単なる機能向上ではない、根本的な3つの変化
今回の発表では、グラフィック描写やパフォーマンス向上は当然のこととして軽く触れつつ、現行のUE5系とは異なる根本的な変化が3つの軸で説明されている。
1. UEFNを統合し、ゲームプレイ設計の中心はVerseとScene Graphへ。アクターやブループリントは当面残るものの、将来的に非推奨に
ゲームプログラミングの点でも、UEFNで使われているプログラミング言語“Verse”に移行。さらにゲームプレイを構築していくためのツールとして、同じくUEFNからVerseで作られたScene Graphと呼ばれるフレームワークも導入される。
一方、これまで使われていたアクターとブループリントについては、UE6の初期バージョンでは引き続き搭載されるものの、将来的には新しいフレームワークの成熟とともに非推奨となり、移行のための変換ツールで対応していく形になるようだ。
大規模なオンラインゲームなどにおいては、Verseによって複数のサーバーにまたがるゲームプレイ処理をまるで単一のサーバーを扱っているかのように自動化する仕組みの構築にも取り組んでいるという。これにより、ゲームデータのセーブや同期といった処理もシンプルになるとしている。
2. コンテンツポータビリティへの取り組み。『フォトナ』のコスチュームを自分のゲームで使用したり、自分のゲーム用にフォトナ対応のコスチュームを作れたり
UE6では「コンテンツとコードは、ゲームとエンジンの間でポータブルである」必要があると述べ、glTFやUSDといった既存のオープンフォーマット(いずれも3Dグラフィックのデータ形式)に対応していくほか、ニーズを満たす標準フォーマットが存在しない場合はUE側のシステムをオープン仕様として公開していくという。
この実証例として挙げられているのがフォートナイトのコスメティック(外見用アイテム)で、基本システムをUE6のオープン仕様に移行することにより、他プレイヤーが持つフォートナイトのコスチュームを自分のゲームで使用できるようにしたり、自分のゲーム用のコスチュームをフォートナイトで使用可能な形で作成するツールなども提供されるという。
こういったデータ互換性は『フォートナイト』とUEFNのエコシステムの内側ではすでに実現されていたことだが、UE6側に拡張することで単に『フォートナイト』だけにとどまらないデータ圏を実現しようという試みと言えるだろう。
“Team Open”というお題目、そして対『Roblox』の観点
スウィーニー氏はそこに、トレンドの変遷を重ねる。シングルプレイから友達とのマルチプレイに主軸が移ってきていて、しかし新作マルチプレイゲームは十分なプレイヤーを獲得できずに消えていくことも少なくない。一方で、ゲーム収益はゲームそのものの販売よりもアイテム販売にシフトしてきている。だが、続けてプレイするかわからない新作のアイテムを買うよりも、既にみんながいるゲームに使った方がいいという心理が働く……という別の問題があるわけだ。
つまり、データ互換性があればそこに変化を与えられるということだろう。もちろん、先に挙げられたような構造そのままだとエピックがアイテム収入を持っていくだけでゲーム側には何も残らないので何か新たな仕組みが必要なわけだが、それがなんであれ、そのためにはまずデータ互換性を実現してしまおうということならわかる。
一応説明しておくと、『Roblox』は世界的に急成長しており、そこで提供されるゲームには同時接続が数百万に到達するメガヒットも存在。先ほど挙げたようなデータ互換性は『Roblox』内にもあり、ソーシャルネットワーク的でもある独自のゲーム経済圏であると言えるだろう。そこでのヒットを狙ってプロのスタジオが『Roblox』向けにゲームを作るケースや、化けそうなゲームを買収して本格化を狙うといったビジネスまである。
生成AIによる開発支援の組み込み
社内での実験では、コンテンツの開発そのものだけでなく、問題に対処するための分析やテストツールなどの業務でも大きな成果が見られたとか。














