『Dinkum(ディンカム)』レビュー。島での暮らしは驚きと発見が絶えず、新しい楽しみが毎日増えてワクワクが止まらない。本当の意味でマイペースなスローライフが楽しめる
 KRAFTONが提供する、PC(Steam)向けサバイバルライフシミュレーション『Dinkum(ディンカム)』。2025年4月23日に正式リリースを迎え、好評発売中だ。
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 本作では木や石といった素材を採集し、さまざまなものをクラフトしながら生活していくことになる。ただ、筆者はこういったサンドボックス系、サバイバルクラフト系の要素を持つタイトルが正直苦手だ。広い世界に降り立ち、あとは自由に何ををしてもいいよ! と言われても、何をすればいいのか、何を楽しめばいいのか、目標が見えないのが困りものなのだ。

 こういったジャンルのタイトルにも最終的なクリアー目標こそあるが、そこに行きつくまでの過程があまりに膨大なことが多い。目が回りそうで、モチベーションが維持しづらい。
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その点で、『Dinkum』はすごく“わかりやすい”のがいい。
 本作では直近の目標がはっきりしている。いまやるべきこと、やるとお得なことがつねに示されていて、それらをこつこつ進めるだけでもやれることが徐々に増えていく。できることが増えていくワクワク感がずっと続き、モチベーションも維持できる。

 今回は実際のプレイを通じて感じた、この“ワクワク感”を中心としたレビューをお届けできればと思う。
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畑を作ったり、地下ダンジョンに潜ったり。できることが少しずつ増えていくのがいい。
 なお、本作序盤で役立つプレイガイドも別記事でまとめているので、気になる人はこちらもご確認あれ。
※この記事はKRAFTONの提供でお届けします。

サバイバルって意外と簡単?

 本作の主人公=プレイヤーは、灰色の現代都市“サウスシティ”での息が詰まりそうな暮らしに嫌気がさした人物。同じく都市に嫌気が差した人物“フレッチ”の提案に乗り、とある名もない島に身ひとつで向かうことになる。
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 いざゲームを開始して島に降り立つと、びっくりするほど何もない。フレッチの指示に従い、今後の中心になるテントなどは建てられたが、さて、これからどうしたものか。
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草木が好き勝手に生い茂っているし、本当に未開の島に来たんだなぁと実感。
 新たな建物などを増やすには、この世界の通貨“ディンク”がいるらしい。島に来てくれた雑貨屋の店主“ジョン”がいろいろ買い取ってくれるらしいので、とりあえずそのへんに生えていた花や丸太、果物などを集めてみる。
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この島では数歩移動するたびに、何かが生えている。
 集めた花を売ってみたら、意外と高い金額で買い取ってもらえた。そのお金で、ジョンからツルハシなどの道具を購入。さっそくできることが増えた。

 行動していると時間が過ぎて夜になったので、とりあえず拠点テントで寝ておく。これで一日が終了。
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そのへんで採った花や虫だけでも、なんか生計が立てられそうな気がしてきた。ちょろいぞ、この島。
 ツルハシでそのへんに転がっている、いかにも鉱石が混ざっています、といった見た目の岩を叩いて砕くと、スズや銅の鉱石などが手に入る。調子に乗って掘りまくっていたところ、急に主人公の動きが遅くなった。
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えっ、もしかして疲れた?
 本作の主人公には画面左上のゲージを見るとわかるとおり、体力(赤いゲージ)とスタミナ(オレンジのゲージ)の概念がある。体力がなくなるとすべての所持アイテムの耐久度が下がった状態で拠点に戻され、スタミナがなくなると一定時間疲労状態になってしまう。

 とくに疲労状態は厄介で、スタミナが全快するまで移動やツルハシを振るなどといった全動作が劇的に遅くなる。スタミナの回復速度も下がるので、全快するまでかなり時間がかかるのもストレスになる。
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疲労状態でも採掘などはできるが、ものすごく遅くなる。食べ物でスタミナ回復速度を上げて、おとなしくじっとしていよう。
 本作ではツルハシを振ったり虫捕り網を振ったり、ほぼすべての行動でスタミナを消費する。つまり、スタミナがゼロになる前に適宜休みを挟むのが大事というわけだ。

 また、ほとんどの食べ物はスタミナの回復速度を上げてくれる。そのへんの木に生えていた果物を食べるだけでも、快適さが段違いだ。
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言いかたを変えれば、そのへんの果物だけでも食生活はまかなえるということ。楽ちん。
 こうしてそのへんで採れたもので暮らしていけばいいんじゃないかな、などと思い始めた矢先、島には新たに“セオドア”という、博物館を作りたがる人物がやってきた。

 本作では島に訪れたNPCとの好感度を一定まで上げるなどの条件を満たすと、そのNPCが住む建物が建設可能になる。好感度を上げるには、彼らの頼みを聞いてあげたり、プレゼントを贈ったりすればいい。

 建物がない状態で何日か経つとNPCは島を去ってしまうが、また来てくれたときにも好感度は維持されている。
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NPCからの頼みは毎日確認しよう。達成が難しいものはスルーしてもいいが、あまりにスルーが続くと機嫌を損ねる可能性も。
 ジョンはさまざまな道具を売ってくれるし、セオドアの博物館は虫や魚など、島の生物を寄付することで“許可ポイント”をくれる。在住NPCが増えるほどに、プレイヤーの目標も増えていくわけだ。

 とくに許可ポイントは、本作ではディンク(お金)と並ぶ最重要資源なので、もらえる場所が増えるのはありがたい。詳しくは後述するが、本作ではこの許可ポイントとディンクをひたすら集めていくことになる。
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許可ポイントは、メニュー画面で確認できる“デイリーミッション”でも稼げる。これがあるおかげで、とりあえずやるべきことがつねに示されている。
 デイリーミッションを見ると「え、本作では釣りもできるのか」などと、まだ手を出していないコンテンツの情報も入ってくる。将来的にはこういうこともできるようになるんだと、なかなかにいい刺激と目標になってくれる。

 こうして筆者は花と果物を採っては寝るだけの暮らしから、目標を持った暮らしへとランクアップ。やること、できることが明確に示されてくれるのが、とてもわかりやすいと感じた。
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拠点の近くでワニに追いかけられたり、建物の値段が高くて借金がのしかかったりといった苦難も目標になる。とくにワニ、おまえは許さん。

やれることがどんどん増える充足感

 フレッチのところで許可ポイントを消費して、各種“ライセンス”を購入すると、さらにやれることが増えていく。すでに持っているライセンスのレベルを上げれば、よりランクが高い道具をクラフトできるようになったり、新たなコンテンツが解放されたりする。

 ふつうに採掘や釣りなど好きなことをしているだけでも、本作では「魚を●●回釣る」などの実績要素“マイルストーン”が達成されていき、報酬として許可ポイントが大量にもらえる。このマイルストーンのおかげで、序盤は許可ポイントに困らない印象だった。
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採掘や伐採など、基本的な採集行動を続けているだけでも許可ポイントがどんどん溜まり、ライセンスが取り放題。なかなかに気持ちいい。
 こうして、いつのまにか採掘のライセンスがレベル2に。“銅のツルハシ”をクラフトできるようになり、より大きな岩なども採掘できるようになった。

 また、発掘ライセンスを習得すると、“金属探知ライセンス”なる気になるものが出現。ポイントもあっていたので一気にレベル2にしたところ、島の地面各所に“×”マークが見えるようになった。そこをシャベルで掘ることで、よくわからない電子機器のパーツのようなものが手に入るように。
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はて、これは何に使うんだろうか。
 ここでふと、ワニに追いかけられつつ拠点の近くで見つけた“テレタワー”なるもののことを思い出した。テレタワーにアクセスすると修理に必要な素材を指示されたのだが、発掘で手に入ったのはまさにその要求素材の一部だったのだ。

 ちなみにテレタワーを修理すると、ほかの場所にある修理済みテレタワーのところへテレポート移動が可能になる。急にすごい科学力。
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「こういうことか!」と気付けたときの気持ちよさも、また格別。
 さらに狩猟ライセンスを獲得することで槍などの武器が作れるようになり、ワニとの戦闘も可能になった。ワニの攻撃を回り込むように回避しつつ反撃を加えていくという、自分なりの攻略法も編み出せた。

 また、ワニの肉を焚火に放り込んで焼いてから食べると、スタミナだけでなく体力も持続回復することにも気付く。原始人の進化みたいな話だが、ここから狩猟生活の始まりだ。
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最初は逃げ回っていたワニ相手に、完封勝利できる気持ちよさ。なお、スタミナ切れを起こすと回避も逃亡も難しくなるので注意。
 銅の道具がクラフトできるだけでも、採掘などのさまざまな行動がだいぶ効率化できてきた。さらに拠点の近くに、遠くまで行かないと伐採できない“ヤシの木”の種を植えて植林したり、果物を埋めて木を生やしたりという、採集の効率化もこのあたりから考えるようになってきた。
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果物はそのまま埋めるだけで、数日後には木になる。水や肥料も必要ないのが、また手軽でいい。
 こうして日々のルーチンが生まれてくると、日数が経つのも速くなっていく。そのあいだに島にはつぎつぎと、個性的なNPCが訪れてくる。

 全NPCの好感度は上げてはみたものの、島に建物を建てるには、建設による借金がゼロでなくてはならない。新しい建物がなかなか追加できないので、この段階では「このNPCを在住させたい!」と見定めていった。
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NPCが売ってくれるものから将来できるようになることが判明し、さらに楽しみが増えていく。
 日数が経過することで、島には新しい季節も巡ってくる。各季節限定の変化などもあり、また行動範囲が広がっていくことで、野生動物の群れに襲われたりと、新たな驚きや発見もどんどん増えていった。毎日なにかが起きて、ワクワクが止まらない。

 なかには島を歩き回る謎のハンターとの出会いなど、想像の斜め上をいくサプライズもあった。
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秋になったらあちこちにキノコが。季節の推移を感じられるのも、なかなかに風流。

島のエンジョイライフは果てしなく続く

 このあたりで狩猟ライセンスをレベル2にしたことで、新たに“罠ライセンス”が出現。罠で捕らえた動物を地面に設置した“動物コレクションポイント”に置くことで、翌日にかなりの量のディンクが受け取れるようになった。

 これで金(ディンク)欠の問題はかなり解消され、建物もつぎつぎと建てられるメドが立った。ここから一気に、島が豊かになる予感がしてきた。
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罠のおかげで、むしろ向こうから襲い掛かってくる野生動物のほうが捕まえやすくてありがたい存在に。島暮らしに、大きな転換点が訪れた。
 これでも、島暮らしのプロになったと自負してもいいのではないだろうか。そんなことを思い始めていたところで、ふとジョンの店で“鉱山パス”なる、気になるものを見つけた。

 そういえば、ライセンスの中に“深部採掘ライセンス”なるものもあった。これはつまり罠での狩猟のように、採掘にもエポックメイキングが起きるということか。
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喜び勇んで、深部採掘ライセンスで建物を建設。なにこれ、エレベーター?
 さっそくエレベーターに乗ってみると、何やらめちゃくちゃ暗い場所“ディープマイン”にたどり着いた。なんかこう、筆者が思い描いていた鉱石大量のボーナスエリア的なものとは違う気がする。

 そこからおっかなびっくり進んでみると、なんと敵が襲いかかってきた。あかん、これボーナスエリアじゃなくて地下ダンジョンだ!
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まさかダンジョンアタックが始まるとか、想像もしていなかった。すみません、島暮らしをナメていました。
 地上で叩けば勝てる野生動物も、真っ暗なエリアだとかなりの強敵になる。ジョンの店で買った“松明”を使えば周囲は明るくなるが、これを手に持っているあいだは武器が持てない。では、どうやって攻略するのか。

 ワニに初めて出会って追いかけられたときのような、新しい課題や目標が見つかった気分だ。本作ではどうやら、まだまだ学びと驚きが味わえるらしい。「罠さえあれば暮らしていける」なんて思いかけていたが、これは序盤に「花だけ摘んでいれば暮らしていける」と考えているのと変わりがなかった。
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地下での出来事を機に、ニワトリの飼育など、新たなコンテンツにも手広くチャレンジしたいと考えるようになった。
 また、ディープマインで松明が活躍したのをきっかけに、いままではおとなしく寝ていた夜の時間帯にも地上探索をするようになった。すると空に流星群が見えたりと、地上でも新たな発見が増えていく。

 今回筆者はあまり気にしていなかったが、整地や街作りなどにもこだわり始めると、もはやいくら時間があっても足りないだろう。
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夜の探索もまた楽しい。空を流れ星がいくつも横切っていく様子が観察できたが、これもまたイベントなのだろうか。
 新たなコンテンツや行動で、さらに世界が広がっていく。着手していないものはまだまだあるので、この世界が広がる感覚を、これからまだまだ味わえるというわけだ。『Dinkum』、わかりやすいのに奥が深すぎやしませんか。
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NPC“フランクリン”が作ってくれるガジェット一覧を見ると、その奥深さの一端が見える。この島、最終的にはすごい高度な文明を持つようになるのでは。
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狩猟についても強力な“アルファ”動物の狩猟を依頼されたり、アルファ動物の素材で武器が作れたりと、まだまだ底が知れない。
 ゲームを進めるたびに「この先、どうなるんだろう」というワクワク感が生まれ、それが尽きることがない。つねに挑戦していく楽しさが味わえる本作では、飽きる感覚がまったくなかった。

 それでいて日数の期限などはほとんどなく、難しいサバイバル要素などもほとんどない。それこそ果物を食べているだけでも生きていける世界だ。本当の意味で、マイペースなスローライフが楽しめるタイトルだと感じた。
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ほかプレイヤーを招いていっしょに遊べるマルチプレイや、自由な開拓ができるクリエイティブモードなど、遊びかた自体も自分に合ったものが選べる。
 また、本作では頻繁にアップデートが行なわれており、先述したクリエイティブモードは正式リリース時に追加されたもの。その後のアップデートではNPCが島を歩き回るときに、虫を採集したりとよりアクティブな行動をとるようになった。ゲーム自体の進化も、プレイヤーに新たな驚きや楽しみを与えてくれるわけだ。

 サンドボックスやライフシミュレーターとしてはわかりやすくてプレイしやすく、さらに新たな発見や楽しみが尽きず、ワクワクが止まらない本作。こういうジャンルが苦手だったはずの筆者も、いつの間にかスローライフを満喫できている。ぜひ多くの人に、この島での生活をオススメしたいところだ。

アップデートでさらにサバイバルライフが楽しく!

 なお、『Dinkum』では2025年6月26日よりアップデートを実施。数々の新要素や新機能を追加している。おもなアップデート内容は以下の通り。
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■ナイトマーケットの開催

島の毎月19日の深夜0時に、訪問者エリアにカラフルなテントが出現。そこには“深淵から来た”という夜の行商人がいて、イベントアイテムが詰まった“ミステリーバッグ”からは、骨シリーズの衣装、光る道、竜巻を起こすジャッカルーの杖(!?)など、個性的なアイテムがランダムで出てくるとのこと。
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■Steam実績が対応

島ライフが、“実績”として記録されるようになった。今回追加されるのは全25種。一部の実績は、条件を満たしていても再度達成が必要な場合があるとのこと。
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■新アイテムを多数追加

木製ブランコも、通常モードで設置できるようになった。新アイテムは、以下の通り。
  • 家具など:3種
  • 衣類など:14種
  • アクセサリー:11種
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■一括クラフトなど便利機能の追加

とくに要望の多かった一括クラフト機能がついに実装。さらに、骨の弓がパワーアップ(射程&チャージ速度UP)したり、イライラムーの巣が冬に再出現するようになった。そのほか、細かい不具合も多数修正されている。

■画面表示の改善

ゲーム内の文字がくっきり&すっきりになった。日本語フォントも微調整しているとのこと。
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 なお、『Dinkum』がSteamサマーセールに登場。2025年7月11日(金)1時59分までの期間限定で、20%OFFの1840円[税込]で販売している。未プレイの方は、この機会に触ってみてはいかが?