
庵野秀明氏が原作・監督のオリジナルアニメ
『新世紀エヴァンゲリオン』は1995年から1996年まで全26話で放送されたテレビアニメ。原作・監督は庵野秀明氏。“使徒”と呼ばれる脅威と戦う主人公の碇シンジの内面を描く手法や、難解な設定をもとに構築された謎の多いストーリーなどが話題に。アニメ専門誌のみならず、テレビ番組や雑誌、新聞など、さまざまなメディアで取り上げられ、社会現象を巻き起こすヒットとなりました。謎に満ちたストーリーのカギはさまざまな神話や聖書ともリンクしており、多くの“謎本”(※)も多数発売されました。
人間関係も複雑で、使徒を殲滅することを目的にしているネルフを中心に、ネルフと反目しながらも協力して使徒の殲滅にあたる国連軍、国連を隠れ蓑にしつつ人類補完計画を完遂させようとしている秘密結社のゼーレなど、さまざまな人間の思惑が絡み合いました。
エヴァのパイロットに選ばれるのは14歳の少年少女。彼らは適正上、エヴァを動かして使徒を倒す力を持っているとはいえ、心は未熟な思春期そのもの。そんな彼らの心の葛藤は共感できるものでした。この記事を書いている筆者は1981年生まれで今年44歳になりますが、『新世紀エヴァンゲリオン』が放送されていたときは主人公のシンジと同じ14歳。とても感情移入しながら作品を視聴していました。
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そんな筆者の心を射止めた(?)のがヒロインである綾波レイ。無表情で感情を表に出さない彼女が醸し出すミステリアスな雰囲気に心を鷲掴みにされた人は多いのではないでしょうか。『ミンキーモモ』(1991年版)や『スレイヤーズ』などで元気なヒロインを演じることが多かった林原めぐみさんの芝居も新鮮でした。
綾波の人気と双璧をなすのが第8話から登場したセカンドチルドレンの惣流・アスカ・ラングレー。寡黙な綾波と正反対のポジティブな性格が注目を集めました。最初は優秀なパイロットとして登場した彼女ですが、物語の終盤でシンジに“エース”という居場所を取られた反動で抜け殻のような精神状態に。その姿は衝撃でした。
より衝撃だったのは終盤の展開。大切に思っていた人を自ら手にかけたシンジや自分の居場所を無くしてしまったアスカの深層心理を中心に物語が描かれることに。薄暗い部屋の中でキャラクターが椅子に座って自問自答するという演出はとても新しかったです。このような心理学的な要素を取り入れたことも普段アニメを見ない人への興味を引きました。
また、エヴァンゲリオンの5番目のパイロット、フィフスチルドレンにして最後の使徒でもある渚カヲルは、少ない出番でありながらインパクトのあるキャラクターで大人気となりました。
人気なのはキャラクターだけでなく汎用人型決戦兵器・人造人間エヴァンゲリオンも。漫画家の山下いくと氏が常識にとらわれないメカニックデザインを製作。不気味で迫力のある初号機など、斬新なデザインに魅せられたファンは多く、フィギュアなどの関連商品も人気を誇りました。
1997年7月19日にはテレビアニメとは異なる結末を描いた『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が公開。もともとは1997年春にテレビシリーズの総集編とリメイク版の第25・26話をセットにした完結編『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』を公開し、同年夏に完全新作の劇場版が公開される予定でしたが、劇場版の制作が大幅に遅れたため、まずは1997年3月に『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』が公開。4ヵ月後の1997年7月に完結編である『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が公開されるという形でした。
2006年には新たな設定・ストーリーで再構築した『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ全4作の制作が発表。2007年に第1作の『序』、2009年に第2作の『破』、2012年に第3作の『Q』、そして、2021年についに完結作となる第4作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開されました。
メディア展開も多い『新世紀エヴァンゲリオン』ばゲームも多数発売。1997年にガイナックスから発売された『新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド』を始め、『ガンパレード・マーチ』の芝村裕吏氏が手がけた『新世紀エヴァンゲリオン2』、ミステリーゲームの『名探偵エヴァンゲリオン』や育成ゲームの『新世紀エヴァンゲリオン 綾波育成計画』など多彩なジャンルのゲームが発売されています。
なお、30周年を記念して、テレビアニメ版および劇場版が各種動画配信サービスにて配信されていて、全国の地方局でも順次放送されるようです。未視聴の方はこの機会にぜひ触れてほしいですね。