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『鬼武者』一閃の快感は、時を超えて若き才能へ――。高校生のときに遊んでいた青年が最新作『Way of the Sword』のディレクターに。長い時を経て受け継がれるDNA【25周年記念対談】

『鬼武者』一閃の快感は、時を超えて若き才能へ――。高校生のときに遊んでいた青年が最新作『Way of the Sword』のディレクターに。長い時を経て受け継がれるDNA【25周年記念対談】
 カプコンの看板タイトルのひとつ、『鬼武者』。シリーズを通して楽しめるのは、“バッサリ感”と表現される、爽快感と重みのある剣戟アクションと重厚な戦国ドラマだ。2026年1月25日にシリーズ25周年を迎えたことを記念して、初期から開発に携わり、原作・リマスター版でともに『鬼武者2』ディレクターを務めた江城元秀氏と、2026年発売予定の最新作『鬼武者 Way of the Sword』のディレクターである二瓶 賢氏に、これまでの、そしてこれからの『鬼武者』について存分に語ってもらった。
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江城元秀 氏えしろ もとひで

オリジナル版&リマスター版『鬼武者2』ディレクター

二瓶 賢 氏にへい さとる

『鬼武者 Way of the Sword』ディレクター

──『鬼武者』シリーズが産声をあげてから早くも四半世紀が経ちました。振り返っての感想はいかがですか?

江城 
本当にあっという間でしたね。1作目の『鬼武者』立ち上げのタイミングではプランナーとしてチームに参加していました。その途中で『鬼武者2』の企画が走り出し、ディレクターをやらせてもらいました。

 鬼武者を改めて振り返ると、俳優の金城武さんを主人公の明智左馬介として、キャラクタールック、声優、モーションアクターとして全面的に起用しただけでなく、金城さん自身が開発を見に来られて企画をいっしょに考えたりと、本当に斬新で刺激の多い現場だったことを思い出します。

 『鬼武者2』は、ボリューム面にこだわり、チームメンバーにも無茶振りをしたりして少し困らせたかもしれませんね。そこからもう25年が経ち、新作の発売を控えているというのは感慨深いです。
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『鬼武者2』
──二瓶さんはいかがですか? 25年前はおいくつでしたか?

二瓶 
高校に入ったころだったと思います。なので、『鬼武者』は学生のころに遊んだ記憶が強く残っています。

江城 
高校生のころにプレイヤーとして遊んでた人が入社し、さらに新作のディレクターを務めるとは……。本当に時の流れは早いですね。

──かく言う私も、25年前に週刊ファミ通で『鬼武者』の攻略記事を作っていたのを思い出します。当時はデータ入稿ではなく、イラスト素材もネガ(※)でいただいていました。
※ネガ……キャラクターの絵などが詳細に焼き付けられたネガフィルム(物理)。当時は記事を入稿する際、これを原稿データの入ったフロッピーディスクといっしょに用意する必要があったのです(遠い目)。
江城 
そんな時代でしたね。

──二瓶さんは『鬼武者』以外のカプコンのアクションゲームは遊ばれていたのですか?

二瓶 
もちろんたくさん遊びました。とくに『バイオハザード』や『鬼武者』、『鬼武者2』は、友だちのあいだで貸し借りしながら遊んでいた記憶があります。『鬼武者』は、戦国の緊迫した空気感と幻魔の不気味さが独特な魅力を持っていて、強く印象に残っています。

 『鬼武者 Way of the Sword』ではそういう要素を受け継ぎ、新たな『鬼武者』をお届けできるというのは、青春時代の憧れと制作者としての責任感が同居した奇妙な感覚です。
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『鬼武者 Way of the Sword』
江城 
幻魔に関しては杉村升さん(『鬼武者3』までのシナリオを担当)や開発チームと「どんな風にすれば魅力的になるか?」というのをずっと議論していましたね。独特なダークファンタジーの世界を引き立たせるため、『鬼武者2』では個性をかなり強めにした記憶があります。

──『鬼武者』は、『1』が2001年、『2』が2002年、『3』が2004年発売と、立て続けにシリーズ作が出ていましたが、どういった戦略があったのですか?

江城 
当時のカプコンとしてもかなり特殊でした。ふつうは1作目の売れ行きや反応を見てから続編に取り掛かりますよね。『鬼武者』は、プロデューサーが「1作目発売から間を空けたくない!」と言って、1作目の途中から『2』の制作にとりかかり始めたんです。

 『鬼武者2』は、当初は魂吸収の要素はなかったんですが1作目での反響を見て、取り入れることにしたりもしました。『鬼武者3』には直接は関わってはいないのですが、あの販売のテンポ感はいま考えてもすごかったですよね。

──2001年に発売された初代『鬼武者』は、考えてみると2000年3月4日のプレイステーション2発売から1年も経たず発売されています。新しい開発環境に慣れるのにも苦労されたのでは? そんな時期に立て続けに作品を出せるというのも、すごい開発力ですね。

江城 
PS2ではプレイステーションから飛躍的にポリゴン数も増えましたし、相当な無理難題だったと思います。とくにアートチームはたいへんだったのではないでしょうか。

──しかも『3』では背景がフル3Dになりましたよね。

江城 
毎回新しいチャレンジをしていきたいという方針があったので、その一環でしょうね。カット切り替えよりもグッとカメラワークがよくなり、遊びやすさもそうですが、ドラマ性の面でもパワーアップしていたように感じます。

──当時リアルタイムでプレイされていた二瓶さんは、『鬼武者』の進化や遊びごたえについてどう感じてらっしゃいましたか?

二瓶 
とくに印象に残っていたのは魂吸収のシステムですね。夢中で斬っていると消えちゃうのでしっかりと吸わないといけないですし、斬新さもありました。“一閃”に関しては、ぶっちゃけると難しくてあまり成功できていなかった覚えがあります(笑)。ただ、成功したときの気持ちよさはいまでも脳裏に焼き付いていますね。
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『鬼武者2』
──“一閃”は覚えたてのころがいちばん敵にやられやすいですよね(笑)。

二瓶 
わかります。つい狙いにいっちゃって。

──おふたりにとって『鬼武者』とはどんな存在でしょうか?

江城 
『鬼武者2』はディレクターとしてのデビュー作でもあったので、忘れられない作品ですね。プログラマーからプランナーに転向し、そこからすぐにディレクターになったので、かなり苦労した覚えがあります。その後『シャドウ・オブ・ローマ』(2005年発売)などのディレクターを任されるきっかけにもなったので、ひと言で表すなら“分岐点”ですね。

二瓶 
僕は学生のころから遊んでいたシリーズなので、「いつか作りたい」という気持ちはカプコンに入ったときからずっと持っていました。『戦国BASARA』シリーズでド派手でスタイリッシュなチャンバラアクションは作っていたのですが、『鬼武者』のような地に足がついた渋いアクションもいつか手掛けてみたかったんです。タイミングよく任せていただけてうれしい反面、プレッシャーも感じています。

──先程少しお話に挙がりましたが、当時斬新だった“一閃”のシステムについて、どんな印象や思い出がありますか?

江城 
『バイオハザード』のような遠距離攻撃主体ではなく、刀がメインということでなにかプラスアルファになるような、新しいアクションが作れないかと試行錯誤していたんです。詳細なきっかけは思い出せませんが、“一閃”は最初は確かプログラマーの提案だったと思います。その後、現場でディスカッションをくり返して練り上げていきました。

 『鬼武者2』では、シビアすぎたタイミングを少し緩和したほか、連鎖や溜めなどでも出せるようにしてバリエーションを増やしました。

──二瓶さんは一閃には手こずっていたとおっしゃっていましたね。

二瓶 
そうですね(笑)。成功したときはエフェクトの気持ちよさもそうですが、魂がたくさん出るというのもうれしかったですよね。ご褒美もたっぷりなので、より挑戦してみたくなるという要素で、開発者になってからもよくできているシステムだと感心します。
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『鬼武者2』
──確かに、魂がバーッと出る光景も壮観ですね。

江城 
リスクリターンのバランスがよかったですよね。回復アイテムは温存したくなるゲーム性の中で、リスクは高いが一閃に成功すれば回復できるし、成長にもつながる。そういった部分がユーザーの皆さんにも好評だったんだなという気がします。

──失敗したときのリスクを抑えたいときは“弾き一閃”ありましたよね。

江城 
弾き一閃のほうは魂がそれほど多くなかったりしたので、やはりリスク・リターンが噛み合ってましたよね。

──ときには舞台が現代になることもあって、とにかく自由な印象を受ける『鬼武者』シリーズですが、『鬼武者』に必須な要素は何だと思われますか?

江城 
ベースは戦国時代ですから、歴史や史実という基本の部分ははずせないですよね。歴史上の人物を登場させ、史実に触れつつもフィクションにしていく。「この出来事は裏で幻魔が絡んでいたんじゃないの?」といったアプローチのしかたが『鬼武者』の大きな要素だと思います。それは、二瓶ディレクターも強く意識されているように見えますね。

二瓶 
そうですね。加えて、魂と一閃を核にした剣戟の緊張感、爽快感というのもはずせない要素で、新作でも絶対に継承しようと考えていた部分です。さらに、鬼の力を背負って戦うという侍のドラマも重要で、最新作でも強く意識して制作を進めています。

──金城武さんや松田優作さんといったレジェンド俳優の起用についてはいかがですか?

江城 
新しい挑戦を続ける『鬼武者』シリーズを象徴する要素のひとつではありますね。1作目開発当時、金城さんがじつはゲーム好きということがわかり、開発にも関わりたいということで、みずからいらっしゃったときは驚きました。

 『鬼武者2』のときは、主人公をどうしようとシナリオチームで打ち合わせをしていたときに、たまたま同席されていた映像の監督さんが「すでに亡くなられた俳優さんもゲームなら活躍させられるんじゃないの?」とおっしゃいまして、それがきっかけで松田優作さんを起用するにいたったという覚えがあります。最新作で三船敏郎さんが起用すると聞いたときは驚きました。苦労したんじゃないですか?

二瓶 
はい。たいへんでした。現存している映像作品も白黒のものが多く、解像度も高くはないのでかなり試行錯誤しています。とくに皺や鼻の膨らみなどを含めた表情の動かしかたは、スタッフがすさまじい分析をして作ってくれました。
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『鬼武者 Way of the Sword』
江城 
表情も見事に三船さんを再現されていて、いまの技術はすごいなぁと感心しています。

──『2』発売当時の松田優作さんもインパクトはすごかったですね。

江城 
あれは当時なりの最新技術でアートチームがんばってくれた結果ですね。

──おふたりは時代劇なども観られるのですか?

江城 
『鬼武者2』のときに勉強も兼ねてたくさん観ました。その中でとくに印象に残ったのは『七人の侍』です。子どものころよく観ていたのは『必殺仕事人』で、わりと熱心に見ていた覚えがあります。

二瓶 
自分の祖父が時代劇好きだったこともあり、『暴れん坊将軍』や『水戸黄門』は当たり前の風景としてなじみ深い作品でした。大人になって印象に残っているのは、三池崇史監督の『十三人の刺客』で、泥臭くも迫力のある殺陣のシーンには圧倒されました。とくに松方弘樹さんの間のとりかたや、達人の動きには強く惹きつけられました。そういった殺陣の影響は、最新作にも出ているかもしれませんね。

──2025年には『鬼武者2』のリマスター版が発売されました。ユーザーからの反響はどんなものがありましたか?

江城 
『鬼武者』のリマスターが発売後、「『鬼武者2』も!」という声はずっとあった中で、自分自身がリマスター版のディレクターもやれたことは本当に運がよかったですね。作品については隅々まで熟知していますし、かなり“いま風”に調整をさせていただきました。発売のアナウンスからの反応を見る限り、やはりゴーガンダンテスは人気だなと思いましたし、そういった声を見るとありがたいなと感じます。

──ゴーガンダンテスは最高の剣士ですね! 江城さんは『鬼武者 Way of the Sword』のどんなところに期待されていますか?

江城 
細かいことは抜きにすると、楽しみでしかないですよね。東京ゲームショウ2025での試遊版を触らせてもらったり、映像も見させてもらっていますが昔よりも圧倒的に臨場感がありますし、技術も格段に進歩していることがひしひしと伝わってきます。

 手触りも1作目から継承されているものを踏まえたうえで、遊びやすく、かっこよく、気持ちよくチャンバラできるし、既に傑作になるという確信があります。

二瓶 
そう言っていただけると本当にうれしいです。江城ディレクターが作られた『鬼武者2』はアクションはもちろん、人間ドラマもすごくよくて、新作を作るにあたってその部分は強く意識しました。

──確かに、『鬼武者2』は歌舞伎や演劇を見ているようなやりとりがよかったですね。

江城 
ありがとうございます。外連味のあるやりとりはとくに意識しました。当時は「ここまでやって大丈夫かな?」と心配したりもしたんですが、リマスター版で振り返ってみると「これはひとつの正解だったんだな」という実感が湧きました。

──最新作『鬼武者 Way of the Sword』でもどんなドラマが見られるのか、気になるところです。

二瓶 
武蔵はもちろんですが、まだまだあっと驚くようなキャラクターもいるので楽しみにしていてください。

──新作では、小野篁や出雲阿国の登場が明らかになっていますが、彼らはどんな活躍をするのでしょう?

二瓶 
まだナイショで……。ネタバレを避けて言及させていただくと、小野篁は時代背景が違ったりもして、そんな人物がなぜ剣に向き合っているのかという点にも注目していただきたいですね。ちなみに、小野篁がいるのは京都に実在する六道珍皇寺という場所で、プレイヤーはそこを自由に歩けます。六道珍皇寺について調べていただくといろいろと妄想が膨らむかもしれません。
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『鬼武者 Way of the Sword』
江城 
僕は大阪に住んでいるんですけど、新作の舞台になっている京都は電車でわりとすぐに行けるので、見て回りたくなっています。発売後は、ユーザーのみなさんも京都に行きたくなるんじゃないですかね。

──おふたりの『鬼武者』シリーズの好きなシーンやキャラクターを教えてください。

江城 
僕はやっぱり自分が担当した『鬼武者2』に思い入れがあるのでそこから選んでしまいますね。好きなキャラクターは、あんまり言っちゃうとネタバレになっちゃいますが、バックボーンなどを含めると風魔小太郎ですね。幻魔はギンガムファッツやジュジュドーマですかね……。もちろんゴーガンダンテスも好きです。

二瓶 
好きなシーンは『鬼武者3』のオープニングムービーですね。左馬介が、狛犬のような顔をした2体の幻魔を同時に相手しているシーンはシビれました。新作でもあのかっこよさを実際に操作して体験できるようにしたい、と強く影響を受けて制作しています。好きなキャラクターは……やっぱりゴーガンダンテスですね。お邑を助けるシーンは、幻魔がそんなことをするんだと驚きました。とても魅力的なキャラクターだと思います。

──『鬼武者』シリーズ作品を開発していたときに思い出に残っているエピソードはありますか?

江城 
言えないことばかりが思い浮かんでしまいますね(笑)。『鬼武者2』だと何度も名前がでているゴーガンダンテスみたいな幻魔は、少しやりすぎ感があるのかもと思っていたのですが「こういうキャラクターだからおもしろいんだよ」と杉村さんに言われて、「そこまで言うなら」という感じで実装したんですが、改めて見ると深いキャラクターですよね。

二瓶 
確かに深みがありますね。

──言えないことというのも気になります(笑)。

江城 
『鬼武者2』はスケジュールがタイトだったこともあり、開発チーム全体への負荷もすごかったんですよね。だから、発売後の打ち上げはかなりはっちゃけました。ひと晩でかなりの金額は使ったと思います。このくらいで許してください(笑)。

──まだ開発の真っ只中だと思いますが、二瓶さんは何かありますか?

二瓶 
ようやく発売が見えてきたところですが、プロジェクトがスタートしてからもう6年が経っているんですよね。まったくなにもない状態から、少しずつ積み上げて、いまは200人近い規模感になっています。徐々にチームが大きくなる中で、それぞれの成果を定期的に全員で共有しながら進めていったんです。その過程を全員で感じられたのは大きな喜びでしたし、メンバーそれぞれが「ほかのユニットはこんな挑戦をしているんだ」と新しい発見がある機会にもなっていて、結果としてチーム全体のモチベーションにもつながっていたと思います。

 規模が200人近いプロジェクトになると、どうしても視野が自分の担当範囲に寄りがちです。だからこそ定期的に共有する場を設けることで、全員が同じ方向を向き直せていたと感じています。あの時間は、チームを前に進める上でとても大きかったですね。

江城 
『鬼武者2』でもピーク時に70人くらいだったので、200人以上というのはすごいですね。コミュニケーションを取るだけでもひと苦労だと思います。

──二瓶さんもリリースを迎えたら打ち上げで大暴れですか(笑)。

江城 
その瞬間はやっぱり最高ですよ。二瓶ディレクターも大暴れするんじゃないですかね。

──最後にもうひとつ、1作目からキャッチコピーに使われている“バッサリ感”ですが、これはどなたのアイデアだったのですか?

江城 
確かプロデューサーだったと思います。『鬼武者2』の“愛と哀しみのバッサリ感”というフレーズはかなり気に入っています。

──最新作のキャッチコピーはどうなるのでしょう?

二瓶 
キャッチコピーに“バッサリ感”を出すかは未定ですが、“バッサリ感”は間違いなく求められている要素だと思うので、その気持ちよさはこだわって制作しています。最初のトレーラーの後、東京ゲームショウ2025などの試遊版を経て、一閃や連鎖一閃なども調整をしていますし、ドラマの部分でもまだ隠し玉がありますので、期待してお待ちください。

江城 
それまでは『鬼武者』や僕が直接調整した『鬼武者2』のリマスター版もありますので、そちらのほうを遊んでお待ちいただけたらと思います。
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『鬼武者 Way of the Sword』
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