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『FF11』24周年・藤戸洋司P/Dインタビュー。ソロプレイの強化を軸とした24年目の決意と“冒険者との絆”【ファイナルファンタジーXI】

『FF11』24周年・藤戸洋司P/Dインタビュー。ソロプレイの強化を軸とした24年目の決意と“冒険者との絆”【ファイナルファンタジーXI】
 2002年に家庭用ゲーム機向けとしては初のMMO(多人数同時参加型オンライン)RPGとして運営をスタートし、2026年5月16日に24周年を迎えた『ファイナルファンタジーXI』(『FFXI』)。
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 2025年はバトルコンテンツ“リンバス”の大幅なリニューアルをはじめ、冒険者の誰もが驚いたモグボナンザウェポンの交換クーポン配布、要望が多かったデュナミス~ダイバージェンス~のソロ対応(共有エリア化)など、さまざまな施策が行われた1年となった。

 例年、周年のタイミングでインタビューを実施しているファミ通.com&電撃オンラインでは、今年も藤戸洋司プロデューサー兼ディレクターに取材を依頼。昨年度の振り返りとともに、いよいよ節目の25周年が見えてきた『FFXI』の今後の展望をうかがった。
 なお、『FFXI』の24周年を記念して、公式サイトでは藤戸洋司プロデューサー兼ディレクターの挨拶や、アニメーション作家Waboku氏による24周年記念のアニメーションも公開されている。インタビューとあわせてこちらもチェックしてほしい。

藤戸洋司ふじとようじ

『FFXI』プロデューサー兼ディレクター。初期からの開発メンバーとして、テキストチャットやリンクシェル、ストレージ関連などのシステムまわりを担当。またチョコボ育成や生活系コンテンツ、さらにはモブリンズメイズモンガーやメイジャンの試練といった幅広いコンテンツに関わる。2016年にディレクターに就任。2023年3月よりプロデューサーも兼任している。

使い古されたコンテンツを新生。リンバスのリニューアルの意図

――『FFXI』24周年おめでとうございます。思えば15周年のタイミングから週刊ファミ通やファミ通.comで周年記念のインタビューをさせていただいていますが、これまで話題が尽きないのはすごいことだと、改めて感じています。

藤戸
 ありがとうございます。プレイヤーの皆さんに生かされてここまで来られました。

――昨年2025年はいろいろな施策が行われましたので、まずはその振り返りからお聞かせいただきたいと思います。何より大きかったのが、“リンバス”のリニューアルでした。開発のご苦労はもちろんのこと、公開後のアップデートやプレイヤーの反応については、どのように感じられていますか?

藤戸
 そもそも、リニューアルするコンテンツとしてなぜリンバスを選んだのかというところからお話しする必要があります。まずコンテンツのリニューアルとしては、先行してビシージをアイテムレベル(IL)に対応する形へ調整しており、これは現在も継続しています。そしてつぎに、近年あまり活用されていなかったコンテンツ、報酬や難易度が現状に見合わなくなったコンテンツをもう一度掘り起こし、現在のプレイヤーに合う形へリニューアルしようという話が出て、今回はリンバスを選択しました。

 また、近年は強い装備品がつぎつぎと追加されていく中で、以前からIL対応の強化がされていたアーティファクト(AF)やレリック装束と、ソーティで新たに強化できるようになったエンピリアン装束のIL119+3とを比べると、どうしてもAFやレリック装束が見劣りしてしまう部分がありました。そこで、数多くあるIL119装備の中からAF、レリック装束も装備の選択肢になるよう、それぞれのIL119+4をリンバスで作れるようにしました。
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――リニューアルされたリンバス(いわゆる新リンバス)は、滞在時間や入場回数の制限がないという『FFXI』でも珍しいコンテンツになりました。

藤戸
 はい。2025年から2026年にかけては“ソロや少人数でのプレイのしやすさ”を重視していますので、その点も反映できるように設計しました。昨年の実装から約1年が経とうとしていますが、当初こちらが思い描いていた通り、パーティはもちろん、ひとりでふらりと立ち寄って経験値稼ぎとして滞在するもよし、装備品強化のための素材収集を目的として滞在するもよしという点については、目標通りに達成できているかなと思っています。より効率を追求されるプレイヤーに対するアプローチとしては、まだ弱い部分はありますが、おおむねこちらが意図した形でプレイしていただけているのではないかと感じています。

――実装直後の新リンバスは、おもにAFやレリック装束の強化しかできませんでしたが、その後NMの追加とともに背装備やアクセサリの追加、さらには地下フロアとNM群の開放にともなう新装備(呪物)の追加などが行われました。

藤戸
 最初の設計時点でここまでの要素を入れることは想定していたものの、公開初期の状態ではやはり物足りなさを感じることが多かったかもしれません。ただ、この新リンバスがどのようなものかという基礎的な仕組みを理解していただく期間がある程度必要でした。もちろんこちらの事情としても制作人数が限られており、一気に完成形をリリースすることが難しい状況ではありました。ですがそれを差し引いても、新リンバスがどのようなものかをまずはお出しして、プレイヤーの皆さんに段階的に受け入れていただくことができたのはよかったと感じています。
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――新リンバスの実装前後に、藤戸さんが「現状はあくまで基礎的なもの」とくり返し強調されていたことの意味がいまになればよくわかります。

藤戸
 口でどれだけ説明しても、プレイヤーの皆さんにとっては実装されているものがすべてなので、なかなかもどかしいんですよね(苦笑)。ようやくゴールというか、当初描いていたものにたどり着けそうです。

――先日の公式番組『もぎたて ヴァナ・ディール』で新たな武器の実装とボスの追加が発表されましたが、リンバスのアップデートはここでひと区切りになるようなイメージでしょうか。

藤戸
 そうですね。なお、リンバスの最終的なボスは6月に実装予定です。今回は予定していた仕様がすべて実装されるタイミングということで、これまでより凝ったことをしています。
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――新しいBGMが追加されそうですね。

藤戸
 なんと2曲も追加されます。これは『FFXIV』とのクロスオーバーコンテンツである“エコーズ オブ ヴァナ・ディール”(EoV)の件にもつながっていく話ですが(※)、作曲の水田(直志氏)が非常に意欲的に取り組んでくれた楽曲たちです。
※EoV第3弾“ウィンダス:ザ・サードウォーク”のラスボス後半戦テーマ曲『The Wyrm Who Would Be King』は、水田氏がみずから手掛けた『Vana'diel March』がモチーフとして使われている。
――新ボスが登場予定ということですが、気になるのがおもに高ML(マスターレベル)のプレイヤーが直面している、戦闘不能にともなうペナルティ(エクゼンプラーポイント減少)の重さです。新リンバスに登場するOmega Forerunner、Ultima Forerunnerは数十人の戦力で臨んでも連続的な戦闘不能は避けられず、まだグレースの強化段階が低いワールドでは気になる方も多いと思われます。

藤戸
 ワールド間の難易度差については非常に難しい問題ですが、収束点としてはグレース強化の速度の問題だと思っています。BahamutやAsuraといった人口の多いワールドの速度を基準にしたとしても、それでもまだ半分程度だというのであれば見直しが必要かもしれません。ただ、現状はワールドごとに個別対応するという考えはなく、対応するとすればグレースの強化速度を全ワールド共通で調整するといった方向になると思います。

 人口のような変動要素を根拠にバランス調整すると、人口が変動するたびに作り直さないといけなくなります。またリンバスとしての実装が全部終わってから調整をしないと、全体の難易度が歪になりますので、まずは6月の実装を完了してから検討です。課題としては認識していますので、改めて担当者と相談していきます。
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“劇薬”だったモグボナンザウェポン

――昨年のトピックとしては、やはり5月に実施されたモグボナンザウェポンの配布が非常に大きかったと思いますが、プレイヤーの反応も含めていかがでしたか?

藤戸
 これは特設サイト“WE ARE VANA'DIEL”内の“みんなのヴァナ・ディール史”でも望月(コミュニティマネージャーの望月一善氏)が触れていましたが、ひと言で言えば“劇薬”でした。実施するにあたり、本当に配布していいのかという話し合いを何度も何度も重ねたうえで踏み切った次第です。ですので、定例化は現時点では考えていません。毎年配布してしまうと相対的にほかの武器の価値が低下してしまうことにもつながりますし、あくまで23周年記念としての取り組みだったと受け取ってもらえればと思います。
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――プレイヤーの中には、まだ交換できずにクーポンを持ったままという人もいるようです。

藤戸
 プレイヤーからの反応としては、どの武器をもらってどう遊ぶかという想像力を大いにかき立てられた結果、やはりどれを選ぶか迷われた方が多かったようです。ノマドモグボナンザの1等には、このモグボナンザウェポンを+1に強化する素材が入っているので、24周年記念のボナンザでぜひ当てていただいて、更なる夢をつかみ取ってほしいですね。

 なおありがたいことに、クーポンを入手するためにひさしぶりにログインされた方が、そのまま継続してプレイしてくださっている状況が数字にも色濃く表れています。そこからのプレイヤー数もずっと横ばいで減ることがなく、こちらとしても非常に驚いています。ですからモグボナンザウェポンの配布は劇薬ではありましたが、結果的にいい方向に作用したのではないでしょうか。

ヴァナ・バウトでは未来の『FFXI』に向けた有益な情報が得られた

――全ワールドで共通の目標を目指すイベントとして、回を重ねるごとに調整を加えつつ現在も継続しているヴァナ・バウトですが、昨年1年間についてはいかがでしたか?

藤戸
 じつはヴァナ・バウトについては、全ワールドの集計という部分がもっとも読みにくい部分でして……。特定のワールドの結果であれば人口の多寡などでおおよその見当は付けられるのですが、全ワールドでのトータルを数値として評価することが非常に難しい。また、日々提示されるお題を適切に楽しんでいただけているのか、あるいは単純に煩わしいだけなのかといった反応を逐一確認しているのですが、不評な点にはそれなりの理由があることが浮かび上がってきましたので、それを反映させて毎回お題を調整したり、ゲームの仕組みを調整したりしています。

――プレイヤーからは、懐かしいクエストをひさしぶりにクリアした、といった声も聞かれました。

藤戸
 結果、全般としては『FFXI』をよくしていく方向に作用するデータとして、非常に有益な情報が得られたと感じています。ポイント配点なども都度変更したり、前回(第8回)では個人目標に“限界突破で賞”を導入したことにともなう調整を行いましたが、プレイヤーの皆さんがヴァナ・バウトというコンテンツを遊ぶうえで楽しんでもらうようにするにはどうすればいいか、また、皆さんが気軽に参加できる状況をいかに作り出せるかをつねに探っていた1年だったと思います。

 その一方で、前回の調整で個人目標を達成しやすくした結果、本来なら称号を得られるはずだった人が取得できなかったという事態も発生させてしまいました。ランキングボードの仕様の問題でもあるのですが、加えて限界突破で賞まで到達する人は多くないだろうという少し甘い見積もりもあって、称号を取得できなかった方々についてはたいへん申し訳なかったと思っています。

――満点のプレイヤーでランキングボードが埋まってしまうほど、皆さんが精力的にプレイされたということですよね。

藤戸
 はい。まずこちらとしては、限界突破で賞といういちばん上の賞を全員が取らなければならない、という認識から脱していただきたかったという意図があります。基本はプレイヤー個々の遊ぶスタイルに合わせて金賞や銀賞を目指していただいて、それを超えて狙うのは時間や余裕のある方のみ、という設計にしたかったので、その意味も込めて個人目標の名称を変更しました。

 またポイントの配分幅も変えたのですが、前回についてはできるだけ毎日のタスクの中でクリアしやすいものを目標にしたことで、多くの人が限界突破しやすくなる結果になったわけです。ちなみにですが、ランキングボードは本来は全ワールドを通してのランキングにしたかったのですが……これは技術的に難しくて断念しました。

――5月22日からは24周年記念の第9回ヴァナ・バウトが始まりますが、見どころはどのあたりでしょうか。

藤戸
 これまでとは異なり、“ゆる・バウト”ともいうべき緩やかな位置づけのものですので、全体的に限界突破もしやすいかと思います。結果としては前回と同じく多数の人が限界突破するような形になるかもしれませんが、今回はそれを意図してのことですので大いに突破いただこうと思います。また称号についても修正を入れまして、ポイントで上位10位以内であればランキングボードへの登録時に、取得できるようになっています。

 また、今回は金賞にパルスアームズのクーポンなどが含まれていますので、復帰された方などにはうれしい内容になっているのではないでしょうか。さらに新しいクーポンとして、アンバスケードで得られる報酬と交換できるものも用意しました。新規の方や復帰者の方が持っておくといいアイテムかと思いますので、ぜひ気軽に挑戦して取得していただければと思います。
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『FFXIV』を起点とした新たな循環が生まれた

――もうひとつ特徴的なトピックとして、『FFXIV』とのクロスオーバーコンテンツ『エコーズ オブ ヴァナ・ディール』(EoV)が展開され、2026年4月28日公開のパッチ7.5にてその最終章となる第3弾まで実装されました。その波及効果としては、とくに動画配信者の増加などが挙げられますが、『FFXI』チームとしてはどのように感じられていますか。

藤戸
 “これまで届いていなかった層に届いた”という感覚があります。そして、届いた先には多くの配信者がいたということがポイントだったと思っています。現代ではネットでの動画配信が非常に大きな宣伝力を持っていますが、『FFXIV』をプレイされている光の戦士の方々が、EoVで「『FFXI』とはどういうゲームなんだろう?」と興味を持ち、『FFXI』の動画配信を観る。そして「自分もやってみよう」とプレイを始め、その方も情報発信する。こうした循環が非常に活性化された1年だったと感じています。

 先ほど触れたモグボナンザウェポンの配布という大きな波があった段階で、さらにEoVの第2弾配信とも重なって、多くの元冒険者がヴァナ・ディールに戻ってきてくださったり、また新規の方もいらっしゃったのではないかと分析しています。これは『FFXI』単独ではできなかったプロモーションの一環として捉えると、『FFXIV』側から非常に力強い応援をいただけたと感じています。
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――2026年3月に行われたイベント“ヴァナ・ディールの異変を調査せよ”では、EoVにボスとして登場したNMが暴れ回りましたが、反響はいかがでしたか? また、イベントは今後定期的に行われますか?

藤戸
 イベントバトルなので強すぎないモンスターが比較的早いリポップを繰り返すことと、高級種族装束の強化版や、ルンゴナンゴ魔導論など、何度やっても欲しいものが手に入るということもあり、おかげさまで大好評のイベントとなりました。このインタビューが公開されるころにはEoV第3弾を反映した内容を含んでの開催中で、高級種族装束の両手装備と両足装備に加え、胴装備と脚装備が強化できるようになっていますが、そちらが終了後、再び開催するためのスケジュールについては現在悩んでいるところです。

 とくに季節感がないイベントではありますが、頻繁に開催するのも難しいですし、時期を固定したり、ヴァナ・バウトの全体報酬として組み込むといった形もあるかもしれません。ただ、時期は決定はしていないものの、このまま終わらせるには惜しすぎるイベントだと思っていますので、今後も開催していきます。

フェイス強化はソロでチャレンジできるコンテンツを増やすため

――2026年はフェイスを重点的にアップデートするという方針が打ち出されています。改めてこの狙いと計画、最終的なゴールについて、この周年のタイミングでお聞かせいただけますか。

藤戸
 現在『FFXI』チームでは、2024年11月に実施した冒険者意識調査の結果を非常に重視していまして、それに基づいて現在のすべての方針を決定しています。とくに重要と考えているのはプレイスタイルの問題で、ソロのプレイヤーが現在のアクティブ層の大半を占めている状態です。もちろん固定パーティなどでプレイされている方もいらっしゃいますが、基本的には約束している時間以外はソロでプレイされていることが多いという実態が数字に表れていました。

 また、みずからパーティを募集してプレイするという状況が非常に少ないことも把握しましたので、信頼できる母数のデータに基づき、ソロで遊びやすい環境を整えることを昨年から1年間の方針として進めてきました。ただし“ソロで遊びやすいこと≠ソロで何でもできる”だという点は、つねに意識しています。

――ゲームをソロ用に調整するわけではないと。

藤戸
 はい。基本的にソロで遊べるようにするというのは、たとえばこれまでパーティで参加するコンテンツにおいて、さまざまな理由でパーティを結成できないためにコンテンツ参加ができない場合があります。そういう環境下のプレイヤーにとっては、パーティ規模の人数が必須のコンテンツは“最初からなかったこと”になっていることが問題でした。そういった方でもコンテンツ体験の機会が得られるようにしようという考えから生まれたのが、“ソロでも遊びやすくする”方針です。

 デュナミス~ダイバージェンス~の共有エリア設置や、リンバスのリニューアルはそういった参加回避思想が生まれにくい設計を心掛けてもらっています。ひとりでもきちんと活動できる環境を整えるという方針は、決して攻略難度を下げることではなくて、ソロもしくは少人数でも十分に楽しめる機会を提供し、担保することだよ、と開発メンバーとも合意形成をしながら各コンテンツに反映させてきました。

 その中でもっとも重要な要素がフェイスです。フェイスがいれば擬似的にパーティを組むことができますので、それだけでさまざまなことがひとりでも挑戦可能になります。しかしその一方、装備で強化された昨今のキャラクターと比べ、フェイスの強さがどうしても追いついていない状態になっています。この乖離が広がり続けているため、もう少しフェイスの強さをキャラクターに近づけることによって、チャレンジできるコンテンツをより増やせるのではないかと考え、フェイス強化を実施してきました。

 ただし完全なひとり用ゲームにするわけではなくMMORPGですので、フェイスを使えば“おおよそひとりでさまざまなコンテンツに挑戦でき、どのようなものかを体験したうえで、ある程度の段階まではコンテンツ内でソロ活動することができる状態”まで持っていける、というのが現在の制作目標となっています。
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新たなNMが実装? 気になる戦利品は……?

――以前から予告されていた、新たな討伐系のNMの追加についてうかがいます。そこで得られる装備品は、どのような目的で実装されるものでしょうか?

藤戸
 討伐系NMは新しいコンテンツの枠組みで追加しようと考えています。ベースとしては新たな装備品を戦利品として用意しますが、2026年末ごろにフェイス向けの装備品の仕組みを導入しようと考えていまして、それをこのコンテンツでドロップさせるのもいいのではないかという話をしています。

 タイミング的にはフェイス向け装備はまだまだ開発に時間がかかりますので、まずはプレイヤーにとっても有用な装備品を入れる予定です。いずれはプレイヤーとフェイス強化の両面から、挑戦する価値のあるコンテンツに育てられればと思っています。

――プレイヤー向けの装備としては、どのようなものが入手できますか?

藤戸
 現在、いわゆるミドル層をフォローするための装備が機能しにくくなってきていて、なかなかトップ層に追いつけないという感覚がある方も多いと思います。IL119以降の成長曲線のスタートがアンバスケードなのは変わりませんが、そのつぎのミドル層の段階からハイエンドに到達するまでのあいだに手に入る装備品が不足しています。具体的には、アンバスケード装備のあとは背伸びしてマリグナス装備を入手することが昨今のトレンドにはなっていますが、そこにいたるまでの過程で入手できるものの選択肢を増やして、あいだを刻んでいけたらと考えています。

インフラの補強とリソース整理の先にあるもの

――現在のサービス状況についておうかがいします。会員数の増減やアクティブ数、新規流入などの動向について、2025年はどのような状況でしたか?

藤戸
 先ほども少しお話ししましたが、2025年はモグボナンザウェポンのクーポンを配布し、ウェルカムバックキャンペーン実施、そして6月にはリンバスがリニューアルオープンすることで盛り上げを行いました。またEoVの第1弾リリースから半年、『FFXI』の存在が『FFXIV』を通して再周知された状況と好条件が重なって、その時期にプレイヤー数が一気に増加しました。現在プレイされている方はご存じかと思いますが、一部のワールドでは新規キャラクターの受け入れを停止する状況になるほど活性化しました。

 その後は「ちょっと『FFXI』に触れて、すぐに休止というお客様も多いだろう」と予想していましたので、増えたプレイヤーのぶんだけそのまま減ると思っていたのですが、実際には多くの方がそのままヴァナ・ディールに残ってくださいました。全般としては高水準で横ばいの推移となっており、一気に減少するという事態にはならなかったので、自分たちの想定を超えた展開に正直驚いています。

――新規に始める人向けに、フリートライアルの制限についても見直しを検討されているとのことですが。

藤戸
 現状、14日間でレベル50までという制限があり、そのほかにもさまざまな制約がある中で「本当に『FFXI』を体験できているのかな?」という疑問がありました。現在はレベルが非常に早く上がるようになっていて、レベル50はあっという間に到達してしまいます。また、冒険できるのは初期エリアのみとはいえ、ストーリーを見ようと思えば見られる状況ですので、14日間という短い期間に限定しなくてもよいのではないかという点と、レベル50という上限も少し低いかなと感じました。ですからその上限をもう少し引き上げ、長く遊べるようにして、『FFXI』がどんなゲームかをゆっくり体験していただけるほうがいいと考えています。

 来年は25周年ですので、興味を持たれる方も増えるでしょうし、フリートライアルでしっかり体験できるほうがいいだろうというのが今回の検討の流れです。時期についてはまだ未定ですが、変更が行われた際は、ぜひ未プレイのお友だちにフリートライアル版を勧めていただければと思います。

――この数年、サーバーのリプレース(入れ替え)などインフラ面の補強が進められてきましたが、開発体制や運営面での変化についてお聞かせいただけますか。

藤戸
 リプレースそのものについてはサーバーの寿命の問題ですので、実施せざるを得ませんでした。そもそも『FFXI』の運営をどうするのかという話が20周年の2022年ごろにあり、この先を見据えるのであれば機器の入れ替えが必要で、縮小していくのであれば既存のサーバーを故障するまで使う、という議論があったのです。当時は『蝕世のエンブリオ』を制作しようという動きの最中でしたし、そこで獲得したお客様が最終章に到達するにはまだ時間がかかるという事情もありました。とくに、プレイヤーの方々がプライムウェポンを作ろうとしていた矢先にサービスが終了するのはあり得ないということで、「もう少しがんばりましょう」という話になり、継続を決定したわけです。

 サーバーをリプレースしたからには、新しいサーバーの寿命ぶんはきちんと遊んでいただける環境を提供しなければならなりません。実際のサーバー運用については、機器が新しくなったぶん仮想化(※)が進みましたので、物理的なサーバー管理が大幅に減り、非常に安定した状態になっています。たとえば、あるエリアで不具合が発生したら、以前は該当のエリアサーバーの物理的な再起動が必要だったのですが、現在は物理サーバーに仮想化されたサーバーのプロセスが走っている状況なので、再起動もプロセスを呼びなおすだけで終わります。そういった意味では安全で運用しやすい環境になっています。
※1台の物理サーバー上に複数の仮想的なサーバー環境を構築する技術。
 なお今回のリプレースは、今後できることを増やすためというより、あくまでサービスを継続するためのものです。さらに発展させるためのサーバー更新については、きちんと計画を立てたうえで進める必要があります。仮想化したとはいえ、サーバーの構成自体はこれまでと変わっていないため、システムやプログラムをそのまま維持している状態です。

――とはいえ、新たなエリアやストーリーについては期待してしまいます。

藤戸
 現在、新しいエリアを追加しようとしても管理するためのIDが枯渇しているため、通常の方法では実現できません。ただし、工夫すればもう少しIDの枠を捻出できることがわかっていますので、そこをどうにか運用できないか調査しているところです。運用できるとなれば、新しいエリアの追加も不可能ではありません。少なくともその可能性をきちんと裏付けておかないと先に進めませんので、昨年からずっとその調査を続けており、実際にリソースの整理に着手し始めているところです。その結果しだいでは、何らかの企画が動き出すのではないかという感触はありますね。
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プレイヤーあっての『FFXI』という実感

――2026年の3月にリアルイベント“出張!『FFXI』A.M.A.N.とLIVE! in SHIBUYA”が開催されましたが、イベントの感想や手応えについてお聞かせいただけますか。

藤戸
 これよりも前の段階で朗読劇を2度実施していたので、内容は違うものの観客数の規模感はだいたいこれくらいかな……と想定して会場は選ばれました。実績上どうしても第2部は席の埋まる速度が遅くて、今回のイベントでも「空席が出るのでは……?」と心配していたのです。それがふたを開けてみると第1部も第2部も席数以上の申し込みがあり、皆さん非常に楽しみにしてくださっていたことがわかりました。とくに第2部の盛り上がりがすごくて、やはりお客様の熱量というのはこちらの想定を超えてきますね。あのときは本当にそれを肌で感じました。

――情報番組として展開している『A.M.A.N.とLIVE!』も3年目に入りました。毎月、藤戸さんから何らかの情報が聞けるような場として定着してきたと思いますが、どのような印象をお持ちですか?
藤戸
 1年目は試行錯誤もありましたが、2年目からは開発の現状やバージョンアップの内容などを生の声でお伝えする場所として機能していると感じています。これまでは公式サイト上でテキストでの発信が中心でしたが、番組では自分の発言がそのまま流れますので、テキストだけでは伝わりにくい行間の情報までダイレクトにお伝えできるいい機会になっています。また、ゲストも非常に熱量の高い、そして高名かつ初めて“冒険者”として表に出る方たちをお招きしていることもあり、ご覧になっている視聴者も共感しやすい内容が多かったのではないのでしょうか。

 さらに今年から声優の今井麻美さんのアンバサダー企画が始まったり、宣伝の片山が新規プレイの動画企画を始めたり(※)と、コミュニティに歩み寄る姿勢をより明確にしていますが、それもプレイヤーあっての『FFXI』だと考えてのことですので、大切にしていきたいと感じています。
※『FFXI』広報担当の片山理恵子(りえこむ)氏がメインの動画シリーズ“FF11宣伝担当がイチから冒険をはじめてみた”。

続けられる限り続ける、という覚悟

――今後の計画について、ほかにもお話しいただけることはありますか? 検討中とされていた青魔法のセットや、からくり士のアタッチメントの保存・読み出しの進捗はいかがでしょうか?

藤戸
 じつは、それらに取り組もうとしていた矢先のことですが、“PlayOnline Viewer”が環境によっては正常に動作せず、見た目上もバグが発生して進行不能に近い状態を引き起こすことが判明しました。以前からご報告はいただいていて、現在はエンジニアのリソースをそちらに全振りしている状況です。

 青魔法のセットやアタッチメントの保存・読み出しについてもエンジニアの力を借りる必要がありますが、優先度で言えばプレイ環境の整備、とくにプレイ阻害要素を排除することが先決ですので、現時点ではまだそちらには手をつけられていない状態です。もちろん、やらないということではなく、人数が限られている中でタスクの優先順位をつけざるを得ないため、いまは後回しになっている状況だとお考えください。

――検討事項として残ってはいるということですね。では、25周年を見据えた今後の計画についてヒントになるようなことがあればお聞かせください。

藤戸
 先ほどお話ししたサーバーリプレース以降のリソースの確保しだいでは、新しいことができる可能性がありますので、それを実現できるように準備を進めていきたいと思います。また『蝕世のエンブリオ』以降、新しいストーリーまわりはほとんど動きがないので、何か取り組みたいとは考えています。ただ、そのための人員が別のタイトルの開発中で、現在は専任で担当できる者がいない状況です。

 ただ将来的には手を貸してもらえるかもしれないので、『FFXI』チームに戻ってきてもらって、また何かを制作できないかと計画しているところです。並行してグラフィックのリソースを管理するミドルウェアの整備もエンジニアに対応してもらっていて、それが解決すれば新しいカットシーンの制作なども再び可能になります。現在は、そういった下地の整備が続いているとお考えください。

――最後に、来年はいよいよ節目となる25周年を控え、また『FF』シリーズとしても40周年を迎えます。意気込みについてお話しいただけますか。

藤戸
 来年はただの周年というだけでない大きな区切りですので、ここでやることが、さらにその先の節目まで続くことになるのだろうと思っています。サーバーリプレースしたからにはできる限り使い倒していこうという話をしましたが、つまりは、つぎの30周年に向けてきちんと運営していこうという努力目標を立てているということです。

 25周年だからひと区切りにしようとか、何周年で終了します、といった話はいつでもできますが、そうではなく、“続けられる限り続ける”という覚悟です。
『ファイナルファンタジー』はつねに新しいことや未知の領域にチャレンジし続けてきたシリーズです。『FFXI』はその中でも飛びぬけて異質な分野に向けて挑戦してきたナンバリングタイトルですので、『FF』40周年という節目をバネに、『FFXI』はさらにもう一段階飛躍させるためにあがいていこうと思います。
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