これまで『地球防衛軍』シリーズや『お姉チャンバラ』シリーズ、『ドリームクラブ』シリーズなど、数多くのタイトルを手掛けてきたディースリー・パブリッシャーの岡島信幸氏が、新作アクションゲーム『ゼンシンマシンガール』を発表した。対応ハードはNintendo Switch 2、プレイステーション5(PS5)、PC(Steam/Epic Games Store)、発売予定日は2025年10月23日となっている。
本作は、全身が機械でできたサイボーグ少女を主人公として、毎回構造が変わる高層ビルダンジョンに挑み、さまざまな武器を手に入れながら上層階に進むアクションシューティングゲーム。爽快感を重視し手軽に遊べる内容になっていながら、マップや獲得アイテムのランダム性、奥深い強化要素により、何度でも楽しめる、カジュアルかつやり込み要素を持つ作品となっているという。
本記事では、『ゼンシンマシンガール』のプロデューサーである岡島信幸氏へのインタビューをお届け。ディースリー・パブリッシャーの完全新規タイトルである本作がどのように開発されたのか、制作秘話や本作のコンセプトなどについて訊いた。
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岡島信幸 氏(おかじま のぶゆき)
ディースリー・パブリッシャーのエグゼクティブプロデューサー。これまでに『地球防衛軍』シリーズ、『お姉チャンバラ』シリーズ、『ドリームクラブ』シリーズ、『SIMPLEシリーズ』などを手掛けてきた。
10年以上温めていたアイデアをついに実現
──完全新作となる『ゼンシンマシンガール』について、まずはコンセプトから教えてください。
岡島
本作は“ローグライク要素のあるハクスラアクション”として開発しました。全身武器のヒロインが高層ビル内部という限られた空間で行う、激しい戦闘と破壊が主なテーマです。撃ちまくるTPS要素と斬りまくるアクション要素を備え、さらにフロアの構造が変化するローグライク要素が加味されています。
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──開発はユークスなのですね。
岡島
はい。『四角い地球に再びシカク現る!? デジボク地球防衛軍2 EARTH DEFENSE FORCE: WORLD BROTHERS』(2024年発売)に続いてユークスさんにお願いしました。
──ディースリー・パブリッシャーとしても新ジャンルへの挑戦という形になるかと思いますが、どのような経緯で開発が始まったのでしょう。
岡島
“サイボーグ化した仕込み武器の女性が戦うアクションゲーム”という構想自体は、かれこれ10年以上前からあったんです。
サイボーグや仕込み武器を持つキャラクターを題材にした作品はアニメや映画ではあったのですが、ゲームでは意外と少なかったことが理由のひとつです。余談ですが、私はキャラクターで言うと『サイボーグ009』のサイボーグ004とか、『クラッシャージョウ』のタロスが好きで、哀愁や浪漫を感じる派です。
これまでに何度か、商品として実際に制作しようと考えたこともあったのですが、実現にはいたりませんでした。ですが、ユークスのクリエイターさんと何度かお仕事をごいっしょしていくにつれて、「この方たちだったら、10年来温めていたこのアイデアでいいものを作ってくれるんじゃないか?」と考えるようになりました。本タイトルの骨子をご説明しつつ、制作を打診したのが始まりでしたね。
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──舞台設定は“昭和164年”ということで、作中には最新のガラケーや1990年代のギャルっぽい服装だったり、平成サイバーパンクとでもいうような雰囲気が漂っていますね。時代設定などはどのようにして決まったのですか?
岡島
敵がブラック企業となり、モーレツに働くことが美徳な病んだ世界観が定まっていった際に、1980年代や1990年代のテイストをスパイスとして散りばめていくことになりました。
当初の年代設定は“昭和100年”にしようかと話していたんですが、最近になって昭和164年に変えた経緯があります。「昭和100年だと、西暦に換算すると2025年で、今年じゃん! でも現実世界はぜんぜん違うじゃん!!」ということに気づきまして……。
──確かに(もっと早く気付けたのでは……?)。
岡島
ん? なにか? とにかく作品の中ではサイボーグ技術やバイオパンク的な技術が進化しているという設定になっていまして、ゲームの世界と現実とでは、世界観に大きな隔たりはあります。ですが、いまから50年後くらいならワンチャンあるかな……と考えた結果、「昭和は64年で終わったので、64に100を足して164年にしよう」という話になりました。ですから、昭和164年は一見すると半端な数字ですが、とても意味のある数字なんです。
──随所にディースリー・パブリッシャーらしい独特のテイストが感じられますね。どことなく『SIMPLEシリーズ』的な匂いが……。
岡島
はい。よい意味で、そういう多少ヤンチャな香りというか、我々でなければ作らなそうなゲームという印象を持っていただけたならうれしいことですね。もう一度言いますけど、よい意味で、ですよ。
──SIMPLEシリーズ版『ゼンシンマシンガール』も見てみたい気持ちもあります。ちなみにガジェットや舞台なども独特のテイストが醸し出されていますが、制作時に悩んだことや苦労したところはありましたか?
岡島
私は悩んだことはありません。悩んでいたらこんなゲームは作りませんよ(笑)。でも、開発現場のクリエイターさんはたいへんだったかもしれません。
一例としては、本作に登場する敵、“ワーキングデッド”たちは破壊されるときに、何かしらのひと言を言うのですが、そういったひと言にも1980年代から昭和の終わり、平成初期のテイストが練り込まれています。昭和や平成をオマージュするといっても、若いクリエイターさんの世代ではわからないことがたくさんあったと思います。がんばっていろいろとリサーチしてくれました。
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──昭和や平成初期ではブラック企業は珍しくなかった時代ですね。
岡島
そうですね。ブラック企業という言葉や概念がまだなかった時代だと思います。私もどちらかと言うと、残業は当たり前という風潮の残る時代に社会人になった世代です。
“巨大企業にサイボーグ女子高生が乗り込んで復讐する”という構図を完成させるためには、敵の巨大企業がブラック企業である、という設定は不可欠で、重要なピースになったと思います。復讐の理由付けとしてわかりやすいですよね。ブラック企業という言葉が存在したおかげです。
──本作の開発がブラック……ということはないですよね?
岡島
ないと思います(笑)。
──それはよかったです(笑)。そんな昭和感のある本作ですが、ゲーム内で“戦いの模様が生配信され、投げ銭で資金を得る”といったいまどきの要素を入れた理由はなぜなのですか?
岡島
これは、ユークスさんからのアイデアですね。「配信して投げ銭をもらい改造資金を稼ぐ」という構想は初期段階で存在したと思います。本作は、昭和っぽいのに変なところのテクノロジーは発展している、という設定ですので、ミスマッチ感があってすばらしいアイデアだと思っています。まあ、私のような配信世代じゃないおっさんにはない発想ですね。
──ユークスのクリエイターさんも率先してアイデアを出してくれているのですね。
岡島
もちろんです。私の仕事は担当プロデューサーですので、商品の方向性を整えたり、つじつま合わせを行いますが、クリエイティブなアイデアは持っていてもあまり言わないのが信条です。プロのクリエイターさんにアイデアを出していただき、汲み取って選択するのが役割ですから。
──なるほど。
岡島
先ほど出た昭和~平成初期の小ネタなどもそうですが、何度かプロジェクトを共にして、信頼していますし、かなり助けてもらっています。
キャラクターのモデルもアニメ調ではありますが、等身や動きかたなどはリアルテイストに近く、幅広いプレイヤーに受け入れられるようなラインを目指しています。ユークスさんといえば、筋骨隆々としたキャラクターが得意そうなイメージを私も持っていましたが、本作では非常に熱量高くかわいい主人公たちを作ってくれました。
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──確かにかわいらしいモデルですね。ちなみに本作には荒吐リョウコと南麻布アケミというふたりの主人公がいますが、選んだキャラクターによって、ストーリーやイベント、性能などに違いはあるのでしょうか。
岡島
どちらを選んでも性能差はありません。マシンガールは機械化されているものの、まだ完成形ではない状態で登場します。そのため、プレイヤーが強化改造することで性能が変化するようになっています。
ストーリーラインもほぼ同じような展開ですが、このふたりはかなり性格が違うのでサブキャラクターや敵との受け答えなど、会話の内容が異なるところがあります。このふたりの対比は、テレビアニメの『魔女っ子メグちゃん』(1974~1975年放送)のメグとノンに通じるものがあると私は感じています。
──残念ながらその作品をあまり知らず……。いつごろの作品でしょうか。
岡島
昭和ですよ。魔法少女アニメの礎であり金字塔を、ご存知ないと?
──いや~、さすがに……。私は平成8年生まれでして……。
岡島
若いなあ。それなら知らなくて当たり前ですね。ちょっと待ってください……。はい! いいですか。まずこれをご覧ください。(おもむろにPCを取り出す)。これが魔女っ娘メグです。そしてこれがノン。かなり見た目が違いますよね?
ふたりは性格も異なり、視聴者も明るいメグ派とクールなノン派で別れるわけですよ。それと同じで、本作『ゼンシンマシンガール』にも荒吐リョウコと南麻布アケミ、明るいギャルっぽい感じの子とクールでツンな感じの子で2タイプが不可欠だったんです!
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突如として昭和語りおじさんと化した岡島P。
──な、なるほど。非常によくわかりました。
『お姉チャンバラ』好きやアクションが苦手な方にも向けた作品
──本作は敵がゾンビのようだったり、女の子が武器を持って戦う設定から、『お姉チャンバラ』に似ていると感じる人もいるかと思いますが、プレイ感覚やゲーム性などはかなり違うものになるのでしょうか?
岡島
そうですね。たしかにサイボーグとはいえ女性が主人公ですし、テンポよくスピーディーなアクションというところは通じるところがあります。プレオーダー特典や初回特典に『お姉チャンバラ』の彩の戦闘服や咲の制服を用意しているのも、『お姉チャンバラ』を好きでいてくださる層にアピールしている面があります。
ですが、スタイリッシュに動きつつ敵を斬りまくってコンボを決め、爽快感を感じてもらう剣戟アクションの『お姉チャンバラ』とは異なり、本作『ゼンシンマシンガール』は、どちらかというとマシンガン等の銃撃を使用したTPSの戦闘がメインになると思います。もちろんチェーンソーやブレードを使用した近接戦も必要ですが、その比率は遊ぶ方のプレイスタイルによるものになるでしょう。
また、気軽にプレイしていただけるという面は共通ですけれど、マップやドロップアイテムについては運の要素も絡みワクワクする感じや、主人公のカスタマイズやボス戦、マップギミックなどの攻略性を重要視した作品に仕上げていく方向です。
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プレオーダー・初回特典の『お姉チャンバラ』彩の戦闘服と咲の制服。
──たしかに『お姉チャンバラ』と比べるとよりカジュアルな雰囲気を感じますね。
岡島
そうですね。レーティング的に『お姉チャンバラ』はCERO Zで、18歳未満の方に販売しないことが前提とされていますから。
──となると、過激な描写は抑え気味……といった感じなのでしょうか。
岡島
本作のレーティングはDです。17歳以上を対象とする表現がありますので、年齢区分なりの過激な描写が含まれています。描写の例としては、敵の欠損表現や、主人公のコスチュームの表現という部分ですね。
──主人公のコスチュームに関して、もっと詳しく聞いてもよろしいでしょうか。
岡島
もちろんです。主人公の外見について、変更可能な要素はコスチュームとアクセサリーがあります。ゲームを進めていけば、初期コスチュームである制服の色違いが開放されたりします。
先ほども出ましたが、プレオーダー特典などについてくる『お姉チャンバラ』の衣装のほか、いろんなコスチュームをDLC(ダウンロードコンテンツ)としてリリース予定ですので、そちらも楽しみにしていてください。また、昭和や平成の時代を感じさせるファッションアイテムをアクセサリーとして付けることができますよ。
──なるほど、発売が待ち遠しくなってきました。メインストーリー自体の想定クリアー時間は大体どれぐらいなのでしょうか。
岡島
初プレイで難易度がノーマルの場合は、1階から100階まで上がるのに10時間ぐらいかかるのでは……と考えています。ですがそこに至るまでは、武器や主人公たちを育成するため、実際はもっと掛かるかなと思います。1周に掛かる時間はもう少しコンパクトにした方がこの手のゲームとしてはいいかもしれませんが……。
──難易度設定はイージー、ノーマル、ハードが準備されておりますが、どういったところに違いがあるのでしょうか。
岡島
まだ調整中なのですが、難易度を変えても拾えるアイテムは大きく変わらず、敵の強さに変化があります。歯ごたえあるアクションを求める人は難しく、興味があるけどアクションが苦手という方も、強化改造と合わせて活用していただければ、エンディングまで行けるように調整しています。
──クリアー後のやり込み要素などはあったりするのでしょうか。
岡島
それは、まだ秘密……ですね。秘密と言うと「ある」と言っているようなものですが!(笑)
──秘密というのは載せちゃっても?
岡島
大丈夫です。「秘密」とだけなら……。
──それでは秘密で。ちなみにオンライン要素やマルチプレイ要素はないのでしょうか。
岡島
そちらはありません。ひとりでじっくり1日かけて楽しむというような遊びかたや、ビールを飲みながら、おつまみを食べながら気軽にプレイするような楽しみかたができるような、オフライン専用だからこそ楽しめるような作品になるようにしています。
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興味を持ってくれたユーザーを裏切らないゲームを目指す
──最後に『ゼンシンマシンガール』で実現したいこと、目指していることはなんでしょうか。
岡島
真面目な話で言いますと……。現時点では、2025年10月23日にユーザーの方が満足できるような作品を発売するために、関係者一同とともにがんばることです。とくに、この商品の発表を見たり、このインタビューを読んで興味を持ってくださった方の期待を裏切らないようにすることが、目指していることですね。
──なるほど、ゲームはもう完成しているのでしょうか。
岡島
当然まだです。何か……問題でも?
──いえいえ! 現在、最後の追い込みといったところで。……ちなみに岡島氏といえば『地球防衛軍』シリーズを思い浮かぶ方もいると思うのですが、そちらのシリーズの動きについては今後も期待していいのでしょうか?
岡島
あーダメダメ、今日は『ゼンシンマシンガール』のお話だけです。それ以外のことは言えません。当然、秘密です。
――秘密。
岡島
そうです。秘密です。
──そうなると、『ゼンシンマシンガール』のやり込み要素と同じく、動きが“ある”という話になってきますね。
岡島
あっ……そうか。では、無言。無言が答えです。
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無言をつらぬくプロデューサーとなった岡島P。まずは10月23日発売予定の『ゼンシンマシンガール』に注目だ!