『スト6』ベガ、テリー、不知火舞、エレナが登場するYear2インタビュー。ベガは肉体も中身も正真正銘のベガ本人。エレナのヒーリングについては中山D「安心してください」

by猫塚きてぃ

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『スト6』ベガ、テリー、不知火舞、エレナが登場するYear2インタビュー。ベガは肉体も中身も正真正銘のベガ本人。エレナのヒーリングについては中山D「安心してください」
 ゲームの最新情報などを発表するイベント“Summer Game Fest 2024”(サマーゲームフェスト2024)にて、カプコンの『ストリートファイター6』(以下、『スト6』)に新キャラの追加が発表された。

 2周年目となるYear2では、ベガとエレナのほか、格闘ゲーム『餓狼伝説』からテリーと不知火舞が参戦する。

 Summer Game Fest 2024 Play Daysでは、ディレクターの中山貴之氏とプロデューサーの松本脩平氏へインタビューを行った。Year2で登場する各キャラクターについて、深掘りしていく。
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ベガは正真正銘の本人。『スト5』のストーリー演出とまったく同じ演出がPVには隠されていた


――Summer Game Fest 2024現地でのyear2発表時、会場はかなりの盛り上がっていました。ユーザーさんの反応はチェックされていますか?

中山
 もちろん見ています。日本の反応もずっとチェックしていたので、時差の影響もあり寝不足です……。

松本
 “豪鬼”の発表時もかなりの反響がありましたが、今回はそれ以上に盛り上がった印象です。

 トレーラーの再生数もすごく、短時間でかなり多く再生されました。これまでにはなかなかなかった結果ですね。

 そのほかにもXのトレンドで、複数の関連ワードが上位にランクインし続けていたのを覚えています。

中山
 Summer Game Fest 2024で自分たちの『ストリートファイター6』発表後は、ずっとスマホを見てチェックしていましたね(笑)。


――ここからは発表されたキャラクター別にお聞かせください。まずはベガについてですが、登場はいつ頃から想定されていたのでしょうか?

中山
 1キャラクターを作るのに、だいたい1年半から2年ぐらいかかるため、初期の18人を作った後から、すぐに取り掛かっていました。

 そもそもyear1の追加キャラクターであるラシード、A.K.I.、豪鬼はベガと関連性があるので、それぞれのストーリーからベガに繋がるように実は道筋は作っていました。

――というと、ベガはこのタイミングで登場するというのはかなり前から決まっていたのですね。豪鬼とともに追加された機密文書に、「馬に乗っている」という記述の謎もPVで晴れました。

中山
 馬に乗っていたでしょ!

――とても驚きました(笑)。馬に乗っていることは、なにか意味があるのでしょうか?

中山
 それはぜひストーリーをチェックしてみてください。シナリオライターがかなりの量の物語を書いていて、多くの要素がしっかりエピソードで描かれています。

――2024年5月30日売りの週刊ファミ通では、「今後登場してほしいキャラ」というユーザーアンケートを実施しました。ベガは多くの票を獲得して2位でしたが、やはりユーザーからの参戦の要望も多かったのでしょうか?

中山
 ベガの登場を望む声はそこそこ多かったですね。それと松本プロデューサーが『ストリートファイター4』からのベガ使いなので、圧はかけられていました。

松本
 (笑)。

中山
 ベガってやっぱり魅力的なキャラクターなんですよね。『ストリートファイター』シリーズで、ただの悪役という存在が実はあまりいなくて、ベガも「完全な悪か?」と言われてもそうではない。その点もさまざまな描き方を考えましたね。

松本
 ベガはピュアな人ですから。

中山
 本作のボスはJPなので、ボスになるというわけでもないですしね。

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――PVで「ベガの名は俺がもらおう」と意味深なセリフを言っているシーンがありました。本作のベガは過去シリーズのベガとは別人なのでしょうか?
中山
 アーケードモードをプレイしていただくと分かるかと思いますが、ベガは正真正銘のベガです。別の肉体というわけでもありません

 たとえば、勝利ポーズで右手にひびが入って、手を抑える演出があるんですよ。これは
『ストリートファイター5』のゼネラルストーリーで、最後にリュウと闘ったときにも手にひびが入っているのですが、それとまったく同じひびの入りかたをしています。

 それはつまりどういうことかというと、肉体的には同じということです。ただ、リュウとの最終決戦で記憶喪失になってしまっており、ベガという名前自体も忘れてしまっています。なので、PVでは「ベガの名は俺がもらおう」と発言していたんですね。


――サガットに似ているという声も多いのですが、何か関連性はあるのでしょうか?

中山
 ふたりともケツアゴで白目という共通点はありますが、とくに関連性はありません。しかも欧米名のM.Bison(M.バイソン)で発表したので、少し混乱させてしまったかなと思います。

――サイコクラッシャーやダブルニープレスなどの技も健在のようです。過去作から進化した点や変わった点はありますか?

中山
 まず変更点でいちばん大きいのは、おなじみのサイコクラッシャーとダブルニープレスです。過去作では、両方とも溜め技だったんですよ。それが本作では、サイコクラッシャーが溜め技のまま、ダブルニープレスの出しかたを波動拳コマンドに変更しています。

 いままで同じ突進技で、用途が同じという点がありましたが、改善をして使いかたを変えられるようにチューニングしています。

 そのほか、新技の“バックフィストコンボ”があります。相手にサイコマイン、いわゆる爆弾的なものをつけて、ベガが攻撃するまで解除されずに何フレーム後に起爆するといった仕様になっています。

 サイコマインを付けられた相手は、不安になってベガを攻撃したくなるじゃないですか。そういった心理戦に持ち込むこともできます。さらにサイコマインが付いている相手に、特定の必殺技を当てると少し性能が変わります。

松本
 サイコマインを利用したコンボはかなり伸びると思います。かなりアグレッシブなキャラクターになっていますね。

中山
 自分の強い行動を押し付けていくような、地上戦特化の戦闘スタイルです。

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――ベガ使いの松本プロデューサー視点で、ベガの注目ポイントはありますか?
松本
 かなり攻撃的なキャラクターですし、本作のシステムにかなり合っていると感じています。過去作では待ちキャラクターの印象が少し強く、『ストリートファイター5』で少し攻めっ気が出たのですが、本作は自分からガツガツいくようなキャラクターです。ラッシュもかなり早いです。

松本
 松本プロデューサー、すでにたくさん練習していますよ(笑)。

――早い! いまお話にでてきたラッシュは、相手に向かって全力疾走して近づいているベガが印象的でした。ベガワープなどで近づきそうなイメージがありますが……。

松本
『ストリートファイター6』の新しいベガというのを作りたかったという想いがあります。

中山
 格闘家であるベガをしっかり描きたかったんですよ。技は超能力的な側面を少し減らして、格闘家の側面を強めています。そのため、ベガワープもありません。それについてもストーリーで語られるので、ぜひお楽しみください。

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『餓狼伝説』とのコラボは伏線が貼られていた? SNKとともにこだわって制作されたふたりに期待

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――テリー&不知火舞は予想してなかった人が多かったかと思います。『餓狼伝説』よりゲスト参戦することになたきっかけについてお聞かせください。

中山
 2年前に久しぶりの開催となった“Evo 2022”で、SNKさんといっしょにお祝いしたいというお話があり、当時はクロスでポスターを作ったんですよ。カプコンのデザイナーがSNKさんのキャラクターを、SNKさんがカプコンのキャラクターを描いて2枚のポスターを作りました。


――その時からすでに伏線があったのですね。

中山
 実はちょうどその時からコラボのお話がありまして、ちょうど2年前にもSNKさんと「これが匂わせになったらいいね」と話題になっていました。

松本
 そこを皮切りに、「お互いの作品で何ができるか」というディスカッションをスタートしましたね。

中山
 私たちは“格闘ゲームを盛り上げたい”という気持ちと、お互いのタイトルに興味を持ってもらいたいという気持ちがあります。私自身もSNKさんから発売される『餓狼伝説 City of the Wolves』は楽しみですし、格闘ゲーム全盛期のような盛り上がりを出したいということで、今回のコラボに至りました。

――今回のSummer Game Fest 2024現地のリアクションを見ると、大成功だったように感じます。

松本
 とにかくうれしかったですよね。


――今後、逆にSNKさんのタイトルで、カプコンのキャラクターが登場することはあるのでしょうか?

中山
 今回のコラボは快く、キャラクターを貸していただきました。いまはお互いができることをやっていく途中なので、まだわかりませんが可能性はあると思います。

松本
 現場でのお話になりますが、テリーのモーションキャプチャーやボイス収録するときにはSNKさんが来てくださりました。いっしょに「ライジングタックルとは?」という議題を丸一日かけて話し合うなんてこともありましたね。

 もともとカプコンとSNKさんは関西にあり、いつも仲良くさせていただいています。

中山
 今回はカプコンからお願いしたにも関わらず、かなり協力的に制作に携わっていただきました。

――テリーと不知火舞が登場しますが、このふたりにした理由はありますか?

中山
 私の中で『餓狼伝説』を強調したいと想いがあり、それを実現できるのがテリーと不知火舞と考えました。旧SNKのスタッフさんがカプコンにもいますし、本当に気合を入れて作っていますね。

 また、初代
『ストリートファイター』を作られた西山隆志さんは、『餓狼伝説』にも携わっており、どちらの作品もルーツは同じだと感じています。『ストリートファイター』と『餓狼伝説』は兄弟のような感じで、繋がり深いとも思っています。

――テリーや不知火舞の性能面はいかがでしょうか?

中山
 色々な解釈はあると思いますが、カプコン側からSNKさんに「この技はこういうことですよね」などお聞きして、作っていきました。毎回、「こういった技を作りたいです」と動作指示書というのを作成して、そこからお話を広げていった流れになります。

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――この2キャラクターもベガと同じタイミングで制作されたのでしょうか?
中山
 実はテリーと不知火舞は、決まっていませんでした。

松本
 それこそ2年前のEVOの半年後くらいから、かなり詰め込んだ感じですね。

――テリーとケンは関係深いですが、専用の掛け合いなどはあるのでしょうか?

中山
 それはプレイしてのお楽しみです。テリーとケンは過去の掛け合いだったり、ふたりの関係性はしっかり意識して制作しています。

――ほかのキャラクターと同様に、ワールドツアーでふたりの弟子に入ることもできるのでしょうか? 自分のアバターとツーショットを撮ることも?

中山
 もちろんできます。ストーリーはかなりこだわっていまして、詳しくは言えませんが「あー! これ!」とファンが唸るようなシーンもあると思います。

松本
 コラボなので、本当にすべてに力が入っていますね。

エレナのヒーリングに関しては「安心してください」


――『ストリートファイターIII』で初登場したエレナも追加されますね。エレナ参戦のきっかけなどはありますか?

中山
 まず、本作でカポエイラを使うキャラクターがまだでていなかった点、出身地がアフリカのキャラクターが欲しいという点のふたつが大きな参戦理由です。

 アフリカ出身の新キャラクターなども考えたのですが、エレナの登場する幕がなくなってしまいそうだったので、今回はエレナを選びました。

――出身地と武術は被らないようにされていますね。

中山
 そうですね。まだ登場していない武術と出身地はつねに新しいものを作ろうと考えています。『ストリートファイター6』では、これまでになかった蛇拳と毒手のA.K.I.、酔拳のジェイミーを新たに制作しました。

――PVを見るとかなりお姉さん感が増したように感じますが、やはり過去作から成長した姿なのでしょうか?

中山
 もちろん、ほかのキャラクターたちと同様に時間が経って、成長しています。PVではカバを撫でているシーンがありますが、そこもストーリーに絡んできます。

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――今回も変わらずに足を中心としたワザが多いのでしょうか?
中山
 そうですね。いままさに作っている途中になりますので、続報に期待してください。

――気になるヒーリング(体力回復)は……?

中山
  『ウルトラストリートファイター4』の時、大会でローズ、ユン、エレナが出る時は試合が極端に長くなるのを目の当たりにしました。

 それを踏まえて制作していますので、
ヒーリング(体力回復)についてはご安心ください

一同 (笑)

中山
 ネタで「逆に相手を回復させるのはどう?」という提案もありましたが、さすがに却下になりました(笑)。

――その案は斬新ですね(笑)。最後にyear2を楽しみにされているファンの方々へメッセージをお願いします。

中山
 今回初めての取り組みをしているので、なかなか受け入れられない人もいらっしゃると思います。ですが、どのキャラクターも『ストリートファイター6』の世界にしっかり入っていただき、好きになってもらえるように制作しましたのでご安心ください。

 私たちは、対戦格闘ゲームがもっといろいろな方に遊んでもらえる世界戦にしたいと思っています。相手がいればいるほど、コミュニケーションツールとしてもいいものになりますし。
『ストリートファイター6』だけではなく、『餓狼伝説 City of the Wolves』など、さまざまな作品で知り合いと切磋琢磨できる格闘ゲームが好きだからこそ、そういったものを目指しています。

 今回の発表で本作が気になった新規の方は、格闘ゲームに少し怖いイメージがあるかもしれませんが、怖くないので安心して楽しんでいただけたらと思います。

松本
 本作はかなりチャレンジングな作品です。ナンバリング作品でコラボするのも初の試みですし、いまこれだけの人に遊んでもらって、話題にもなっている“いま”コラボするというのも大事だと思っています。

 それを見て、今後の制作にも繋がっていくので、クオリティーは間違いないです。この後も各キャラクターの動画もでますし、絶対遊びたいと思えるものになっていますので、楽しみにしていてほしいです。

[IMAGE] [2024年6月13日15時29分修正] 一部表記に誤りがあったため、該当の文章を修正いたしました。読者並びに関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。
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