2025年9月25日(木)から28日(日)にかけて開催中の“東京ゲームショウ2025”(GS2025)。VIC GAME STUDIOSブースでは、PC・スマホ向けアニメーションRPG『 リミットゼロ ブレイカーズ(LIMIT ZERO BREAKERS) 』が出展。本作のコミック&ノベルの小冊子が配布されるほか、試遊コーナーでいち早くプレイ可能だ。 今回は本作のキーパーソンである、開発会社のVIC GAME STUDIOSからプロデューサーのイ・ドンジュン氏とアート統括のハン・ソクジュン氏、パブリッシャーのNCSOFTから事業本部長のアン・ジンホ氏にインタビューを実施。 お三方には『 リミットゼロ ブレイカーズ 』(以下、『 リミゼロ 』)がどのようなゲームなのか、アニメの世界に入ったような気分になれるコンセプトなど、気になる点についてお聞きした。『リミゼロ』のキャラたちに目を惹かれたという皆さんは、とくにご一読あれ。 左から、アン・ジンホ氏、ハン・ソクジュン氏、イ・ドンジュン氏。VIC GAME STUDIOSからは事業統括担当の日本支社長イ・ドンギョ氏も同席し、内容を補足していただいた。
“王道”にして、全ユーザーへの“最適”を目指す ――まずは『リミットゼロブレイカー』がどのようなゲームか、教えてください。
イ
ファンタジーの世界観を持ち、そのなかでもとくに“王道”のファンタジー作品となります。ファンタジー作品というと異世界系などさまざまな種類がありますが、本作は王道ファンタジー。主要キャラクターたちが冒険の中で仲間たちと出会い、ともに難局を乗り越えながら成長していく物語となります。 アクションの面で言えば、巨大なボスを討伐するようなハンティングアクションとしての側面を持ちます。それだけではなく、アニメーションを観ているかのような感覚を味わいながらハンティングも楽しめるRPGです。
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――『リミゼロ』の開発において、とくに重視している点を教えてください。戦闘の手触りやキャラクターの個性など、何を最重視しているかがゲーマーとしては気になるところです。
イ
例に挙げていただいた戦闘の手触りやキャラクターごとの個性などは、ひとつを重視するものではなく、当然すべて準備すべきものと考えています。ひとつに集中するというよりは、個性や手触りを重視しつつもゲーム全体の完成度そのものを高め、すべてのユーザーの期待に応えられるような完璧なゲームを目指しています。 たとえばキャラクターの個性については、個性を高めていくと戦闘でどのように魅せるかを考えなくてはならず、別々に語れるものではありません。さまざまな要素を包括的にお見せしていくために、開発陣とともに悩み続けています。
――PCとスマホの両方でプレイできるアクションゲームとなると、インターフェースの調整が難しそうな印象を受けます。どのように対応しているのでしょうか。
イ
いちばん重視しているのは“最適化”です。インターフェースの基本はモバイル版ですが、キーボード&マウスでプレイするPC版や、ゲームパッド対応も準備しています。ユーザーの皆さんが選ぶインターフェース(デバイス)によって環境は変わると思いますので、それぞれの環境に最適な調整を考えています。 それぞれの操作方法には、たとえばゲームパッドなら震動する、マウスなら触りやすく操作しやすい、タッチ操作なら手間が少ないなど、違った利点があります。ユーザーの皆さんそれぞれにご自分の好みに合わせて、やりやすい環境を提供できるようにするためにも、各インターフェースの最適化を進めています。
――試遊版ではレイドバトルが楽しめますが、ゲーム本編ではほかにはどのようなコンテンツが遊べるのかも気になります。たとえば釣りなどの、生活系のコンテンツもあるのでしょうか。
イ
釣りはありますし、ほかにはハウジングも用意しています。ゲームを始めるとまずはストーリー、そのなかで戦闘を通じて集めた素材による武器製作といったキャラクター育成コンテンツを体験していただけます。そこからさらにレイドバトルに挑んだり、マルチプレイで友人とプレイしたりといった、さまざまな楽しみかたができるようになっていきます。 ――現段階でも魅力的なキャラが多い本作ですが、プレイアブルキャラクターはどのように入手する形式でしょうか。
イ
物語の主要キャラは、もちろん提供させていただきます。それ以外のキャラについてはガチャでの入手だけでなく、イベントでの報酬などでも準備していきます。
個性的なキャラが多い。必ず推しキャラができる ――まるでアニメのようなキャラクターに魅力を感じます。ゲームという媒体でこの魅力を表現するうえで、とくに注力している点を教えてください。
ハン
まるごとアニメーションの世界に入ってプレイしているようなゲームを作りたい、という点が最大の目標です。キャラクターの演出などから、さまざまな感情を伝えられる技術に力を入れています。
ハン
表情やカメラワークなど、戦闘の場面でもアニメーションのような動きが実現できるように研究を重ねており、それがたいへんな点でもあります。たとえば表現のために派手な演出などを入れると、戦闘中にキャラクターへフォーカスが向かなくなることがありました。対策として、キャラのシルエットや戦闘中の動きの流れがよりよく見えるような調整を入れています。
――アニメという点で伺いたいのですが、TGS2025用のテイザームービーにアニメスタジオMAPPAの名前があって驚かされました。MAPPAは今後、PV以外にも本作に関わっていくのでしょうか。
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アン
世界観解説ムービーだけでなく、製品版に収録されるオープニングムービーも製作していただいています。ほかのゲーム内ムービーについてもそうですね。 主要キャラにスポットを当てたプロモーションムービーもMAPPAさんのほうで現在製作中です。MAPPAさんとの連携は今回のPVだけでは終わらず、ゲームローンチ後にも続いていきます。 ――キャラクター全体のデザインコンセプトについても教えていただけますか。
ハン
世界観のデザインのもとにキャラクターデザインを決定しました。王道ファンタジーのなかでキャラクターならではの魅力を持たせられるように注力しています。このほうがユーザーの皆さんに満足していただけると考えておりますし、皆さんそれぞれにひとりは必ず推しキャラができるように、さまざまな個性的なキャラを準備しています(今回の試遊版の段階ですでに11キャラ実装)。 デザインの目標としては、キャラの姿を見て「これは『リミゼロ』のキャラだ」とわかっていただけること。個性は全然別でも、すべてに(『リミゼロ』のキャラだとわかるような)基幹を作り上げていきたいです。
――開発陣のおふたりのとくにお気に入りのキャラや、その注目してほしい点などを、ぜひお聞きしたいのですが。
イ
統括の立ち位置としてはキャラに順位はなく、愛がないキャラクターは存在しません。そのなかから選ぶのはすごく難しいので、仕事を置いておいて個人的に選ばせていただくなら、リズです。 リズはマスコットのような存在で、以前から魅力的ではあったのですが、今回のバージョンからは声優さんのボイスが入ったことでキャラとして完成し、完全に推しキャラになりました。
ハン
私も統括と同じで、愛情のないキャラは存在しません。そのなかでも難しいですが選ばせていただくキャラは、ローンチ時に公開予定なのでいまはまだお話しできません。 すでに公開されているキャラの中で選ばせていただくなら、同じくリズですね。物語の冒頭、世界観をプレイヤーの皆さんに知っていただく部分で主要キャラとなるのがカイト、シオン、リズの3名なのですが、そのなかでもとくに明るくて、ストーリーを引っ張ってくれるのがリズだからというのも大きいかと。
自称・最強の獣人である“リズ”。そのかわいらしさは、ゲーム内やテイザームービーで確認してほしい。
話はそれるが、せっかくなので筆者の推しキャラを紹介させてほしい。バアルさんです。褐色ズバズバ斬りまくり剣豪お姉さんです。
試遊版からすでに多数の新機軸システム ――試遊版のバトルでは、戦闘の最後に“ウィーバーランス”というド派手な必殺技が炸裂していますが、これはどういうものなのでしょうか。
イ
今回の試遊版での仕様となるので今後変更されるかと思いますが、戦闘中に画面左上に表示されるアクションのランクがプレイ内容によって上昇してSになり、敵ボスのHPが10%未満になると使用可能です。発動するとボスを一撃で撃破する、いわゆる処刑技ですね。 現在の試遊版のビルドでは、ランクがSになりやすいので、比較的スムーズに発動できます。製品版ではSランク到達が難しくなる予定です。ユーザーがSランクまでアクション面をがんばってくれたうえで、ボスのHPが残り少なくなったら、豪快にすばやくクリアーさせてあげたい、というシステムです。
――ロマンの塊のようなシステムですね。キャラを交代して元素をつぎつぎと付与していくシステムについては、とくに気を付けた点はありますか。
イ
ファンタジージャンルのゲームで、元素の要素が入っていないタイトルは昨今見当たらないかと思います。そのなかでも他タイトルと異なる点を作るにはどうすべきか悩みまして、その結果生まれたのがふたつの相関関係(強弱関係)にある元素をセットにする形です。 ふたつの元素を順行(強い元素→弱い元素)でつけるのか、逆行(弱い元素→強い元素)でつけるのかで、前者は体力に与えるダメージが増加し、後者はゼロにすると敵が一定時間無力化する“ブレイクゲージ”に与えるダメージが増加します。元素の順番でユーザーの皆さんそれぞれが、戦略的に考えて自分なりの攻略を作っていく楽しみが生まれたと考えています。
――敵の弱点属性を突けるメンバーを選ぶ以外にも、選択肢が生まれるわけですね。
イ
たとえばほかのゲームでなら、火が弱点の相手にはパーティー全員を火属性のメンバーにしていくことになるかと思います。『リミゼロ』では火3人でもいいのですが、順行と逆行が火属性と水属性で発生するので、ひとり水属性のメンバーを入れるという戦略要素が生まれます。 ――元素を付与する“元素スキル”が、各キャラクターの“特殊スキル”や“必殺スキル”とは別になっている点も気になったのですが。他タイトルだと、必殺技そのものが属性攻撃であることが多いですよね。
イ
本作のレイドバトルでは、元素の付与が非常に重要です。そこでクールタイムが長い必殺スキルで元素を付与しようとすると、戦闘スピードが遅くなってしまうんです。速いテンポで楽しくプレイするためにも、自分が判断したタイミングで元素を付与できるように、特殊スキルや必殺スキルとは別に元素スキルを用意したほうが、戦闘の幅が広げられておもしろいと考えました。
――試遊では試せなかったのですが、元素を順行や逆行以外にも、さらに重ねたり、ほかの元素を付与することでさらなる効果が発揮されたりすることはあるのでしょうか。
イ
順行と逆行の、さらなるつぎの段階については考えていません。ただ、現在アイデアとして“激烈反応”というものを考えていまして。同じ属性、たとえば火と火を重ねると爆発的な反応が起きる、という要素です。 ――なるほど。とりあえず現段階では、順行と逆行の仕組みまで理解できれば十分に楽しめるということですね。
イ
ほかには攻撃を回避でいなす“パリィ”もあります。成功すると元素スキルのクールタイムが短縮され、より順行や逆行を狙いやすくなりますよ。 単に順行だけを狙ったほうがダメージが出ると考えられるかもしれませんが、逆光ですばやくブレイク状態にすればより大きな追加ダメージを与えられます。敵がブレイク状態になったら、ブレイクした敵に多くのダメージを与えられる“破壊クラス”のキャラ(カイトなど)に交代するのも、戦略的要素のひとつです。状況に合わせて、順行と逆行を使いこなしてみてください。 ――クラスといえば、今回のバージョンでは“仲裁クラス”という、チュートリアルで説明された破壊、先鋒、支援以外のクラスのキャラもいたのですが。
イ
今回のバージョンで使用可能になった“クリスティアン”ですね。現在、クラスは破壊、先鋒、支援、仲裁の4種類となります。クリスティアンは弓を使うキャラで、敵にデバフ(弱体化)を与えます。
優美な仕草が印象的なクリスティアン。
――支援は回復やバフ(強化)係、仲裁はデバフ係ということですね。4種類のクラスで3人パーティーを組むとなると、なかなか悩むのでは。
イ
相手によって、編成を考えることになると思います。1番目と2番目に入れる破壊クラスや先鋒クラスのキャラの個性によっても支援と仲裁のどちらが適するか変わりますし、敵の攻撃が強すぎるなら支援クラスを、弱い敵を速攻で倒したいなら仲裁クラスを使うなど、ぜひ使い分けていただきたいです。
――それでは最後に、TGSでこれから『リミゼロ』を試遊される皆さんや、今後コミックなどさまざまな展開によって『リミゼロ』を知る皆さんに、本作のアピールをお願いできますか。
イ
TGS2025の試遊では、レイドバトルを強化したものをご用意しています。昨年までのバージョンと比べると新規モンスターや新規キャラに触れられるだけでなく、既存のキャラについても完全に戦闘面のコンセプトが変わり、新キャラとして成立するくらいに生まれ変わっています。カイトやリズといった主要キャラでも新しいプレイ体験ができますので、そこもぜひ楽しみにしていただきたいです。 また、KADOKAWAさんとのメディアミックスで配布しているコミックとノベルでも、ゲームのなかではなかなか注目されない部分も含めて魅力的なストーリーが広がっていますので、ゲーム以外でも本作のキャラの魅力を感じていただけるいい機会になるかと思います。ぜひこちらもお楽しみください。
ハン
今回の戦闘システムなど、本作のゲーム体験を楽しんでいただきつつ、ユーザーの皆さんからのご意見もぜひお聞きしたいと考えていますので、ぜひTGSでご体験ください。ローンチ後についてもいろいろなものをいまから準備していまして、ローンチ後には『リミゼロ』はこんなにボリュームがあるタイトルなんだと満足していただけるように頑張っております。 今後もMAPPAさんやKADOKAWAさんとの連携も行なっていきまして、ただのゲームではなく一大IPとして『リミゼロ』を広めていきたいと考えています。皆さんに愛される世界観のIPを目指しますので、これらも楽しんでいただきつつローンチにご期待ください。
アニメのような世界が気になるなら、生配信も見逃すな! 2025年 9月27日(土) 15時~16時には、TGS会場から本作の魅力をお届けする生配信も実施予定。会場では14時15分から先着30名に生配信番組観覧およびステージイベントへの整理券が配布される。本作が気になってきた人は、こちらも要チェックだ。
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