今回公開されたインタビューでは、1991年に発売されたPCエンジン版『パラソルスター』の開発者が当時の裏側を語る内容となっている。
『レインボー★パラソルコレクション』の収録作『パラソルスター』が開発当時の裏側を語る。「自分で作るしかない」から生まれた『バブルボブル』シリーズの第3弾
本作は、『レインボーアイランドCS』『パラソルスター』『スピカアドベンチャー』といった3タイトルを内蔵したソフトです。『レインボーアイランドCS』には6種類の家庭用移植版『レインボーアイランド』を収録しており、『パラソルスター』『スピカアドベンチャー』はオリジナル版に多彩な新要素を追加しています。一部ストアでは限定特典が付属するほか、ebten[エビテン]では『ファミ通DXパック』も発売します。
『レインボー★パラソルコレクション』特典付き販売ページ
なお各タイトルは、個別でもNintendo Switch / PlayStation 5 / PlayStation 4向けにダウンロード販売を行います。(※1)
本日(2026年7月4日)、『パラソルスター』に関して1991年にリリースされたPCエンジン版を開発したスタッフへのインタビューを公開します。(※2)

内村 語(ウチムラ カタル)
『パラソルスター』の企画立案、ストーリー&ゲームデザイン、ロゴデザイン、バランス調整などを担当。 タイトー在籍時にメイン企画を担当したタイトルは、他にファミリーコンピュータ用ソフト『究極ハリキリスタジアムIII』や、ゲームボーイ版『エレベーターアクション』など。 タイトー退社後はメガドライブ用ソフト『ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌』『ストーリー オブ トア ~光を継ぐ者~』などに携わる。
鈴木 治雄(スズキ ハルオ)
『パラソルスター』の基幹システムやプレイヤーキャラクター関連、サウンド全般のプログラムを担当。ゲームデザイナーとプログラマーの調整役も務めた。 タイトーへ1988年に入社し、セガ・マークIII版『ラスタンサーガ』におけるスタッフロールのテキストデータ入力をはじめとして、主に家庭用ゲームの開発に携わった。
Yasko. / 山田 靖子(ヤマダ ヤスコ)
『パラソルスター』のサウンドディレクションを担当。家庭用ゲームではファミリーコンピュータ用ソフト『フリントストーン』、アーケードゲームでは『オペレーションサンダーボルト』『ニュージーランドストーリー』や、『バブルボブル』および『パズルボブル』シリーズに携わった。
『バブルボブル』は1986年、『レインボーアイランド』は1987年にアーケードゲームとしてリリースされました。企画者はMTJ(三辻富貴朗)氏です。
『パラソルスター』の企画者は私ですが、『レインボーアイランド』がリリースされた年はまだ18歳の高校生で、『バブルボブル』や『レインボーアイランド』の大ファンな、単なる1プレイヤーにすぎませんでした。放課後、友人と『バブルボブル』で協力し合い、『レインボーアイランド』で競い合ったのはとても良い思い出です。


1989年頃、MTJ氏が退社されたことを聞きショックを受けます。なにより「The Story of Bubble Bobble 2の続きは?」と。
『バブルボブル』と『レインボーアイランド』のゲームシステムと世界観が好きすぎたので、いつか続編が出ると勝手な希望を抱いていたのです。
その後も続編の話は無かったので、こうなったら自分で作るしかないと勝手に『バブルボブル』シリーズの続編として『パラソルスター』の素案を提出し、企画を進め、最終的にコンシューマーでの正式開発を獲得しました。
その際、ハードの選択肢はPCエンジン、メガドライブ、スーパーファミコンがありましたが、双方向当たり処理で重くなりそう、カラフルな映像にしたいので色表示は多く欲しいなどの理由から、BGスクリーンは1枚だが、スプライトとBGがそれぞれに16本のカラーパレットを持ち、処理はバツグンに速くてハード的にもノウハウのあるPCエンジンで開発にすることになりました。
このように、アーケード由来の『バブルボブル』、『レインボーアイランド』とは、発案者も経緯も異なり、コンシューマーゲームとして発案された為、PCエンジンでのリリースになった理由です。
――パラソルを武器に使うというアイデアはどこから来たのですか。

しずくはプレイヤーキャラクターの影響を受けて毎回動きが変わるので、マンネリ抑止のひとつを担っています。それをコントロールする道具がパラソルです。本来ならアンブレラの方が相応しいと思いましたが、名前の響きを優先してパラソルとしました。
しずくには水、雷、火、星といった4種類があり、各元素の紋章をゲットできるキーにもなっています。紋章は3つ揃うと効果を発揮する仕組みで、ストーリーのキーとしても使っています。ギミック自体は『バブルボブル』のエクステンド、『レインボーアイランド』のダイヤを踏襲しています。エクステンドは6個、ダイヤは7個を揃える必要がありますが、『パラソルスター』ではあえて3個にすることで難度を下げて、プレイ中の重要度を低く設定しました。ステージごとのクリアギミックのほうに集中して欲しかったからです。

また、『レインボーアイランド』のビジュアルが素敵で大好きでしたので、見た目はそれをお手本にしました。
――『パラソルスター』のステージは、『バブルボブル』の1画面ステージとは異なり、横スクロールが可能です。これは『レインボーアイランド』の縦スクロールステージに続く自然な流れだったのでしょうか。
――各ステージのグラフィックテーマはどのように決まったのですか?
表ワールドの最終面はレインボースターに戻ると決めていて、ゲームの難易度やワールドごとの印象を考えながら、それぞれのテーマを決めていきました。
最初のワールドは華やかで楽しげ、且つ他のゲームにはない印象的な音楽の星。その次は色合いを落ち着かせた森の星、表のラス前はパラソルで回せないデカキャラだらけのジャイアントスターなどなど……気がつけば、それでステージの設定がほぼできていました。
――『パラソルスター』には、ほとんどのステージで流れるメインテーマBGMがあります。プレイヤーがたくさん耳にするような音楽を作る上で、最も重要なことは何でしょうか?
- メロディアスであること
- ラウンドごとに雰囲気やアプローチは違ってもベースとなるイメージは統一させること
- 繰り返し聴いてもしつこく感じないこと
『パラソルスター』に関して、私はサウンドディレクションのみ担当ですが、作曲を担当された岩垂さんはゲーム音楽を熟知してらっしゃる方ですので、特に上記の事をお伝えすることもなく、イメージ通りの物が仕上がってきました。
――このゲームのボス曲はカオマの「ランバダ」と比較されているが、これはタイトー社内で人気のあった曲なのでしょうか。

タイトー 『パラソルスター』(1991年)より後にバブルメモリーズ(1996年)がリリースされているため、1991年当時“The Story of Bubble Bobble III”は『パラソルスター』だけでした。
『バブルメモリーズ』の開発者によると、この2作はパラレルワールド的な関係性を想定しているとのことです。『レインボーアイランド』の後、人間の姿のまま進むのが『パラソルスター』で、再び泡はきドラゴンの姿にされてしまったのが『バブルメモリーズ』だと考えてください。

――『バブルボブル』や『レインボーアイランド』に比べると、プレイヤーが『パラソルスター』を遊べる機会は限られていました。当時を除いて移植がほとんど行われなかったのは、何か特別な理由があるのでしょうか?
タイトー アーケードゲームはコンソール機へ移植される機会が多いのに対し、元々コンソール機(PCエンジン)向けのゲームは、移植の機会をあまり得られません。
それでも『パラソルスター』はWii向けの『バーチャルコンソール』版がありましたし、KONAMI様が海外で発売された『TurboGrafx-16 mini』にも収録されるなど、皆様のご支持もあって移植にも比較的恵まれています。今回、あらためて現行機で復刻の機会を頂き、バビーとボビーも喜んでいると思います。
――今、あらためて『パラソルスター』を振り返って、その最大の魅力は何だと思いますか? また、新たな復刻版で『パラソルスター』をプレイする方へのメッセージがあればお願いいたします。

一見、繰り返しプレイですぐ飽きそうな気がしますが、プレイ回数をこなす事でプレイヤー自身の経験とテクニックが蓄積されることを見越して、全ての面にレベルの異なる攻略方法を3~5重くらい用意しているので、同じ面でもよりハイレベルな攻略プレイを狙えます。2人プレイだとさらに攻略方法が増えるようにしているので、何度もプレイして楽しんでもらえると嬉しいです。
また、もうひとつの繰り返し遊べる工夫がマジックアイテムです。この出現条件にランダムは使っていません。プレイヤーの行動ログを蓄積し、条件が合った時に出現します。例えば、たくさん歩くとスピードアップの靴が出るとかです。よりいろんな行動を蓄積することでレアなアイテムが出るようになっています。そして、ゲームオーバーになっても行動ログはクリアされず累積され続けます。この仕組みは『バブルボブル』や『レインボーアイランド』からあるマジックアイテム出現方法を継承しています。
さらに、『パラソルスター』では自動セーブ機能があるので、行動ログは電源を落としても消えずに累積され続けます。プレイを繰り返して全マジックアイテムゲットを目指すのも良いかもしれません。
全マジックアイテムの出現条件を一般公開できたら嬉しいですね。
――『パラソルスター』のストーリーは『ちゃっくんぽっぷ』と繋がっているようですが、これはどのように発想されたのでしょうか?
数年後の『バブルボブル』では、『ちゃっくんぽっぷ』の敵キャラだった「もんすた」や「まいた」が登場しています。『レインボーアイランド』のラスボスは、「もんすた」に似た「すかるもんすた」です。
『ちゃっくんぽっぷ』から『バブルボブル』、『レインボーアイランド』へ繋がる歴史を感じたので、『パラソルスター』で『ちゃっくんぽっぷ』のキャラが登場するのは私の中で必然となりました。
その経緯を踏まえて、アーケード版『ちゃっくんぽっぷ』のOPデモでメイズに蓋をして1匹だけ逃げた『まいた』がラスボスになり、神話時代のヒーロー『ちゃっくん』を救うストーリーが生まれました。
とはいえ、ゲーム内で明確なストーリーは伝えていません。この物語の詳細はユーザーにとって重要ではないと思いましたし、文章なしで雰囲気だけとした方が、老若男女・万国共通で楽しんでもらえるかなと。あとROM容量がなかったことも理由のひとつです。

チームメンバーはもちろん、部署全体の熱量が高かったですね。全員がゲームを作りたくてしょうがない人達だったので、気がつけばイメージ以上の世界がどんどん作られていきました。
PCエンジンは、背景に使えるBGスクリーンが1枚しかありません。もちろん『パラソルスター』でもその制限がありますが、ステージの移り変わりの際、BGの最小単位である8×8ドットブのロック毎に、背景と迷路部分をずらしながら書き替える手法の多重スクロール処理を見た時はびっくりしました。ブロック単位の都合上8ドット単位の動きなのでガクガクに見える所を、敢えて速いスピードで描画する事で滑らか風に見せている所など、小技も効いていてサイコーな演出効果のひとつです。
開発終盤にROM容量ギリギリまで仕込んでいるときに、圧縮後のファイルが2byteオーバーでバンクに入らない事があり、鈴木治雄さんに画像の圧縮アルゴを聞いて2byte分の圧縮が効くようドットを打ち替えて、圧縮後容量をクリアしたのも良い思い出です。
傘のいろんな操作を盛り込む事ができたと思いますが、ROM容量や時間の関係で、基本操作ガイドを入れる事ができませんでした。その代わりに、プレイデモで基本動作と基本テクニックを披露したり、最初からステージをプレイしていくと自然と操作に気付けるようにしたりとステージ調整を仕込んだつもりですが、プレイされている動画を見ていてもなかなか想定通りに気づいて貰えないことが多く、まだまだ改良点はあるな~と反省してしまいます。
反省繋がりで、このキャラに当たると死ぬけど、このキャラは平気、この弾はイヤイヤで済むけど、これは当ったら死んじゃうとか、ゲーム根幹部分が分かりにくいのは全然ダメだなと思いました。アクションの分かりにくさも含めて、客観的にも『バブルボブル』越えは叶わなかったけど、隠れた名作と評価してくれる人もいるところが純粋に嬉しいです。
- 開発現場の雰囲気

- 懺悔
- 今となっては良い思い出
【おまけ】エンジニア開発秘話:技術的な事で覚えている事
- 秘話1
- 秘話2
- 秘話3
- 秘話4
- 秘話5
内村氏補遺
世界観にしても、『バブルボブル』や『レインボーアイランド』はもちろん、元々タイトーアクションゲームの伝統があり、既にその世界観を理解されているグラフィックデザイナーやサウンドコンポーザーの方々だからこそ表現できたわけです。もしゼロから作っていたら世界観の完成度は低かったでしょうし、そのイメージを伝えることすらままならなかったと思います。
当時にバフが掛かっていたこと自体、この取材によって初めて気づく事ができました。今ならそれがどんなに貴重で恵まれていたかが分かります。気づかせてくれる機会を作っていただいたこの企画に感謝申し上げます。
鈴木氏補遺
そもそも自分がコンシューマー部隊に入ったのはゲームをより身近な家庭で楽しんでもらいたいと思ったからです。今となってはスマートフォンの普及でどこでもゲームが楽しめるようになりました。
また、高校、大学時分から3Dレンダリングの分野を学習していて、アーケードの『ミッドナイトランディング』の様な本格的な3Dゲームがコンシューマーでも出来ないかと夢想していました。今となってはスマートフォンでも3Dゲームは作れますが。
この30年間のうちにゲームハードを取り巻く環境は劇的に進化を遂げ、当時の夢以上の世界が現出しました。
黎明期からこの業界に関われた事は良い事でしたが、出来ればもう少し後に生まれたかったかもしれません。
過去を振り返り、現在を確認し、未来を思う機会を与えて頂いた事に感謝します。














