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いま見てもオリジナリティ溢れる『ロマサガ2』の魅力をそのままに、遊びやすく。悩んだら河津氏のお告げを聞く!? リメイク版プロデューサーインタビュー

by西川くん

byロマンシング★嵯峨

更新
いま見てもオリジナリティ溢れる『ロマサガ2』の魅力をそのままに、遊びやすく。悩んだら河津氏のお告げを聞く!? リメイク版プロデューサーインタビュー
 スクウェア・エニックスのRPG『サガ』シリーズの中でも、根強い人気を誇る『ロマンシング サガ2』。そのリメイク作となる『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』(以下、『ロマサガ2R』)が、2024年10月24日に発売予定だ。対応ハードは、Nitendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、PC(※Steamにて10月25日発売予定)。

 ストーリーやキャラクター、“フリーシナリオ”や“皇帝継承”といった『ロマサガ2』らしい特徴はそのままに、3Dグラフィックでフルリメイクした本作。バトルや育成要素に関しては、現行ハード向けに、さまざまな追加・変更点が盛り込まれている。
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 本記事では、
『ロマサガ2R』のプロデューサーである田付信一氏のインタビューをお届け。リメイク版の開発にいたった経緯から、システムの具体的な特徴などを詳しくお聞きした。

田付 信一氏たつけ しんいち

スクウェア・エニックスのプロデューサー。これまでに『ガーディアン・クルス』や『デッドマンズ・クルス』、『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』のプロデューサーを担当。『サガ』シリーズに関わるのは今回が初。

いま見ても新鮮な『ロマサガ2』の魅力を現代に

――田付さんにインタビューするのは『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』以来ですが、『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』制作後、どのように『ロマサガ2R』に関わることになったのでしょうか?

田付
『サガ』シリーズのプロデューサーである市川(雅統氏)から誘われたのが発端です。『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』のスマートフォン版をリリースして、「これから何を作ろうか」と考えていたところ、たまたまタイミングよく声がかかったと言いますか。

 市川とは以前同じ部署に所属していて、そのときは席もすごく近かったので、付き合いはとても長いです。コロナ禍では顔を合わせることがなかったのですが、あるとき「そろそろ
『ロマサガ2』のリメイクとかやりたいなぁ」みたいなメッセージが急に届いて、初めはやんわりとしたお誘いでしたね(笑)。

――「田付さん、引き受けてくれるかな? どうかな?」という逡巡が見えますね(笑)。『ロマサガ2R』の開発は『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』を手掛けていたジーンさんが担当していますが、引き続きジーンさんとタッグを組むことにした理由は?

田付
人気作のリメイクですし、やはり信頼できる方々にお願いしたほうがいいだろう、と考えました。ジーンさんともつぎにまた何か作りたいと話していた最中でしたので、タイミングもよくいっしょに開発することがすぐに決まりました。

――ジーンさんに依頼する時点で、田付さんの中ではリメイク版のイメージは浮かんでいたのでしょうか?

田付
オリジナル版の『ロマサガ2』がベースにありますし、ある程度はできていました。グラフィックの方向性を考える際は、おおまかに、写実的なリアル系と、アニメ的なデフォルメ系のふたつに分かれますよね。『サガ』シリーズはデフォルメ系を採用することが多いシリーズですので、その路線で作れるだろうと思っていました。

 ただ、グラフィックはともかく、
『サガ』シリーズではこういったタイプのリメイクをするのは珍しいので、コンセプトには少し悩みましたね。

――悩んだ末に、現在の方向性に決めた理由は?

田付
これは特定のタイトルに限った話ではありませんが、過去に人気だった作品は、当時はオリジナリティがあったとしても、現代だとオリジナリティが失われてしまっていることがあるじゃないですか。人気の要素があったとして、それをシリーズの続編で踏襲することもあれば、ほかのタイトルがオマージュすることもありますし。

――“メトロイドヴァニア”などは、まさにそうしたオマージュで生まれたジャンルですね。

田付
ですが、『サガ』シリーズの作品はいずれも、いまなおオリジナリティが高いです。主人公が代替わりして物語を進めていく“皇帝継承”のようなシステムは、ほかのタイトルにはほぼありません。

 
『ロマサガ2』は、オリジナル版が持つ要素が、いまの世でも新鮮に感じられる要素だったので、ある意味リメイクしやすいだろうと考えました。その新鮮な部分を、現行ハードで遊びやすくすることで、新たなプレイヤー層にも新作感を持って遊んでもらえるだろうと、方針を固めました。

――開発が決まったときの、ジーンさんの反応はいかがでしたか?

田付
スタッフの皆さんが本当に『ロマサガ』シリーズが大好きで、とても喜んでいました。とても『ロマサガ2』を愛してくださっているので、助かった部分もありつつ、意見がぶつかることもありました。こだわりが強いというか、『サガ』原理主義的なところがあって(苦笑)。

――具体的には、どのような部分でぶつかったのでしょうか?

田付
その多くは、“『ロマサガ2』とはどうあるべき”なのか、という部分です。ジーンさんが「『サガ』とはこうあるべき!」と主張する部分も多かったので、そこは悩みどころでした。ただ、幸いにも、河津(※)がいるのが救いでした。
※……河津秋敏氏。『サガ』シリーズの生みの親。

 “これが
『サガ』だ”といった議論になったときに、最終的に河津さんに聞くと「いや、そんなものは『サガ』じゃないです(笑)」と答えてくれるわけです。方針を決める際に揺れ動いたら、最終的には河津に聞きに行っていましたね。

――困ったら生みの親の判断を仰ぐわけですね……! 河津さんとのやり取りは、どのようなものがありましたか?

田付
たとえば、敵キャラクターに、“パイロヒドラ”がいますよね。あのモンスターを3D化するにあたり、どれくらいの大きさで表現するのかで議論しました。「人間キャラクターのドットの4倍の高さがあるので、8メートルくらいの大きさでは?」、「いや、さすがにそれは大きすぎるのでは?」と話し合いまして……河津に聞いたところ「せいぜい3メートルです」と答えて、3メートルくらいに着地しました(笑)。

――オリジナル版から約30年経って、パイロヒドラの正式サイズが判明したんですね(笑)。

田付
モンスターのサイズに関わるお話は、もうひとつあります。『ロマサガ2』のオリジナル版は、戦闘を重ねるごとに敵が強くなっていき、出現する敵が変わっていくシステムですよね。オリジナル版ではモンスターは共通のシンボルで表現されていて、いざバトル画面に移行すると、パイロヒドラのような巨大な敵だったと判明したりするわけですが、リメイク版のグラフィックではそうはいきません。パイロヒドラと戦うのであれば、パイロヒドラのシンボルを登場させないと、違和感がありますから。

 ですがそうなると、パイロヒドラのような巨大な敵がどの場所に出現してもおかしくないよう、すべてのフィールドをパイロヒドラ対応サイズで作らないといけません。当初はパイロヒドラを8メートルで想定していたので、もう、クジンシーの館が体育館みたいなサイズになっちゃう(笑)。それはよくないと思い、本作では出現するモンスターの種類を変えるのはやめて、プレイヤーの強さに合わせてモンスターの強さが変動するようにしようと提案しました。

 ですが、スタッフからは「敵が入れ替わることこそが
『サガ』である!」という意見が出ました。僕も「それは一理あるな」と悩んだので、河津に相談をしました。「(入れ替えはせず)敵が強くなるだけでいいです」と言ってくださり、落ち着きました。といった感じで、河津がいたので、スムーズに進められた部分がありました。

――体育館みたいなマップも見てみたかったですが、落ち着いてよかったです(笑)。河津さんや市川さんから、何かリメイク版への要望はありましたか?

田付
いえ、要望はほぼなかったです。市川は「幅広い層に遊んでもらえるタイトルになれば」と。河津は「好きにやってください、好きにやるのが『サガ』だから」と言っていて、ほとんど任せていただけました。

ただ、
『ロマサガ2』をリメイクすると決まったとき、なぜか『サガ』チームの中で「『ロマサガ2』リメイクは、アクションゲームになるらしいぞ」みたいな噂が広まってしまって。僕はアクションにするなんて、ひと言も言っていないのですが(笑)、なぜか噂が生まれて、それが河津の耳にも入ってしまって。

 それで、
『ロマサガ2R』の話を初めて河津とする際に、河津が「アクションにするんですか……?」と、恐る恐る聞いてきて(笑)。「いやいや、ありえません!」と答えたら、ホッとしている様子でした。ということで、要望ではないですが、さすがにアクションゲームになることを河津は望んでいないようでした(笑)。

ボイス付きで動き回るキャラクターたちに愛着が湧く

――『ロマサガ2』はキャラクターがとても多く、仲間キャラクターだけでも1クラスにつき8人いますよね。リメイクするのも、たいへんだったのではないでしょうか。

田付
キャラクターを現行ハード向けにアレンジするのは、ハードルが高い作業でした。やはり小林智美さんのデザインが人気ですし、オリジナル版のデフォルメのグラフィックも皆さんにとって思い入れのあるものですし。

 どうしようかと考えていたときに、
『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』で、イラストレーターのあんべよしろうさんがクラスチェンジ衣装を担当してくださっていたことを思い出しました。あんべさんは『ロマサガ2』が大好きで、作品についてもとても詳しく、これまでにどんな『ロマサガ2』イラストが描かれてきたのかも把握しています。

 そこであんべさんにお願いしたところ、自分の中ではとてもしっくりくるデザインになりました。ちなみに、本作では統一感を出したくて、サブキャラクターを含めてすべて、あんべさんがデザインしています。

――え! 仲間にならないキャラクターも含めて、すべてですか?

田付
はい、すべてです。あんべさんはデザインをするのがすごく早くて、とても助かりました。小林さんのデザインをベースにしつつ、少しデフォルメ感を足したテイストにできたと思います。そしてデフォルメされつつも頭身はそれなりに高いので、大人っぽさも出せたのではないでしょうか。

 じつは当初は
『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』のキャラクターモデルを踏襲した頭身だったのですが、いざ作ってみると、少し子どもっぽさが際立ってしまうなと感じ、いまの頭身に変更しました。『聖剣伝説』シリーズはキュートな世界観が特徴なので、『トライアルズ オブ マナ』の頭身がフィットしたと思いますが、『ロマサガ2』は王道ファンタジー的な世界観でありつつ、物語はかなりシリアスですから。

 またキャラクターの衣装は、小林さんのイラストの特徴を押さえつつも、現行機のグラフィックで表現した際に、プレイヤーに受け入れてもらいやすいデザインに落とし込んでいます。たとえば宮廷魔術士のエメラルドは、小林さんのイラストでは衣装がすべてオレンジ色で、とても素敵なのですが、3Dモデルにすると単色が目立ちすぎてしまうので、アレンジを加えています。
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――そういえば、『ロマサガ2R』においては、ジェラールの戴冠前の衣装はパジャマには見えませんね(笑)。

田付
あの衣装については、河津に「あれはパジャマなんですか?」と確認も取りました(苦笑)。実際のところは、某SF映画のような雰囲気を出したかったそうです。リメイク版では、下半身を黒にしたり、上着のデザインを変えたりしたことで、今風なカッコよさが感じられるジェラールになったのではないでしょうか。
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――各クラスの仲間についてうかがいます。オリジナル版ではカラーリングの変更のみでしたが、本作ではデザインも変わりますか?

田付
はい、少しだけ変わっていきます。色が変わるだけの部分もありますが、衣装や髪型、装飾が変わったりするので、8キャラクターすべてモデリングが違います。頭身の高い3Dモデルたちが、ただ色違いになるだけだと見ていて違和感があるので、それぞれ個性付けをしています。

 髪型や装飾を変えることで、違和感が生まれてしまうかもという危惧もありましたが、実装してみると、そんなことはなく。今回のデザインで「このクラスの〇〇がカッコイイ!」と、好きなキャラクターが新たに生まれることもあるのではないでしょうか。
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――今回はボイスも入っていますが、各クラスのボイスは、8キャラクター共通のものですか?

田付
はい、そうなります。キャラクターごとに変わると、ボイス量がものすごいことになってしまいますから。ちなみに、イベントシーンはすべてフルボイスです。また、皆さんが気になる七英雄のキャスティングなども今後発表していきますので、ぜひご期待ください。

――各クラスのキャラクターへの思い入れが強まると、皇帝継承をする際の印象も変わりそうです。

田付
本作では新たに、皇帝の椅子に座ると“皇帝退位”というメニューを選べるようになり、世代交代を自分でできるようになりました(※2代連続で退位することはできない)。ちなみに、皇帝継承時に候補となる仲間の数は、オリジナル版より増えています。継承直前にパーティーにいたクラスから、必ずひとクラスは候補に選ばれるようになっていたり、みずから退位した場合は候補の抽選をやり直せたりもするので、より自由に好きな皇帝を選べるようになりました。

 ここまでやるとなったら、“いつでも任意で、好きな仲間を皇帝にできるほうがいい”といった意見もあると思いますが、「自分の好みじゃないクラスが候補になったけれども、使ってみたらなんだか好きになってきた」みたいなところも
『ロマサガ2』の魅力だと思うので、ある程度のランダム性を残しています。
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――となると、オリジナル版で“ルドン送り”などと呼ばれていたプレイング(ルドン高原でわざと敵にやられ、皇帝のLPを0にし、皇帝継承する)はあまり重要ではなくなるのでしょうか?

田付
個人的に推奨はしたくないのですが、一応できます。ちなみに本作では、攻略したダンジョンの敵は消えずに残るので、あえて攻略せずに残しておいたりする必要もなく、ルドン高原でなくともわざと全滅することは可能です。

 ただ、本作はボイスがついているので、LPが0になったときには最期の言葉を残したりもします。3Dモデルもそれぞれ異なるので、キャラクターに愛着が湧くと罪悪感が生まれて、気軽にそういうプレイはできないかと思います。

バトルにタイムラインを採用した理由

――皇帝継承やフリーシナリオといった要素が変わらないのとは対照的に、バトルシステムは大幅に変わっていると思います。行動順がタイムラインで示される、新たなシステムになっていますね。

田付
オリジナル版のバトルは、仲間全員の行動をターンの最初に選択する形式ですが、リメイク版では敵味方の行動順が表示されていて、仲間の番がくるたびに行動を選ぶ形えです。『ファイナルファンタジーX』や『オクトパストラベラー』に近いと言えばわかりやすいかと。

開発当初は、オリジナル版と同じく、最初に全部コマンドを選ぶ仕組みでした。ですが、3Dグラフィックになってキャラクターの頭身が上がると、それではなんだか違和感が出てきてしまって。コマンドを選んだ後に、順番が来るまでじっと待っている味方を見ると、不自然だと感じてしまいます。どうしてすぐに行動しないのか? と。

 本作は物語にのめり込みながら、探索とバトルをくり返すシンプルなRPGですから、敵とエンカウントしたらすぐに、行動順の早い者から攻撃したほうがいいだろうと、タイムラインを採用しました。また、バトルのテンポも重視していて、コマンドを選んだら即座にドンドン攻撃していくような、ハイスピードバトルにしています。

――テンポ重視とのことですが、技・術によっては演出が長いものもありますか?

田付
あります。たとえば“乱れ雪月花”などは、サクっと演出してしまうのはもったいない技ですから、少し長めの演出になっています。
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――オリジナル版は、プレイヤーが視認できない属性やパラメータがあったりして、それがバトルの難度を上げていました。リメイク版ではどうなっているのでしょうか?

田付
オリジナル版は内部的には複雑なパラメータを持っていて、可視化されている部分が少なかったですよね。リメイク版では、そもそも防御力については物理防御力・術法防御力のふたつに統一しているので、わかりやすくなりました。系統は複数ありますが、弱点はバトル中にアイコンとしても表示され、確認しやすいです。

 また、技の“閃き”ですが、どの技を使えば新たな技を閃けるのかをアイコンで確認できるようになりました。そして閃きやすさも、アイコンの輝きの強さで判別できます。それと、オリジナル版ではキャラクターごとに習得可能技が異なりますが、それを確認する方法がありませんでしたよね。閃くことが不可能なのに、プレイヤーはそれをわからないので、閃かない攻撃をくり返してしまう……ということもありましたが、本作ではキャラクターごとに閃く技を確認できます。

 さらに、キャラクターの育成につながる“技術点”も、要素ごとに技術点ゲージが表示されるため、いつ能力がアップするのかわかりやすくなりました。ですので、装備選択や育成の部分はガラリと遊びやすくなっています。
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――とても現代的に遊びやすくなっているんですね……! オリジナル版では戦闘回数に応じて敵が強くなり、敵から逃げたとしても戦闘回数にカウントされ、「逃げ続けた結果、敵に勝てなくなって詰んだ……」という事態が起こってしまうことがありましたが、本作ではどうですか?

田付
逃げても戦闘勝利回数にカウントされませんので、いくら逃げても大丈夫です。ただ、退却を選ぶとBPが減らされますし、退却を繰り返しても成長はしないので、ボス戦では苦労するでしょう。本作では“どれだけイベントをこなしたか”を敵の強さ決めの基本にしつつ、戦闘勝利回数を少し加味しています。ですので、オリジナル版に比べて“詰み”は起きにくいと思います。レベリングのようなこともできますし。

 一方で、本作には難易度設定がありまして、いわゆるハードモードに近い“オリジナル”難度を選べば、シリーズファンが求めるような歯応えのある戦いも楽しめます。

 レベリングができると「そんなの
『ロマサガ2』じゃない!」と言われてしまうかもしれませんが、戦闘勝利回数が増えるというデメリットは残っていますから、遊びやすくなっただけであって、決してヌルくなったわけではないです。逆に「『サガ』シリーズに興味は持っているけど、難しい」と思って触ったことのない方は“カジュアル”を、通常のRPGをよく遊ぶ方には“ノーマル”で遊んでいただければと思います。難易度についてはゲーム内のオプションからいつでも変更できますので、自分のプレイスタイルにあったものを選んでいただければと思います。また、先ほど触れた“閃きの可視化”や“タイムライン表示”などといったものもオプションでオフにすることが可能なので、よりオリジナル版に近い感覚でも楽しんでいただけるようになっています。
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――育成しやすくなっただけで、『ロマサガ2』の根幹にある、七英雄をどの順番で攻略していくのか、どう世代を継承していくのかといった、プレイの自由さやマネジメントの魅力は変わらないのですよね。

田付
そこは変わっていません。プレイヤーによって攻略順が変わっていくのが、やはりおもしろいところです。ボスが強いので別の場所を攻略することにして、そこで強くなってから再チャレンジしたり、新たな装備品を得て強くなったり……という要素は変わりません。この自由さは、いまのオープンワールドゲームに通じるものですよね。

――確かに、画面の切り換えこそ挟みますが、自由に進めて、どのボスから攻略していくか、イベントをどんな手順でこなしていくかを考えるというのは、オープンワールドが持つ魅力に近いです。それを1993年に実現していたというのは、改めて驚きですね。

田付
また、本作では戦闘回数を重ねると、クラスごとに“アビリティ”を取得でき、さらにそのアビリティを極意化することで、特殊効果をほかのキャラクターに付けることができます。戦闘回数を重ねることで強くなれる要素がさらに追加されていますので、攻略の幅はとても広いです。

――本作ではバトルで敵の弱点を突くことで、“オーバードライブ”ゲージが溜まり、連携技を放てる新要素があります。アビリティの要素も相まって、弱点が突けることを重視したパーティーメンバー選びが重要になるのでは? という印象を受けました。

田付
アビリティについては、いろいろなアビリティを持っていたほうが有利に戦えるので、いろいろなクラスを試すこともあるでしょう。弱点については、敵は弱点属性を複数持っていますので、「弓属性の仲間がいないのでゲージが溜まらない!」といったことはありません。

 ボスも弱点が少ないことはないですし、連携技はあくまで攻略の鍵のひとつで、使わなくても攻略できます。
『オクトパストラベラー』は、弱点を突いて敵をブレイクすることが基本にあるシステマチックな戦闘ですが、『ロマサガ2R』はそうではなく、バトルの中心となるのはあくまで、通常の攻撃や防御、回復になっています。

――今日、お話を聞いていて、とにかく『ロマサガ2』の見どころを幅広い層に伝えるために、わかりやすさや遊びやすさを重視していることがわかりました。ほかに、オリジナル版と比べて、遊びやすくなっている要素はありますか?

田付
目的へのガイドが表示されるようにして、迷わないようにしていますし、導線のない部分や説明のなかった部分にはとにかく手を入れています。ただ、ファンの方の中には「要らない」という人もいると思うので、追加の表示物はだいたい消せるようになっています。先ほどご説明した、閃きやすさのアイコンなどもすべて非表示にできます。

 それと、どこでもセーブできる機能は削除しました。後戻りできないところでセーブをして、詰んでしまうのを避けるためです。ですが、セーブポイントは豊富に用意してありますし、セーブデータは20個、 オートセーブ機能ももちろんありますので、困ることはないと思います。ボス戦前にはセーブポイントといっしょにBP回復ポイントもありますので、その点も便利になっていると思いますね。

――『ロマサガ2』は魅力的なゲームですが、詰んでしまうポイントがあるために、ゲームに不慣れな人はクリアーできないのが難点でした。そこが『サガ』らしい魅力でもあったのですが、今回は非常に幅広い層のプレイヤーが楽しめそうです。

田付
自分は『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』を、ファミコン版ではクリアーできず、スーパーファミコン版でクリアーしたという経験があります。リメイク版を作るときは、スーパーファミコン版の『ドラゴンクエストIII』のような、原作の魅力を損なわずに間口を広げるということを意識しています。
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マップでの移動も便利に。アバロンに関しては、玉座や酒場などにダイレクトに移動できるようになった。

プレイ時間は40~50時間程度を想定

――今回はイベントシーンも、すべて一新された3Dグラフィックで表現されるんですよね。

田付
リアルさが増して、かなり見えかたが変わってくるイベントもあると思います。原作ではアッサリと表現されていたシーンも、リメイク版で見ると、シリアスさや悲惨さを強く感じられるかもしれません。

――ああ、コムルーン火山ですとか、カンバーランドとかはそうなりそうですね……。ちなみに“アリ”はどうなるんでしょうか?
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田付
詳細はまだお伝えできないのですが、とても気をつけながら制作しました。ちなみにボイス収録の際、台本を読むだけではそのシーンを想像できないという声優さんのご意見がありまして、実際のシーンを見ていただいたら、あまりのシーンにものすごく驚かれていました。

――3Dグラフィックのアリ……! ところで、今回は“リベンジオブザセブン”というサブタイトルがついていますが、これはどういう意図から付けたものなのでしょうか。名前から見て七英雄絡みの何か、追加要素があるようにも見えますが……。また、本作ならではの追加要素や、または過去に移植・リマスター作品が出た際に追加されていた要素の登場などは……?

田付
リメイクと付けずに、名前を付けた理由はあるのですが、いまはまだ語れません。ただ、意味はちゃんとあります。ほかの追加要素の有無も含めて、今後の続報をお待ちいただければと思います。

――原作経験者としては、河津さんが書き下ろした新テキストはあるのか? というところも気になりますが……。

田付
今回、河津は監修のみを担当しているので、書き下ろしのシナリオはありません。

 なお、本作のテキストは、すべてがオリジナル通りというわけではありません。もとのままだと、3Dグラフィックのイベントと合わないところがあります。物語を補間する意味でも、そしてボイスをしっかり立たせるためにも、テキストを調整しました。もちろん、物語の内容は変えていませんし、もとの味わいも残しています。

――プレイボリュームはどのくらいになりますか?

田付
開発当初は20~30時間くらいを想定していたのですが、テストプレイの結果を見ると、だいたい40~50時間かかっていますね。

 
『ロマサガ2』のオリジナル版は、簡素で短いダンジョンもありますが、本作ではやり応えをアップさせるためにダンジョンを拡張しています。3Dだからこその探索の楽しさもあり、それらの影響もあって、プレイボリュームが増えていると思います。

――体験版や試遊会など、発売前にプレイヤーが触れられる機会は予定していますか?

田付
何かしらの手段で触れていただきたいとは考えていますので、続報をお待ちください。
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