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『デルタリス』プレイリポート。埋めるな、空けろ。令和の『テトリス』となるか? 常識を覆す三角形ブロックの新作パズルRPG

byローリング内沢

『デルタリス』プレイリポート。埋めるな、空けろ。令和の『テトリス』となるか? 常識を覆す三角形ブロックの新作パズルRPG
 “落ち物パズル”に新しい風は吹くのか。

 その問いへのもっとも鮮烈な答えこそ、個人開発で生まれた新作『
デルタリス(DELTARIS)』だ。

 本作は PC(Steam)向けの新作パズルゲームで、開発を手掛けたのは日本の個人クリエイター・ナカムラ氏だ。ファミコン版およびゲームボーイ版『
テトリス』への深い愛情から、「求めるものがないなら、自分で作るしかない」と制作に踏み切ったという。まさに情熱の結晶と言える作品である。

 『
デルタリス』の最大の特徴は、四角ではなく“三角形のブロック”を採用している点にある。さらに革新的なのが、“隙間(穴)”の存在だ。従来の落ち物パズルではミスとされてきた隙間を、あえて“意図的に作る”という独自のシステムが、本作の核心を成している。

 ラインを“消す”だけでなく“創造する”要素を持ち込み、落ち物パズルというジャンルを根底から再構築しており、また単なるスコアアタックだけでなく、HP(ヒットポイント)を持った敵キャラクターとのバトル要素やストーリーを楽しめるRPG的な要素も兼ね備えた作りになっている。

 実際にプレイしてみると本作が“令和の『テトリス』”となり得るポテンシャルを秘めていることを肌で感じられるはずだ。
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常識を覆す“創造”のパズル――意図的に“隙間”を作る快感!

 基本的なルールは『テトリス』に近い。画面上から落ちてくるブロックを積み、ラインを揃えて消していく。ただし、使うブロックは四角形ではなく三角形で、その形状の違いがプレイフィールを大きく変えている。

 くり返しになるが、最大のポイントは“隙間(穴)”の存在だ。通常なら失敗とされる隙間が、『デルタリス』では戦略的な武器に変わる。

 意図した形の隙間を完成させると、その空白に特殊ブロック“デルタフォース”が自動生成される。カチッと光り、新たなブロックが生まれる瞬間は、“消すだけ”のパズルでは味わえない革新的な体験だ。

 もっとも、三角ブロック特有のプレイフィールには最初は少し戸惑うかもしれない。しかしコツをつかむと、むしろ四角形より”発想の幅が広がる”感覚があり、おもしろさが一気に開花する。

 さらに、デルタフォースを含むラインを消すことで敵に大ダメージを与える“デルタアタック”が発動する。盤面整理とバトル要素が一体化し、緊張感と爽快感の両方を味わえるシステムだ。

 つまり本作は、“隙間をデザインするパズル”と“バトルRPG”を融合させた、新機軸のゲームとして成立している。
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“レッスンモード”では、基本操作と本作の鍵となるデルタフォースの仕組みを学ぶことができる。意図的に隙間を作ってデルタフォースを生み出していく。
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デルタフォースが含まれるラインを消すことで、デルタアタックが発動し、敵にダメージを与えることができる。

デルタアタックが炸裂、爽快感がクセになるバトルテンポ!

 本作には敵キャラクターが登場する。プレイヤーはデルタフォースを含むラインを消すことで(=デルタアタック)攻撃を行い、敵のHPをゼロにすれば勝利となる。

 テンポよくデルタアタックを叩き込んでいく感覚は非常に気持ちがよく、とくに敵のHPが残りわずかになってからの“巨大なデルタフォースの生成狙い”は、一発逆転の緊張感と高揚が同時に押し寄せる瞬間だ。

 さらに、ブロックの落下速度は一般的な落ちものパズルよりもやや遅めに調整されており、巨大なデルタフォースを狙う余裕があるのもうれしいポイント。「つぎこそは!」と、より高度な戦略を目指して何度も挑戦したくなる魅力がある。
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画面の右には敵キャラクターやHP、戦闘ログが表示される。

創作熱が生んだ濃密なボリューム、魅力あふれる世界とモードの数々

 『デルタリス』は、ボリューム面でもしっかりと遊び応えを備えているタイトルだ。

 主軸の“ストーリーモード”は全12ステージで構成され、三角の力を宿した少女“デルル”と、猫の将軍“ミカゲ”が主人公の物語が展開される。

 童話や神話をモチーフにした“乙姫”、“かぐや姫”、“赤ずきん”、“シンデレラ”といった絵本のキャラクターたちが、“悪魔のインク”(いわゆる文字や絵柄を描くために使われる液体)と呼ばれる謎の力に汚染され、魔物の姿で登場し主人公に襲い掛かってくる。

 プレイヤーは三角形のパズルを解き、彼女たちを救い出しながら、絵本の主人公を魔物へと変質させた存在の正体へと近づいていく、というストーリーだ。

 こうした、なじみ深いキャラクターたちが“魔物に汚染された姿”で現れる独特の世界観には、どこか懐かしさや温かみがありつつ、ほのかな切なさも漂う。
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“ストーリーモード”では、主人公デルルの物語を体験しながら遊ぶことができる。
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さまざまな敵がデルルを襲う“ストーリーモード”。デルタアタックを発動させて敵のHPを0にしよう。
 そしてもちろん、やり込み要素も豊富だ。30体の敵を連続撃破する“エンドレスモード”では、2周目に敵のHPが倍になるという、やり込み勢にはたまらない挑戦を提供している。
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“エンドレスモード”の敵は、十二支や星座がモチーフになっている。
 なお、“ストーリーモード”の序盤は全体的に難度が低めで、落ち物パズルに慣れていないプレイヤーでも遊びやすい作りになっている。一方で、腕を磨いた熟練者にとっては“エンドレスモード”こそが真の勝負。30体撃破の先に待つ高難度ループは、本作の奥深さを存分に味わえるだろう。

 さらに、各ステージに立ちはだかる敵を倒してクリアーしていく“デルタミッションモード”や、25ライン消去を目指す“LINEミッションモード”なども用意されており、さまざまな“遊び”が味わえる。

 ほかにも、限られたブロックで答えを導く“パズルモード”は、まるで詰将棋のような醍醐味が楽しめる脳トレ感覚の論理パズルだ。

 そして、ローカル対戦に対応した“2P対戦モード”では、キャラクターごとに異なるアイテム性能を用いた戦略的なバトルが楽しめるほか、アイテムなしの実力勝負も可能。

 また、すべてのモードをクリアーすると“隠しモード”が登場するなど、相当なボリュームになっている。
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モード選択画面。“?”の部分は、条件を満たすと“隠しモード”が出現する。
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“パズルモード”は、決められたブロックのみを使用して規定のライン数を消していく。いわゆる詰めパズルだ。
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“2P対戦モード”は、好きなキャラクターを選んで対戦可能。キャラクターごとに特性が異なるのもおもしろい。
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白熱必死の“2P対戦モード”。“デルタアタック”で相手を攻撃せよ。
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デルタフォースは最大10ライン同時消しまで可能。上の写真は10ライン同時消しの例。

古典を愛し、古典を超えた挑戦、これは間違いなく“つぎの形”!

 『デルタリス』は、『テトリス』を心から愛した開発者が、そのエッセンスを現代に活かしつつ、“新しさ”を加えた作品だ。

 三角形ブロックの解析やデルタフォース生成の数式、対戦モードの挙動まで、すべて開発者のナカムラ氏が独力で設計しているという。

 ブロックを積む気持ちよさ、消える爽快感、操作のリズム、心地よいファミコン風の効果音といった、古典的なパズルの根源的な魅力を残しつつ、隙間を“作って”攻撃につなげる独自システムにより、落ち物パズルに”創造する”という新体験をもたらしている。

 この革新性は、“落ち物パズル×RPG”という新ジャンルをはじめ、ボリューム満点なやりこみ要素、そして独特な世界観にいたるまで全要素に徹底されている。まさに、ひとりの開発者のこだわりと愛情が感じられる作品だ。

 「最近、落ち物パズルに新しさを感じない」、「昔の『テトリス』のワクワク感をもう一度味わいたい」、そんな人には間違いなく刺さる一本だと思う。

 三角形は、パズルを変える――『デルタリス』は、落ち物パズル観を確実に更新してくれるだろう。落ち物パズルがもう一度進化するその瞬間を、ぜひ体験してほしい。

『デルタリス』製品情報

  • 配信日:2025年12月5日発売
  • 価格:1480円[税込](発売から2週間は期間限定で10%オフ)
  • 対応機種:PC(Steam)
  • ジャンル:パズルRPG
  • プレイ人数:1〜2人(ローカル対戦対応)
  • 発売・開発元:XEXTRA JAPAN(ゼクストラ ジャパン)
  • 対応言語:日本語・英語・中国語(簡体字/繁体字)・韓国語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・イタリア語
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