Dメールを押す手が震えた。『シュタゲ』初見ライターが『シュタインズ・ゲート リブート』を先行レビュー。慟哭と嗚咽にまみれ、フェイリスルートで感情が崩壊

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 「『シュタインズ・ゲート』を遊んだことがない人間の新鮮な悲鳴がほしい」
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 それが今回、記事を書くにあたって編集者からもらったオーダーである。ということで『シュタインズ・ゲート』、および科学アドベンチャーシリーズ未経験の筆者に白羽の矢が立った。
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 結論だけ、先に書いておこう。悲鳴はあげた。大いにあげた。進めるのが本当につらかったし、それを乗り越えてトゥルーエンドへ到達し、嗚咽をまき散らしながらエンディングテーマを聞いていたときの感覚はいまでも覚えている。

 それに、筆者はそもそも2000年代~2010年代初頭あたりのインターネットの空気感が大好きだったので、テキスト全体から感じる当時の雰囲気があまりにもよかった。個人的な嗜好にも、大いに刺さった一作だ。
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俺はいにしえのネット用語が大好きなんだ。
 現代での初見プレイゆえに、世界線など設定面のエポックメイキングな点というものは感じられなかったものの、「自分がこれまで触れてきたコンテンツの源流は“これ”か……?」と、気付く瞬間が多かったのは新鮮な体験だった。原典となるコンテンツをさかのぼって遊ぶ、独特な楽しさを感じていた。
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ミームになっているシーンに立ち会う、いわゆる「あっ、これかあ!?」もあった。いや、このシーンを見ているときは何ひとつ平静ではなかったのだが。
 今回プレイしたのは、2026年8月20日にMAGES.より発売予定の『シュタインズ・ゲート リブート』(※)。初代『シュタインズ・ゲート』のグラフィックやキャラクターデザインが一新されているほか、ボイス&サウンドをすべて新録、さらに、“γ世界線”のルートが追加などを行ったリメイク作品である。
※Xbox Series X|S版は2026年10月29日発売予定。
 ざっくり結論は書いてしまったが、改めてこの作品に出会った人間によるレビューの皮をかぶった叫びを聞いていただければ幸いだ。
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あと嫁が増えました。フェイリスたんは俺の嫁。異論は認めない。

我々は“孤独の観測者”。岡部倫太郎の思いにリンクし、悲鳴を上げた日々

 『シュタインズ・ゲート リブート』は、いわゆるアドベンチャーゲームやビジュアルノベルといったジャンルに相当する。とにかくひたすらに文章を読むタイプのゲームで、アクション要素などは存在しない。

 物語は主人公、岡部倫太郎の視点で展開される。始まりは彼が2010年の秋葉原で遭遇した、天才少女・牧瀬紅莉栖が“血まみれになって倒れていた”という事件から。その詳細を友人である橋田至(通称・ダル)へとメールで報告した瞬間、なぜか彼は異なる世界の秋葉原へと迷い込んでしまう。
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主人公である岡部倫太郎は厨二病を発症している。世界を股にかける狂気のマッドサイエンティストであり、その真名は鳳凰院凶真……であると自称している大学生。
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そんな彼が迷い込んだ別の世界は、完全な異世界というわけではない。なぜかこの世界では、ラジオ会館に人工衛星が突き刺さっていることになっていた。
 「いったい自分の身に何が起こっているのか?」と状況を整理していくうちに、岡部は自身の発明品により、過去へとメールを送ることができることを発見する。あの日ダルへと送ったメールも過去へ向かって送られたもので、そのせいで岡部のいる現在の世界が変わってしまったのだと。

 ブラジルにいる蝶1匹の小さな羽ばたきが、テキサスで竜巻を引き起こす──ほんの一通のメールから未来が大きく変わる“バタフライ効果”。Dメールと名付けられた、この時間を遡行するメールを使って、劇中ではさまざまな人物の運命が変わっていく。ある人は自身の性別を変え、ある人は親の死を回避するよう促し……。

 こういったDメールによって世界が書き換わる(再構築される)ことを、作中では“世界線が変わる”と呼ぶ。
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岡部は、何人かの親しい人間を自身の未来ガジェット研究所メンバー、通称ラボメンに加え、Dメールによる過去改変を許していた。
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過去が改変され、世界線が変わるとこういった演出が入る。
 世界線が変わったことを認識できるのは、基本的に岡部のみ。たとえばある人物の性別が男から女に変わっていたとしたら、岡部以外はすべての人間が“彼女はまごうことなき女性であり、ずっと女性として生きていた”と認識している。もちろん自分でDメールを送って、性別を変えた本人さえも。

 つまり、この世界において、岡部はずっと異物なのだ。
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ラボメンと話していても、どこか噛み合わない会話に居心地の悪さを感じてしまう。

 孤独の観測者。筆者は『シュタインズ・ゲート』をプレイしたことはないが、このフレーズ自体は知っていた。アニメ『シュタインズ・ゲート』のオープニング映像自体は見たことがあったからだ(本編は「いやいや、さすがに原作プレイしてから見るだろ常考」という姿勢から見ていなかった)。

 そのときは「なんとなく耳に残るフレーズだな」と思っていたのだが、ゲームをプレイしてよくわかった。この言葉、あまりにも重すぎる……!
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 作中では何度も、世界が書き換わっていく。Dメールを送り世界線が変わるたびに、岡部はその世界における常識を知らないままに投げ出される。自分の思い出に共感してくれる人はひとりもおらず、相手が当たり前のように語る過去の話は身に覚えがない。

 もちろん岡部とて孤立しているわけではなく、いろいろなことを話し合える仲間はいる。ただ、仲間はいても岡部と同じ視点に立てる完全な理解者はいない。それがどれだけ孤独なことか。
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後述するが、世界線を移動していることに関する理解者はいる。ただ、すべての世界線を巡った彼と同じ視点を持つ登場人物はいない。
 そんな岡部の孤独に深く共感できたのが、Chapter4である“夢幻のホメオスタシス”にて、メイド喫茶の店員であるフェイリス・ニャンニャンがDメールを送ってから。この後の世界線では、秋葉原から“オタク文化”自体が消滅する。
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なぜそうなったのかについては作中にて。とにかくDメールによって過去が変えられた結果、秋葉原からカードショップや同人誌売り場、メイドカフェなど“萌え”がなくなる。
 そこまでは「岡部はキツいだろうなー」というぐらいの感覚で、どこか他人事のようだった。あくまでも変わっていたのは“岡部の記憶の中にある人たち”であって、自分の出来事とリンクしていなかったからだ。

 だからこそ、自分にとってもなじみがあり、街一面にオタクらしさが溢れていた秋葉原の景色がガラッと変わった瞬間は忘れられない。自分がその場所に立って、周囲を見回して絶望する姿がありありと思い描けてしまった。しかも「これは俺の好きな街じゃないんだよ! 変わってしまったんだよ!」と、横に立つ親友に言おうと信じてはもらえない。こんなに孤独なことがあるかと、はっきりと理解した。

 「『シュタインズ・ゲート』にハマったタイミングはどこか?」と聞かれれば、筆者は間違いなくこの場面を挙げるだろう。実際の都市を舞台にしているからこそ得られる、主人公と自分がリンクする感覚。あの全身が震えるような感覚は、いまでも忘れることはできない。
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このセリフが流れたとき、完全に心がリンクした。喪失感があふれる、すばらしいテキストだ。
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そして当然、変わったことを理解してくれる人はいない。誰も、あの街のことを覚えていない。
 そして中盤からは、怒涛の展開が襲い来る。「親の死をなかったことにしたい」、「自分の性別を変えたい」、そんな思いで綴られたDメールたちは、蝶の羽ばたきが台風を起こすかのごとくさまざまな事象へと干渉していき──最終的には、岡部が「絶対に守る」と誓った幼なじみ・椎名まゆりが“死ぬ”という運命を確定させてしまう。

 この運命を真に知るのは岡部だけ。岡部だけがまゆりが死ぬことを知っていて、その運命に抗おうとあがき続ける。あまりにも巨大な運命という名の敵に立ち向かうのは、18歳の大学生ひとり。
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 このあたりから、Dメールに加えてさらなる時をさかのぼる装置として“タイムリープマシン”が登場する。自分の記憶のみを過去の肉体へと送ることで、時を疑似的に渡る装置だ。この装置を使って、岡部はまゆりの死を確認するたびに何度も時をさかのぼる。

 自身が絶対に守ると誓った大切な人の死を何度も見て、そのたびに記憶を持ち越して時をさかのぼる岡部を見ているのが辛いのはもちろんだが、何よりも辛いのはその先。Dメールによる世界線の変更がまゆりの死を引き寄せていると気づいた岡部は、その原因を潰すことを決意する。

 それは、彼/彼女たちにとって願いの叶った理想の世界を消すことを意味していて──ここから岡部は、ひとりの大切な人を救うために、たくさんの願いを犠牲にすることを決めるのである。
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 ここでも、「岡部だけが世界線の移動を即座に理解できる」という設定が深く刺さる。一度願いが叶って、そしてまた消えたことを、願った本人は理解できない。その世界に満ちていた喜び、幸福。そういったものを理解しているのは岡部だけ。彼だけがすべてを抱えて生きていく。

 正直、読んでいてかなりキツかった。秋葉原の件で岡部の心情と深くリンクさせられた後にこのあたりの話を読むことになるので、ことさらに。
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 この展開はプレイヤーである自分自身が岡部にリンクしているのではなく、岡部がプレイヤーにリンクしているのかもしれない。そもそも世界線の移動と、そのすべてを観測している人という構図は、すごくアドベンチャーゲームのプレイヤーに似ている。

 バッドエンドの世界も、グッドエンドの世界も、トゥルーエンドの世界も、すべて知っているのは(基本的に)プレイヤーのみ。トゥルーエンドの平和な世界を見た後に、エンドを回収するためとはいえすべてを壊滅に導くような選択肢を選ぶことに、抵抗感を覚えた人も多いはずだ。

 岡部倫太郎が持っていた心の動きは、そんなプレイヤーの心理に近いのかも知れない(もちろん厳密には世界の外にいるプレイヤーと内にいる岡部の立場は大きく違うが)。だからこそ、世界を壊すことのキツさを強く感じられたのだろう。
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Dメールを打ち消して新しい世界線へと飛ぶと、新たなchapterのタイトルが大きく表示される。物語が進んだのと同時にあの世界が消えたことを悟り、静かに泣きながらこのタイトルを見ていた。

“選択肢”ではないからこそ。フォーントリガーが与える没入感

 さて、選択肢という話が出たが、こういったアドベンチャーゲームやビジュアルノベルといったゲームジャンルにおいて、プレイヤーは主人公などの行動を選択肢で決定することが多い。たとえば目の前の女の子に告白するのか、しないのか……みたいな行動をプレイヤーが選ぶような。

 だが、『シュタインズ・ゲート』にそのような選択肢は存在しない。それとはまた違った方法で、プレイヤーは物語に干渉していくこととなる。
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 それこそがフォーントリガー。プレイヤーは、主人公である岡部が持つ携帯電話を操作することで物語を変えていく。より具体的に言うならば、物語のカギとなるDメールを送るか否かを決めるのは、岡部ではなく携帯電話の操作権を持つプレイヤー自身だ。

 選択肢が出ないシステムに最初こそ面食らったが、非常におもしろい。選択肢が表示されるシステムはわかりやすいが、どうしてもプレイヤーとしての意識に引き戻される感覚がある。しかしフォーントリガーなら、劇中の小物を直接操作していることが影響してか、物語への没入感を維持したままずっと読んでいられる。当然岡部への共感からの精神的なキツさを持続するわけだが、それも物語体験の質が高く保たれているからこその感覚だろう。
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受信したメールを開いて、特定のワードを選んで返信することも可能。ここでどういったワードに対し返信したかによって、決まるルートもある。
 Dメールを送るとねじ曲がった過去が戻り、まゆりの死から一歩遠のく。それがトゥルーエンドへと近づくためのカギとなるわけだが、『シュタインズ・ゲート』には、そのままの世界線を続けるエンディングも用意されている。

 いわゆる個別ルート。Dメールに過去改変を願った人の気持ちに寄り添い、添い遂げるようにして未来を歩む世界線がある。
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フェイリスと恋人関係になるルートも。思い切り甘えてあげるってなんですか。詳しくお願いします。
 「すごいな」と思ったのが、これらをバッドエンドだとは感じられなかったこと。

 本来の目的からは逸脱し、まゆりの命や多くのものを失う関係上、どうしても悲壮感が漂う。でもその展開は、どのルートもどこか爽やかさや清涼感があり、希望を感じられるものだった。つらいけれど、悲しくはない。先へと進むために何かを決意し、まだ見ぬ未来へ向けて歩いていく、そういう人間としての強さがある。『シュタインズ・ゲート』で、とくに好きな部分だ。
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 ……まあ、だからこそそれらを切り捨てるためにDメールをフォーントリガーでプレイヤー自身が送らなければいけないシステムがより心に傷を残していくのだが。

 筆者は基本的に“送らない結末を見る→再度その場面まで戻りDメールを送る”という流れだったので、メールを送るたびに慟哭していた。「このゲームしんどいよぉ……」という泣き言が、何度口から零れたことか。
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毎度毎度、泣きながら送信ボタンを押すのである。こんな鬼のようなゲームをよくも……。

 『シュタインズ・ゲート リブート』からの追加要素であるγ世界線も、これらの個別ルートに相当する。ただ、新たなシナリオとはいえ全体の雰囲気を壊すようなものではまったくない。なんなら筆者は極力事前情報を入れずにプレイしていたので、トゥルーエンド到達後にγ世界線について調べて「アレがそうだったの!?」と驚いたぐらいに馴染んでいた。言われてみれば異質ではあるが、「まあそれぐらいはやるか」という気持ちで臨んでいたので……。

 というか、詳細は伏せるが、あのルートがない当時のプレイヤーはどう思っていたんだろうかと余計な思いを馳せてしまう。それぐらいなくてはならないルートに思えた。そういう意味でも、γ世界線が追加されている『シュタインズ・ゲート リブート』から遊ぶことができたのはとてもよかった。
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頼りになるぜ、スーパーハカー。魅力的なラボメンたちとの会話に萌える。

 シナリオについてはざっくりと好きなポイントを語ったが、キャラクターについても語らせてほしい。ひと癖もふた癖もあるキャラクターたちについて話さなければ、『シュタインズ・ゲート』について書いた気がしない。

 いちばん好きだったのは、やはり何と言ってもダルである。親友ポジションで頼れるスーパーハカーでHENTAI紳士、好き。
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 冒頭にも書いたが、筆者は2000年代~2010年代初頭あたりにあったインターネットの雰囲気が大好き。そして、その時代のオタクを煮詰めに煮詰めて煮詰めすぎたダルの口調がツボだった。語尾に“お”って。“常考”って。
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“常識的に考えて”の略語。もっと略してJKとも書いてたっけ。にしても見なくなったなあ、この言葉。
 それに……これを好きなポイントとしてあげていいのかはちょっとわからないが、セクハラ方面の思考が一致することが多々あったのがなんだかうれしかった。女性キャラクターの発言に対し「なんかスケベに聞こえるな、いまの」と思ったものは、だいたいダルが聞き返してくれる。そのたびに同じことを考えていたのがおかしくなって吹き出していた。ダル、お前とはいい酒が飲めそうだよ……。
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 まあ、逆に言えば超積極的に女性キャラクターに対しセクハラをしていくので、現代の倫理観と相性は悪そう。筆者は笑って楽しんでいたが、現代のユーザーに、彼がどれぐらい受け入れられるのかは気になるところ。
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現代的な倫理観で見ると危ういキャラだと思う。でも、そんな危うさがあるからこそ見える景色があると思うんです。清い水に住めない魚もいるんですよ。
 岡部にとって守るべき存在である、椎名まゆりも好きだ。ほんわかした守りたくなるキャラクター性もそうだが、時折核心を突いたような発言をするところが、ただおバカなだけのキャラクターでないことを痛感させてくれる。

 あとシンプルにかわいい。もふっとした毛も、まんまるで大きな目も、猫みたいな口も、おっとりした言動も、すべてが庇護欲をかき立てられる。彼女を救うためならどんな世界線だって超えられる、岡部の気持ちもよくわかる。
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物語冒頭で登場するイベントスチルなのだが、あまりにもかわいすぎて喉から「ヒュッ」と息とも声ともつかない変な音が出た。かわいい。
 あと、これは個人的な事情になって申し訳ないのだが、筆者は多感な時期に花澤香菜さんが演じる魅力的なヒロインをたくさん浴びてきたので、花澤さんの声だけで無条件に好きになってしまうところがある。30歳手前ぐらいのオタクってそうじゃないでしょうか。統計とかは取ってないけどきっとそうに違いない。
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まゆしぃマジ天使。ありがとうまゆしぃ。
 そして、なんといっても18歳の天才美少女・牧瀬紅莉栖について語らないわけにはいかないだろう。

 先ほど岡部に完全な理解者はいないと書いたが、彼女だけは唯一“岡部がタイムリープをくり返し、世界線を変え続けている”ことを理解して傍に立ち続けてくれる存在となる。

 数えきれないぐらい紅莉栖の存在には泣かされた。筆者は岡部と強めに気持ちをリンクさせながら進めていたので、彼女がタイムリープという事象に対し肯定的に受け止めて、話をしてくれるだけでどれだけありがたいことか。紅莉栖がいなければ、岡部の心は間違いなく砕けていたのではないだろうか。
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限界を迎えた岡部が相談するシーンが非常に好き。本当にいいんですよ、紅莉栖……。
 あとツンデレなのも最高だった。いわゆるツン期とデレ期があるタイプで、最初はとげとげしかった態度が、じわじわとほぐれて心を許すようになるあの感じが最高。彼女とは何度もメールでやり取りをすることになるのだが、その返事がだんだんフランクになっていくのを見て筆者はモニターの前でずっと萌えていた。「尊い」とか「推せる」ではない。あの感情は間違いなく「萌える」であった。
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なれなれしくなってからの態度もすばらしい。天才美少女に自慢げに「なのだぜ」って言われたい。
 阿万音鈴羽のフランクな接しかたと、どこか影のある言動。一見清楚な正統派美少女にしか見えない男の子であり、筆者が妙な扉を開けられそうになった漆原るか。携帯依存症かつメールでのやりとりを頻繁に行うところが少々めんどくさいながらも、どこかほっとけない桐生萌郁。かわいくて、あざとくて、心やさしい猫耳メイドフェイリス・ニャンニャン。ラボメンと呼ばれる主要キャラクターたちは、誰もがすごく魅力的で、会話劇を読むのがとても楽しかった。
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 とくにフェイリスに関してはちょっととんでもないハマりかたをしてしまった。元より“狙いすぎ”ぐらいのデザインをしたキャラクターが好きな自分としては第一印象からかなり刺さっていたのだが、個別ルートでは彼女の持つ精神性にも惚れてしまった。ネタバレになるので詳細は省くが、あの状況であの決断ができるキャラクターを好きにならないわけがない。

 現代で言えば「新たな推しが増えた」とかになるのだろうが、ここは『シュタインズ・ゲート』のレビュー記事上。なのでその年代にのっとって、“嫁”が増えたと言っておこう。フェイリス・ニャンニャン、大好きです。
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トゥルーエンド到達後、ネタバレの心配がなくなってからはひたすら二次創作をあさる日々である。出会えたことにありがとう。

『シュタインズ・ゲート』は現代のオタクにも通じるか

 『シュタインズ・ゲート リブート』にて、無事初めての『シュタインズ・ゲート』プレイを終えた筆者が最初にしたことは、ひとまず関連作を買いあさることだった。いま筆者のSteamライブラリには、『シュタインズ・ゲート 比翼恋理のだーりん』、『シュタインズ・ゲート 線形拘束のフェノグラム』、『シュタインズ・ゲート ゼロ』が鎮座している。これからゆっくりと消化していくつもりだ。
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まずは『シュタインズ・ゲート 比翼恋理のだーりん』からやろうかな。俺はドタバタコメディが大好きなんだ。
 というわけで、筆者はずっぷりと本作にハマった。涙に喘ぎながら最後のエンディングを聞いたあの日を、昨日のことのように覚えている。

 しかしながら、『シュタインズ・ゲート』は現代のユーザーにどれだけ刺さるのかは正直なところわからない。本作が与えた影響は恐らくかなり大きく、その結果いろいろな作品にその類型を感じることができてしまう。その影響か、正直かなり展開の予測はしやすく、ゆえに“新鮮さ”という点では、どうしても発売当時以上のものはないはずだ。
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2009年のゲームに何をいまさら、という話ではある。
 フォーントリガーについても不安要素がある。というのも、ふつうのアドベンチャーゲームであれば、スキップしていても分岐点になる選択肢ではスキップが止まる。選択肢を選ばないと進まないから当然だ。

 しかし本作では、スキップを押しっぱなしにしていると、どれだけ重要な場面でも止まらない。その場合は自動的に“フォーントリガーを使わなかった”という選択をしたことになり物語が進んでいく。つまり、理想的なエンディングを迎えるために分岐点を探すためには、スキップしながらちょうどいい場面で止めなくてはいけない。
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特定のタイミングでかかってくる着信に出なければいけない場合。そのタイミングのちょっと前でスキップモードを止める必要がある。
 通常のプレイ時には没入感があるとてもいい仕様なのだが、エンディング回収では面倒さが際立つ。現代の価値観で考えると、あまり洗練されたシステムとは言えないだろう(※)。
※編集注:“CONFIG”の“フォーントリガー時にスキップを解除する”という項目を“する”に設定することで、スキップが解除されるようになる。デフォルトでは“しない”に設定されているため、気になる人は変更しよう。Dメールを押す手が震えた。『シュタゲ』初見ライターが『シュタインズ・ゲート リブート』を先行レビュー。慟哭と嗚咽にまみれ、フェイリスルートで感情が崩壊
解除の設定はこちらで行える。
 そして、シンプルに作中で頻発するネット用語が古い。筆者はその辺りの年代が大好きなのでむしろご褒美だったが、自分よりも若い年代がどう受け取るかは判断しがたい。そして前述のとおり、ダルがかなりのHENTAI紳士である面もなかなか現代のユーザーには厳しかったりするのではないだろうか。当時の雰囲気のまま掲載されていることは何よりも価値があり、すばらしいことではある。が、それはそれとして受け入れられるかは別だろうと感じる。
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解説はあるので意味はわかるが、わかるかどうかではなく空気感としての古さはどうしてもにじみ出てしまう。スイーツ(笑)とか数年ぶりに見た。
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ダルに関してはもはや何も言うまい。でもおもしろいんだよ、こういう最低な笑い……。
 ……と、いろいろと「どうなんだ?」と思ってしまう要素は確かにある。しかしそれでもなお、『シュタインズ・ゲート』はすばらしかったと声高に叫びたい。たしかに斬新さは薄れているかも知れず、ネット用語は古臭く、倫理観は現代水準ではないかもしれない。しかし本作のおもしろさの中核は、決してそこではない。

 岡部倫太郎という、世界線を視認できる存在とリンクしながら物語を進めていく感覚と、それゆえにプレイヤーに与えられる深い心の傷。フォーントリガーが与えてくれる、選択の没入感。絶望の中でも希望を抱き、未来へと歩みを進める人間の強さ。終わらない地獄の中でも、隣に立って歩いてくれる伴走者の温もり。どの時代でも色あせない、癖があって愛おしいキャラクターの数々。

 ……ああ、思いつく限りに書き出しているとキリがない。ともかく、上に書いた不安要素と、本作のおもしろさはまったくもって別の位置にある。現代だろうが過去だろうが、このゲームを最後までプレイして「つまらない」と一蹴するようなユーザーはひとりもいないだろう。そう言い切れるだけ『シュタインズ・ゲート』はおもしろい。
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ギャグもシリアスもどっちも最高。ここまで感情を揺さぶられるゲームもなかなかない。プレイできてよかったと、心から言える。
 筆者としては、『シュタインズ・ゲート リブート』の発売タイミングに立ち会えること。そして、その先行プレイをさせてくれたことを本当にうれしく思う。おかげで、この作品に出会えた。初代のXbox 360版発売当時はまだ11歳だったことを考えると、とても長い時を経ての邂逅だ。そうやって“時を経て”出会うことも、本作をプレイしているとどこか感慨深いものがある。もしかしたら、これが筆者にとって運命石の選択だったのかもしれない。

 2026年8月20日。きっとこの『シュタインズ・ゲート リブート』が発売されることによって、プレイする世界線へと到達する人もいるのだろう。一足先に初体験を終えた筆者としては、そんな人がたくさんいることを願うばかりである。

 エル・プサイ・コングルゥ。
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週刊ファミ通2026年9月3日号では発売記念特集を掲載

 本作の発売日当日である2026年8月20日発売の週刊ファミ通(2026年9月3日号/No.1960)では、同作の発売を記念して20ページにわたる特集記事を掲載。牧瀬紅莉栖を演じる声優の今井麻美さんとプロデューサーの松原達也氏&シナリオの林直孝氏へのインタビューに加えて、表紙はキャラクターデザインを担当するhuke氏の描き下ろしイラスト。こちらもお見逃しなく。
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