本作はMithril Interactiveが開発、発売するPvPvE形式の一人称視点のサバイバルアクション。プレイヤーはファイターやプリーストなど、個性豊かなクラスから好きなものを選び、モンスターや他プレイヤーが跋扈するダンジョンに潜入。行く手を阻む敵を倒して戦利品を獲得し、生きて脱出するのがおもな目的となる。
そんな本作の早期アクセス版(PC版)が2024年7月19日にSteamにて配信開始した。本稿では早期アクセス版をプレイして判明した、本作の特徴や魅力をレビューとともにお届けする。記事の後半には本作の開発プロデュースを担当したエルビス氏へのインタビューを掲載。開発の経緯や想い、参考にしたゲームなど、気になるお話を聞くことができたのでお見逃しなく。
- 剣と魔法が織りなす重厚なファンタジーアクションRPG。探索モード(PvPvE)の流れを紹介
- 8つのクラスと緊張感のあるゲームシステムがもたらす究極の中毒性
- 開発者インタビュー「コアユーザーとライトユーザー、双方が楽しめるゲームシステムを追求」
剣と魔法が織りなす重厚なファンタジーアクションRPG。探索モード(PvPvE)の流れを紹介
ダンジョン内で命を落とすと、身につけている装備やバッグ内のアイテムがすべて消えるという骨太かつハードなゲームシステムがコアゲーマーたちを魅了。そのゲーム性から配信界隈でも注目を集めている一作だ。
1.キャラクターを作成
2.ダンジョンを選択
現在実装されている探索モードのメインダンジョンは“罪人の牢獄”と“クルーゾーの城”のふたつ。いずれもモンスターやプレイヤーと戦いながら、ダンジョンからの脱出を目指すというルールだが、一点だけ大きな違いがある。その特徴は以下のとおりだ。
“罪人の牢獄”
時間経過とともに、ダンジョン内の行動可能範囲を示す“護りの円陣”が縮小していく。護りの円陣の効果範囲外にいると、魔法の侵食による継続ダメージを受ける。
ゲーム開始から一定時間(約15分)が経過すると、ダンジョン全体が闇に飲み込まれ、脱出できなかったプレイヤーは全員即死する。
時間内であればダンジョン全体を自由に探索できるクルーゾーの城は初心者向け。対する罪人の牢獄は、護りの円陣の範囲をつねに気にしなければならないうえに、上下に動く足場や巨大な振り子刃、地面から飛び出すトゲなど、トラップがテンコ盛りなので中級者・上級者向けだ。
なお、本作はひとりのプレイヤーとパーティのプレイヤーがマッチングすることは決してない。そのため、パーティを組んだほうが有利ということもない。
3.ダンジョンに侵入
ダンジョン内でモンスターや他プレイヤーと遭遇したら本格的に戦いが始まる。プレイヤーの戦闘手段はおもに3つ。まずは武器によるアクション。剣を振り回したり、杖から属性魔法を放ったり、盾でガードするなど、武器に応じてさまざまなアクションがくり出せる。使える武器の種類はクラスごとに異なるので、自分のプレイスタイルにあったクラス・武器の組み合せを見つけるのも醍醐味のひとつだ。
本作では敵の頭を攻撃すると会心(クリティカル)が発生し、より多くのダメージを与えられる。モンスターによっては怯んでスキが生まれることもある。またスケルトンの場合は四肢を攻撃すると、その部位が壊れてバランスを崩す演出もあり、戦闘描写にはかなりこだわっている印象を受けた。
このように、本作では武器、スキル、アイテムの3つを駆使してモンスターや他プレイヤーと熾烈な戦いをくり広げていく。PvPvEならではの要素として、モンスターと戦っているプレイヤーを背後から襲って漁夫の利を狙ったり、モンスターを誘導して他プレイヤーを襲わせてそのスキに逃げたりといった、システムを有効活用した戦略も楽しめる。
ちなみに本作は一部の攻撃を除き、ほとんどの攻撃にフレンドリーファイヤー(仲間から仲間へのダメージ)が付与されている。戦うときは仲間を巻き込まないように注意しよう。
4. 装備品やアイテムをゲットする
手に入れた装備品をその場で身につけてもいい。装備品にはレアリティがあり、高いものほど強力な効果やステータスが付与されていて、キャラクターを一気に強化できるようになっている。また、付与されているステータスはランダム性が強く、ハックアンドスラッシュのようなゲーム性も持ち合わせている。
戦利品は宝箱や、ダンジョン内に雑多に置かれた机の上からも手に入ることも。探索するときは周囲をよく観察することが重要だ。
なお、ダンジョンからの脱出に失敗(キャラクターが死亡)すると、バッグ内にあるものや装備しているものがすべて消失する。身につけている装備はすべて初期のボロ装備になり、バッグの中はスッカラカンに……。もちろんダンジョン内で拾った戦利品も根こそぎ消えてしまう。これが本作の怖いところだ。アイテムの中には装備品の消失を防ぐものもあるが、消耗品で効果も永続ではないため、過信は禁物。どんなに強力な装備でもいつかは失う可能性がある、その緊張感が本作のゲーム性に深みを与えるスパイスとなっている。
5.強敵やレッドゲートに挑んでさらなる戦利品を手に!
さらにハイリスク・ハイリターンな要素として、“レッドゲート”というものがある。これはダンジョン内に生成される赤色のゲートで、中に入るとより強力なモンスターが潜む専用ダンジョンへと移動できる。こちらにも護りの円陣があるため、悠長に探索や戦闘をしている暇はない。
6. 護りの円陣をつねに確認
また、護りの円陣の行動可能範囲が狭まることで、他プレイヤーと遭遇する可能性も高まる。とくに終盤は狭いダンジョン内に複数のプレイヤーが密集するため、戦闘が起こりやすい。いつでも戦える準備をしておこう。
7. 転送ポータルまたは固定脱出ゲートで生還
ただし、ダンジョン内で拾えるアイテム“儀式の巻物”を持たずに、転送の儀式を行うと周囲のプレイヤーに自分の位置がバレてしまう。儀式の巻物は比較的入手しやすいので、転送の儀式を行う前に見つけておきたいところだ。
もうひとつのクリアー手段である固定脱出ゲートも時間経過によって解放される。転送ポータルと違って、マップにゲートの位置が表示される上に転送の儀式を行う必要がない。便利な反面、固定脱出ゲートを利用しようとするプレイヤーを狙う者や、プレイヤーどうしが鉢合わせして戦闘に発展するパターンもあるため、転送ポータルとは違ったキケンがつきまとう。
ちなみに転送ポータルおよび固定脱出ゲートはひとつにつき、プレイヤーひとりしか脱出できない。使用したらそのポータルおよびゲートは消えてしまう。パーティプレイでもその特性は変わらない。そのため、パーティの場合は人数分の脱出方法を用意しておかないと、あとあとケンカになるかも……。
8. 帰還後は戦利品の整理
NPCはアイテムの売買を行う“行商人”、消耗品や素材の販売を行う“錬金”、装備品を分解して素材に変換し、その素材で新たな装備品をクラフトする“エアルーム”の3人がいる。戦利品をお金にするか、素材にするかはプレイヤー次第だ。
先ほど触れたトレードでは自分も装備品を購入できる。お金を貯めて強力な装備品を確実にゲットするのもありだ。
これが探索モード(PvPvE)のおもな流れとなる。簡単に言えば、ダンジョンで敵を倒して戦利品を手に入れて脱出し、それで装備を更新したり、お金を稼いだりする、という感じ。ゲーム性は至極シンプルだが、脱出に失敗したらすべてロストというのが本作の肝となっている。ダンジョンから脱出するためにどういう立ち回りが必要なのか、装備品とアイテムをどれだけ持ち込むのか、そういった作戦を事前に練るのがかなり重要となる。
8つのクラスと緊張感のあるゲームシステムがもたらす究極の中毒性
多彩な武器を使いこなす、高HPの近接アタッカー。剣でバシバシ斬ったり、盾でダメージを抑えたりしながら戦いたい人におすすめ。フレンドリーファイヤーを無効化するパッシブスキルがあるので初心者にもおすすめ。
味方の回復とサポートに長けたヒーラー。回復魔法が使えるので他クラスよりも生存性が高いものの、HPや防御力が低い。ひとりでも戦えるが、パーティ戦で真価を発揮するタイプだ。
姿を消す“スニーク”を使って戦う盗賊。移動速度が速く、ダンジョン探索を快適に行える。石化(行動不能になるが、被ダメージが100%軽減)や移動速度低下といった妨害系のスキルが多め。HPや防御が低く、真正面からの殴り合いに弱い。
ファイアボールによる遠隔攻撃が可能な魔法アタッカー。敵に近づかれる前に大ダメージを与えられる反面、スキルの詠唱が長い。近づいてくる敵を後退させるスキルを持っているので、ひとりプレイでも戦いやすい。
アンデッドの近接アタッカー。継続ダメージや敵を引き寄せる技など、相手の戦闘ペースを乱すのが得意だ。
氷魔法に長けた遠隔アタッカー。移動速度を低下させる妨害系スキルを多く持つ。スキルの発動中はほかの操作ができないため、ひとりで使う場合はくり出すタイミングが重要になる。
魔法で生成した剣“魔剣”を飛ばしたり、自身に纏わせたりして戦う剣士。魔剣を使うことで近接と遠隔、どちらのレンジにも対応できる。
自然の力を扱う万能アタッカー。変身能力や怪物の召喚に長けており、柔軟な立ち回りが可能。
ファイター、プリースト、ローグ、パイロマンサーは王道と呼べるクラスでクセが少なく、初心者でも扱いやすい。対してデスナイト、クライオマンサー、ソードマスター、ドルイドはスキルが個性的でややクセが強め。
こんな感じで幅広い層のプレイヤーを想定したクラスが用意されている。装備とスキルを組み合わせてビルドを構築するという遊びも可能だ。レベルを上げる要素もあるため、RPGとして楽しむこともできるのが大きな魅力と言える。
醍醐味はさまざまなドラマが生まれる3人での協力プレイ
なお、本作の会話手段はチャットとボイスチャットのふたつ。ボイスチャット機能はオフにすることができるので、「知らない人とボイスチャットするのが苦手……」という人も安心して遊べる。
パーティプレイの魅力は何と言ってもプレイの幅が広がる点だ。まずは編成による戦いかた。たとえばファイター、パイロマンサー、プリーストのパーティの場合、ファイターが敵に接近して盾で攻撃を受け、そのスキにパイロマンサーが遠隔ダメージを与え、そして傷ついたファイターをプリーストが回復するというクラスどうしの連携が可能となる。モンスターの処理が圧倒的にラクになるし、皆で攻撃するワチャワチャ感も楽しい!(ただしフレンドリーファイヤーには要注意)
パーティどうしのバトルも見どころのひとつ。ひとりのときよりもプレイヤーどうしの駆け引きがさらに強まり、戦闘の迫力も増す。真正面からぶつかりあうだけではなく、待ち伏せや不意打ちといった戦法を駆使するパーティもあり、つねに新鮮な気持ちで楽しめた。
強敵に挑みやすいのもパーティプレイの利点だ。ひとりで戦おうとすると、敵との間合いが取りづらかったり、HPの回復がポーション頼みになってジリ貧になったりと、うまく立ち回れないことが多い。パーティプレイではそういった弱点を仲間どうしで補えるのが大きい。
今回のプレイではクルーゾーの城にいる強敵“キュクロプス”と対峙。3分半にも及ぶ死闘の末、見事討伐に成功した。そのときの編成はファイター、パイロマンサー(筆者)、プリースト。ファイターが敵を引きつけ、筆者とプリーストが背後や側面から魔法で攻撃した。キュクロプスはレアな指輪をドロップし、パーティメンバー一同、大喜びだった。こんな感じで苦労に見合った装備が手に入るのも強敵戦の醍醐味だ。
パーティプレイの利点はそれだけではない。“蘇生の石”というアイテムを使うことで、死んだ仲間を蘇らせることもできる。また“蘇生の石”がない場合は、パーティメンバーの装備品を回収して脱出することで、その装備品が所有者の元に返却されるというシステムもある。
このようにパーティでの冒険はプレイの幅を広げつつも、勝利や敗北、思わぬハプニングといったさまざまなドラマをもたらす。ちなみに今回のプレイでは20戦近く野良でパーティプレイをしたが、チャットはほとんど使わなかった。それでも上記のようなクラスどうしの連携や強敵の討伐、他プレイヤーとの交流が堪能できた。もちろんチャットを駆使すれば、より綿密な連携が可能になるし、交流もしやすくなるので好きな人は、ドンドン使っていくといい。
トレードやほかの遊びも豊富でやり応え満点!
とくに本作の場合は、ダンジョンで脱出に失敗すると、装備品も全ロストするため、「どうせ失うなら、売ってカネにしよう」と考える人も少なくない。コツコツと資産を築いて金策を楽しむのもいいし、貯めたカネでロストした装備よりもさらに強力な装備を購入してダンジョンに挑んでもいい。プレイヤーのモチベーションの維持にも繋がるので、個人的にトレードはイチ押しの要素だ。
プレイヤーの中には装備品やアイテムを失いたくない人もいるだろう。そういう人は探索モードの“ミスリルの結社”やアリーナモードがおすすめ。ミスリルの結社はファイター、プリースト、ローグの専用クラスから好きなものを選び、ダンジョン内にいる他プレイヤーの討伐を目指す要素だ。装備品やアイテムはすべて貸与されるため、戦闘不能になっても所持品を失う心配が一切ない。ダンジョン内でプレイヤーが他プレイヤーを倒すと名声が高まり、よりレアリティの高い装備品が借りられるようになる。
アリーナは他プレイヤーとのチームバトルを楽しむPvPモード。敵モンスターに一切邪魔されず、武器、魔法、スキルを駆使して好きなだけ戦える。装備品は戦闘開始前に、最高レアリティのものが支給されるため、ミスリルの結社同様、敗北による消失を気にせずに楽しめる。
上記のゲーム性が肌に合わない人はローリスク・ローリターンで遊べるミスリルの結社がおすすめ。装備品の収集やトレードはできないが、本作の醍醐味であるダンジョン探索、アクション、パーティプレイはこちらのモードでも十分楽しめる。
ぜひこの機会に基本プレイ無料のPvPvEサバイバルアクション『Dungeonborne』で、PvPvEがもたらす緊張感と作り込まれたアクションを体験してみてはいかがだろうか。本作のダウンロードはSteamページから行える。またDLC『Dungeonborne - ミスリル支援セット』も好評発売中。こちらは松明とマントの専用スキンに加え、スタートダッシュに役立つ複数の回復アイテムと投擲アイテムが手に入る。
開発者インタビュー「コアユーザーとライトユーザー、双方が楽しめるゲームシステムを追求」
――自己紹介をお願いします。
――『Dungeonborne』のコンセプトやテーマを教えてください。
――『Dungeonborne』というタイトル名には、どういった意味や思いが込められているのでしょうか?
――『Dungeonborne』を一人称視点のPvPvEにした理由をお聞かせください。
――本作はアクションゲームとファンタジーRPGの要素をうまく融合させたバトルシステムが大きな特徴だと感じました。そんなバトルシステムのこだわりを教えてください。
――装備とアイテムを全ロストする可能性のあるハイリスク・ハイリターンなゲーム性はコアユーザーを魅了する反面、ライトユーザーを遠ざけてしまう可能性があると思います。本作ではどのようにして、コアユーザーとライトユーザーの双方が継続して遊べるようなシステムを導入しているのでしょうか?
開発チームは“エアルーム”と“ミスリルの結社”、このふたつのシステム、およびいくつもの仕様でハイリスク・ハイリターンの体験を保証すると同時に、可能な限りローリスク・ローリターンの体験も確保できるようにしています。そういった甲斐もあり、ユーザーのフィードバックで「コアユーザーも、ライトユーザーも、両方が楽しめる」という言葉を多く聞くことができ、ホッとしました。
――レッドゲートはリスキーさが増しておもしろい要素だと感じました。レッドゲートを導入した理由について教えてください。
――対人戦闘の多い本作ではクラス間のバランス調整も重要ですよね。その辺りの調整は苦労されているのでは?
――装備には『ディアブロ』シリーズのようなハックハンドスラッシュ性を感じました。装備の設計については『ディアブロ』シリーズなどを意識しているのでしょうか?
――ユーザーの中には継続的な課金要素の存在を好まない人もいると思います。開発としては、こういった課金要素の存在についてはどのようにお考えなのでしょうか?
――最後にユーザーに向けてメッセージをお願いします。
そして私たちが今日まで歩み続けることができたのはファンの皆さまの信頼、サポート、理解があったからこそです。いままで応援してくれた皆さまに心から感謝を申し上げます。これからも私たちは長期的なサービスを提供し、より多くのコンテンツを更新して、皆さまに楽しい時間を提供することをお約束します。これからも『Dungeonborne』をよろしくお願いします!