『ムーミン』ゲーム新作は冬のムーミン谷を転げ回る。犬の名前が“めそめそ”でよすぎる。小説『ムーミン谷の冬』をベースにオリジナルストーリーが展開【TGS2025】
 ムーミンが好きだ。

 急にムーミンが好きになった。

 急に好きになった理由はわりと明確にあって、2024年に発売されたゲーム『
スナフキン:ムーミン谷のメロディ』がとてもとてもおもしろかったからだ。これは僕の“俺のゲーム・オブ・ザ・イヤー2024”に選ばれている(勝手に選んだ)。
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Switch『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』(Amazon.co.jp)
 その続編的な作品が東京ゲームショウ2025(TGS2025)に出展されている。試遊版はTGSが世界初公開となる。

 何より魅力的な水彩画風に描かれた美しいムーミン谷のビジュアルはそのままに、主人公はついにムーミントロールとなった(※)。

 タイトルは『
Moomintroll: Winter's Warmth(仮)』(ムーミントロール:ウィンターズウォームス)。“冬の暖かさ”とはどういう意味だろう。
※日本ではアニメや主題歌の影響も大きくて“ムーミン”という呼びかたに慣れているけど、正式名称は“ムーミントロール”なのです。ちょっと長い感じがしますね。

ムーミントロール、冬眠に失敗する

 本作は小説『ムーミン谷の冬』に着想を得たストーリーが展開される。その名の通り作中の季節は冬で、ステージは雪の白一色に彩られている。

 『ムーミン谷の冬』では、ムーミン一家がおなかに松葉をいっぱいに詰めて冬眠しているなか、ムーミントロールが冬眠からひとり目覚めてしまう。もう一度眠ろうにもぜんぜん眠れない(そういうことありますよね)。そこでしかたなく、雪が降り積もった家の外に生まれて初めて出てみると……というあらすじ。
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美しい風景は健在。冬景色だ。
 本作でも大筋は踏襲しているらしく、試遊は雪の中で震える犬を見つけるところからスタート。

 犬の名前は“めそめそ”。

 めそめそ。

 犬の名前は“めそめそ”です。どうですか。いいでしょう。
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 このめそめそは原作にも登場するキャラクターで、オオカミに憧れている犬。ゲームでもオオカミを自称している。
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オオカミになりたい、オオカミになりたいと中島みゆきの歌のようなことを言う犬。
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ミッション“犬をだっこする”。無慈悲なゲーム内表示。
 雪に埋もれているこのめそめそを安全な場所に連れて行ってあげよう、というのが目下の目標となる。道中には雪の重みで倒れた(?)倒木が横たわっていたり、雪が積もった低木の枝で道を遮られたりする。

 ご存知の通り原作
『ムーミン』シリーズはフィンランド出身の作家トーベ・ヤンソンの手により書かれており、ゲームはノルウェーの開発会社Hyper Gamesによって制作されている。つまり北欧のきびしい自然観がダイレクトに現れているのだろう。

 そんな雪の中でムーミントロールは斧で倒木を叩き割ったり、体当たりで雪を落としたりして先に進んでいく。かわいらしい見た目とは裏腹にタフなのだ。そうでなければ北欧の冬は生きていかれないだろう。ムーミンパパもDIYで家を建てていたし。
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勇ましく斧を構えるムーミントロール。日本のムーミングッズでは図案化されていないと思われるあまり見掛けない姿だが、北欧の冬を越すには手斧くらいは軽々と扱えなければならないだろう、きっと。
 ゲームとしては、ときおり吹いてくる風を岩に隠れて避けながら進んでいくという簡単なパート。

 斧で木を壊したり、シャベルで雪かきをして道を作ったりという要素はあるものの、悩むようなところはない。前作にあたる『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』では、序盤からけっこうアタマをひねる謎解きが用意されていたのに比べて進行は少し簡単になるのかもしれない。

みんなあまりにもかわいい

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 『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』ではまさに春を迎えたムーミン谷が舞台だったけれど、本作では家族がみんな冬眠中の冬になった。ムーミン谷も雪に埋もれ、白い雪と黒い木々でコントラストを描いている。

 ムーミントロールが歩くと雪がかき分けられて道ができる。ムーミンのが歩いた後にできる“わだち”は大きく、フィリフィヨンカさんの子どもたちの足跡は軽くて小さい。ムーミンキャラクターたちのこういった描きかたのかわいらしさにより磨きが掛かっている。

 だいたい最初に現れたムーミンの格好がかわいい。赤いマフラーだもん。
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 もっと全体的に防寒したほうがよいのではないかと思わせられるけれど、このマフラーが似合っているからいったんよしとしよう。

 このムーミントロールが強風に吹かれると、ひっくり返って転がっていく。あまりにもかわいい。

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ごろごろごろ……。
 前作の主人公・スナフキンはオープニングから滝の裏の崖を登攀したりたくましかったけれど、本作の主人公・ムーミントロールはスナフキンにはない“かわいらしさ”という魅力を存分に発揮している。

 どちらもいい。めそめそという犬の名前もいいし、犬がオオカミに憧れているというのもいいし、でもけっきょく抱っこされて救出されるというのもいい。犬を助けるというミッション内容もいい。なぜなら風邪を引いて雪に埋もれている犬は、そんなものは、必ず助けなければならない。必ずだ。だから助けられたらうれしいでしょう。

 ……と、めそめそを運んでいったところで試遊は終了。まだゲーム性を十分に語れるほどのプレイ時間ではないけれど、感じたことをまとめておこう。

まとめ:冬は特別な季節

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 雪国に住む人にとって冬というのは格別に特別な季節だ。それは命の危険があるほどきびしくて、うかつに外に出ることもはばかられる。でも、そのなかに、冬しかない輝きや喜びが確かにある。“Winter's warmth”という副題には、きっとそういう意味合いが含まれていると思う。

 何もかも白く染めて凍りつかせて冷たくて恐ろしい。だけど、美しい。原作にも登場する“氷姫”は試遊範囲では登場しなかったけれどゲームにもいる模様だ。早く見たい。

 本作の魅力はあまりにもかわいいムーミンキャラクターと、雪が積もって白に染まったムーミン谷の美しい描写。ムーミントロールに赤いマフラーを巻いた冬仕様の姿がじつに似合っている。雪を漕ぎながら進み、体当たりをして通り、倒木に出会えば斧を振るって細切れにする。意外にもタフなムーミントロールだけど、風に吹かれて転がる姿はとてもファンシー。

 そんなかわいいムーミントロールと、雪化粧したムーミン谷を堪能できる。

 謎解き要素は『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』よりも少し簡単になっているのかもしれない。小学生や未就学児の子どもといっしょにプレイしても楽しめる、より誰でも楽しめる『ムーミン』らしい作品になるだろう。発売は2026年予定。まだ先になりそうだけど、いまから発売が楽しみだ。
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ブース近辺で配っているシール。今年はキラキラだ!

アーレスンネス氏プチインタビュー

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ブース。ムーミン屋敷の窓から見えるキャラクターたちは動くぞ!
 会場ブースには、Hyper Games(ハイパーゲームズ)のスタッフを始めCEO 代表取締役のアーレ・スンネス氏の姿が。

 せっかくなので直撃したプチインタビューをお届けする。

ARE SUNDENES 氏(アーレ スンネス)

Hyper Games CEO 代表取締役

―ー『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』の反響はいかがでしたか?

アーレ・スンネス
 世界中の方々から反響をいただきました。とくに日本のプレイヤーも多く、世界の中でもトップクラスの大きな、とてもいい反響をもらいました。コンテンツが愛されているというのがすごくよくわかりました。SNSでもスナフキンの性格や言葉に反応をいただいて、のどかな雰囲気のなかでゆっくり遊ぶ“ゆるゲー”というような感じで楽しんでくださってとてもうれしく感じました。

―ー第2作にあたる作品を作ろうとなって、『ムーミン谷の冬』をモチーフにした理由とは何でしょう?

アーレ・スンネス
 『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』は春が舞台で、ハッピーな季節でした。本作では雰囲気を変えて、物悲しくて少しメランコリック(憂鬱)な感じで、異なるムードを描きたいという意図がありました。また、非常に人気の高い小説ですし、原作者のトーベ・ヤンソンさんにとってもとても特別な作品であると知っていたので、本作を選びました。

―ーありがとうございました、完成を楽しみにしています!
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作品概要 Switch版はある?

  • タイトル:Moomintroll: Winter’s Warmth(仮)
  • 対応プラットフォーム:PC(Steam)、家庭用ゲーム機(※)
  • 開発:Hyper Games
※ムーミン公式サイトに記載あり。どのハードなのかは未定。
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