迷ったときに頼れるのは己の直感だけ


本作には文字やセリフが一切存在しません。チュートリアルもないので、本当にただただ歩くだけです。
とはいっても、ゲームを進めるための目標は一応あります。基本的には、この奇妙な世界のどこかに存在するキューブのようなものを見つけ出す、そしてつぎのステージへ進む、といった流れです。







前述した通り、この世界には文字がありません。そして色は白と黒の2色しかありません。そのせいか、非常に迷いやすい構造となっています。
「あれ、この道って通ったっけ」、「どこに行ったらいいかわからないしそもそもココドコ」と、何度も迷ってしまいました。看板や標識がないので頼るわけにもいかず、線路沿いや川沿いに歩こうといった現実世界での解決方法も試せません。
こんなときに役立つのは論理的思考ではなく、直感です。「なんか右な気がする」、「なんかここ通れそうな気がする」と野生の勘を働かせてキューブまでたどり着きましょう。


本作は無音、というわけではないのですが、BGMと言えるものも存在しません。
耳鳴りのような音や、空気が飽和するような音が鳴っていて、無響室に入ったら近い感覚がするのではないか、と感じました。


本作のプレイ体験は奇妙かつふしぎな感覚、としか言いようがありません。
パズルゲームをクリアーしたときの気持ちよさやカタルシスのようなものはないし、なんとなく感覚的に歩いていくので達成感もあまり感じられません。しかし「おもしろくなかった」、「記憶に残るゲームじゃない」というわけでもなく、なんとも言えない後味が残るといった感じ。
感覚としては、“覚えられない夢”を見たときに近いような気がします。起きた瞬間は内容も断片的に覚えているのですが、ベッドから下りるころにはもう覚えていなくて、「なんか変な夢を見たなー」というぼやっとした記憶が残っている、みたいな。ふしぎなプレイ感触です。


なぜ、彼女は夢を見続けるのか?
確かに、ゲームをプレイしていて“のぼる”行為は少なく、ほとんどが“落下”して進んでいたように思います。

そして気になるのが、たびたび登場する黒いワンピースを着た女性。
公式サイトの説明によれば、本作は“「彼女」の夢の一端を探索する一人称ドリームシミュレーターゲーム”とのこと。この黒いワンピースの女性が“彼女”なのか、はたまた彼女の夢に登場する人物なのかは不明です。

夢の中に登場する彼女は、言葉を発しません。ほとんどが黙って佇んでいるか、座っているか、のどちらかです。
道の奥に立っていたり、こちらに背を向けて歩いていたりするときは、進行方向のヒントを教えてくれているのかもしれません。


この夢はいったい何なのか、彼女はどうしてこの夢を見続けているのか。
もしかすると彼女は病室でずっと眠ったままなのかもしれないし、じつは彼女の正体は人工知能生命体でここは彼女の作り出した世界であり……といった想像もできます。
個人的には、『NIDANA』はアンドロイドである“彼女”が見ている夢、という説を推しておきます。

『NIDANA』
- 発売日:2025年7月28日発売
- 対応プラットフォーム:PC
- ジャンル:ウォーキングシミュレーター
- 発売元:PLAYISM
- 開発元:lvl374
- 価格:1200円[税込]


















