2024年7月19日(金)~21日(日)の3日間、京都・みやこめっせにて開催されたインディーゲームの祭典“BitSummit Drift(ビットサミット ドリフト)”にて国内初のプレイアブル出展となった、シンガポールのゲームスタジオ・TrueWorld Studiosが開発中のシングルプレイヤー用ボスラッシュFPS『UNYIELDER』。
本作はさまざまな種類の武器やスキルを駆使しながらハイスピードなボスとのタイマンバトルが楽しめるローグライトFPS作品です。
イベント直前には、集英社ゲームズがグローバルパブリッシャーとして協業することが発表された本作について、開発者のレスリー氏とヨスア氏、集英社ゲームズの伊藤ダリン氏に話を伺いました。
Leslie Ng氏(写真中央)
TrueWorld StudiosのCCOで創設者。本作ではクリエイティブディレクターを務める。文中はレスリー。
伊藤ダリン氏(写真左)
集英社ゲームズのシニアプロジェクトマネージャー。文中はダリン。
Joshua氏(写真右)
TrueWorld Studios所属。本作のゲームデザイナー。文中はヨスア。
目指すところは「初心者でも遊べるタイトル」
ーー集英社ゲームズがグローバルパブリッシャーを担当することが発表されましたが、まずは率直な感想を聞かせてください。
レスリー
もともと集英社の漫画作品などのファンですし、大手なのは知っていたので、決まったときはドキドキしました。
ーーそもそも集英社ゲームスはどのような経緯で本作のパブリッシングをすることになったのでしょうか。
ダリン
マレーシアの展示会で本作のデモ版が展示されていて、そこで初めてプレイしました。きっかけとしては、やはりデモ版がおもしろかったことですね。タイマンでボスラッシュをするFPSというコンセプトは珍しかったので、ぜひパブリッシングしたいと思いました。そのときはレスリーとTrueworld StudiosのCEOさんとお話して、いまにいたるという感じです。
ーー集英社ゲームズと本作の関わりかたとしてはどのような形でサポートしているのでしょうか。
ダリン
テストとかバグ報告、調整やディレクションにも関わらせてもらっています。私は昔はコアなFPSゲーマーだったので、動きや操作などをいろいろ確認しつつ、フィードバックをお伝えしながらアップデートとプレイをくり返しているような形です。いまのビルド(BitSummitで展示されていた体験版)も、最初にマレーシアで遊んだときからレズリーと相談して結構変わっているんですよ。
ーー具体的にはどのようなところが変わったのでしょうか?
ダリン
敵の攻撃パターンや、UIの調整とか、今回のBitSummitのためにコントローラーの対応なども行いました。まだゲーム自体が調整中ということもあって、今回のコントローラーの対応もけっこうたいへんで、じつは1ヵ月くらいかかっているんです(笑)。
ーーそんなにたいへんな作業だったんですね……。かなり密に連携を取られているようですが、レスリーさんは集英社ゲームズとのゲーム作りはいかがでしょうか。
レスリー
ダリンさんのような素晴らしい方に助けていただいて、とても素敵な体験です!
ブースではコントローラーとキーボードでゲームをプレイできた。
ーー僕も今回初めてプレイさせていただきましたが、とくに戦闘のスピード感が物凄く印象に残っています。そういった部分はこだわりのひとつだったりするのでしょうか?
レスリー
もともとチームメンバーも『VALORANT』や『Apex Legends』、『Unreal Tournament』、『Destiny』などのハイスピードなFPSのファンだったので、入れたい要素のひとつでしたね。
ーー難度はけっこう高めな印象でしたが、くり返し挑むようなデザインを想定されたタイトルなのでしょうか?
レスリー
そうですね。ゲームバランスとしては難しめにデザインしていて、何度もリトライして難しいボスを倒すことで爽快感が得られるような内容を考えています。ですので、タイトルも”UNYIELDER(不屈な者)”なんです。
ーー僕は体験版ですら屈しかけましたが、何回かプレイしてやっと最初のボスを倒せたときはかなりの快感がありました! 死んでしまうと獲得したパークなどもなくなってしまって、完全に1からリスタートするような形になるのでしょうか。
レスリー
獲得したパークはすべてなくなるデザインですが、それとは別にレベルアップしたプレイヤーのスキルなど、一部残るものがあったりはします。
ーー入手できる武器やパークの種類はどのくらい実装される予定なのでしょうか?
レスリー
武器は24種類ほどを予定しています。製品版ではパークだけでも60種類くらいを予定しているので、けっこう豊富な数になると思います。
ダリン
パークは宝箱から得られるスキルで、3つの中からひとつを選択できるのですが、製品版では同じパークを獲得すると強化できるシステムも予定しています。そのほかにも、ゲームを進めていくとより強いパークが入手できたりというシステムの実装も考えています。
ーー豊富な武器やパークから自分のプレイスタイルに合うものを集めて戦っていく感じなんですね。かなり特徴的な本作ですが、とくにこだわったポイントというのはどういったところだったのでしょうか?
レスリー
このタイトルに限らず、会社として何よりこだわっているのは「誰でもゲームを遊べる」というのを重要視しています。初めて触るコントローラーでも楽しめるような、初心者から上級者まで楽しめるようなタイトル作りを大切にしています。
ーー僕もFPSが得意というわけではありませんが、回避の重要性に気がついた途端に惜しい戦いができるようになって、かなり楽しめました。でも、ある程度難しいデザインでありつつ、誰でも遊べるゲームを目指すというのは、ゲームバランスの調整がたいへんそうですね。
レスリー
開発チームのなかで、とくにFPSがうまいのはデザイナーのジョシュワンなのですが、じつは僕もFPSはそんなに得意ではないので、何度もチャレンジしながらテストしているんです。
ーーでは、開発チームの全員が手練れのFPSプレイヤーということではないんですね。
ヨスア
レスリーさんがプレイしてくれることで、あまり慣れていない方の意見も得られるので、ゲームが難しすぎないように調整するためにはありがたい存在ですね。
ダリン
会社の中の方でもいろいろなスキルレベルの方がいるので、それでフィードバックを得ながら調節している感じです。
ーー僕のようなプレイヤーも楽しめる作品になりそうで安心しました! ゲーム全体のボリューム感としてはどのくらいを想定されているのですか?
レスリー
ボスもだんだん強くなっていきますし、リプレイアブルなコンテンツも入っています。あとは隠し要素もいろいろ用意していますね。それを遊んでもらったり、ストーリーラインもしっかりとしたものがあります。くり返しプレイするような部分を除けば、20時間くらいは遊べるボリュームになっています。
ーーボリュームが多いとなるとボスの数も多そうですね。
レスリー
製品版ではだいたい30種類くらいのボスを予定していて、ラスボスにも少し隠し要素があったりするという感じです。
ーー本作のラスボスにはカスタマイズできる要素があるようですが、こちらはどういったシステムなのでしょうか。
ダリン
本編で敵を倒すと、体力やシールドの回復アイテム、弾薬、武器に加えて、ボスのパーツがドロップするんです。そのランダムで入手したパーツを装備したラスボスが登場して、そのラスボスと戦うといった形になります。
ーーでは入手したパーツによってラスボスが強くなったり、逆に戦いやすくなったりといったこともあるのでしょうか。
ダリン
そうですね。組み合わせによっていろいろなバリエーションがあるので、毎回違ったラスボスと戦うことができます。
ーー早く戦って戦ってみたいです! ボスのデザインもロボット型でカッコいいものが多く、かなりこだわりを感じた部分でした。
レスリー
ロボット型のボスはとくにこだわっていて、ストーリーにも関わる部分だったりします。プレイしていくうちに「なぜこのロボットたちと戦っているのか?」という理由もわかるものになっています。あと、ロボットのボス以外にもヒューマノイドタイプのボスも登場予定です。
ーーヒューマノイド型のボスということは、サイズもプレイヤーと同じくらいのサイズ感なのでしょうか。
レスリー
プレイヤーと同じサイズ感ですね。ちなみにデザインしたのはヨスアです。
右手の女性キャラクターなど、まだまだ謎が隠されているキービジュアル。
ーーサイズが小さいぶん、なかなか手強い敵になりそうですね……。現段階の開発進行度としてはどのくらいですか?
レスリー
進行度でいうと70%くらいです。コンテンツやモデルとかは全体の80%くらいは完成しています。
ーーではあと少しという感じですね。2025年の発売が楽しみです! では最後に、楽しみにしている方々へ向けてメッセージをお願いします。
レスリー
絶対にあきらめるな。
ダリン
FPSをプレイしている方もそうではない方も、自分の限界を突破してみてください!