『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』発売前なのに1.6万字インタビュー。『パラノマ』らしさは残しつつ、空と海が広がる爽やかな伊勢で新たな“呪い”の物語の制作秘話

『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』発売前なのに1.6万字インタビュー。『パラノマ』らしさは残しつつ、空と海が広がる爽やかな伊勢で新たな“呪い”の物語の制作秘話
 スクウェア・エニックスが手掛ける『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』が、2026年2月19日に発売。

 複数の登場人物の視点が交錯する先の読めないストーリーや、ひと癖もふた癖もあるキャラクター、ゲームならではのさまざまな仕掛けで人気を博した『
パラノマサイト FILE23 本所七不思議』の続編でありシリーズ最新作だ。2026年2月19日発売予定で、対応プラットフォームはNintendo Switch、スマホ(iOS/Android)、PC(Steam)。

 物語の舞台は伊勢湾に浮かぶ“亀島”。この地を舞台に、不老不死をもたらすという人魚の謎を巡る物語が展開されていく。

 ファミ通.comでは、『
パラノマサイト』シリーズのディレクター/シナリオを担当する石山貴也氏と、同シリーズのプロデューサーを務める奥州一馬氏に緊急メールインタビューを実施し、気になるアレコレについて回答をいただいたが、より詳しい話を訊きたいと思ったファンは少なくないはずだ。
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 そこで石山氏と奥州氏、さらにキャラクターデザインを担当する小林元氏と音楽を手掛ける岩崎英則氏を加えた4名に、改めてインタビューを行った。舞台を伊勢志摩にした理由や、人魚をテーマに選んだ決め手、さらに、メインビジュアルが白を基調とした明るいイメージにガラッと変わった理由などを深堀りした。
※岩崎英則氏の崎は正しくはたつさき。
※記事内では、ストーリー上のネタバレには十分配慮していますが、作品が作品ですので当方としてもいったい何が後からネタバレになるやら気が気でなく、安全を期する方はプレイ後にお読みください。
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奥州一馬 氏おうしゅう かずま

スクウェア・エニックスのゲームプロデューサー。『インペリアル サガ エクリプス』などを手掛ける。『パラノマサイト』シリーズのプロデューサーを担当。(文中は奥州)

石山貴也 氏いしやま たかなり

『パラノマサイト』シリーズのディレクター/シナリオを担当。スクウェア・エニックスでは『ドラゴンクエストX オンライン』Ver.1 ライブプランナーチーフや『スクールガールストライカーズ』ディレクターなどを務める。スクウェア・エニックス入社以前は、他メーカーにて『探偵・癸生川凌介事件譚』シリーズ(元気)などを制作。(文中は石山)

小林元 氏こばやし げん

スクウェア・エニックスのデザイナー。『パラノマサイト』シリーズではキャラクターデザインを担当。『すばらしきこのせかい』シリーズや『スクールガールストライカーズ』などのキャラクターデザインを手掛ける。(文中は小林)

岩崎英則 氏いわさき ひでのり

スクウェア・エニックス所属の作曲家。『パラノマサイト』シリーズの楽曲を手掛ける。近年は『サガ』シリーズの音楽ディレクターも担当。(文中は岩崎)

海外でも通じやすい? 伊勢志摩の人魚伝説

――ついに新作が発表となりました。いつごろから始動していたのでしょう。

奥州
 じつは、前作の発売直後から「つぎのテーマやコンセプトはどうしようか?」と、ここにいるメンバーで話し合ってはいたんです。

――あっ、そうなんですか!?

石山
 1作だけではなく何作か作ることで、2作目以降は開発システムが使いまわ……活用できますから、もともと企画立ち上げ時点で複数作の開発は目指したプロジェクトではあったんですよ。それでコストを抑えればトータルで利益は大きくなっていきますよね、と。出せば出すほどね。

――なるほどなるほど。

奥州 
ただ、前作発売直後から本当にすぐ開発に取りかかれるかというとそうではなく。新規タイトルということもあって、プレイヤーの評判がわからなかったり、売り上げがどれくらい伸びるかつかめなかったりして、慎重に立ち上げることになりました。

石山 
前作はおかげさまで非常に高い評価をいただいていたのですが、会社からなかなかオーケーがでなくて(苦笑)。

小林 
そうだよねえ。

石山 
ゴーサインが出るまでかなり焦らされましたよ。それというのも……(本作開発に懸ける石山氏の熱い思いがほとばしったが割愛)。

――それで発売までに3年もかかってしまったと。

石山 
まあ、ここまで遅れた理由のほとんどは自分のせいなんですけども! やる気はとてもあったのですが、走り出しがうまく回らなかったこともあって、終わってみれば前作から3年間、お待たせしてしまいました。

――続編を出すハードルが高かったとはいえ、前作は新規タイトルにも関わらずとても熱量が高いファンが現れました。社内でも喜びの声があったのではないかと思いますが?

奥州 
そうなんです。スクウェア・エニックス社内にも“隠れ『パラノマ』ファン”がたくさんいて。フロアを歩いていると、知らない席に『パラノマ』グッズがてんこ盛りになっていたりしたんですよ。

小林 
それは“隠れ”でもないですよね?

一同 (笑)。

石山 
これまでに何本かゲームを出してきましたけど、社内でこんなにうれしい反響があった作品は初めてです。『パラノマサイト』の発売後、昔いっしょに仕事をした人から感想メールが送られてきたり。

小林 
自分もそうでした。

石山 
すごいリアクションがあってビックリしています。社長賞もいただきましたしね。

奥州 
そうでしたね。

――それはすばらしい! それなのに、なかなか新作開発のオーケーが出なかったと。

石山 
そうですよ! 社長賞なのに! にも関わらず……(本作開発に懸ける石山氏の熱い思いがほとばしったが割愛)。

奥州 
ゴーサインが出ていない状況でも、4人で集まっては「『パラノマ』の次回作はどうしようか」と話し合いはしていました。

石山 
ネタはいつも考えていましたよね。つぎはこういう話にしようかって。

――そうして生まれた新作ですが、今回はサブタイトルに“伊勢人魚物語”となっているように、完全に新しい舞台で?

奥州 
前作は“本所七不思議”というオカルトをテーマに扱いましたが、日本の文化を扱ったことで、海外ではちょっとなじみにくかったんですね。それで新作では、海外でもわかりやすいテーマを扱ってみようと、“人魚”を題材に選ぶことにしました。
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石山 
前作を出した後に、プロジェクトのメンバーで、「何をもって『パラノマサイト』とするのか」ということを改めて考えて、足もとを固めました。

 前作で“FILE23”となっていた数字部分は、本作では“FILE38”と付いています。このFILEは作中に登場する心霊対策室……心霊系のトラブルを扱う公的機関に保管されている記録ということにして、『パラノマサイト』シリーズとは、“心霊対策室がある世界のどこかで起こったお話である”ということにしましょうと。

――なるほど。

石山 
そのうえで作品の題材としては、“呪い”や“実在の伝承”を扱ったものをベースにして。なので、“FILE○○”と数字が入っているものは、基本的には同じ時間軸の中で起こっているお話ということになります。

 また、前作のキャラクターの続投を望む声も大きいのですが、ここでキャラクターを引き継いでしまうと、そのキャラクターのシリーズになってしまうのではないかという懸念がありまして。たとえば、「ミヲちゃんが出てこないと『パラノマサイト』じゃないよね」となってしまうと、この先の展開を狭めてしまうことになるかなと。『パラノマサイト』をキャラゲームにするのか、いろいろできるオカルトミステリーゲームにするのかで、後者を選んだかたちです。
※ミヲちゃん……黒鈴ミヲ。前作の重要キャラクターであり、マンガ『パラノマサイト FILE25 霊感少女・黒鈴ミヲの邂逅』でも中心人物に。[IMAGE]
前作『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』
石山 
それこそホラーでなくてもいいし昭和でなくてもいい、もっと拡げていけるように、今回はあえて強い心で登場人物を全員入れ換えることにしました。

奥州 
どういう反応になるのかわからないので、ビクビクしていますが……。

石山 
総スカンを食らう可能性もあるので、ドキドキしています(苦笑)。

――登場人物が全員新キャラクターでも『パラノマサイト』が成立するとなれば、本作に限らず新しい展開が生みやすくなりますよね。

石山 
いろいろな媒体で、いろいろな形で『パラノマサイト』という作品を表現しやすくなるかと。

――海外にもなじみのある要素として“人魚”を選んだとのことですが、調べてみると日本でも人魚の逸話が残る地域はいくつかあるんですね。その中でもこの場所を選んだ理由というのは?

石山 
おっと、それはネタバレだ!(笑) 遊んでいただければわかります。たぶん。

奥州 
そうですね。選んだ理由を言ってしまうと、かなりネタバレになってしまうので。

石山 
人魚伝説というと福井県若狭地方などが有名なのですが、いろいろ調べていくなかで、今回は時代設定とかも踏まえて伊勢湾を舞台にしたいなと思いました。

奥州 
前作とは異なる新しい体験やギミックを生み出そうとしたときに、いちばんピッタリとハマったのがこの地方の人魚伝説だったっていうのが大きいかもしれません。

――プレイするのが楽しみです。舞台は三重県伊勢志摩地方の“亀島”という島で。

奥州 
はい。

――伊勢志摩に“神島”という島は実在するんですね。この島がモデルになっているのでしょうか?

奥州 
ご想像の通り、“亀島”のモデルは“神島”ですね。

石山 
はい。あくまでモデルってだけで、作中では“呪い”や“伝承”など神島には存在しないものを登場させるので、“亀島”という架空の島を作りました。
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奥州 
ミステリーアドベンチャーである本作は、登場人物が亡くなったりもするので。

石山 
これはあくまで架空の“亀島”という島でのお話です。“神島”とは関係ありませんよ! 安心して“神島”に遊びに行ってね!

奥州 
いま、とある施策の準備を進めています。それが世に出れば作中のモデルはこの場所なのねとすぐにわかると思います。

――“神島”で安全に聖地巡礼が楽しめそうですね。

奥州 
“神島”には“呪い”はありません!(笑)。

石山 
くれぐれも混同することがないように! これは、はっきり太字で書いておいてください!

――わかりました(笑)。背景の小物など、前作よりもだいぶ写実的に見えましたが、実際に伊勢志摩や“神島”に行かれたのですか?

石山 
行ってきました。

奥州 
前作同様、ディレクター自らが撮影をしに行きまして。僕も同行していたのですが、僕は三重県さんとの打ち合わせがあったので、途中で別行動になりました。

石山 
何か企んでるみたいですよ。

――前作で墨田区の観光協会と行っていたような施策を今回も考えられている?

奥州 
そうですね。まだお伝えできないので、続報にご期待ください。
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――前作でも墨田区の公園や喫茶店などファンが現地を訪れていたようですから、伊勢志摩や“神島”に観光客が来るきっかけになりそうですね。
 
石山 
本作をきっかけに足を運んでいただけるとうれしいですね。

――ちなみに、小林さんと岩崎さんは神島には行かれてないのですか?

岩崎 
はい。

小林 
最初は行こうという話もあったのですが、いろいろあってまだ行けてないんです。

石山 
プロデューサーも神島には行けてませんからね。

奥州 
一度うかがう機会があったのですが、風と波が強くて船が止まってしまい……。

岩崎 
呪いかな?

奥州 
いやいやいやいや!

石山 
ただの離島あるあるなので大丈夫です!
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前作は怖すぎた? ホラーが苦手でも大丈夫な『パラノマサイト』体験

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――今回のテーマやコンセプトというのはどのようなものでしょうか。
 
石山 
先ほどお伝えしたように、『パラノマサイト』シリーズとしての幅を広げたいという意図もあったので、コンセプトはガラッと変えようと考えました。

 キービジュアルを見ていただければわかる通り、前作は黒の背景に背後には怖い亡霊みたいなものが描かれていて、登場人物たちも驚愕の表情を浮かべていました。それが今回はなんと、青い空! 青い海! 白い雲! 笑顔の登場人物たち! そして後ろに怪しげに存在する人魚と、海の底から伸びる不思議な手……。
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前作(左)、新作(右)。
一同 (笑)。

――後半がちょっと不穏になりましたが……。

石山 
ありゃ、しまった!(笑) いや、イメージとしては、明るく爽やかな感じがありつつもちょっと不穏なところもあるよ、みたいな空気は『パラノマサイト』としてちゃんと入れてあります。前作を遊んでくれた人には、「イメージしていたものと違う! でも、これはこれでいい!」となるといいなあ……と。

奥州 
そうですね。

石山 
ってわけで、初見時の感想が気になっているんですけど、本作のキービジュアルを見てどう思いましたか?

――ビックリしました。「急に爽やか~」って。

小林 
意図通りですね。

――でも、人魚や海中の手といった怪しいところもちゃんと描かれていて、『パラノマサイト』らしさは体験できるのだろうなと感じています。

奥州 
怖さの調整って難しくて、たとえば前作のスマホ版のアイコンは、最初“置いてけ堀”だったんですよ。

――ああ、日本人形の女の子の、目が真っ暗な空洞になっている感じの。

奥州 
「そのアイコンが怖いからホームアイコンにしたくない」という声をたくさんいただきまして、急遽変更したりしました。

――スマホだとホーム画面で不意に目が合いますからね(笑)。

奥州 
ホラーが苦手な人というのはそのくらい多いんだなと思ったので、チャレンジではありましたが、今回のキービジュアルは意図的に真逆の方向性に振りました。明るく、楽しく、爽やかに!

石山 
ですので、今回はジャンルにも“ホラー”とは入っていないんです! ここ重要! 前作もゴリゴリのホラーゲームというわけではなく、序盤に脅し程度のものがあるくらい……というつもりだったのですが、それでも「怖くて手に取れない」という方がいらしたので、今回はホラーじゃないよ、ジャンプスケアはないよ、ということは前面に押し出していきたいです。よろしくお願いします。

 まあ……多少、不穏なシーンはあるし、人は亡くなりますけど、そこはミステリーだからある程度は。それと、じつは対象年齢も前作から下がっています。前作はCERO D(※17歳以上対象)でしたが、今回はCERO C(※15歳以上対象)となりました。このレーティングからも安心してもらえるんじゃないかなと思います。
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奥州 
前作と比べて表現はやわらいでいますので、前作のホラー要素でためらった方も本作は気軽に遊んでほしいですね。

小林 
でも石山さんは最初に言ってましたよね。1作目と2作目はけっこう違うから、1作目が好きな人、2作目が好きな人のどちらもいてほしい。それが『パラノマサイト』なんだって。

石山 
あ、はい。シリーズ物として、前作が好きな人と本作が好きな人が半々くらいになるくらいがいいんじゃないかなと思っています。

奥州 
ファンによって好きな作品がバラけるのはシリーズ化していくうえで避けては通れない道だとは思っています。僕らとしては『パラノマサイト』をより広げていきたいと考えているので、あえて1作目とはぜんぜん違う世界感や雰囲気にしていますが、おもしろさは前作を踏襲しています。前作が楽しめた方は、本作にもご期待ください。

石山 
ただ、ハードルを上げすぎないようにしたいという目論見はあって。「新作は前作を超えていかなきゃダメだ、パワーアップさせないとダメだ」と考えるのではなく、横並びにしてどちらもいいねという形にしたいと考えています。

 どんどんパワーアップさせないといけないと考えるとどんどん作るのがしんどくなっていきますし、過去のタイトルがしょぼいものだと扱われるのもよくないなと。コンパクトに作れるのがアドベンチャーのよさなので、そこは無理せず。

――どのタイトルから遊んでも、『パラノマサイト』シリーズが楽しめるというわけですね。キービジュアルを描くにあたって、小林さんにはどのようなオーダーがありましたか?

小林 
先ほど石山からもあったように、イメージをガラッと変えたいということで、今回は「青春っぽい感じにしたい」とオーダーがありました。

 それならイメージは白いほうがいいかなということで、爽やかな若者を全面に押し出す形で、昔の青春モノの映画のポスターなどを参考にしながら描いてみました。ただ、キービジュアルから『パラノマサイト』シリーズだということは伝わるようにしたかったので、構図などは前作に似せています。

奥州 
後ろに呪影を描くアイデアもありましたよね?

小林 
そうでしたね。不穏な雰囲気をどのくらい残すかというところは、チーム内で相談しながら決めていきました。

――それが人魚や海中の手などに出ているというわけですね。

小林 
海中の手は、石山から「海の怖さを表現したい」と言われて、不気味に感じる要素として描いています。

石山 
青い空、白い雲、青い海……なんだけど、海の底は暗いし、ちょっと怖い。そんな不気味さみたいなものがほしくて。

――海中に手があるのとないのでは、かなり印象が変わりますよね。本作のキャラクター設定やデザインを考えるにあたって意識した部分、苦労した点などはありますか?

石山 
今回はこういう話にしよう、それならこういうキャラクターがいるよねってところは最初に決めて、主人公の水口勇佐から作っていきましたよね?

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小林 
そうですね。主人公は海女の青年と聞いて、なじみがないなあって。いきなり面食らいました(笑)。

一同 (笑)。

石山 
伊勢志摩と言えばやはり海女さんというところで、主人公に海女をさせたいなと思って。

小林 
本作の時代は前作に近しいということで、新たに時代感を調べる必要がなかったところはスムーズだったのですが、ファッションは悩みましたね。今回は舞台が伊勢の田舎になりますが、当時の流行りをどれくらい取り入れたらいいんだろうというところは、話し合って決めていきました。

石山 
登場人物は島の住民が多いので、そこまでハイカラな感じではないよねって。

小林 
伊勢志摩の島にいても違和感がないデザインにはしています。
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石山 
あと、キャラクターでひとつお伝えしておきたいことがあって。主人公の親友で“雲居アザミ”というキャラクターがいるんですが。

――アザミくん。

石山 
昨今大きな話題を呼んでいるミステリーアドベンチャーゲームの主人公と名前がかぶっていますが、決して意識したわけではなく、偶然なんです。ホントです、信じてください集○社ゲームズさん。

――「あざみー」とか呼びたくなりますね。

石山 
ああっ、すいません……! それが発覚した後、開発会議で「アザミくんの名前、変えましょうか」と話し合ったんですけども。

奥州 
「このままいってもいいでしょうか?」って。

石山 
話し合いの結果、制作も進んでいたので、「このままいきましょう」ということになりました。けっきょく。

――とくに意識したわけではなく、制作中に別のゲームで“アザミ”というキャラクターが出てしまったと。

奥州 
はい。出てきちゃったなと思いましたね。

石山 
いや、ゲーム開発あるあるだと思うんですけどね。作っている途中に他作品で似たような要素が出てきて「ああっ!」ってなるのは。「かぶるなよ~、かぶるなよ~」と祈りながら過ごすのはゲーム開発者なら誰しも経験することではないかと。たとえば、某ちいさくてかわいい感じのやつでも孤島で……人魚が……。くっ……だって、まさか同じ年に……。

――ちなみに、なんでアザミくんにしたんですか?
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アザミくん。
石山 
あ、はい。あえて男の子に女の子っぽい名前、女の子に男の子っぽい名前をつけることで、キャラを立てつつ、いまっぽい柔軟な感じにしたいなと思って、親友の男の子にアザミくん、幼なじみの少女につかさちゃんという名前を付けてみました。つまり、語感です。

小林 
最初はどっちがアザミくんでどっちがつかさちゃんか覚えられなかったです。

石山 
でもストーリーを読み進めるうちに、違和感はなくなると思います。たぶん。

小林 
あとキャラクターといえば、前作の登場人物たちが人気になってくれたので、本作のキャラクターをデザインするときに妙なプレッシャーを感じました(苦笑)。

一同 (笑)。
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奥州 
そうだったんですね、それは初耳(笑)。

小林 
前作はどの程度注目されるかもわからなかったので、ある程度気楽にじゃないですけど、好き勝手やらせてもらいました。

 でも、前作が出てある程度評価された後の新作となると、ファンの声を意識したほうがいいのかなって。最終的には、前作で好き勝手やったイラストが受け入れらたから、今回意識しても仕方がないと考えて落ち着きましたが。

石山 
ただ、今回は迷走したキャラクターが多かったかもしれません。あーでもない、こーでもないみたいな修正が入ったキャラクターがいたり。アザミくんも髪型が決まるまで時間がかかったと思います。

小林 
アザミくんは、もうちょっと都会っぽい髪型でした。

石山 
でも、もう少しやんちゃなほうがいいなって。

奥州 
双奴くんも時間が掛かりましたよね?
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石山 
いや、双奴くんのデザインはすんなり決まったんじゃないかな。

奥州 
デザインが決まった後、設定で悩んでいませんでしたっけ?

石山 
そう。イラストが完成した後、双奴くんのキャラ付けをどうしようかっていうところで悩んだんです。もうちょっと変な人にしたほうがいいのかな、それともいい人にしたほうがいいのかなというところで、ちょっと迷走がありました。

――ほかにデザインで苦労したキャラクターは?

小林 
アザミくんのほかには、キルケの服装がたいへんでしたね。

 最初はもっとシンプルなデザインだったんですけど、ディスカッションを重ねていくうちに、キャラクター性の強い見た目になりました。前作はプロタンこと櫂利飛太が変わったファッションをしていて、それ以外はわりとふつうの人たちでしたが、本作は双奴くんやキルケのような尖ったキャラクターと、島の地味めな人たちの差があるかなと思います。

石山 
ややファンタジー感が強くなりましたが、離島の異邦人という雰囲気もあっていいんじゃないかなと。
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――先ほど、プレッシャーのお話がありましたが、前作にこういうキャラクターが登場したから、本作では同じようなパターンは使えないなといったプレッシャーも感じていましたか?
 
小林 
そうですね。似たようなキャラクターでも違った面で魅力を出したいなとは思っているので。
 
石山 
なので色を変えるために本作では外国人を登場させるなど、意図的にバリエーションを出すようにしています。

小林 
ただ、結命子さんの設定を見たときに、「また主婦がきた」とは思いました。

一同 (笑)。

石山 
前作のマダム(志岐間春恵)とは違うタイプの主婦だから大丈夫でしょう。

小林 
マダムも人気があったので、やっぱり結命子も人気が出てほしいなと思うのでプレッシャーはありましたけどね。

――憂いのある雰囲気のマダムと本作の結命子とはまたタイプが違いますよね。
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前作『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』のプロタンとマダム。
石山 
結命子は“おかみさん”タイプですからね。

小林 
マダムも結命子もそれぞれいいところを出せたのかなとは思います。

――とはいえゲームのキャラクターデザインで、主婦をたくさん描くことはなかなかないですよね?

小林 
少なくとも僕はないですね(笑)。

 結命子は割烹着を着ていますが、そこは石山直々の指定でした。最初は別のアプローチで考えていましたが、「割烹着を着せてほしい」と言われて。

石山 
結命子に割烹着を着せた理由も本編でちゃんと明かされますので、ぜひ確認してみてください。
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――小林さんは前作での開発では、ストーリーを知らされないままにキャラクターの発注が来たとのことでしたが、今回はいかがでしたか?
 
小林 
今回も同じような感じでしたよ。石山に「このキャラクターはだいたいこんな感じです」と言われて、そこからデザインを考えていろいろやり取りをしましたが、その後にシナリオを見て「この人、こんなことをしゃべるんだ」とわかることが多かったです。

石山 
キャラクターのしゃべりかたはイラストを見て決めているので。こういう人ならこういう性格にしようかな……と後付けするやりかたで今回も進めさせてもらいました。

小林 
石山のやりかたは前回が初めてだったので、面食らったと言いますか、こうなるんだという驚きが強かったのですが、今回は楽しみながらイラストを描くことができました。

――前回で慣れたぶん、楽しむ余裕があったのですね。今回はキャラクターの左右フリップ差分(※)が加わりましたが、導入の経緯を教えてください。

石山 
今回の目玉のひとつですね! 先ほど新作はパワーアップさせないとお伝えしましたが、キャラクターの左右フリップ差分の追加だけはどうしてもやりたくて実装しました。
※フリップ差分……キャラクターが左右を向いたとき、きちんと別の絵になるイラストデータ。前作では左右反転しただけの鏡像でやりくりしていた。
――実現したかった理由というのは?

石山 
いや。前作では遊んでくれた方に「プロタンのほくろやミヲちゃんの髪飾りは左右どちらが正しいんだ」と言われてしまいまして(苦笑)。

――右に向けば右に、左を向けば左に付いちゃうから(笑)。

石山 
今回は左右フリップ差分を入れたので、ファンの方たちが公式の解釈違いで悩むことはありません!

――よかった(笑)。

石山 
また、反転してしまうので、前作では服に文字を入れることもできませんでした。でも、本作ではアザミくんが“KAMESHIMA”と書いてあるTシャツを着ています。むしろ文字入りの服を着せたいがために、このTシャツを考えてもらいました(笑)。
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――そのぶん作業量も増えたのではないかと思いますが……。
 
小林 
ご想像の通りです(苦笑)。

石山 
でもコバゲンさんも、頼んでないのに服の合わせなどもちゃんと左右で分けて描いてくれていて。

小林 
だって、そうしないとおかしくなるじゃないですか!(笑)。

一同 (笑)。

石山 
アヴィが肩からかけているカバンも、つねに右肩にかけてますし。

小林 
アヴィは、左の胸ポケットにメモ帳とペンが入っているところもちゃんと描いていますよ。

――細かなところまで。

小林 
ただ、髪型は対応していません。目が隠れたりすると印象も変わってしまうので。

石山 
そのあたりは、言わなければ気にならないレベルかなと。

――序盤をプレイしてみて立ち絵のパターンが増えたように感じていますが、実際はどうなのでしょうか?

石山 
パターン数は、そんな増えているわけではありません。ですが、今回、パターンのないキャラクターはいないのかな。前作だと、弓岡は立ち絵パターンがひとつしかなくて、どんなシーンでも直立状態でしたが、今回はどのキャラクターも複数のパターンを用意しています。

小林 
そういう意味ではパターンは増えていますね。

――本作もみんな個性が強くて、人気が出そうなキャラクターがいるなと思いました。

奥州 
ありがとうございます。

石山 
人気が出るとうれしいですねえ。

奥州 
前作で皆さんが大好きな並垣くんみたいなキャラクターもいるので。

石山 
そうなのかなあ(苦笑)。別に狙ってはいないですよ。あれは狙って生まれるものじゃないですし!

――並垣くんは、こんなに人気が出るとは思ってなかったですか?

石山 
思ってなかったですね。むしろ嫌われていいと思っていたので。ムカつくイヤなヤツのつもりでシナリオを書いたら、あまりもかわいそうだったからか、思いもよらず人気が出てしまいました。

小林 
並垣に関して心外なことがあって。並垣が呪詛を行使するポーズは、すごくかっこいいポーズとして描いたんですよ。それなのに「おもしろいポーズ」と言われてしまって(苦笑)。

奥州 
コアリクイのね。
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前作に登場した人気(?)キャラクター、並垣祐太郎。
――並垣くんは愛されキャラですからね。前作ではふつうの人間キャラクターのほかに呪影も描かれていましたが、本作でも呪影のようなものは登場するのでしょうか?

小林 
今回も何かしらの“呪い”のようなものは登場するので、そういったイラストやスチールは描いています。ぜひゲームをプレイして見ていただけたらと思います。

バラエティー豊かな楽器を使って離島の文化や暮らしを音楽で表現

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――サウンド面についてもお聞きします。『FILE38 伊勢人魚物語』の楽曲を作るにあたって意識した点、苦労した点などはありますか?

岩崎 
石山から“夏”や“海”といったキーワードは聞いていたので、爽やかな夏っぽい楽曲が必要だなとは思っていましたが、バカンスをイメージさせるような楽曲は『パラノマサイト』には合わないと。

 中には爽やかな楽曲があるかもしれませんが、どちらかというと亀島に暮らす田舎の人たちや、島独特の文化や風習、因習を楽曲で表現したほうがいいのではないか。そう考えてエスニックと言いますか、プリミティブと言うのかな、そういったコンセプトで作っています。

――前作には刑事ドラマっぽい楽曲が入っていたりしましたが、今回もバラエティー豊かな楽曲を用意しているのでしょうか?

岩崎 
前作はバラエティーを出そうとしたというよりは、キャラクターの設定を聞いたうえで作曲しています。キャラクターごとにどういった曲がマッチするのか試行錯誤した結果、バリエーションが増えていきましたね。

石山 
今回もシーンやキャラクターに合わせた楽曲を書いてもらっています。

 たとえば勇佐とアザミが行動するシーンでは、男子ふたりのテーマ曲ということで、ロードムービーのような、男の子たちが野原を歩いているようなイメージの楽曲をオーダーしました。

 あと、今回は“なめどり”(※作中に登場するキャラクターで、さまざまな鳥類が不良の格好をしている)のテーマも書いてもらいました。あれは名曲です(笑)。
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奥州 
名曲ですね。初めて聴いたときに思わずふき出しました(笑)。

石山 
やんちゃな“なめどり”っぽさがうまく表現されていますよ。

岩崎 
“なめどり”のテーマは想定していませんでしたが(苦笑)、不良っぽいイメージでとお願いされました。ツッパっているんだけど、かっこつけきれない、間抜けな感じが入るといいなというオーダーで発注をいただいて、ロックンロールな雰囲気で作りつつ、間抜けな感じをカズーと呼ばれるアメリカの管楽器で表現してみました。

奥州 
今回はいろいろな楽器を使っていますよね。

岩崎 
そうですね。いろいろな楽器を使ったのは、島の雰囲気を出したかったのと、海というキーワードを聞いたときに、海を表現するにはどういう楽器を使えばいいんだろうと思ったんですね。いろいろ考えて、チャイコフスキーの『金平糖の踊り』などで使われているチェレスタ(※)やハープがいいなと調べていくうちに、使う楽器の種類がどんどん増えていきました。
※チェレスタ……ピアノのような鍵盤を持つ打楽器。
奥州 
レコーディングで「この楽器の奏者さんを使いたい」と言われて、予算が許すのであれば……と答えた記憶があります。

岩崎 
予算に関しては、サガシリーズでの音楽ディレクターとしての経験が活きましたね。

 アドベンチャーゲームの規模で考えると本作は贅沢に曲作りをさせてもらっているなと感じていますが、理想を追求しようとすると予算はいくらあっても足りませんね。

 今回も、効率的に収録を行うために創意工夫を行いました。音楽ディレクターを経験してきた自分だからこそ、今回の予算やスケジュールの中で多くの楽器を使うことができたという自負があります。結果、奏者の方たちにもいろいろと無茶なお願いをしてしまいました。皆さん、快く対応してくれましたが、もし断られたら自分で演奏しようと考えていました(苦笑)。

石山 
今回の楽曲もバラエティー豊かに仕上がっておりますので、サウンドトラックもお楽しみに。

――楽しみにしています! 岩崎さんが考える、“『パラノマサイト』らしい楽曲”とはどういったものでしょう?

岩崎 
それは僕が聞いてみたいです。

石山 
コンセプトで言うと、できるだけ幅の広いイメージ……、楽曲でも「こうじゃなきゃ『パラノマサイト』じゃないよね」とはならないようにしたいと考えています。もちろん、メインテーマは前作と同じ楽曲を使用していて、メインテーマが流れると『パラノマサイト』だなと感じるようにはしたいのですが、それ以外の楽曲に関してはいろいろやってほしいですね。

岩崎 
こうじゃないと『パラノマサイト』という考えは僕の中にはなかったので、よかったんですね。

石山 
なくていいと思います。
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ファンの期待に応えて呪詛バトルが復活。新たなチャレンジも盛りだくさん!

――システム面でのコンセプト、変化もお聞かせください。以前のメールインタビューによると、そもそも今回は一新するものとして、呪詛バトルは入れないようにしていたとのことでしたが?

石山 
前回シナリオを書いてて、オープンな場で一般人にデスゲームのような呪い合いをやらせるのは無理だと気づいて序盤の味付けだけにしたんで、今回は呪詛バトルとは違った展開をさせようと考えてました。それで開発が動き出したものの、社内から「呪詛バトルは入らないの?」と残念がる声が聞こえてきまして……。

奥州 
僕が怖気づいてしまった感じですね。プレイヤーの反応を見ても呪詛バトルを楽しんでくれている方が多かったので、石山に「なんとかなりませんか」とお願いしました。
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石山 
それなら入れましょうということで、ちょろっと呪詛バトルっぽい場面を追加しています。ミニゲームの素潜り漁もあるんで、なくても大丈夫かなとは思っていたのですが。

――いきなり素潜り漁が始まったときは驚きました(笑)。
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『パラノマサイト』新作では、素潜り漁もできるのだ! どうして。
石山 
狙い通りです。何もわからないまま海に放り込まれたときの気持ちを味わってもらいたかったので。配信で反応を見るのが楽しみです(笑)。

――成長要素もあるんですか?

石山 
はい。せっかくなので、“海女ランク”を上げていく要素を実装しました。

――“海女ランク”(笑)。

石山 
“海女ランク”は、“亀島”の海女さんたちのステータスです。

小林 
不思議な世界だなと思いました(笑)。

石山 
“亀島”には海女としての力、“海女力”や漁の成果を数字で表す文化があるんです……という設定にしました。
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謎に作り込まれている。
――なるほど(笑)。素潜り漁はやり込めるようになっているんですか?

石山 
おまけ要素なので、1~2時間もやればカンストできます。ストーリーを進めるためにある程度プレイしないといけませんが、別にそこまでやり込まなくても大丈夫です。あと、せっかくなので、素潜り漁のミニゲームを入れた経緯をお話してもいいですか?

――ぜひお願いします!

石山 
前作では、全天球の背景を使って360度見回せるシステムを実装していましたよね。

――はい、特徴的なシステムのひとつでした。

石山 
でも、カメラを左右に動かすような使いかたはしていたものの、上下に動かすことがあまりなかったなという点がやや心残りでして。

 そこで、本作ではもっと上や下を見るような仕掛けを入れられないかと考えていたときに、「そうだ水中なら上下も見れるぞ」と。しかも「主人公を海女にすれば自然に水中に潜らせられるじゃないか」と思い至りまして。

 で、最初は、海中の天球背景を作ってアワビなどを見回して探すようにすればいいかなと考えたのですが、やっぱ素潜り漁をやらせるなら泳げなきゃ気分が出ないと気づいてしまい……。獲物を探して水中を泳げるようにしたいですといろいろお願いをして調整した結果、泳ぎまわれる素潜り漁のミニゲームになりました。

 まあ、背景を3Dでガッツリ作ることになって、360度の全天球背景ではなくなってしまったのですが、些細な問題でしょう。たぶん……(苦笑)。

――素潜り漁の実装にそんな経緯があったとは……。

石山 
それはそれとして、全天球の上や下を見回す必要がある仕掛けは謎解きのほうでも使っていて、前作よりもバリエーションは増えてると思いますけども。
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奥州 
リアルな素潜り漁を再現するために、博物館を見学して海女さんについて学びました。現地での体験がミニゲームにも踏襲されていると思います。

石山 
“神島”で実際に海女をやられていた方にも、お話をお聞きしています。ちなみに、男の子が海女になるという設定に関しても、当時でも決してあり得ない話ではないということでした。

――リアリティーも追求していると。

石山 
とは言えウソをついているところもあって、たとえば勇佐がウェットスーツの上に羽織を着ていて、海女さんといえば白いあの装束というイメージがありますが、実際は着ないみたいです。

 神事やイベントのときは、白装束を身につける地域があるなど、伊勢志摩の中でも場所によって文化や風習が全然違うみたいですが。少なくとも“神島”周辺では着ないようですが、見栄えを重視して着てもらいました。

小林 
海女の青年なのに、ウェットスーツだけだと弱いですからね。

石山 
ただ、羽織にデザインしている五芒星と網目模様の“ドーマン、セーマンのお守り”は、伊勢志摩地方の海女さんが実際に身に付ける習慣があるものです。
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――ほかにシステムの新要素としては、“追想潜入”が加わりました。基本的に時系列通りに進んでいた前作から大きく変わる仕組みですが、どういった意図、狙いで入れたのでしょうか?

石山 
今回は試みとして、物語が時系列順に進んでいくのではなくて、現在と過去を行き来しながら進行するようにしています。ストーリー上、過去や別の視点に移ることをわかりやすくするために“追想潜入”という儀式を入れました。能動的に過去を解放する演出として入れているので、とくにゲーム性はありません。すみません。

――現在と過去を行き来するという仕組みにした狙いとはなんでしょうか?

石山 
時系列が前後しながら展開するシナリオというのは、ミステリーでうまく使うと非常に効果的な演出ができるのですが、受け手にとっては非常にわかりにくいという難点があります。

 しかし、本作にはストーリーチャートがあるので、時系列の前後関係が把握しやすく、かつ自分の手で進行順を選ぶため、わかりやすく表現できるのではないかと思って試してみた感じです。また、人によって進める順番が異なる想定で、どの情報を先に入手したかによって、物語の印象が変わるような仕掛けも入れています。

 前作もプレイの仕方は人それぞれで、配信を観ることによって新たな発見が楽しめたという意見がありました。本作でも、クリアーした後に自分と違う順序でプレイしている方の配信を観るなどで、何度も楽しめるのではないかと思います。
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――ちなみに、今回の配信規制は?
奥州 
2026年3月8日までは配信NGですが、3月9日からは解禁にする予定です。

石山 
配信したいという方は、3月9日以降にお願いします。今回も盛り上がってくれるとうれしいですね。

――ほかにシステム関連の見どころがあれば教えてください。

奥州 
背景にアニメーションがつくようになりました。

石山 
なんと雲や波などが動いていますよ!

奥州 
前作よりも空気感は増したと思います。

石山 
あと細かいネタではありますが、処理の最適化をしたことでNintendo Switch版は描画のコマ数が上がっています。前作は30fpsでしたが、本作は60fpsになりました。

奥州 
あと、なめどりシールをコンプリートすると楽しめる要素を入れてあります。ぜひコンプリートしてほしいですね。

石山 
そうだ! そうなんです! なんと今回、なめどりのコンプリート報酬が入りました! さきほど、『本所七不思議』リリース後に社内で反響が多かったと言いましたが、社内のA氏と久しぶりに会ったときの第一声が、「久しぶり~」とかじゃなく、いきなり「なめどり集めたのに何もないんだけど!」と詰め寄られましたからね!

――前作は「何かあるのかな?」と思って一生懸命探してコンプリートしても……。
 
石山 
くっ……すみません、前回はそこまでする余裕がありませんでした。でも今回はちゃんと最初から予定に入れて、なめどりシールをコンプリートした方に向けて、ちょっとしたおまけコンテンツを用意しています。これでA氏も大満足でしょう!

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――なめどりのテーマ曲も用意されていますし、探すのがますます楽しくなりそうです。最後に気になるところをお聞きしたいと思います。

石山 
うっ……! 答えられる範囲でなら……!

――タイトルの“FILE”の数字に深い意味はないものの、事件の前後関係を現すようにするとのことでした。ということは、将来的には前作のFILE23から本作の38まで、空き番号全部の数字を埋める野望も……?

石山 
いや、すんません、それはたぶん無理です。開発ラインを10本くらい用意してもらわないと……。

奥州 
僕たちが生きてないですよね(笑)。番号に深い意味はなくて、時系列がなんとなく想像できるように振っているのと、ゲームだけではなく、ほかの作品にも広げていきたいと考えて、なるべくあいだを空けるようにしています。

石山 
この間に何かあったんだろうなと、余白を妄想して楽しんでもらえたら、それで。

――わかりました。豪華なグッズ付き限定版が発売されますが、どういったグッズになっているのでしょうか?
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※現在品切れ中
奥州 
キャラクターアートワークスは、1作目と2作目の素材を余すところなく使用しています。CDとアートワークスは、グッズ化を望むファンの声が多くて実現させることができました。今回買い逃した方のために、CDとキャラクターアートワークスのデジタル版は個別に発売する予定です。

――今後、ほかのグッズを販売する予定は?

奥州 
前作のグッズが好評だったこともあり、今回はグッズ化できる素材をたくさん用意しました。

石山 
前作はグッズ化のことまで想定していなくて、「何を作ればいいんだ……」と悩むことが多かったんで。その反省を踏まえて、今回は作中の“亀島”で町興しのためにいろんなグッズを作っていることにして、同じものを出せるようにしました。

――それがアザミくんのTシャツですね。

石山 
はい。そういった亀島のロゴや、“かめし丸”というマスコットキャラクターを使ったグッズが出てくるんですが、実際にあったらうれしいよなーってことで、作ってもらってます。ふつうに自分も欲しいです。買います。

奥州 
グッズの詳細はまだお知らせできないのですが、絶賛準備中なので、こちらもご期待ください。

――ゲームを堪能しながら楽しみにしています! 最後に、ファンや読者に向けてメッセージをお願いします。

岩崎 
前作同様、音楽も物語に寄り添うような形で一生懸命気持ちを込めて書かせていただきました。ゲームをプレイしながら音楽も楽しんでいただけたらうれしいです。

小林 
『パラノマサイト』の世界に新しいキャラクターがたくさん登場します。前作と同じように、彼らも温かく受け入れてもらえると光栄です。本作もよろしくお願いします。

石山 
はい。『本所七不思議』のキャラクターを待ち望んでいる方は、ぜひコミック版をお楽しみいただければと。前作、コミック、新作、それぞれがちょっとずつ繋がってますので、広がる『パラノマサイト』の世界を余さず味わってもらえるととてもうれしいです。よろしくお願いします。

奥州 
なかなか言えないもどかしさがずっとある中で、皆さんにようやく発表できたことをうれしく思っています。舞台や雰囲気などを変えておりますが、群像劇ならではの物語など、前作で感じたおもしろさは本作でも楽しめる内容になっていると手応えを感じています。ゲームをプレイしていただいて、感想などをいただけると僕らも励みになりますので、応援よろしくお願いします。

 また、コミックの『パラノマサイト FILE25 霊感少女・黒鈴ミヲの邂逅』も絶賛発売中です。ゲームだけではなく、『パラノマサイト』シリーズを堪能していただけるとうれしいなと思います。ゲーム発売後も、皆さんが楽しめる施策をいろいろ準備していますので、こちらもご期待ください!
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