本稿の執筆時点では日本語非対応だったが、その後めでたく日本語化。現在では、珠玉のゲーム群がいっそう遊びやすくなっている。
死にゲーこそが、生きた証。

- 著名インディーゲームクリエイターのプライベートなゲーム集
- シンプルかつ高難度なアクションゲームを多数収録
- 日本語未対応( 4月1日現在)でもさほど問題なし
利益の最大化を何よりも優先するコマーシャリズムの慣例や誘惑にとらわれず、自分(たち)が思い描く世界を自分(たち)が用意しうる最上の環境・方法で組み上げたもの……それがインディーゲームだ。結果的に企業が大々的にプロモーションしたり、結果的にテレビアニメ化が決定したとしても、クリエイティブの核の部分とは無関係。インディーゲームは広大なのだ。
そんなインディー・オーシャンの中にあって特異なポイントに位置しているのが、この『Terry's Other Games』。端的に説明すると、2000年代から活動する個人ゲーム開発者Terry氏が、非営利目的で制作・発表してきたミニゲーム集。収録タイトルは、現在もオンライン上で公開されているフリーゲームから、現行のPC環境で起動させるのが難しい過去作まで、さまざま。それらは、ゲームコレクションのシステム内で快適に動作するよう、Terry氏自身の手によって調整・リメイクされている。


アナリストを気取って本作を評するのであれば、「クラシック・ゲームのストレートなオマージュ、またはジョークソフトとのニュアンスが強かった、個人開発規模の高難度プラットフォーマーに、リプレイ性を考慮したレベルデザインやゲームサイクル、高度なナラティブ要素が導入されたタイトルが同時多発的にリリースされた2010年前後のヒット作のひとつ『VVVVVV』の作者の、クリエイティビティーの足跡をたどれる貴重かつプレイアブルな資料」となる。言外で、ビデオゲームのコマーシャル的側面にしか関心がない人向けの内容ではない、とも伝えているあたり、良心的な表現ではなかろうか。





これらは、未プレイであればぜひともオススメしたいタイトルではあるが、『Terry's Other Games』の真骨頂は、収録タイトルを横断することで浮かび上がる、ひとりの人間の思想体系──「自分にとってビデオゲームとは本質的にどのような体験であるか?」、「これまでに享受してきたゲームは自分に何をもたらしてきたのか?」といった、極めてプライベートな見解の総合だ。これはとがった主張とデベロッパーならではのサービス精神、そして自身のQOLのためにコマーシャリズムをひとつまみ……といった渾身の単体タイトルからは伝わらない、非常に繊細かつ曖昧な感覚である。Terry氏自身、まったく意図したものではないだろうが、本作は広大なインディー・オーシャンの中にぽっかりと開いた、ワームホール的存在なのだ。
Terry Cavanagh ってこんな人

死にゲー以外だって、生きた証。


本作のアイデアは後に、Terry氏が手掛けたコマーシャル(商用)ゲームのひとつ『Dicy Dungeon』に発展したとのこと。単に作りたいから作る、とは異なる判断もされていることがうかがえ、興味深い。

Terry's Other Games
- プラットフォーム:PC
- 発売元:Terry Cavanagh
- 発売日:2025年2月14日
- 価格:1200円[税込]
- ジャンル:その他
- 対象年齢:審査なし
- 備考:ダウンロード専売

















