  • めいどりーみん

街の住人も魅力的

 電気街や商店街にいる店員さんたちは、みんな個性豊か。なかでも筆者が気に入っている店員さんたちを紹介させてください。

商店街の魚屋さん家族
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 どこからどう見てもカタギじゃない魚屋の店長を務めるオヤジさん、仕事をシノギというタイプの美人妻、そして活きのいいピチピチ跳ねるマグロを抱えるひとり娘。

 濃い。濃すぎる。これがいちNPCですか?

自転車屋の褐色ギャル
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 褐色にシルバーの髪、そしてとんでもないデザインのツナギを着たお姉さん。こんな自転車屋さんがあったら自転車をあえてパンクさせて通ってしまうかも……。

随所に日本のオタク文化へのリスペクト感じる作品

 本作の開発スタジオは“冒険者酒館”という上海のスタジオなのですが、「本気で日本と日本のオタクカルチャーが好きなんだろうな」とゲームをプレイしていて感じました。

 日本橋に実在するお店をゲーム内にそのまま再現したいから許可取りに奔走したり、コレクション要素をガチったり、メイド喫茶の接客を細かいところまで突き詰めたり。いち日本人のオタクとして、プレイしていてうれしく感じる作品でした。

 あとドット絵の量がエグいですね。コレクションのイラストもだいぶ数がありますし、メイド喫茶で出すドリンクや料理もかなりの種類があり、お店ごとの商品も多いし、ストーリー中の演出で差し込まれるイラストも量がある。どれだけのドットを打ち込んだのか……。ぜひ、細かいところまでチェックしていただけるとうれしいです。
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シロはかなりのゲーマーらしい。あと推しのこととなると財布のヒモがなくなる。

電気街の喫茶店

  • 対応プラットフォーム:PC(Steam)
  • 発売日:2024年11月18日発売
  • 発売元:PLAYISM
  • 開発:冒険者酒館
  • 価格:2200円[税込]
  • ジャンル:アドベンチャー
  • 対応言語:日本語・英語・中国語(簡体字)
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      集計期間: 2025年01月18日00時〜2025年01月18日01時