『スト6』サガット先行レビュー。強力な飛び道具と長い通常技が魅力。ムエタイらしいコンビネーションも手に入れた隻眼の帝王
 カプコンより発売中の人気対戦格闘ゲーム『ストリートファイター6』において、2025年8月5日のアップデートで新キャラクター・サガットが参戦。アップデートに先駆けて、サガットのプレイリポートをお届けする。なお、記事の下段には対戦動画もあるので、そちらもチェックしてほしい。

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[IMAGE][IMAGE][IMAGE]※今回の試遊は開発中のVerを使用しており、製品版とは仕様が異なる場合があります。また、記事内容は編集部調べによるものです。
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帰ってきた隻眼の帝王。中遠距離の強さはそのままに近距離で使いやすいコンビネーションを手に入れたサガット

 サガットは、初代『ストリートファイター』から参戦しているファンにはおなじみのキャラクターだ。ファイトスタイルはムエタイとなっており、長身を活かした長いリーチの通常技と飛び道具“タイガーショット”で相手を寄せつけない戦いかたを得意としている。

 『
スト6』から始めた人は、飛び道具を撃ちまくる姿に「これが……ムエタイ?」と思うかもしれない。だが、数十年まえから皆がそう思っているので、「そういうもんだ」として納得していただくしかないだろう。
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 などと冗談を言いつつ、今回のサガットはなかなかどうしてムエタイらしさがパワーアップしており、丁寧なモーションの作りこみからも制作における“気合い”を感じた。この記事では、試遊の中で調べられた範囲の中から必殺技の手触りとおもしろそうな要素をピックアップしてお届けしていこう。
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左が新規衣装となるOutfit1。右が旧衣装のOutfit2。なんか、過去作と比べてもデカい?
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タイガーショット/グランドタイガーショット

 上段と下段(グランド)で撃ち分けられる飛び道具。上段のタイガーショットはしゃがむことで回避できる代わりに性能がよく、下段のタイガーショットはしゃがんで回避できない代わりに性能が控えめというコンセプト。

 従来の作品では波動拳コマンドは共通で、パンチとキックによる上下の撃ち分けだった。しかし、『スト6』では弱パンチがグランドタイガーショット、中パンチと強パンチがタイガーショットとなっている。
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 サガットの主力となる飛び道具だが、コマンド変更により弾速の使い分けはやりにくくなっている。代わりに、上段のタイガーショットの回転率が従来作品と比較してもよくなっているみたいだ。

 ジャンプされない確信があるときに弱のグランドタイガーショットを使い、それ以外はタイガーショットがメインになりそうな雰囲気である。

 とくに強タイガーショットの弾速がかなり速いので、相手に身動きを取らせない用途として非常に強そうだ。CPUと対戦した際にはジャンプの初動に引っ掛ける場面も多かったので、相手を“飛ばせない”撃ちかたもできそうである。

タイガーアッパーカット

 アッパーカットしながら上空に飛び上がる対空技。基本的には“ザ・昇竜拳”と言うオーソドックスな性能なのだが、強版は少々特殊だ。そもそもの発生が遅く、対空で使うにはかなり早めの反応が必要となる。過去作をやっていた人向けに説明すると、感覚としてはステップハイキック→アッパーカットに近い使用感だった。
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 さらに、強版のみホールドすることで専用の演出へ移行して大ダメージを叩き出せる。演出上壁に張り付くので追撃できるかと思ったが、筆者が試した範囲では追撃できないようだった(特定条件では追撃できる可能性はあるので、そこは詳細なトレーニングモードでのプレイが必要となりそう)。
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 強版は先述した通り発生が遅いので、遠めの飛びには若干困るかも? というのがぱっと見の印象だ。

 ここからは筆者の体感の話なのであまりアテにしないでほしいが、タイガーショットを撃ったときに被攻撃判定がけっこう前に出ている気がした。そのため、強タイガーアッパーカットの発生と併せて、遠めの飛び対策が課題になる設計なのか? というのがファーストインプレッションだ。ここは弱点として意図的に設計されているのかも。

タイガーニークラッシュ

 膝蹴りで大きく突進する技。今回はコマンドが波動拳コマンド+キックとなっている。ヒット時に画面を大きく押し上げられるので、基本的に下がりながら戦うサガットがヒットさせたい技のひとつとなっている。
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 突進の後半部分を当てる“持続当て”に成功した際にはガードの上からでも有利が取れるようになっているので、積極的に狙っていきたいところ。さらに空中コンボに組み込むと追撃がしやすいので、コンボ時に“とりあえず選択する技”として優秀な印象だった。

タイガーネクサス

 PV公開時点で話題になっていた技で、初段の膝蹴りから3種の技に派生できる。派生先は、しゃがみガードできないタイガーマイト、上段蹴りのタイガーグリード、相手を打ち上げるタイガーノヴァの3種となっている。

 派生技を絡めた読みあいを仕掛けやすく、近距離での強さを支える主要技になりそうな印象だ。なにより、ムエタイらしい膝蹴りモーションがカッコいい。
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 類似した技にケンの迅雷脚があるが、あちらと異なり下段の選択肢がないため立ちガードしていればいいように見える。しかし、実際は上段派生、打ち上げ派生ともにガード時にサガット側が有利となっており、ただガードしていればOKというわけでもない。小難しい話もしておくと、打ち上げ派生がしゃがみ状態にも立ち状態にも当たるので、ファジー(※)弱攻撃が必須となりそうだ。

 サガットは意外とほかの格闘家の技を盗んでアレンジすることが多いので、『スト6』発売からいままで、ケンのことを見つめていたのかもしれない。

※特定の攻撃をガードできるタイミングで行動すること。[IMAGE]
ガードさせて有利の上段or中段攻撃という読みあい。

 個人的に印象的だったのは、初段の膝蹴りの性能だ。カウンターヒット時に相手が撃ち上がるので、タイガーネクサス(初段)→タイガーマイト(中段派生)と入れ込んでおくと相手がバウンドしてタイガーアッパーカットで追撃できる。初段カウンターにリターンが出るのは迅雷脚との大きな違いだろう。

レベル2スーパーコンボ:サベージタイガー

 スーパーアーツは、レベル1が高速飛び道具の“タイガーキャノン”。レベル3がコンボ用の“タイガーヴァンキッシュ”となっている。では、レベル2はと言うとこれが少々特殊な仕様となっていたので、ピックアップしてみようと思う。
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 レベル2スーパーアーツ“サベージタイガー”は、相手にヒットした後に4種類の派生攻撃をくり出せる。各派生で状況が異なるので、シチュエーションに応じて使い分けたいところ。

 まず、何も入力しないとダメージ重視の“サベージタイガーレイド”に派生する。名前の通り、過去作に登場した必殺技“タイガーレイド”のモーションなので、シリーズファンは笑顔になれる派生だ。
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 前入力は追撃できる“サベージタイガーゼニス”、下入力は起き攻めを仕掛けられる“サベージタイガースタンプ”、後ろ入力は相手と位置を入れ替える“サベージタイガーペンデュラム”だ。

 個人的に注目したいのが“サベージタイガーゼニス”。タイガーレイドと比較してどっちがダメージを出せるのか、よりよい起き攻め状況が作れるかなど、実装後にいろいろ試せそうな派生だ。
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おもしろそう、強そうな要素をピックアップ! ターゲットコンボ各種はかなりおもしろそうな気配

 ここからは、試遊の中で判明したおもしろく、強そうな要素について話していこうと思う。まずは立ち中キック。これはムエタイらしいミドルキックを放つ技で、非常にリーチが長い。飛び道具より隙が少ないので中間距離の牽制として役立つだろう。
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とにかく長い。この牽制から後述するリターンが見込めるのはあまりにもエライ。

 この立ち中キックからはターゲットコンボもある。中キック→強キックの入力でミドルキック→ハイキックへと連係し、ダウンが取れるというもの。立ち中キックからダウンが取れるのはサガットとしてはかなりうれしい要素だろう。『
ストリートファイターV』のころのサガットは、「結局中距離まで寄られてそこから押し返せず負ける」という印象があったため、その弱点を克服してきたわけだ。
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非常にムエタイらしい二連蹴り。今作のサガットのモーションの中で、個人的には一番カッコいいと思ったモーションである。

 つぎに注目したのが、立ち弱キック。本作のサガットは立ち状態の蹴り技がどれも強力だ。ちゃんと“ムエタイ”してる。

 非常に鋭いローキックを撃ち、これは必殺技キャンセル可能。ここからODグランドタイガーショットや、弱タイガーニーが先端気味でもつながったので、牽制技を当てて相手を大きく引きはがせそうだ。

 ケンや豪鬼の立ち弱キックのような“回転率のいい牽制”というよりは、ザンギエフの立ち弱キックみたいな“長めでキャンセルの効くローキック”という使用感であった。
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このリーチでキャンセル可能。ちゃんと弾がつながるのもエライ。

総評:中遠距離の強さはピカイチ! 代わりに技の大振りさ中足キャンセル不可など弱点もちゃんとある

 本作のサガットは、先述した立ち中キックや立ち弱キック、リーチの長い強攻撃各種など、中~遠距離の攻撃手段が厚くなっている印象だ。懐に潜られても、手軽に入れ込めるタイガーネクサスで突っぱねることもできそうなので、癖はあるものの強力なキャラクターに仕上がってる。なにより、技構成と立ち回りでの狙いがシンプルなので、すぐに使えるようになるのがいい。

 しかし、グランドタイガーショットの隙がほんのり長かったり、しゃがみ中キックが非常に長いもののキャンセル不可だったりと、距離調整に対してリターンを出すのは少し苦労するのかも? 技も少々大振りなものが多いので、考えながら技を振っていく必要はあるだろう。
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 全体的に“みんなが求めてるサガット”の要素はきちんと押さえつつ、ターゲットコンボやタイガーネクサスなど新しさも感じる仕上がりになっていた。過去作でサガットを使い込んでいたプレイヤーならすぐに使えるだろうし、そのうえで新しい要素をかみしめられると思う。“弾撃ち”で気持ちよくなりたいときは全格ゲーマーにあると思うので、筆者も実装後にこっそり練習したい。
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CPU Level7によるサガットvsザンギエフ10先!

 サガット言えば、歴代シリーズではザンギエフキラーのポジションであることが多い。そこで今回のサガットとザンギエフの相性を検証するべく、CPU Level7によるサガットvsザンギエフの10先を実施。そのダイジェストを動画にまとめたのでご視聴いただき、結果を確認してほしい。



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