シティコネクションから2025年9月25日に発売予定のNintendo Switch、プレイステーション5(PS5)用ソフト『まものろKAI! ~まもるクンは呪われてしまった!~』(以下『まものろKAI!』)は、2008年にアーケードゲームとして稼動した縦スクロールシューティングゲーム『まもるクンは呪われてしまった!』(以下『まものろ』)をパワーアップさせて現行機に移植したもの。Xbox 360やPS3にも移植されたが、以降のハードでは遊ぶ手段がなかったので、ファンとしてはとてもうれしいタイトルだ。
どのあたりがパワーアップしたのか、そもそもアーケード版やXbox 360版を開発、発売したグレフからではなく、シティコネクションからリリースされることになったのはなぜなのか。シティコネクションやグレフのメンバー、そして当時のアーケードシーンを知る方に集まってもらい、『まものろKAI!』開発の経緯や見どころなどをうかがった。
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丸山博幸氏(まるやまひろゆき)
グレフ 代表取締役。代表作に『旋光の輪舞』『星霜鋼機ストラニア』などがある。
(文中は丸山)
池田稔氏(いけだみのる)
レトロゲームが数多く設置されているゲームセンターミカドの経営者兼店長。
(文中は池田)
江田岳浩氏(えだたけひろ)
シティコネクション所属。『まものろKAI!』ディレクター。
(文中は江田)
移植するのは吉川社長が『まものろ』好きだから!?
――シティコネクションから『まものろ』が現行機で発売されることになった経緯を教えてください。
吉川
シティコネクションは現在、ジャレコのIP展開を半分、他社IP展開を半分というスタイルで展開しています。ラインアップを考えていく中で、グレフさんのタイトルを現行機で出したい、というのを私のほうから提案させていただきました。中でも『まものろ』については、2009年に発売されたXbox 360版で当時どっぷりハマってしまって……。とっつきやすい世界観と音楽にすっかり魅了されてしまいました。
私自身は、グレフの丸山さんとは名刺交換をしたことある程度だったので、丸山さんと親交のある弊社の佐藤(佐藤哲郎氏。シティコネクション所属のマネージャー。WASi303名義でサウンドコンポーザーとしても活躍中)に相談したんです。
丸山
佐藤さんとは飲み友だちなんです。久しぶりにお会いしたときに、『アンダーディフィート』と『まものろ』をシティコネクションでやりたいというお話をいただきました。これまでもいくつかの会社さんから移植の話をいただいたこともあったのですが、移植の技術はふつうのゲーム開発とはまた違うものなので、ある程度経験があるところじゃないと難しいかなと思っていました。
シティコネクションさんは現在、ジャレコのIPを始めさまざまなタイトルを現行機に移植しているので、ノウハウがあるのはわかっています。佐藤さんともかれこれ20年近いお付き合いなので、やる前提でソースをお渡ししたら、あっという間に動くところまでできあがってきました。このレスポンスの早さは、うちの社風にも合うなと感じましたね。
――過去に発売されたXbox 360版とPS3版では、それぞれ新要素が追加されました。今回はそのあたりどのように検討されたのでしょうか。
吉川
細かい仕様についてはディレクターの江田に任せたのですが、プロデューサーとして指示したのは、ストーリーモードもワイド画面で遊べるようにしてほしいということと、サウンドテストモードの搭載です。私自身、『まものろ』のCDはアレンジ版も含めてすべて持っているのですが、CD化されたものも含めてすべてゲームの中で聴くことができるようにしてほしかったんです。
さらにサウンドテストだけではなく、ゲームプレイ中にどのバージョンの曲を流すかもカスタムできるようにしました。『YO-KAI Disco』ひとつとっても、オリジナルが好きな人もいればXbox 360アレンジ版が好きな人もいるし、ボーカロイド版が好きな人もいますよね。だったら、「このバージョンで聴きたい!」という願いを叶えられるようにしたんです。
江田
サウンドテストでは、オフィシャルなCDとして発売されたものはもちろん、これまでのCDには収録されなかったオフメロディバージョン(ストーリーモードの会話シーンで流れる)も入っているので、このゲームに収録されているサウンドは完全版となっています。
あとは細かいところをあちこち調整しています。練習モードで倒されたらすぐメニューに戻るとか、ツインスティックで操作するシューティングはいまだとかなり増えたので、その操作感に近いものを取り入れています。これによって後方に撃てるようになりました。
――もともと後ろに撃つことは想定されていないゲームでしたが……。
江田
後ろ向きに撃つと攻略的にもいい場面も少しですがあります。今回、この機能を入れてみて感じたことは、操作しているときの手触りが想像以上によかったことですね。
――グレフさんのゲームは『ボーダーダウン』や『アンダーディフィート』などちょっとハードなSFメカものが多い印象でした。『まものろ』はすごくかわいらしいデザインになっています。
丸山
グレフを設立したころ、我々はセガのアーケード基板であるNAOMIでゲームを作らせていただくことになりました。そのセガさんから「どうしてキャラクターが前面に出てくるようなゲームを作らないの?」とずっと言われていたんです。
ですので、そういうのも作ったほうがいいかなあと思っていたとき、開発会社のガルチさんが「かわいいキャラクターが出てくるゲームを作りたい」というお話をされていて、ではいっしょに作りましょうか、となりました。
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『まものろ』の人気はグレフを応援したいファンの力
――2008年のアーケード版『まものろ』は、どのあたりが支持されたのでしょうか。
丸山
『YO-KAI Disco』(冥界入口ステージのBGM)がブレイクしたのが大きいですよね。発売前に月刊アルカディアでちゃんと取り上げてもらったことも大きかったと思いますが、ゲームとしてはどの部分がそんなに支持されたのかは私もよくわかっていなくて……。
――ゲームセンターミカドを運営されている池田さんの立場ではどうでしょう?
池田
当時、丸山さんとは仕事でごいっしょする機会が多かったんですよ。『まものろ』ではデバッグやゲーム調整の段階で触らせていただいていました。そのときから感じていることなのですが、丸山さんは企画の段階から脳内でゲームが完全にできあがっているんです。だから実際に遊んでもおもしろいものになるんですよ。キャラクター性もよかったですし、ゲーセンとしては隙のないゲームだったのかなという印象があります。
2006年に『機動戦士ガンダム 戦場の絆』、2008年に『ストリートファイターIV』がリリースされて、ブラウン管(画面比率4:3)の筐体から液晶モニタ(16:9)筐体が増えて、ゲームセンターが変わろうとしていた時期でした。そんなとき、セガのNAOMI基板で新作が出るなんて……。NAOMIは2008年の段階ですでに10年ほど稼動していたアーケードシステム基板なんですよ。僕らみたいなマニアは、そんなグレフさんを応援してしまうんです。「まだまだNAOMIでイケるじゃん!」と。
丸山
『まものろ』でイベントをやりましたよね?
池田
アーケード版だけでなく、Xbox 360版の発売記念イベントもミカドでやりました。当時はケイブさんから『デススマイルズ』や『怒首領蜂 大復活』のアーケード版がリリースされた時期でしたが、シューティング界隈の盛り上げにひと役買っていたのは間違いありません。今回の勢いで、シティコネクションさんからドリームキャスト版をリリースしてほしいと思うくらいですよ。
丸山
会社を設立して、セガさんに「NAOMIを使わせてください」とお願いしたところからグレフはスタートしていますからね。NAOMIにはすごくこだわりがありました。
池田
シューティングファンはそういうところをわかるんですよね。そういう心意気を感じ取って遊んでくれたんだと思います。
――Xbox 360版『まものろ』(2009年発売)のとき、池田さんのほうで特典攻略DVDを制作されました。
池田
そうですね。スコアラーも私のほうで手配しました。スコアだけだと粘って点数を稼ぐシーンが多くなりそうで、それは「映像作品としてどうだろう?」というのもあり、タイムアタックも収録しました。当時、アルカディアのほうでもタイムアタック集計をやっていたので、実際どういうプレイなのかをみんなに見てほしかったというのもありました。
江田
タイムアタックもただ進んでいくたけではなくて、タイム回復アイテムを持っている敵は倒す必要がありました。そういった要素があるので、言うほど単純ではなかったですね。ゴリ押しはできないので。
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ニコニコで人気が爆発した『YO-KAI Disco』
――『YO-KAI Disco』がゲームミュージックファンのあいだで大人気となった理由は何だったのでしょうか。
丸山
『まものろ』のサウンドを、音楽制作会社のスーパースィープに所属(当時)していた安井洋介さんに発注させていただきました。最初にできあがってきた曲が『YO-KAI Disco』だったんです。そういう意味では、『まものろ』のテーマ曲でもあるんですよね。
安井さんにとって、ひとつのゲームですべての曲を担当するのは『まものろ』が初めてでした。『ボーダーダウン』では渡部恭久さん(元タイトーのサウンドクリエイター)、『アンダーディフィート』では細江慎治さん(元ナムコのサウンドクリエイターで、スーパースィープ代表)と有名なコンポーザーを起用させていただきました。その流れでつぎは若手を使いたいという思いがありました。安井さんはそれまでアレンジャーとしての活躍が多かったのですが、実力があるのはわかっていたので、「つぎの新作ではお願いしたい」とお声がけさせていただいたんです。
――『まものろ』で安井さんも一気に人気サウンドコンポーザーになりました。
丸山
『YO-KAI Disco』はもちろんですが、アレンジCDや『エスカトス』のあたりで、さらに安井さんの人気が爆発しました。当時、安井さんはスーパースィープ所属だったので彼を育てたのは細江さんですが、安井さんが上がるためのステージを作ることはできたかな、と。
なぜあれほどヒットしたのかというと……どうしてでしょうね。ニコニコ動画との親和性が高かったのかもしれません。狙ってできることでもないですし、再現不可能な現象だと思うんですよ。ただいいものを作ったのは間違いないんです。宝くじは買わないと当たらないのと同じで、ヒットさせるにはいいものを作らないといけない。『YO-KAI Disco』はうまくハマったケースなんだと思います。こればかりははユーザーの皆さんのおかげです。
いまでは、セガさんの『オンゲキ』やDONUTSさんの『D4DJ』といった音ゲーに『YO-KAI Disco』が収録されるほどの知名度を誇る曲となりました。
――『まものろKAI!』では新曲があるんですよね。
吉川
新規で1曲作っていただきました。メニュー画面で流れているのがそうです。基本的には移植タイトルなので、ゲームを立ち上げたときにすぐ新しい体験ができるように、メニューで使うことにしました。
『まものろKAI!』というタイトルには秘密が!?
――この『まものろKAI!』というタイトルはすんなり決まったのでしょうか?
江田
何かしら変えようという話にはなっていたんですよ。そのままだと過去の移植作と名前が被ってしまいますし、マーケティング的な観点で言えば『まもるクンは呪われてしまった!』という名前はちょっと長いんです。検索しやすいように、ゲーム名の頭に何か新しい言葉をつけて、その後ろに『まもるクンは~』を入れるのはどうかという話になりました。
ではどういうのがいいかなあと考えているとき、お風呂に入っているときに「KAIって付ければいいんだ」と思い付きました。妖怪の“怪”だったり、改造の“改”だったり、複数の意味を持たせることができますし。
丸山
ゲーム名はここで一度短くしておきたいなというのもありました。PS3版は『まもるクンは呪われてしまった! ~冥界活劇ワイド版~』とかなり長くなってしまいましたし、『まもるクンはまたまた呪われてしまった!』という名前だとやっぱり長すぎますし。
吉川
わかりやすいし、短くなっているし、検索もしやすいですよね。かつ、移植であるということも伝わりやすい。ただ、このタイトル名で行こうと決めた理由はほかにもあるんですが、それはまだ言えません。
――何か秘密が?
吉川
そう遠くない未来に理由を言えると思います。いまはまだ言えなくて……。
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これだけ詰まって10000円以下の特装版
――特装版は豪華ですね。
吉川
アクリルスタンドと、ゲストイラストレーターのアードカード、それと新曲入りのサウンドトラックCD、そして資料集ですね。資料集はPS3版のときに付いていた冊子の改訂版なのですが、すべての素材が収録されているのはもちろん、新規のインタビューも入っています。160ページもあるので、じっくり読んでいただければと思います。
また、特装版だろうと通常版だろうと、どこで購入しても予約していただくと『YO-KAI Disco』全部入りCDが付きます。
――これだけてんこ盛りで、お値段は10000円しない(9900円[税込])んですよね?
池田
安いですよね。12800円でもおかしくない。
吉川
限定版は10000円以下というイメージが私の中にはありまして。最近はこうしたシューティングタイトルは新規でも移植でも10000円以上のものが多いですが、ここ数ヵ月の中では、この『まものろKAI!』特装版は最安値だと思います。
丸山
もしグレフがこれを発売するとしたら、9900円にするのは難しかったと思います。このボリュームの冊子とCD、アクスタと描き下ろしのアートカードがあって、梱包とかのコストを考えると……。冊子とCDだけならギリ10000円以下かも。
吉川
……もう価格変更はできません(汗)。
池田
せっかく安いので、ふたつ買ってください(笑)。
丸山
海外ユーザーも含めて、やはりフィジカルでほしいというファンは一定数いらっしゃいます。うちはあきらめてしまった部分なので、パッケージ版を発売していただけるのはすごくありがたいです。
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『まものろKAI!』だけでは終わらない!
――2025年6月14日と15日にシュー大祭というシューティングゲームに特化したイベントがありました。こちらでの反響はいかがでしたか?
吉川
『まものろKAI!』に関しては新しいミュージックビデオを作りまして、それをこのイベントで初公開しました。あとは『まものろKAI!』のコーナーと言いつつ、お蔵出し素材も交えて丸山さんからグレフの歴史を語っていただいて。
丸山
1時間半もたっぷり(笑)。
吉川
今回、初めて東京・中野にあるRed Bull Gaming Sphere Tokyoでシュー大祭を開催したのですが、今後は試遊台を入れてもっと人を呼べるイベントにしたいですね。
あと、このシュー大祭では『まものろKAI!』イベントを発表させていただきました。2025年9月26日に秋葉原でリリース記念イベントを開催します。DJライブやトークショーなどを予定しています。YouTube配信はないので、ぜひ会場にお越しください。
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吉川
お話しできる範囲でお教えしますと、付き合いは終わっていません。ゲーム会社どうしがいっしょに何かするということは、ゲームを作るということだと思います。そういう意味ではお付き合い継続中です。
――つまり何かある、と。新たな展開を期待しつつ、最後に『まものろKAI!』を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
江田
『まものろ』はXbox 360版でプレイして実績解除して楽しんでいた側だったので、まさかこうして『まものろKAI!』として作り側になるとは思っていませんでした。プレイヤーとしての思いはたっぷり込めたつもりなので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。
池田
ゼロ年代は本当にグレフさんといっしょに走ってきた思い出があって、それがこうして2025年になってまた引き合わせてくれたのは、何だかとても感慨深いです。当時のアーケードおよびシューティングゲームを盛り上げるべく戦ってきた、グレフさんによる究極のNAOMIゲーです。当時のアーケードトップシューティングをぜひ味わってください。
丸山
PS3版からかなり時間が空いてしまって、ユーザーさんからも現行機で遊びたいという要望のメールはいただいていたのですが、現状グレフは移植作業ができる環境がなくて……。ゲームを新規で作るのと、ゲームを移植する仕事は違うものなので、そういう意味では今回シティコネクションさんが移植してくださることになってたいへんうれしく思います。
本当にお待たせしました。お待ちいただいただけの内容になっていると思いますので、ぜひプレイしてください。
吉川
ほかのタイトルでもそうなのですが、シティコネクションとしては過去のタイトルを現行機で遊べる環境を届けたいというのがつねにあります。『まものろ』は現行機で遊べない状態で、こうした過去のIPは時間とともに忘れられていく傾向にある中、もう一度その魅力を引き上げて今後につなげるようにしたいと思っています。『まものろKAI!』はまだ発売していませんが、いま届いている反響を聞くとすごく手応えはあるので、企画してよかったと思っています。『まものろKAI!』の発売を楽しみにお待ちください!
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