『ミリシタ』7周年記念、狭間和歌子Pインタビュー。『ミリオンライブ!』10周年イヤーの振り返りや、『ミリアニ』の裏話など、気になることを直撃

by北埜トゥーン

byギャルソン屋城

更新
『ミリシタ』7周年記念、狭間和歌子Pインタビュー。『ミリオンライブ!』10周年イヤーの振り返りや、『ミリアニ』の裏話など、気になることを直撃
 『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』(以下、『ミリシタ』)が2024年6月29日、配信7周年を迎えた。それを記念して、『アイドルマスター ミリオンライブ!』(以下、『ミリオンライブ!』)のプロデューサーを務める狭間和歌子氏に、この1年での『ミリシタ』やアニメ、ライブツアーなどの振り返りや、今後の展開について語っていただいた。

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※本インタビューは2024年5月上旬に実施しました。 ※本インタビューは2024年6月13日発売の週刊ファミ通(2024年6月27日号 No.1853)に掲載したものに加筆、修正を行ったものです。 ※本記事では、『アイマス』はゲーム『アイドルマスター』もしくは『アイドルマスター』シリーズ全体、『ミリオンライブ!』はソーシャルゲーム『アイドルマスター ミリオンライブ!』もしくは『ミリオンライブ!』プロジェクト全体の略称として使用しています。

狭間 和歌子ハザマ ワカコ

バンダイナムコエンターテインメント所属。配信番組の司会などでもおなじみの『ミリオンライブ!』プロデューサー。文中は狭間。

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想いが重なり合って生まれたアニメプロジェクト

――『ミリオンライブ!』10周年というタイミングも重なり、数多くの大きなイベントがあったこの1年。ゲームやライブなど、それぞれについて振り返っていただけますか?

狭間 
まずはゲームに関してですが、2023年前半から引き続き行われていた投票企画の“MILLION C@STING!!!”に始まり、夏にはアニメと連動した“ANIMATION STAGE”、そして新しいガシャの“ミリオンリンケージ”など、いままでと違う取り組みがつぎつぎと形になっていきました。私自身も展開が予想できないなか進んでいった1年になりましたね。

――その中でもとくに印象に強く残っているものをひとつ挙げていただけますか?

狭間
 やはりANIMATION STAGEには思い入れがあります。アニメの企画が始まったのは6~7年くらい前なのですが、初期の段階から開発チームにも入ってもらって「ゲームとアニメを連動した展開をしていこう」という話をしていたんです。それから紆余曲折があったのですが、開発チームがアニメのストーリーを広げるような形で連動企画をまとめてくれたのは、本当にうれしかったです。

 それからもうひとつ、ミリオンリンケージも挙げさせてください。もともと
『ミリシタ』はどの曲をどのアイドルが歌唱してもいい、というところがあるのですが、今回ミリオンリンケージで新たな組み合わせを提示し、イベントの形で表現したことで、無限のコラボレーションの可能性をお見せできたかと感じています。

――アニメの企画は6年以上も前から始まっていたということですが、放送が終わったいまだからこそ話せることなどありますか?

狭間 もともと
『ミリオンライブ!』では、アイドルひとりひとりの“設定資料”というものをあまり用意していなかったんです。『ミリシタ』を開発する際に、各アイドルのプロフィール設定などが追加されましたが、アニメを作るにあたって、さらにアイドルたちを深掘りできるようなものを用意することになりました。

 バンダイナムコスタジオの東さん(東義人氏。
『ミリシタ』コンテンツディレクター、シナリオ統括)と私、それからアニメで脚本を担当された加藤さん(加藤陽一氏。『ミリアニ』シリーズ構成・脚本)の3人で何回も会議を行い、アイドルたちの設定を深めていく作業をしたんです。

――アニメ化の大きな副産物ですね。

狭間 
その一方でさまざまな映像も試作していました。アニメ制作を白組さんにお願いするきっかけとなった『Precious Grain』の映像以外にも、3Dモデルのアイドルたちの掛け合いで群像劇を表現してみたり、アイドル3人に絞って動かしてみたり……などいろいろな形を模索しながら、最終的に白組さんに制作をお願いさせていただく形になりました。

――プロデューサーの皆さんが心待ちにしているあいだに、試行錯誤されていたんですね。

狭間 
ただ、長いあいだ皆さんをお待たせしてしまったせいで、年々アニメに対する期待感、そしてハードルが高くなってしまいました。毎年、『ミリシタ』の周年特集でファミ通さんにインタビューしていただくたびにアニメの質問もあって、いつも具体的な話ができずに悔しい思いをしていたのですが、実際は言葉どおり本当に少しずつ進んでいました。

――企画が固まり、制作が動き出してからはシナリオ監修などをされていたのですか?

狭間 
初期の打ち合わせではけっこう意見させていただくこともありましたが、大枠が固まってきてからは、現場担当の方で白組さんや綿田監督(綿田慎也氏)、加藤さんといっしょに進めてもらっていました。シナリオ監修には東さんにも入っていただいていましたが、とくに綿田監督の『ミリオンライブ!』に対する想いの熱さと知見の深さは本当にすばらしくて、信頼してお任せすることができました。

――監督が(『ミリオンライブ!』の)プロデューサーというのは、全国のプロデューサーたちにとっても頼もしいですよね。

狭間 
作り手の想い、そして長らく待っていてくださったプロデューサーさんたちの想い。このふたつが重なり合うことで、よりすばらしい作品になってくれたのではと思っています。4月~5月のイベント“プラチナスターチーム~REFRAIN REL@TION~”開催に寄せて、綿田監督からのメッセージをゲーム内の“お知らせ”で公開したのですが、プロデューサーの皆さんからたいへんな反響があって「本当に愛されているな」と感じました。じつはあのメッセージ、開発チームからお願いして実現したものなんですよ。

――その効果もあってか、イベントのボーダーの伸びもすごいことになっていましたね。

狭間 
そうでしたね(笑)。本当にすばらしい監督に出会えたなと思っています。

――アニメの話に戻って、思い入れの深いシーンをひとつ挙げていただけますか?

狭間 
正直“全部”と言いたいのですがダメですよね?(笑) ひとつ挙げるとすれば、『READY!!』のシーンです。じつはあのシーン、スケジュール的にギリギリの段階で作り直しているんです。アニメでは、たったワンカット作り直すだけでもものすごい時間とマンパワーを使います。そんな中、短い時間で妥協せずに、素晴らしいクオリティーで私たちの想像を超えたものにしていただきました。完成したシーンを見るたび、制作スタッフの皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいになります。

――そのシーンを含む、全12話を全3巻に収録したBlu-rayは3万本も売り上げたということですが、社内の反応はいかがでしたか?

狭間 
10thライブツアーもあるなかで、この短期間で劇場での先行上映やテレビ放送、さらにリバイバル上映も行い、そのうえでBlu-rayも発売する。この凝縮されたスケジュールを組んだとき、正直プロデューサーさんたちがついてきてくれるのだろうかという心配がありました。

 でも、劇場にも何度も足を運んでくださったり、Blu-rayも購入したという報告をSNSでたくさん拝見したりと、アニメが完成したとき以上に感動しました。社内でもそういったプロデューサーさんたちの声などを知ってくれている人も多く、会社全体で喜んでくれていました。

――昨今キャラクターコンテンツビジネスがきびしいと言われる中でのこの数字、ご自身ではどう感じられましたか?

狭間 
10年間の積み重ねと、プロデューサーさんたちが待ち望んでくれていた気持ちが掛け算された結果なんだと思っています。これはもう単純に作品の評価だけではないと。

10thライブツアーを完走、支えてくれて“ありがとう”

――1年にわたって全国を巡った10thライブツアーもついに千秋楽を迎えました。これについても振り返っていただけますか?

狭間 
10周年のライブイベントは、かねてからツアーにしたいと考えていました。というのも、全国のプロデューサーさんたちに会いに行って、いつも支えてくれているお礼を直接言いたかったからなんです。実際、各地の会場で、海外から来られた方も含むたくさんのプロデューサーさんたちが声を掛けてくださって、すごくうれしかったですね。

――しかも、公演によってまったく違うテーマが楽しめましたよね。

狭間 
この話をすると観客視点になってしまうのですが、私もActごとに違う味わいがありました。Act-1ではライブに向けての準備も含めて、キャストの皆さんの成長の姿を間近に見られたことがうれしかったです。Act-2は私がプロデューサーに就任した『ミリシタ』リリース以降の、楽しかったこと辛かったこと、さまざまな記憶が蘇ってきてたいへんでした(笑)。

――Act-1、2ではプロデューサーの皆さんも思い出ボムが爆発していたと思います。一転、Act-3、4では『ミリオンライブ!』の“いま”が観られたのではないでしょうか。

狭間 
Act-3は私は反省しきりでした。構成を決める際に、アニメのライブをリアルで表現したものを見てみたいという思いから「アニメの内容に準じた構成、演出にしてほしい」と依頼したのです。自分としては「アニメで観たライブを実際のライブでも観られたら、きっと感動するだろうな」と、本当に無邪気な思いからのリクエストでした。でも、現場にとってはものすごくきびしい足かせになってしまったんです。

 アニメと同じだとセットリストも推測されてしまうし、新曲ばかりでプロデューサーさんたちもなじみがない、さらにそもそもアニメの演出自体が過去のライブを彷彿とさせるような内容になっているので、同じ演出は使えない……など、さまざまな制限がかかってしまいました。制作陣、キャスト陣は本当にたいへんだったと思います。結果として、それらの障壁をすべて乗り越えて最高の舞台を作り上げてくれたスタッフには、感謝の気持ちでいっぱいです。

――ファミ通.comのイベントリポートでも、Act-3で予想をいい意味で裏切られた衝撃が語られていますが、すばらしい公演でした。

狭間 
私も身内なのですが本当に見事なライブだと思っていました。そしてAct-4は、10周年の最後のライブで39人全員が揃ったこと、その瞬間に自分が立ち会えたことがうれしくて、終始泣いていました。2日目、フィナーレの後にステージ裏でキャストの皆さんやライブの関係者の前でご挨拶させていただく機会があったのですが、感極まったままになってしまっていて、最初のほうなど何を話したかも覚えていません(笑)。じつはそのあいだもスタッフが動画を回していたのですが。

――(笑)。そこで何を話していたのかは、ちゃんと記録に残っているんですね。

狭間 
動画もありましたが、どうしても伝えたいことだけは覚えていましたね。この日を迎えるまで、39人それぞれに違う思いを抱いてきたと思うのですが、いまここに立ち会ってくれたこと、そして何よりこの日まで10年間、『ミリオンライブ!』の一員でいてくれてありがとう、と。私は『ミリシタ』から参加したメンバーではありますが、皆さんと想いは同じだと思うので、プロデューサーのひとりとして代弁させていただきました。

――あまりに感動的でここで終わってしまいそうな雰囲気もあるのですが、まだまだ『ミリオンライブ!』は続くんですよね?

狭間 
もちろんです。終わった瞬間はいつも「これを超えるにはどうすればいいんだろう」と思ってしまうのですが、『アイドルマスター』は一生成長していけるアイドルたちの物語なので、必ずこの感動も越えていきます。

――アニメの放送などもあり、プロデューサーの層もまた広がりを見せているのではないでしょうか?

狭間 
そうですね。私たちはゲームでもライセンス展開でもつねに、いま遊んでくださっているプロデューサーさんたちだけでなく、新しいプロデューサーさんたちにとっても楽しんでいただけるものを目指しています。アニメ放送をきっかけにプロデューサーさんもたくさん加わってくれましたし、興味をもってくださる企業さんも増えました。そういった方々に対しても、働きかけていきたいと思っています。

 それとは別にここ数年、プロデューサーさんたちが企業の方々に働きかけてくださり、いくつもの“プロデューサー企業”が参画してくださるようになりました。その企業の皆さんも10周年の
『ミリオンライブ!』を盛り上げるために手を貸してくださって、さまざまなコラボ企画を立ち上げてきました。弊社のライセンス担当も熱い想いを持って交渉に臨んでいますし、これからも想像もできなかった企画が上がってくるのではないでしょうか。

――ライブの開演時にもプロデューサーさんたちが協賛企業の名前を皆で読み上げるという恒例行事がありますよね。

狭間 
いつもありがとうございます! 私たち自身もすごく感謝の気持ちを持っているんですよ。これからは、プロデューサー企業の皆さんも含めてともに作り上げていきたいと考えています。

“最高を更新し続ける”『ミリシタ』。8年目もより高く羽ばたく

――今後についてもうかがっていきたいと思います。いよいよ7周年記念イベントが始まりますが、今回はどのようなコンセプトが設けられているのでしょうか?

狭間 
コンセプトに関しては、開発チームがすばらしいテーマを組んでくれました。“7周年をみんなでお祝いしよう!”という気持ちをコンセプトにして、パレードのようにみんなで未来へ進んでいくこと。きらびやかなビジュアルに乗せて、まさに最高を更新し続けるイメージで制作しています。

 じつは最後の“最高を更新し続ける”というのは、開発チームのライブ演出の会議で行われている“最高確認会”のテーマにもなっています。「そのライブ演出は最高かどうかを確認しましょう。先月より超えていますか?」と。すごくいいテーマですよね?

――向上心のすばらしさに、少しだけ耳が痛いです(笑)。10周年イヤーを終えて、新たなステップを踏み出すプロジェクトにとってもふさわしいテーマだと思いました。

狭間 
いつも開発に追われながらも、こうして毎年新しいテーマを生み出してくれるスタッフには本当に頭が下がります。

――情熱がすごいですよね。

狭間 
私も含めてスタッフ全員、キャリア関係なく共通しているのは『ミリオンライブ!』という作品に対する気持ちの強さですね。もともと強い人もいますが、まったく知らずに入ってきたスタッフも、いつのまにかものすごく愛が強くなっていたりするんですよ。

――社内研修などがあるのでしょうか?

狭間 
特別教育はしていませんが、周囲のスタッフやプロデューサーさんたちに感化されている部分はあるのかもしれません。SNSを調べたり、キャンペーンやイベントなどの現地調査をしたり、ライブに参加していたり、皆さんといっしょに『ミリオンライブ!』の世界に親しんでいるうちに、自分もハマっていった……とか。

――考えてみれば、プロデューサーになるには最高の環境ですからね。同志しかいないし、好きにならないわけがない、ということでしょうか。さて、7周年イベントではほかにも衣装がガラッと変わったものになりました。

狭間 
初めてデザイン画を見せてもらったとき、まだこんなにかわいいアイデアを生み出せるのか、と他人事のように驚かされてしまいました。衣装デザインはいつも、実際にキャストさんが着てもすごくキレイに見える形になっているんですよ。作ってみると、形や色味で印象が変わってしまうことも多いのですが、皆が「ぜひ着たいです!」と言ってくれるくらいかわいくなるんです。

――7周年楽曲『7Days A Week!!』は、アニメのオープニングテーマで出てきそうなノリに仕上がっていますね。どういったコンセプトで作られたのでしょうか?

狭間 
楽曲については、私の感想よりもバンダイナムコスタジオの佐藤貴文さん(『ミリシタ』サウンドディレクター)からのコメントを紹介させてください。

佐藤『ミリシタ』7周年楽曲『7Days A Week!!』、いかがでしたでしょうか! テレビアニメ放送を経て、“ミリシタ7周年”という、運命を感じる数字。

 ひとつひとつ積み重ねてここまで来て、みんなで祝福ができる楽曲を、想いを込めて制作していただきました。ひとつでも、ひとりでも欠けていたら、いまの形になっていない。みんながいたからこそ、こうして大きな輪になって笑顔で歌える楽曲になったのだと思います。

 肩肘張らずにノリやすいミドルポップスなので、肩を組んでみたり、クラップや「ラララ~」など、思うまま、自由にこの楽曲を楽しみながら、祝福していただけたら幸いです。

アイドルグランプリは始動間近! ライブは新たな挑戦の年に

――7周年記念イベントのその先ですが、既報で“アイドルグランプリ”については詳細はいつごろ発表されるのでしょうか?

狭間 
現在、絶賛開発中です。7周年イベントと並行して細部を詰めている段階ですので、7月の生配信あたりで発表できればと考えています。もう少しだけお待ちくださいね。

――さて、まだ発表できない内容もたくさんあると思いますが、『ミリシタ』8年目の具体的な目標や施策について教えてください。

狭間 
2023年度は『ミリオンライブ!』10周年の節目ということで盛り上がるようにさまざまな施策を打ちましたが、プロデューサーの皆さんにも喜んでいただけましたし、これからも充実した展開を続けていきたいと考えています。大きいところでは11thライブもありますし、ライセンスの展開も行っていく予定があります。

 とくにライブは挑戦的な年になるのではないかと思っています。一方、細かいところではASOBI STOREでお得にミリオンジュエルが買えるようになるなど、より快適に楽しめるようなアップデートは随時行っていきます。

――アニメについては、セカンドシーズンなど予定されていたりしないでしょうか?

狭間 
残念ながらいまのところ何も言えることはありません。ただ、『ミリオンライブ!』はまだまだまだ、続いていくので「未来のことはわからないぞ」とだけお伝えしておきます。

――それでは、最後にプロデューサーの皆さんへメッセージをお願いします。

狭間 
10thライブツアーで、プロデューサーの皆さんが会場の外に並んで、ごあいさつをたくさんしてくださったんです。「いつもありがとうございます。元気をもらっています」と。でも、私こそ皆さんに「7周年おめでとうございます。そしてこの7年、支えてくれて本当にありがとうございます」と言いたい。会場に足を運んでくれた方も、モニターの前で観てくださっている方にも、ひとりひとりにお礼を申し上げたかったので、この場を借りてお伝えさせてください。これからもアニメだけでなく、ゲームも全部最高を切り拓いていくので、プロデュースをお願いします!

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