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『ペルソナ2 罰』25周年。夢や理想への“諦め”を覚えてしまった歯がゆさ。シリーズ無二の“大人のジュブナイル”【今日は何の日?】

byギャルソン屋城

『ペルソナ2 罰』25周年。夢や理想への“諦め”を覚えてしまった歯がゆさ。シリーズ無二の“大人のジュブナイル”【今日は何の日?】

大人たちだからこそ描けるハードボイルドなストーリー

 2000年(平成12年)6月29日は、アトラスからプレイステーション(PS)用ソフト『ペルソナ2 罰』が発売された日。今年で25周年を迎えた

 『ペルソナ2 罰』は、現代日本の街を舞台に学校生活や友情、恋愛などの身近な出来事を体験しながら、同時に不可思議な噂や都市伝説などオカルティックな事件に立ち向かうジュブナイルRPG『
ペルソナ』シリーズの作品で、前年(1999年)6月24日に発売された『ペルソナ2 罪』の直接の続編となる。
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 2012年5月17日にはプレイステーション・ポータブル(PSP)でリメイク版が発売されており、本稿内のスクリーンショットはそのリメイク版のものを使用する。

 本作には、ほかの『ペルソナ』シリーズ作品にはない唯一の特徴がある。それは、メインキャラクターのほぼ全員が学生ではない、ということ。前作の主人公でもある周防達哉以外は皆社会人でもあり、主人公の舞耶23歳を始めほとんどが20代半ば~30代と、平均年齢も高い。学生の視点から話が展開していった『罪』に対し、『罰』は大人の視点から話が展開していくのだ。そういう意味でもシリーズ中において異質な作品ではある。
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 シナリオのテイストも全体的に落ち着いていて、ハードボイルドなドラマを観ているかのよう。シリーズの特徴でもあるていねいな“内面”の描写は本作でも行われており、夢や理想への“諦め”を覚えてしまった“大人の歯がゆさ”や、大人たちが大人であろうとする姿も描かれていたのが印象的だった。のちのシリーズ作品にも堂島遼太郎や佐倉惣治郎、長谷川善吉ら愛すべきオジサンたちが登場するが、不器用な大人たちを見ていると心が動かされる。筆者もオジサンと呼ばれる年齢なので、共感もあるのかもしれないが……。

 ストーリーは全体的には暗めではあるものの、伏線がしっかりと回収されていたり、『罪』で悲惨な目に遭ったキャラクターにも救いが用意されたりしているなど、読後感はかなりスッキリしている。とくに結末は“大人の物語”だからこその展開で、見応えあるものとなっている。また本作単体でも問題なく楽しめる構成にはなっているが、“答え合わせ”的な要素も多くできれば両作ともプレイしておきたいところだ。

 また、『
女神異聞録ペルソナ』のメインキャラクターでもあった南条圭(南条くん)か桐島英理子(エリー)を仲間にすることができるのも、シリーズファンにとっては大きなポイント。このふたりのどちらを仲間にするかもそうだが、プレイヤーの選択次第でストーリーが分岐するような構成も『ペルソナ』シリーズにおいては本作ならでは。
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 BGMも大人向けのムードで作られているので、それもシリーズファンにとっては新鮮に感じられるところだろう。なお、知る人ぞ知る『サトミタダシ薬局店のうた』はバージョン違いが収録されており、こちらも喜ばしい要素である。

 システム面では“噂システム”をはじめ、ほぼ『罪』のものが踏襲されている。とくに仕入れた噂を広めてそれを現実にするという“噂システム”はほかのシリーズ作品にはないもの。本作ではシナリオと加入メンバーが変化したり、マンサーチャー(人捜し)などのミニゲームができるようになったりと、バリエーションが増えている。
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 バトルも基本的には『罪』を踏襲している一方、ザコ戦では演出を省略できるオプションが加わった。そのおかげで、よりスムーズにゲームを進められるように(ただしボス戦は従来通り)。しかし難度は大幅に引き上げられており、その点でも“大人向けの”作品になったのかもしれない。もっとも、骨太の難度はアトラス作品の伝統でもあるので、やさしかった『罪』がイレギュラーで、もとに戻っただけなのかもしれないが。

 いつもと違う“大人のジュブナイル”が味わえる独特な雰囲気のストーリー、噂システムなど、『
ペルソナ3』以降の作品にはない要素が楽しめる唯一無二の作品となっている本作。ベルベットルームの主、イゴールの創造主であるフィレモンが登場するのも、現在のところ本作が最後となっていることを含め、シリーズファンにとっても見どころは多い。

 なお、リメイク版では、達也が裏でどんな行動をしてきたのかを描く新規シナリオも収録されている。プレイ環境と機会があればぜひプレイしてほしい。
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