2026年5月21日に発売された『ヨッシーとフカシギの図鑑』。本作は、ヨッシーがさまざまな生き物の生態を調査し、フカシギという図鑑を完成させていくアクションアドベンチャーだ。
アクションゲームでありながらゴール地点はなく、ダメージの概念がないためゲームオーバーも存在しない。生き物たちのふかしぎさと同じく、ゲーム設計も非常にユニークなものになっており、プレイを始めれば驚かされる要素がとにかく多い。
そんな本作を手掛けたグッド・フィールの代表を務める蛭子悦延氏、本作のディレクターであるグッド・フィールの山本真裕氏、そして任天堂サイドのプロデューサー・野上恒氏、アソシエイトプロデューサーの松宮信雄氏にインタビューを行い、ユニークなゲーム性やふかしぎな生き物たちがどう生まれたのか、本作に込められたこだわりを伺った。
※本インタビューには、ゲーム中盤以降の内容や物語に関するネタバレが含まれます。これから本作をプレイする方はご注意ください。

蛭子悦延氏(えびすえつのぶ)
グッド・フィール代表取締役社長。『毛糸のカービィ』や『ヨッシー ウールワールド』でプロデューサーを務め、本作ではシニアプロデューサーを担当した。(文中は蛭子)
山本真裕氏(やまもとまさひろ)
グッド・フィール所属。『立体かくし絵 アッタコレダ』や『ヨッシークラフトワールド』などでディレクターを務めた。本作でもディレクターを担当。(文中は山本)
野上恒氏(のがみひさし)
任天堂所属。『どうぶつの森』シリーズのディレクターや、『スプラトゥーン』シリーズのプロデューサーなどを歴任。任天堂入社後、初めて開発に携わった作品は『ヨッシーアイランド』。本作ではプロデューサーを担当。(文中は野上)
松宮信雄氏(まつみやのぶお)
任天堂所属。『毛糸のカービィ』でプロデューサー、『ヨッシー ウールワールド』、『ヨッシークラフトワールド』でアソシエイトプロデューサーを務める。本作でもアソシエイトプロデューサーを担当。(文中は松宮)
ヨッシーの魅力である“能動的に遊ぶ楽しさ”を追求した新作
――まずは皆さんの自己紹介を兼ねて、本作の携わりかたをお聞きできますか。
野上
任天堂の野上です。今回は任天堂側のプロデューサーとして、グッド・フィールさんと相談しながら全体的な方向付けをさせていただきました。
松宮
任天堂の松宮です。アソシエイトプロデューサーという立場で、野上とディレクターである山本さんのあいだをつないで、サポートするような形で携わっています。
蛭子
開発を担当させていただいた、グッド・フィール代表の蛭子です。私は制作チームを見守るような立場で、グッド・フィール側のプロデューサーとしていろいろとフォローをしていました。
山本
今回ディレクターを務めさせていただきました、グッド・フィールの山本です。過去には『ヨッシークラフトワールド』などでもディレクターをしていて、今回もそれに引き続き、という形ですね。おもに企画全般、制作全般を担当しておりました。
野上
ひとつ補足しておくと、本作のクレジットに手塚(手塚卓志氏。『スーパーマリオ』シリーズや『ゼルダの伝説』シリーズなどのディレクターやプロデューサーを歴任する、40年以上ゲーム開発に携わる開発者。『ヨッシー』シリーズの多くの作品にも関わる)の名前もあります。ただ、手塚は最初期の段階で別タイトルが忙しくなってしまったので、途中で私がプロデューサーの立場を引き継いでいます。
――野上さんがヨッシーのゲームに携わるのは久しぶりですよね。
野上
そうですね。『ヨッシーアイランド』や『ヨッシーストーリー』まではガッツリと関わっていました。以降のタイトルでは監修する立場になることが多かったので、『ヨッシー』シリーズで本格的に開発に関わるのは20数年ぶりです。

起点は遊びのアイデアではなく、ヨッシーの魅力
――今回、本作を遊んでみてゲームの構成に非常に驚きました。『ヨッシークラフトワールド』や『ヨッシー ウールワールド』は一般的な横スクロールアクションゲームの流れを踏襲した内容でしたが、本作はゴールもなければゲームオーバーもありません。これまでとはまったく違うものになっていますが、本作の特殊なゲーム性はどのように生まれたのでしょうか。
山本
これに関しては、本作で体験できることこそがヨッシーの魅力なのかな、と思っています。『ヨッシークラフトワールド』や『ヨッシー ウールワールド』は、アクションゲームとしてのアイデアが最初にあって、そこからヨッシーのキャラクター性でより魅力的になるように全体を仕上げていく形でした。
でも『ヨッシーとフカシギの図鑑』は、まず「ヨッシーとはどんな存在なのか」、「ヨッシーの魅力は何か」、そして「どういうところが楽しいのか」、そういった根本から考えて作り上げていきました。アイデアを足す形ではなくて、ヨッシーの魅力だけを追求するところから始まったタイトルなんです。

――おお、おもしろい。ヨッシーというキャラクターの深掘りですね。追求されてみて、ヨッシーの魅力について、どのように分析されましたか?
山本
手塚さんや野上さんとお話しする機会をたくさん設けていただきましたし、過去作を改めてプレイして研究も重ねました。『ヨッシーアイランド』のときからそうでしたけど、ヨッシーのゲームって、ただスタートからゴールに進むだけではないんですよね。寄り道をして、気になったことを試してみるのが楽しいゲームだと思うんです。
たとえば、ヨッシーは踏ん張りジャンプでけっこう自由に移動できますよね。コースの設計としては通らなくてもいいような、すごく高い場所にも行けたりして。しかも実際に行ってみると、フラワーやコインが置いてある。ヨッシーの能力を使って、「こうしたらどうなるかな?」と試したことにちゃんとご褒美を用意してくれているのが、ヨッシーのゲームの作りかただと思っています。そのヨッシーのゲームらしさを究極的に詰めていったのが、本作かなと。
――ステージごとにゴールというか目標も違いますし、なかなか前例がない作りなだけに、制作も手探りだったのではないかと思いますが……。
山本
そうです(笑)。本当に手探りでした。
――そうですよね(笑)。実際、開発はどのように進められたのでしょうか。
山本
まずはコンセプト、「ヨッシーのおもしろさはこうなんだ」を言語化するところから始めました。そこで見出したのが、“能動性”でした。何かをやらされる受け身のゲームではなくて、自分でやってみたいと思ったことが軸になるゲームにするべきだと思ったんです。
そのコンセプトでゲームの設計を進めたので、逆に言えば能動的ではないものはどんどん廃止して、能動性のある部分だけを残すようにしました。子どもって、ただボールがあるだけでも自分から壁打ちをしたり、何か見つけて遊んだりするじゃないですか。それが能動的な遊びですね。
――こういうことをしてみようかな、が起点になると。
山本
でも、テレビゲームでは本当にボールだけを置いても遊びませんよね。じゃあ、より遊びたくなるような仕組みを作ろう、と。たとえばそこにあるのがボールじゃなく子犬だったら、かわいいからなでにいきたくなりますよね。そういう風に、能動性を誘発する要素が必要だと思ったんです。そこで考えたのが、ふかしぎな生き物でした。
変な生き物がいたら、踏んでみようか、食べてみようか、背負ってみたらどうかな、みたいにいろいろ試してみたくなると思ったんです。ヨッシーの多彩なアクションを使って、生き物にいろいろなアプローチを試したくなるというのが、本作の基本になります。
野上
何か試したくなるものを用意して、アクションを取ったときにちゃんとリアクションが返ってくる、というのが大事なポイントですね。
――ユニークな枠組みなだけに、そこにたどり着くまでにもかなりの苦労があったのではないでしょうか。
山本
たいへんでした(笑)。
野上
私たちも、“能動的に遊ぶ”というコンセプトはとてもおもしろいと思ったんです。ただ、初期のバージョンを遊んだ人からは「何をしていいかわからない」という意見もあって、おもしろさは確実にあるけど、できるだけ多くの人にそのおもしろさを体感してもらえるようにするには、どうしたらいいのだろう、というのはかなり試行錯誤しました。

世界中の誰よりヨッシーのことを考えて見つけたおもしろさ
――『ヨッシー ウールワールド』、『ヨッシークラフトワールド』にはシリーズとしての系譜もあったかと思いますが、今回はその流れに沿うのではなく、ゲームとして大きく一新しよう、といった考えもあったのでしょうか。
山本
それはありませんでした。それよりも“ヨッシーのゲームとはどうあるべきか”が大きかったですね。
僕は『ヨッシー ウールワールド』には携わっていなくて、『ヨッシークラフトワールド』からディレクターとして開発に入っていったんですけど、当時のことで個人的に反省している部分がありまして。最終的にゲームとしては楽しんでいただけるものになったと思いますが、開発当初はヨッシーのことを軸に考えていなくて、工作の裏表みたいな、僕発信のアイデアをヨッシーのゲームに詰め込んでいく感覚で動いてしまっていたんです。
松宮
工作の世界のいろいろな仕掛けの中でヨッシーが活躍する、みたいなアイデアが多かったんですよね。
山本
そうですね。だから途中で、任天堂さんからも「仕掛けよりも、ヨッシーのアクションのほうが優先度が高いんです」、「ヨッシーならではのゲームを作ってほしい」みたいなやり取りがけっこうあって、それを受けて変更したりしたんです。そのときに比べると、“ヨッシーの魅力とは”みたいな部分の理解がより深まっていたので、今回は最初からヨッシーを軸としたおもしろさから考えることができました。
ですので、「ゲームとして一新しよう」という流れではなく、発想の順番が変わったというイメージですね。
――「ヨッシーの知見が溜まったから行ける」と。そう考えると、山本さんは世界中の誰よりもヨッシーのことを考えている時間があったわけですね。
野上
それは本当に、いちばん考えていらっしゃるかもしれないです(笑)。
――その山本さんから見て、ヨッシーというのはどういうキャラクターだと考えていますか?
山本
一般的に言えばかわいいとかもあると思いますけど、ヨッシーってすごく多彩なアクションを持っていて、どれもすごく効果的なんですよね。たとえば、敵を食べたら一発で倒せてしまう。でもそれでいて、感情的に動くことはなくて、無垢なんですよね。
食べる行為って、冷静に考えたら残酷な印象にもなり得るものだと思うんです。でもヨッシーの場合、「特定の相手だから食べてやる」とか、相手を脅かすみたいな考えがあるわけではなくて、なんとなく食べてみた、くらいの感覚なんですよね。すべての行動をフラットに、ニュートラルなものにできるのは、無垢だからなんだと思います。無垢だからかわいいし、だからこそちょっと怖い。それがヨッシーの魅力なのかなと。

――なるほど。悪意はまったくなく無邪気な行動の結果だけど、それが大人の視点では怖く感じるといったことはありますね。
山本
だからこそ、あえてかわいくするとか、残虐性を見せるとかは必要ないんです。それはすでにヨッシーが持っているものだから、その一面が自然と出るように、純粋に作っていくことがヨッシーらしさにつながるのかな、と考えています。
野上
ヨッシーって、悪者を懲らしめようみたいなことは考えてなくて、目の前に興味のあるものがあるから食いついているだけなんですよね。好奇心の権化というか(笑)。だから後先を考えずに行動していて、それがヨッシーらしさにもなっているんだなと思います。
ゴールやダメージは削除。能動性のジャマになるから
――ヨッシーが好奇心のままに動くための対象としてふかしぎな生き物を作って、そこに対してアクションを仕掛けていくというゲームデザインが生まれていったわけですね。その結果、ゴールもゲームオーバーもないというユニークな仕組みが生まれたと。
野上
スタートとゴールが用意されていると、何をすればよいかは明確にしやすい一方で、ある意味“受動的”な体験になる可能性もあると思ったんです。そうじゃなくて、どっちに進むかも自分で決められるようにしたんです。
――こうしてお話をうかがっていると納得感がありますが、プロデューサー陣の立場からするとゲームとしてまとまるか、心配な部分もあったのではないでしょうか。
蛭子
そうですね(笑)。これまではゴールありきで作っていたので、クリアーの概念はあるけどゴールは設けないと聞いて、正直ちょっと心配はありました。

松宮
最初は、ゴールがあった時期もあったんですよ。ゴールに向かいながら生き物のことを調べていくんですけど、これだとゴールにたどり着いたときに、「まだ発見したいのに、もうゴールしないといけないんだ」ってなってしまったんですよね。
野上
そうなんですよ。ゴールがあると、“何かやってみよう”よりも“ゴールに行きたい”が強くなってしまうんですよね。そうすると能動性が発揮されにくくなるので、その面で見ると、端的に言ってしまえばジャマでした。
――ゲームオーバーがないのも、同じように能動性を引き出すうえではジャマだったからですか?
山本
はい。当初はダメージの要素もあったんですよ。ライフがゼロになったらゲームオーバーになるような仕様ですね。でも、それだと知らないうちにゲームオーバーになっちゃうんですよ。
開発スタッフも任天堂の皆さんも、みんな能動的に遊んでくださったんですけど、いろいろ試そうとするとどうしてもダメージを受けることが多くて、いつの間にかライフがなくなっているんです。誰もダメージとかライフのことを気にしなくなるんですよね。そうなると、これもジャマだな、と。
――確かに、ダメージを受けるようなアクションを避けるようになる可能性もありそうですね。
山本
食べてくるような生き物なんかはまさにそうですね。「食べられたらどうなるんだろう?」と思うのが大事なのに、食べられたらゲームオーバーになるかも、と思ってしまうんですよね。そういう風に行動を試すモチベーションが減ってしまうので、ダメージの要素も撤廃しました。

ふかしぎな生き物は、ヨッシーのアクションを起点に生まれた
――プレイ中はゴールもダメージもないのに驚きましたが、こうして理由を聞くと納得ですね。本作にはさまざまな生き物が登場しますが、生き物としてのバリエーションから考えて生み出していったのか、このアクションに対してこの生き物を、といった流れだったのか、ここはいかがでしょうか。
山本
これは完全にアクションからですね。やはり軸はヨッシーですから。ヨッシーのこのアクションをやってみよう、と思うために用意する生き物なので、踏みたくなる生き物、食べてみたくなる生き物を考えていました。
野上
グワグワドリとか、見るからに踏んでくれ、みたいな形をしているじゃないですか(笑)。

――確かに(笑)。ヨッシーのアクションを起点として作ったうえで、そこに生き物らしさや特徴を足していったわけですか?
山本
そうです。生き物としてより興味を引くようにしていきました。今回、左から右へ行くというコース設計ではありませんが、生き物ごとにコースを設計しています。
コースに入ったら、まず「この生き物は何なんだろう」から始まって、たとえば「踏むと音が鳴るんだ」といった行動で徐々に生き物の特徴を把握してきたら、「じゃあ連続で踏んだらどうなるんだ?」、「順番で踏んでいったら?」みたいに試したくなって、続けて「この生き物とあの生き物を……」と試すうちにゴールにたどり着く。そんなお客様の頭の中にモチベーションを生み出していくためのコースを作るというのが、本作の設計ですね。ですから、基本的に1ステージに1種類の生き物がメインになるような形にしています。
――ヨッシーが生き物を食べると、「おいしい」とか「苦い」とか、それぞれ異なる味が設定されていることに驚きました。味の感想みたいなところも、ヨッシーの無邪気さを感じられますよね。
野上
最初は生き物の調査ということで、たとえばパンジーさんを背負って移動したりするわけですよね。そうすると食べるのはかわいそうになってくるんですけど、不意に食べてみると味がするし、生き物の特徴として異なる味が表示される。ってことは、調べないといけないわけですし、じゃあ食べてもいいよね、と。
――ああ、目的として認識されるわけですね。
野上
そうなんです。ゲームの目的となると、なんとなく罪悪感が薄れるんですよね。残酷な行為ではなくて、やってもいいことなんだ、みたいに。
――単純に、どんな味なのかも気になりますしね。開発中は、こいつは苦いだろう、いや甘いんじゃないか、みたいな話し合いもされたのでしょうか?
山本
味を決めるときにはありましたね。あわあわカエルは、界面活性剤みたいなわけだからちょっと苦そう、とか(笑)。
野上
貝っぽい生き物はやっぱりおいしそう、とか言っていましたね(笑)。

――ヨッシーもおいしそうなリアクションをしますよね。最初は「食べちゃった!」と思うんですけど、おいしそうだからいいか、と感じられるのもおもしろかったです。
山本
やっぱり無垢なので、罪悪感とかはないんですよね。
野上
あくまで、食べてみたらおいしかった、それだけのことですから。
リアクションがあるからこそ、また新しいことを試そうと思える
――味も含めて、細かいところまで設定されていてすごいですよね。すべての生き物を1体ずつ細かく掘り下げて作っていったのでしょうか。
山本
基本的にはそうですね。最初はヨッシーのアクションから始まるんですけど、生き物になった後は、より深く興味を持ってもらうために生態の深掘りをしていました。
松宮
生態はゲーム内で発見できる要素だけではなくて、それ以外にもあるんですよ。図鑑や遊びには直接関わらない部分にも設定されている生態があって、かなり細かいところまで考えています。
――すべてを発見の要素として入れ込んだわけではないんですね。
山本
発見に入れるかどうかの取捨選択はありました。全体のバランスを取る必要があったので、設定としては考えているけど発見対象にはしていないものもあります。
松宮
いまはひとつの生き物に30前後の特徴が図鑑の記録対象になっているんですけど、最初はそこまで多くなかったんです。テストプレイ中に、「こういうことをしてみたのに何も起きなかった」みたいな報告がけっこうあって、じゃあそれも反応があるようにしよう、というので足していった結果、すごく増えました(笑)。

野上
やっぱり、リアクションがあるっていうのが大事なんですよ。やってみようと思ってアクションをしたのに手応えがなかったら、つぎに何か試そうと思わないじゃないですか。反応があるからこそ、じゃあこれだったらどうなるんだ、みたいな好奇心が生まれてくるので、そこは本当に大事でした。
――プレイに慣れてくると、とりあえず舌を伸ばしたり担いだり、投げたりヒップドロップで潰してみたり、というのは試すようになりますよね。それでもまだまだ気付かないような発見もあるのには驚かされます。
野上
「え、これで反応するんだ」みたいなのもけっこうありますよね。
山本
でも理想だけで言うと、もっともっとあったほうがいいんだと思います。確かに、「こんなの気付くわけないやん」みたいな発見もあるんですよ。でもそれって、テストプレイ中に誰かがやっていたことなんです。チーム内の誰かがやった行動が、発見されたものとして登録されているんです。
チームの掲示板に、「自分はこういうことを試してみたから、発見に登録して褒めてほしい」みたいなことをどんどん書いてもらったんです。それを採用していった結果いまの数になったんですけど、製品として発売されたいま、テストプレイの比ではないほど多くの方々に遊んでいただいていて。だから、「あれ、これにはリアクションないの?」と思うものはどうしても出てくると思うんです。本当はそういうのも全部拾いたいんです。
――それができるとすごいことですが、生き物のかけ合わせも考えると、開発側も遊ぶ側もキリがない無限のものになりますね。
野上
そうなんです。終わりがなくなってしまいますので……。
開発中に作られた粘土細工では生き物たちの貴重な背面も
――本作では発見した生き物に名前を付けられますが、デフォルトの名前も用意されていますよね。名前はやはり、わかりやすさを重視されているのでしょうか。
山本
そうですね。『ヨッシーアイランド』っぽさを意識しつつ、特徴がすぐ伝わるように考えています。
松宮
テストプレイでも、デフォルトの名前がわかりやすいから、自分で設定せずにそのままにしたという人も多かったです。
――生き物に対して、フカシギが「くん」付け、「さん」付けで呼ぶこともあれば、名前を呼び捨てにするパターンもありますよね。あれはフカシギの中で何か上下があるのでしょうか。

山本
いや、とくにないです(笑)。『ヨッシーアイランド』でも、「さん」が付いたり付かなかったりするじゃないですか。あの線引きはすごく微妙で、明確ではないんですよね。
野上
そこは語感だと思います。“マッキー”で終わるよりも、“マッキーさん”のほうが収まりがいいな、くらいの感覚かなと。
――なるほど(笑)。今回、ふかしぎな生き物たちの粘土細工をお持ちいただきましたが、こちらは開発の方が作られたのですか?

山本
ゲームの制作中に、プランナーが実際に作っていたものです。どういう生き物なのかを考えるときに、こういう立体物を作るとテンションが上がるんですよね。
野上
基本的には遊びの部分から生まれて、生き物としての体裁は後から整えられているんですけど、こうして形にすると、愛着が湧いてくるんですよね。「この生き物はこういうことをするんじゃないか」みたいな想像力も膨らんでくると思うので、その助けにもなっているんだと思います。
――立体物だと、後ろからも見られるのが貴重ですよね。ゲームだと基本的に後ろ姿は見られないじゃないですか。
山本
確かにそうですね。この粘土はイメージなので、これが正しいというわけでもなく。
野上
グワグワドリなどは、ゲームでは正面しか見えないですね。わたげさんも、顔が付いているほうしか見えませんし。もしかしたら裏側にも顔があるかもしれませんけど(笑)。
山本
この粘土細工は開発の途中で作っているので、ゲームのものとはデザインが違っているものもあるんです。わかりやすいのはわたげさんで、このころはまだ葉っぱが付いていました。
プチパックンとわたげさんを引いて見ると印象が似ていたので、もっと差別化するべきだという話になって、わたげさんはカビっぽい形になったんです。
ふかしぎな生き物もヨッシーも、無垢な残酷さは同じ
――生き物たちはかわいらしい一方で、生物らしい残酷さというか、怖さを感じる瞬間もありますよね。わたげさんもふわふわしてかわいく弱い印象だったのが、複数で寄生すると大きな岩も破壊できるようになる。ヨッシーのゲームの世界はほのぼのしたイメージがあったのですが、そういった生物らしさとのバランスはどう取られていたのでしょうか。
山本
僕からすると、ヨッシーもふかしぎな生き物たちもまったく同じで、ヨッシー自体が無垢な存在であるように、ふかしぎな生き物が一見残酷だったとしても、そこに罪悪感などはいっさいないんです。
ヨッシーもヘイホーとかを食べてタマゴにしていますが、行為だけを見たらかなり残酷だと思います。ふかしぎな生き物のかわいらしさと残酷さというのは、ヨッシーが持っているものと同じだと思います。
両方に共通しているのは、やっぱり無垢であることですね。生物として食べて、繁殖して増えていく。そういう営みの一環に過ぎないので、ヨッシーが特別かわいいとか、ふかしぎな生き物が残酷であるとか、そういったことはまったくありません。そこは同じ存在ですね。

松宮
アクションゲームだと、キャラクターの多くは“敵”として登場しますよね。でも本作においては敵ではなくて、あくまでも生き物なんです。一般的なゲームだとゴールに向かうのをジャマしてくるのが敵ですけど、そうではなくて、生き物がその場所に暮らしているんだ、という風に考えてもらえればと思います。
野上
生き物によってはテリトリーに入ると攻撃してきますけど、それはそういう生き物だからなんですよね。もちろん、相手が敵意を持って向かってきたらヨッシーも撃退しますけど、そこに敵対意識みたいなものはないんです。
実際の動物でも、ライオンの視点から見れば狩りが成功したらうれしいですけど、トムソンガゼルからしたら、仲間が食べられてしまった、ということになるじゃないですか。でも引いた視点で見れば、どちらもただ起きたことなんですよね。そういう、中立的な視点で描いているイメージです。
だから、ヨッシーはこういうことはしない、みたいなこともあまり決めていません。とにかく好奇心に従って動いて、必要なことであればするよね、みたいな感じです。
――なるほど。とてもフラットな世界ということですね。生き物の中には温泉に入れるとほっこりした表情を見せるなど、とにかくリアクションの幅が広くて、グラフィックなどの制作量もすごいことになったのではと思います。そのあたりのボリューム感はいかがでしたか?

山本
間違いなく多かったです(笑)。でもそこが浅いと、生態への興味が薄れてしまうんですよね。「これは調査しきれないぞ」と思うくらいの奥深さを用意しないと、調査対象にはなり得ないと思うので、全体的に物量はすごいです。
松宮
パンジーさんが泥沼で汚れちゃって泥だらけになりますよね。そうなると、沼自体はいろいろなコースにあるので、じゃあそこにいる生き物も泥だらけにする必要がある、といった感じでどんどん増えていくんです。
「パンジーさんは泥だらけになったのに、この生き物はならないのか」みたいなことがあるとガッカリされてしまいます。我々も遊んでいてそういう感覚にはしたくないですし、それに対応しようとすると、やっぱり数は増えますね。

各生き物につき最低1ヵ月はかけた生態の深掘り
――物量面ではもちろん苦労されたと思いますが、生き物の深掘りをしつつも差別化するなど、いろいろな苦労が浮かびますが……?
山本
アクションを起点に生き物を作った後は、どういう生き物なのか、どうやって繁殖するのか、食べたらどんな味がするのか、どんどん深掘りしていきます。ただ、ここにはそれなりの時間をかけないと生き物としての深みが出ないので、それぞれ最低でもひと月くらいはかけていました。
――1種類に最低ひと月はすごいですね。そういった生物らしさを考えるうえで、現実にいる生物のことを知らないと、らしさも生まれませんよね。そういった現実の生物の研究もされたのでしょうか。
山本
いやもう、おっしゃる通りです。どのジャンルにも言えますが、能動性というのはやっぱり知的好奇心から来るところが大きいと思うんです。ゲームも同じで、気になった部分に対して「こういう生き物にはこういう特徴があるんじゃないか」みたいに調べて追加していくと、どんどん深みが出てくるんですよね。
僕はけっこうそういうことを調べるのが好きで、現実の生き物が持つ特徴の中からうまくハマりそうなものをプランナーに伝えて、そこから調べてもらうことは多かったです。
野上
納得感のあるところまで掘り下げたいんですよね。
山本
そうなんですよ。実際、地球上はびっくりするような生態を持つ生き物がたくさんいるんです。ゲームだからと言って単にフィクションで作るんじゃなくて、現実にある珍しい生態を調べることが、よりおもしろい生態を考えるヒントになることはよくありました。

開発中はずっとタマゴ投げのアイデア強化月間
――幅広い知識が求められる作りかたですね。このアクションにはこういうタイプの生き物、みたいにアクションに応じて生き物の特徴を寄せていくようなことはされたのでしょうか。
松宮
あまりそういう考えかたはしていませんでしたが、アクションごとにある程度数は決めていました。
山本
最初は、とにかく思いついたアイデアを挙げてもらっていたんです。そこからおもしろそうなものを取り上げていって、そのうち、数が足りないアクションに関連したものを集中的に募集していました。背負うアクションに対応する生き物は考えやすかったんですが、逆にタマゴ投げはあまり数が多く出なかったんですよね。
――では、タマゴ投げアイデア強化月間のような時期もあったと。
山本
タマゴ投げについては、ずっと強化月間みたいになっていました(笑)。
野上
ゲームとしてはヨッシーのアクションがすべてのベースになっていて、プレイヤーが能動的に行うアクションに対してなるべく多くリアクションを返すことで能動性が維持できるので、どれだけリアクションを用意できるかが肝でした。
――能動的に調査していく基本的なステージのほかに、コマぼっくりの相撲だったり、いたつむりのレースのようなものだったり、アクションゲームらしい要素もところどころに用意されていました。こういったものはアクセントとして入れていたのでしょうか。

山本
そうですね。ヨッシーの操作が丸ごと乗っ取られるような、いわゆるライド系の生き物もある程度数が揃ったので、1ワールドに1匹入れるような形で割り振っていました。
ヤマズシンのようなボス系についてはもともと1ワールドに1枠用意する予定だったので、おおむね1ワールドにつきライド系1、ボス系1という配置になりました。
ダマシギリやハグハグソウなどの怖さにも理由がある
――基本的には明るい雰囲気の本作ですが、ダマシギリが出てくるコースは急にホラーめいた雰囲気になりますよね。緊張感のある雰囲気に変わって、こんなゲームにもなるのかと驚きました。

野上
あそこだけガラッと雰囲気を変えたかったんですよね。
山本
僕はホラーゲームが好きで(笑)。『ヨッシークラフトワールド』にもホラーテイストのものを入れていたんですが、コースを作るときには、基本的に「こういうアクションをやってもらおう」といった、ゲーム性から考えるんです。
ダマシギリのコースでは、ホラーゲームにあるような絶対に勝てない相手から逃げ延びるアクションを入れたくて。お題としてはそれしか出してなくて、それでできあがったのがあのコースでした。
『ヨッシークラフトワールド』だと、斧を持った人形が出てくるコースがありますが、あれを見せながら「これこれ」って。
松宮
あれは本当に怖すぎますよ(笑)。
野上
いちおう、ダマシギリにもヨッシーを襲ってくる理由はあるんですよ。生態としての意味がちゃんと用意されているんです。そこは調べると出てくるので、まだ見つけていない人はぜひ発見を進めてみてください。
――怖いつながりで言うと、ハグハグソウもなかなかにホラーですよね。絶対に逃がさない執念みたいなものを感じます。

野上
でも、あれはハグしたいだけなんですよ(笑)。現実にも触ったら指を包むように葉を閉じる草があるじゃないですか。あれみたいに、とにかくくっつきたいんです。
松宮
それだけヨッシーが大好きなんですよね。
野上
そう、ハグして持ち帰りたいだけ。そういう性質なんです。
山本
ここに関しても生態は考えていて、ハグハグソウはハグしたものを自分のテリトリーに持ち帰るんですよ。たとえば、持ち帰った動物がその場で朽ちるとするじゃないですか。そうなると養分が土に還って、それをハグハグソウが根から吸うんです。
――やっぱりホラーじゃないですか……?
山本
でも、ハグハグソウは相手を動けなくするわけではないんですよ。ただただ、相手がどこに逃げても自分の巣に連れ戻し、その生き物が諦めるまで持ち帰り続ける生き物なんです。逃がさないようにするんじゃなくて、逃げてもムダだと思わせる。ハグしたいだけなんですよ(笑)。
――やっぱりホラーです(笑)。
制作に約3年かけたゴクラクチョウ
――ゲームのひとつの山場となる6章ではゴクラクチョウが登場します。あらゆるものに変身できるとんでもない能力を持っていますが、自由度が高いだけに開発は相当にたいへんだったのではないでしょうか。
山本
そうですね。ただ、ゴクラクチョウに関しては最初からああいうステージにすると決めていました。
本作では、図鑑を埋めるために生き物の調査を進めていくわけですが、アクションゲーム的な難度はそこまで変化しないんです。ただプレイヤーの中では、遊べば遊ぶほど知識が積み重なっていきますし、「こんなことができるんじゃないか」といった能動性も高まっていくと思うんですよね。
そんな能動性を持って調べて積み重ねられた知識が強さになるようにしたいと考えていて、それを表現するために生まれたのがゴクラクチョウの能力でした。
野上
そこまで最低限の調査で進めてきた人は攻撃手段が少なくて、自分の興味に従っていろいろ遊んでいた人が結果的に強くなるんですよね。
――索引を見ながら、どれがいいんだろうかと悩みながら遊んでいました。
野上
その瞬間に、それまでに自分がどんなプレイをしてきたかを思い出せますよね。開発中に何回か「来た!」とゲームのおもしろさを体感できる瞬間があるんですけど、ゴクラクチョウが最初に実装されたときも、まさにその感覚がありました。
それまでに自分の遊んできたことが能力として反映されるのが、このゲームらしいコンセプトだと思ったんです。このおもしろさを伝えたいけど、言ったらネタバレになってしまうので事前にはお伝えできなかったのですが、できるだけたくさんの人にあそこまでたどり着いてほしいですね。

――私はドリシシやくるくるムシなどを使っていましたが、きっと意外な攻略法があるんですよね。
山本
クリアーのしかたはいろいろバリエーションを用意しています。
野上
たいしてダメージがないようなものにも、しっかりリアクションをしてくれるんですよね。足もとにチクチクさんを置いたらちゃんと痛がってくれますし(笑)。
山本
だからたぶん、ゴクラクチョウの制作期間だけでも3年くらいはかかっていると思います。
――3年ですか!
野上
ちょっとずつ追加していて、ほかのものと並行して作り続けていましたね。
山本
やっぱり作り込みが足りない、どんどん足さないといけないと考えていましたし、生き物が増えたらそのぶん対応も増えて、ずっと作っていました。
松宮
最初にゴクラクチョウのコースを作ったときは、対応する生き物がそこまでは多くなかったんです。でも本当にずっと増えていくので、これは後々たいへんなことになるぞ、と思っていました(笑)。
山本
あのコースには、ほかの生き物は配置していないんですよ。1匹でも出したら途端に掛け算が発生するので、もうエラいことになりますから(笑)。
――ちなみに、ゴクラクチョウでじつはこんなこともできる、といった生き物はいますか?
山本
つりんちゅは試しましたか?
――えっ! 試していないです。あれで釣れるということですか?
山本
そういうことです。あとは、ヘイヘイホーなんかもおもしろいですね。踊らせられるんですよ。
野上
ダメージが入らないようなものも、とにかくいっぱい用意しています。
――なるほど……! わかりやすくダメージが入りそうなものを優先しがちですが、一度クリアーしたら「これを使ったらどんなリアクションをするんだろう」みたいに試すといいってことですね。
山本
まさにそういうことなんですよ。それまでの好奇心の積み重ねが、本作における強さなんです。単に相手を倒すことが強さではないんですよね。そこまで能動性が高まっているプレイヤーの方にとっては、目的は相手を倒すことではなくて、どんな反応を見せてくれるのか、それを確かめることだと思います。
それまでの発見が多ければ多いほど、いろいろなことが試せるので、そこがゴクラクチョウのいいところと言いますか。強そうな攻撃で倒すっていうことはゴールではなくなっているんですよね。
野上
しかも、あそこを越えた先でさらに新しい生き物にも出会えますからね。また戻ってきていろいろ試すことができるので、楽しいコースだと思います。
作中最強はパンジーさん、地球上最強は小麦?
――ちなみに、皆さんのお気に入りの生き物を教えていただいてもよろしいでしょうか。
山本
僕は、パンジーさんですかね。最初期に作った生き物なので、生態の深掘りもいちばん進んでいるんですよ。設定面でいちばん深く考えたことが大きいですね。全体のストーリー設計にも絡んでくる生き物なので、思い入れがあります。

――プレイした方にはわかると思いますが、パンジーさんもけっこう怖い部分がありますよね。
山本
たぶん、生物的にはいちばん強いんじゃないかと思います。生き物の強さを繁殖域の広さで考えるなら、おそらくもっとも繁殖力が高いのはパンジーさんなので、パンジーさんが最強なんですよ。
たとえば地球でいちばん強い生き物って何だと思います?
――突然の質問! えーっと……(ゾウとか蚊とか言われたりするよな……)。
山本
これもいろいろな見かたがあると思うんですけど、たとえば小麦のことはどう思いますか?
――小麦は……、強い印象はないですね。
山本
ただ、小麦は単位面積あたりの収穫量がとても多くて、だからこそ人間が食べるために小麦を育てていますよね。結果として、地球上でものすごく繁殖しているんですよ。
逆に言えば、小麦が人間を従属させていると捉えることもできるんです。小麦は人間を使役するために、自分の実をおいしくしたんですよ。収穫量を増やして、カロリーを高くすればどんどん俺たちを増やしてくれるぞ、というので進化して、事実人間は小麦を増やしているじゃないですか。
――なるほど! 種の繁栄という意味では確かに成功していますね。
山本
そういう風に考えると、このゲームの世界でもっとも繁殖力が高いのはパンジーさんなんです。わたげさんも強そうに見えるんですけど、けっこう弱点も多くて、パンジーさんに比べると繁殖力はそこまで高くないんですよ。
野上
わたげさんは自走もしないですからね。パンジーさんがあんなにかわいらしい見た目をしているのは、ヨッシーに背負わせるためだったのかもしれません(笑)。
――そういう考えかたをするとまたおもしろいですし、いろいろな生き物の見えかたが変わりますね。蛭子さんはお気に入りの生き物はいますか?
蛭子
僕はドリシシですね。やっぱり豪快に突き進めるところが力強くていいですね。微妙に言うことを聞かないところも好きです。

――強いですし、とても頼りになりました(笑)。野上さんはいかがでしょう?
野上
迷いますね。好きな生き物はたくさんいるんですよ。でも思い入れとしては、『ヨッシーアイランド』から登場しているあほーどりですかね。昔はシンプルな存在でしたけど、今回はいろいろなバリエーションをつけていただけたので、そこは純粋にうれしかったです。
――ヨッシーが小さくなった場面では、相対的に超巨大なあほーどりも見ることができました。

野上
あれもいいですよね。いろんな意味で大きく扱ってもらえたので、いいなと思います。
――松宮さんのお気に入りは?
松宮
やっぱり、わたげさんですね。最初に見たときから、怖いのがいいなと思いました。繁殖力も高いですし、自分で遊んでいるときも、気付くとわたげさんを追いかけて、コースのあちこちに広げているんですよね。何も考えずにわたげさんの生息域を広げてしまっているのが、「なんだこれ」みたいな感覚が強くておもしろかったです。

野上
わたげさんはある意味、能動的な遊びのコンセプトをもっとも体現している生き物でもありますよね。
――「こうしたらどうなるんだ?」と思わせてくれますよね。
野上
たぶん、わたげさんのコースがいちばん右往左往するんじゃないですかね。
蛭子
わたげさんは数もすごいことになるので、処理落ちは大丈夫だろうかと思いながら見ていました(笑)。
山本
そこはもうSwitch 2 ですから、大丈夫でした(笑)。
図鑑というモチーフならではのビジュアル表現
――グラフィックについてもおうかがいしたいのですが、コース内のように絵画調の描写もあれば、オープニングなどはCGらしさもあって、かと思えば本を開いたときにはコース内とは異なる絵本のような見せかたもありました。グラフィック面ではどのようなコンセプトがあったのでしょうか。


山本
基本的には、図鑑の中だと思えるような描写を意識しました。今回気を付けたのは、描写として目指すのは図鑑の中であって、紙面ではないという点ですね。
『ヨッシー ウールワールド』、『ヨッシークラフトワールド』と作ってきて、その流れで言えば、僕は図鑑の紙面をモチーフにしたがるんです。そこからページをめくるようなアイデアを入れがちなのですが、それは今回のコンセプトと関係がないので図鑑の中をベースにしています。
図鑑の中にリアルな空間があって、ページめくりのようなギミックを使わずに、図鑑の中と外がハッキリわかるようにする、それが今回のグラフィック作りのテーマになっています。
野上
よく見ると、図鑑の中にいるときって、ヨッシーのまわりはあまり図鑑らしい装飾やデザインが入っていないので、図鑑らしさが薄いんです。でもヨッシーが遠ざかったり、コースの端に行ったりすると、描線などの本らしいデザインが増えてきて、図鑑っぽく見えてくるんですよね。だから、おそらくヨッシー本人は図鑑の外にいるのと同じ感覚なんじゃないかと思います。
自分の発見だからこそ、好きに並べ替えもできるように
――図鑑の表現もすごいですよね。各コースで発見した特徴が書き込まれていく描写もおもしろいですが、生き物のページでは記録された発見を自由に並べ替えられて、かつ、その配置を変えてもいい感じにレイアウトしてくれるのが印象的でした。これは、何かしらのルールに則ってレイアウトされるようになっているのでしょうか。

山本
発見には星1個から3個までの等級があって、デフォルトでは星1個のものが3つまで敷き詰められていくんです。自分で並べ替えた場合は、4つまでぎゅうぎゅうに配置することもできます。星2個の発見は2個分のスペースを使って、星3個の発見は4個分のスペースを使うようになっています。
発見は基本的に見つけた順番で並ぶのですが、そのままだとちょっと隙間が生まれることもあるんですよね。そうなると、こういう風に並べたいな、みたいな欲求が出てくるじゃないですか。それに応えるべく、好きに並べ替えて、自分なりの図鑑を作ってもらえるようにしました。
野上
調査しながら残したメモを、レポートにまとめ直すような感覚に近いですよね。ヒントを購入してページが増えたときにも、几帳面な人はもっと詰めたいでしょうし、そういう要望に応えてくれるのはいいですよね。ここもどう並べるかで人のクセが出るところだと思います。
――発見したときのヨッシーの色が反映されるのも、自分だけの図鑑を作っている感覚があっていいですよね。この自由度を作るのはすごいなと思っていました。
山本
実際に作るのはたいへんでした(笑)。
野上
「これはたいへんだなぁ」って言いながらやっていましたね(笑)。
――こういったゲーム内のコレクション要素は、あまりプレイヤーにいじらせない領域という印象があります。
山本
最初に図鑑を作ったときは、掲載の順番が決まっている穴埋め方式だったんですよ。でも、それだとゴールの存在と同じで、穴を埋めていく作業になるというか、能動性が下がってしまうんですよね。
そうではなくて、初めて発見したのがあなたで、それが書き込まれたんですよ、とするために今回のような形になっています。
野上
そうなるとどういうレイアウトになるかわからないから、それなら自分でいじってもらえるようにしちゃえ、となったんですよね。
――穴埋め方式でないとどこまで見つけていないのかがわからなくなりますが、そこで本作のヒント機能が活きてくると。
山本
個人的には、全部見つからなくても構わないと思っていたんですよ。でも、それだとどうしても気持ち悪いという人もいて。
野上
やりたいところまでやってください、でもいいんですが、「まだつぎがあるよ」とヒントを出すことで、もう一度図鑑の中に入るきっかけになればいいな、と考えていました。
松宮
いったんコースをクリアーすると、自分としては興味があることは調べたから、じゃあつぎのコースに行こうかな、となるんですよ。でもヒントを出されることで、まだもうちょっと残っているから、もう一回遊んでみようかな、と思うきっかけになればいいなと思っています。

早く自由に遊んでもらうために、6章でいったん区切りをつけた
――本作は6章まででいったんの区切りとなっていますが、この構成にはどういった意図があるのでしょうか。
山本
くり返しお伝えしているように、本作でいちばん大切なのはお客様の能動性です。たいていのゲームの場合、エンディングを迎えたらひと通り終わった感覚になって、あとは好きに遊ぼうかなって気持ちになると思うんですが、なるべく早くその状態になっていただく必要があると思っていました。「あとは好きなことをやる」という気分で能動的に遊んでいただくために、6章でいったんエンディングを見る形にしました。
――エンディング後はいきなりミクロの世界になったり、宇宙に行ったりと、それまでとは視点の違うコースが出てきますよね。

山本
あとは順番通りに進める必要もないので、好きなところから行ってください、という風にしています。
――スタッフロールでは、それまでに登場した生き物が出てきますが、ヒント集のようにもなっているように思いました。
山本
これもお客様にまだまだ楽しんでいただきたくて入れた仕掛けですね。こんなこともできたんだ、っていうものを見せることで、あのコースにもう一回行ってみようかなと思ってもらうために入れています。
調査ツールはデザイン的なご褒美……のはずが、生態の設定がさらに増加
――6章クリアー後には、調査ツールが開放されます。ヨッシーに関するゲージや生き物に関するグラフなどリアルタイムに表示されるものが、ものすごい数で用意されていますが、たとえば体力ゲージのツールなどは、開発初期にダメージ要素が残っていたころの名残りだったりするのでしょうか。

山本
名残りというよりは、入手したフラワーの使い道として用意しました。『ヨッシークラフトワールド』ではガチャコインで工作のコスチュームが入手できましたが、そういうデザイン的なご褒美です。
今回は図鑑、調査というモチーフなので、図鑑の見た目をカスタマイズするようなイメージで、ユーザーインターフェース(UI)を自由にいじれるようにしました。これがないと調査がはかどらない、みたいなものにはせず、ちょっとした機能美のような、機能があるからかわいいと思えるようなものとしてデザインしています。
野上
生き物の設定がすべて発見になっているわけではないという話もありましたけど、たとえば体重なんかもそうですよね。温度計だったり、味をグラフで表示したりして、そんな細かいところまで考えているのか、みたいなところは調査ツールを使ってもらうとより見ていただけるかなと思います。
――味センサーは三角形のレーダーチャートだったり棒グラフだったりで示されていて、やはりこだわりがあるんだなという印象です。
山本
やっぱり、ヨッシーにとって食べる行為はアイデンティティとして大きなものだと考えています。とりあえず最初は食べてみる、っていう人も多いと思うんですよね。そこで味に対するリポートが出てきたら、これまでとちょっと違うものなんだと、意識を変えられるポイントになるかなと。
――でも、ここまで調査ツールで表示できる情報が多いと、逆に「この調査ツールを入れたことによって、設定するものが増えてしまった」といったことはなかったのでしょうか?
山本
ありました(笑)。一部にしか設定していなかったものも全生き物に設定する必要が出ましたし、それを確認するのもとてもたいへんでした。
――ご褒美どころでは留まらないものに……(笑)。調査ツールの中では心拍メーターが好きでした。ヨッシーの鼓動に合わせて振動して、走ると鼓動も速くなるのがいいですよね。でも意外と、ピンチになってドキドキするような場面は少ないのかなとも思いました。
山本
わかりやすいのはダマシギリのコースですけど、そんなに多くはないですね。
野上
ヨッシーは基本的に肝が太いので、あんまりピンチだと思わないんですよね。自分が食べられちゃってもあんまり気にしないので(笑)。
――水質計も水槽型とビーカー型があって、見た目にもかわいいですよね。
山本
水質を調査しながら魚を釣ると、水槽に魚が入るんですよ。その状態で水質を変えるとまたおもしろいことになるので、ぜひ試してみてください。
野上
また調べることが増えますね(笑)。
『フカシギ』の世界に登場する『ヨッシーアイランド』の敵たち
――設定まわりについてもお聞きしたいのですが、ヘイホーやパックンフラワーなど、『スーパーマリオブラザーズ』シリーズや『ヨッシー』シリーズですでに登場していたキャラクターに対しても、本作で改めて生き物としての特徴を描くことになったかと思います。おなじみのキャラクターをどこまで入れるか、という点についてはどう考えられたのでしょうか。

山本
大前提としてヨッシーのアクションベースで考えていたので、無理に『ヨッシーアイランド』のキャラクターを入れたわけではないんですけど、やっぱりある程度は入れたいという気持ちもありました。結果的には、だいたい1ワールドに1匹ずつくらいの比率で入れるようにしています。
ただ、ワールド6に関してはほぼほぼ『ヨッシーアイランド』のキャラクターで構成しています。ジェットクラゲに関してはちょっと違うんですけど、『ヨッシーアイランド』にいた、海の中で漂っているだけのクラゲからきていることにしよう、と。スタッフからも「強引すぎません?」と言われましたけど(笑)。
野上
それは私も気付きませんでした(笑)。
――ここにきて明かされる真実ですね(笑)。でも6章は本当に、帰ってきた感じがあるというか。
野上
あくまでも“絶海の孤島”であって、どことは明言しないんですけどね。

――フカシギも思わせぶりなことを言ってきますよね。本作ではパックンフラワーなどにも生き物としての特徴が設定されていますが、これは今回用に改めて作られたものなのでしょうか。
野上
そうですね。ただ、いちおう本作のパックンフラワーはヨッシーの世界のパックンフラワーであって、マリオの世界のものとはまた違うところがあります。その前提のうえで、遊びに紐づけて、こういうパックンフラワーであってほしいな、というものを作っています。
クッパJr.とカメック
――シリーズおなじみの存在として、クッパJr.とカメックが今回も登場しますが、黒幕というよりは巻き込まれる側の存在になっていますよね。このあたりも、本作が能動的な遊びにこだわることと関連しているのでしょうか。

山本
そうです。ゲームのメインは生き物を調査して図鑑に書き込んでいくことなので、そこに割り込んでくるような大きな存在は不要なんですよね。たとえば“カメックとクッパJr.が図鑑の中にいる生き物に悪さをしようとしているから、それを止めなきゃ”みたいにすると、そもそもの目的が変わってしまう。
ゴクラクチョウについても、ヨッシーとクッパJr.たちの双方がゴクラクチョウを目指していたわけではなくて。クッパJr.たちは目的があって探しているけど、ヨッシーはただ調査をしているだけ。今回のクッパJr.たちは、そういうすれ違いみたいなのもありながら、ちょっと間抜けなポジションで、勝手に失敗しているような立ち位置になっています。
野上
そもそも『ヨッシーアイランド』のときから、“悪い奴がいるからこらしめてやろう”っていう話ではないんですよね。あのときは赤ちゃん(ベビィマリオたち)がたまたま空から落ちてきて、行きたい場所があるみたいだからヨッシーたちが連れて行ってあげただけなんです。でもベビィクッパたちがそれをジャマしてきたから倒さなきゃいけなかったわけで、とくに大義名分みたいなものはないんですよね。
今回も、クッパJr.が困っていたら助けてあげるし、向こうが敵対してきたらやっつけるしで、その場その場で対応は変わるんです。やっぱりヨッシーってものすごく刹那的なんですよ。だから戦っても後腐れはないし、嫌なことをされたとかも、別に覚えていないんです。
――フカシギという存在がそもそも何なのか、というのも気になるところです。あれは生き物を実際に取り込んでいるのか、それとも図鑑としてデータ的に取り込んでいるのか、そのあたりはどういったイメージなのでしょうか?
山本
設定としては、種を残すためにあそこに避難させたというイメージで考えていました。ただ、どういう技術で生き物を中に入れているのか、あるいは情報化して取り込んでいるのか、そこまでははっきり定めていません。ただ、種を残すという目的があって図鑑に避難させたと、そういう設定です。
――これまでの作品ではベビィクッパが登場していましたが、そこがクッパJr.に変わっていますよね。そこがストーリー内でも補完されていますが、こちらはどういった意図があったのでしょうか。
野上
ここは手塚とも相談して、代替わりさせたいなと考えていました。これまでずっとベビィクッパが敵役として出ていたんですけど、最近はクッパJr.が登場する機会も増えていたので、ヨッシーのゲームでもクッパJr.の出番を増やそうと思ったんです。
ただ、「ヨッシーのゲームではベビィクッパだったよね」というのを覚えている方もたくさんいらっしゃるので、そこにどう理由を付けようかと思って、グッド・フィールさんといっしょに考えた結果、ああいうストーリーができました。
――単純に、カメックがものすごく長生きなのかなとも思っていました。
山本
図鑑の中での時間の流れについてはあやふやにしているので、カメックが体感した時間は不明なんですよ。
野上
ある種、竜宮城みたいなところもありますよね。いちおう、カメックには同じ見た目のやつがたくさんいるので、誰が誰なのかわからないというのもあるんですけど、あのカメックにはまた何かあるかもしれないですね。
――そういったストーリーもありつつ、エンディングがすごくいいですよね。
山本
うまくつながったな、と思っています。もともとあのエンディングをやりたくて始まったゲームではないのですが、今回大きな変更点としてベビィクッパからクッパJr.に代替わりするとなったときに、図鑑の設定を使ってうまくつなげたいと思ったんです。
僕の中ではベビィクッパとクッパJr.にはキャラクターとしての差がけっこうあったので、そこをうまく表現したいなと考えていたんです。ただ、これはあくまで僕個人の意見なので、公式設定だとは思わないでください(笑)。
BGMがほぼ無音から始まるのは、余計な先入観を防ぐため
――音楽についてもお聞きしたいのですが、本作では最初は静かだったBGMが、生き物の発見を重ねるにつれて賑やかになっていくのが特徴的ですが 、この音楽はどのように作られたのでしょうか。
山本
最初に生き物と出会う前は何も情報がない状態なので、BGM側から「こういうイメージの生き物ですよ」、「こんなテンポのアクションがありますよ」といった先入観を与えないでほしかったんです。だから、最初はほとんど無音だったり、単音だったりといった作りにしています。
その生き物がどういうものか、その骨格がわかってくるとメロディーが出てきて、生態やアクション性がわかってくるにつれて、リズム感も出てくるような構造になっています。これも能動性に関わる部分で、プレイヤーが発見したことでイメージが明確になっていくようにしたかったんです。
野上
ステージに入った直後はプレイヤーの感情も動いていないですよね。だからBGMでイメージがついてしまわないように、まずはほぼ無音なんです。
松宮
生き物の名前が最初はないのも同じ理由ですよね。“つっつきさん”っていう名前があったら「つついてくるんだろうな」と思ってしまうので、そういう先入観もない状態で始めていただけるようにしています。
――先入観を徹底的に排除していると。でもどのタイミングで発見があって音が増えるかわからないから、いつでも対応できるようにしないといけませんよね。
山本
発見によって増えたり、アクションをすることで増えたりとパターンも多いので、本当にここは苦労して作ってもらいました。
――音楽を仕掛けに使っているコースもおもしろいですよね。ヘイヘイホーのコースは、そんなことになるのかと驚きました。

山本
音楽ってやっぱり、人間の持っている根源的な好奇心とか楽しみにつながっていると思うんです。それによって誘発されるものが必ずあるので、音楽を使ったネタをある程度入れることは早くから考えていました。個人的には、もっと音楽ネタを入れてもよかったかなとも思います。
野上
音楽も、プレイヤーを導く、つぎへのモチベーションを持っていただくための装置のようなイメージなんですよね。
イライラジャンプ、むずかしすぎません?
――やり込み要素になるかと思いますが、12章の“フカシギからの挑戦”についてお聞きします。SNSなどでも難度の高さに悲鳴が上がっている“イライラジャンプ”のコースですが、ここは本当に難しいですよね。

野上
本作は全体的にやさしいゲームという風にとらえられていると思うんですけど、あえて簡単にしているつもりはないんです。ただ、メインのルートはなるべく多くの方にたどってもらいたいので、そこは遊びやすくしつつ、それ以外の部分はアクションの難度的にもあまり手加減せずに作っていただいています。
山本
通常のコースにも難しいものはあるんですけど、12章の“フカシギからの挑戦”については、わかりやすく難しいですね。
野上
あれは、フカシギがヨッシーのことも生き物のひとつとして見て、最終的に「お前がどこまでできるのかを見せてみろ」っていう、調査の一環として行われているコースなんです。
――ヨッシーの生態調査だったわけですね。ちなみに、皆さんはイライラジャンプはすんなりクリアーできてしまうのでしょうか?
山本
あれは難しすぎますよね(笑)。
野上
確かに難しいんですけど(笑)。でも、いちおうバッタに乗ったまま最後まで行けるようにがんばりました。
松宮
そのあたりはギリギリですが、乗ったままでクリアーできるように調整しています。

野上
正直、挑戦して1日目は諦めましたけどね(笑)。でも翌日リトライして、ちゃんとクリアーしました。
――おお、すごい。正直、クリアーするには最後にバッタを乗り捨てるのが必須なんじゃないかと思っていました。これまでヨッシーが散々乗り捨てられてきたから、そのオマージュなんだろうなと(笑)。
野上
ヨッシーも案外、そういうことを考えているかもしれないですね。……いや、ヨッシーは後腐れのないタイプなので、そんなことはないと思います(笑)。
全部を発見したい人が思ったよりも多かった
――発売後に多くのプレイヤーから反響や感想が届いているかと思いますが、いかがですか?
野上
先ほどのお話にもありましたけど、私たちとしてはひとつの生き物で全部の発見をしなくても、どんどん好きなように新しい生き物と触れ合えるようにしていたんですよ。まずはいったんメインの部分を進めて、時間があったらさらに遊んでね、くらいのつもりだったんです。
でも、できるだけたくさん発見してからつぎに進みたいという方が思ったより多いんですよね。すごく丁寧に遊んでいただけていて、うれしいです。
山本
僕も、コンプリートしてもらおうという考えはあまりありませんでした。正直、僕はコンプリートマークを付けるのも反対だったんですよ。いつ終わったかわからないくらいでもいいと思っていたんですけど、皆さんの反応を見ていると、きっちり終わらせたい方が多いんですよね。このゲーム、クリアーできるんだ、って思いました(笑)。
イライラジャンプじゃないですけど、難度が高いところは本当に難しいですし、発見についても、複数のメンバーが挙げてきたものを登録しているので、明確な法則性があるわけでもないし、いろいろと偏った部分もあると思います。そういった部分を超えてコンプリートしてくださっているのは、すごくうれしいですし、ちょっとびっくりしました。
好奇心に従って、興味が尽きるまで遊んでほしい
――そろそろインタビュー終了の時間も迫ってきましたが、今回お話をうかがって、山本さんがすごくこだわりを持たれている方で、かつ、ちょっと変わっていらっしゃるんだなというのを知ることができてよかったです(笑)。
一同 (笑)。
野上
この短時間で、よくぞ気付いてくださいました(笑)。
――蛭子さんは山本さんとも長くお仕事をされているかと思うのですが、山本さんはどういった方なんでしょうか?
蛭子
あんまり下手なことは言えないですね(笑)。
山本
気にしないでください(笑)。

蛭子
彼は物事を論理立てて、ずっと突き詰めるタイプですね。ときには考えすぎることもあるんですけど、こだわりを持って突き詰める力はすごいです。やっぱりこれだけのこだわりがないと、ディレクターは務まらないですね。
野上
遊びにしても設定にしても、なんでそうなっているのかを聞くと、ちゃんと答えが返ってくるんですよ。ふだんからものすごく考えておられるんだろうな、というのは感じます。
――ありがとうございます。では最後に、このインタビューを読んでいる読者へのメッセージを皆さんからいただければと思います。
蛭子
本作はゲームオーバーがないとか、キャラクターの表現がかわいいとかで、ある種低年齢向けのタイトルだと思われている方も多いと思います。実際、間口を広くしているのでゲームが得意でない方でも遊べますが、今回お話にも出ていたように、かなり歯応えのある要素も用意されています。いわゆるゲーマーの方にも楽しんでいただけるゲームだと思いますので、まだプレイされていない方はぜひ遊んでみてください。
松宮
このゲームは何かやってみようかとか、これはなんだろう、みたいに興味を持って遊んでみると、より楽しめるものになっています。ヨッシーをお好きな方はたくさんいらっしゃると思うので、ゲームに興味を持たれた方はもちろん、ヨッシーがかわいいなと思われた方にもプレイしていただきたいです。
また、よくわからないゲームだと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、しっかりとしたヨッシーのアクションゲームだと胸を張って言えるものになっています。ぜひ、実際にプレイして楽しんでいただければうれしいです。
山本
『ヨッシーとフカシギの図鑑』は、コンセプトからして能動的に遊んでもらうためのゲームです。能動的に遊べば、どんな方にも楽しんでいただけると思っています。プレイしてみて期待していたものとちょっと違うな、と思う方もいらっしゃるかもしれません。でもちょっとした発見、気付きが楽しさにつながるので、ぜひ童心に帰って遊んでみていただきたいです。
お子さんがいる方には、親子で遊んでみていただきたいです。ゲームとしてはひとり用なんですけど。「ここでこうしてみたら?」みたいにアイデアを出し合って遊ぶのも楽しいゲームなので、ぜひ誰かといっしょにプレイしてみてください。
工夫したポイントとして、本作はゲーム内に複数のセーブデータを作れるようになっているんですよ。たとえば家族で遊んでいるとほかの人のセーブデータが見えて、「こんなところに行っているんだ」、「そんな発見もあったの?」といったことをきっかけに、会話も生まれると思うんです。ぜひ親子やきょうだいで盛り上がって楽しんでいただければと思います。
野上
今回、グッド・フィールさんがものすごく時間をかけて、丁寧にヨッシーの世界を深掘りしてくださいました。遊びに関しても、掘れば掘るほど新しいものが出てきて、より深く掘っていけるようなゲームになっています。
大きな目標に向かってノルマをこなしていくよりは、目の前にある興味にひたすら飛びついていける、遊び場のようなゲームです。好奇心に従ってどんどん遊んでいただいて、興味が尽きるのが早いかゲームが終わるのが早いかという感じで、好きなだけ遊び尽くしていただければと思います。
――ありがとうございました!