『ダンガンロンパ』シリーズや『超探偵事件簿 レインコード』、『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』(以下、『ハンドレッドライン』)の生みの親として知られる小高和剛氏が、シナリオと監修を担当する新規タイトルが発表された。
DMM GAMESとタッグを組んで手掛ける新作の名は『終天教団』(しゅうてんきょうだん)。日本をベースにした宗教都市国家“終天教国”を舞台に、プレイヤーはジャンルの異なる5つのアドベンチャーゲームをプレイして、主人公である教祖を殺害した犯人を探すことになる。発売日は2025年9月5日予定で、Nintendo Switch、DMM GAMES 、Steamでリリースされる。
今回は、トゥーキョーゲームスの小高氏と本作のディレクターを務めた中澤工氏、DMM GAMESの稲垣順太プロデューサーにインタビューを実施。両社がタッグを組んだ経緯や、宗教をモチーフにした世界観とストーリー、1本で5つのアドベンチャーゲームが楽しめる挑戦的な施策についてうかがった。
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小高和剛氏(こだかかずたか)
トゥーキョーゲームスのディレクター/シナリオライター。ゲームの企画やシナリオ、小説やマンガの原作、アニメの監修など多岐にわたって活躍。代表作は『ダンガンロンパ』シリーズ、『超探偵事件簿 レインコード』、『ハンドレッドライン』など。文中は小高。
中澤 工氏(なかざわたくみ)
トゥーキョーゲームスのディレクター/シナリオライター。代表作は『Ever17』、『ルートダブル』、『ワールズエンドクラブ』など。『終天教団』ではディレクターを担当し、シナリオも手掛けている。文中は中澤。
稲垣順太氏(いながきじゅんた)
DMM GAMESのプロデューサー。パブリッシャーとして海外メーカーのゲームの国内展開に広く関わっているほか、『刀剣乱舞無双』ではパブリッシングや販売の部分を担当した。『終天教団』ではプロデューサーとして開発に携わる。文中は稲垣。
宗教という難しいテーマにも、DMM GAMESとのタッグだからこそ挑戦できた
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――ご出席いただいた皆さんの役割、これまでの代表作などをお聞かせください。
稲垣
私はプロデューサーを担当しています。これまでは、おもに海外のおもしろいタイトルを日本向けにローカライズしてきましたが、直近では『刀剣乱舞無双』のDMM GAMES側のプロデューサーとして携わっています。そこからローカライズだけではなく、『終天教団』のようなタイトルも担当させていただくようになりました。
――新規IPを担当するのは本作が初めてですか?
稲垣
はい。初めての作品になります。
――それは気合が入りますね。小高さんの本作での役割は?
小高
企画原案とシナリオ構成、一部シナリオを担当しています。ディレクションは中澤に任せて、前半にこうしたい、ああしたいというのを全部伝え、以降は基本的には任せつつ、中澤がちょっと困ったときにいろいろアドバイスをしながら、統括的に見ていました。ライターとしては、中澤から一部シナリオを直してほしいという命令があったときに、対応するみたいな感じで。
――トゥーキョーゲームスの中での立場と逆転していたと。
小高
そうですね。別のライターが担当したシナリオでも、手を入れてほしいところがあれば僕が直すこともありました。
――中澤さんはディレクターを担当されているそうですね。
中澤
今回はディレクターとシナリオ、全シナリオの最終的な調整、監修を担当しています。
――この後、詳しくお聞きしますが、本作はシナリオのボリュームがすごいとうかがっています。
中澤
そうですね。本作は5つのルートを収録しています。アドベンチャーゲーム5本分とまでは言いませんが、1本分のボリュームには収まらないぐらいのシナリオがありますし、ゲームシステムは個別に独立したものが入っているので、アドベンチャーゲームを1本作る以上の労力を費やしたタイトルになっています。
――本作は2025年9月5日に発売予定とのことですが、『ハンドレッドライン』(2025年4月24日発売)と開発時期が被っていたのでは?
小高
シナリオ制作の時期は被らないように調整していたのですが、結果的にマスターアップの時期は近くなってしまいました(苦笑)。
中澤
クオリティーアップを目指していろいろ修正などを行った結果、開発の後ろのほうでスケジュールが被ってしまって……。
――本作はDMM GAMESとトゥーキョーゲームスの初タッグとなりますが、どういった経緯でプロジェクトが始まったのでしょうか?
稲垣
スタートは、DMM GAMESとトゥーキョーゲームスさんで何かできないかと、小高さんたちと話し合ったところからです。打ち合わせをする中で、本作のプロットを拝見したところ、すごくおもしろくて。DMM GAMESにも小高さんのファンがたくさんいるので、彼らにもプロットを見てもらったところ反応がとてもよかったので、「ぜひいっしょにやらせてください」とお返事をしました。
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――小高さんたちは、ぜひこれでいきたいという気持ちでプロットをお見せしたのですか?
小高
どのような形にするかは別として、ドストレートなアドベンチャーゲームを作りたいという気持ちがありました。僕らがこれまでに手掛けてきたタイトルは、アドベンチャーゲームの裾野を広げるためにあえて“アドベンチャーゲーム+α”の形で考えてきたので。それもあってドストレートなアドベンチャーゲームを作りたかったのと、あとは宗教をモチーフにしたタイトルのアイデアがあったので、本作のプロットをお見せしました。アドベンチャーゲームは、企画書を見せるよりもプロットを読んでもらったほうが、本質的なおもしろさが伝わりやすいので。
――本作のプロットには、中澤さんも関わっていたのですか?
中澤
いえ、小高のほうで宗教というテーマと、シナリオが分岐したらどんなエピソードがあるかという全体的なプランができあがっていました。僕たちトゥーキョーゲームスのメンバーは、小高のプロットが完成した後に、こんなのがやりたいと見せられて、ビックリしたわけです。宗教という題材がなかなか尖っていましたし、ルートごとにゲームシステムが変わるなんて、思いついても作らないじゃないですか(笑)。だから本当に作るんだって。驚きはしましたが、本気で作るならおもしろいタイトルになるなと思いました。
小高
プロット自体は、組む相手がいなければ自分たちだけで作るか、くらいの温度感で用意してあったものでしたね。
中澤
当初はインディーゲームの規模で企画を考えていましたよね。
小高
そうだね。
――企画のストックは日ごろから貯めているものなのですか?
小高
いえ、もうゼロです。
一同 (笑)。
小高
たまたま打ち合わせのときにいいプロットがあったので。もともとは、『ハンドレッドライン』の前身となるタイトルのプロジェクトがストップしたときに時間ができて、『デスカムトゥルー』(2020年6月25日 発売)を考えている時期にストックしていたネタになります。
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――本作は完全新作になりますが、DMM GAMESとしては、新規IPにチャレンジしたいという思いがあったのですか?
稲垣
そうですね。小高さんたちから提案を受けたときはちょうどタイミングがよくて、新しいIPを手掛けてグループ全体で大きくしていきたいと考えていたので、「自社IPとして人気になってくれたらうれしいよね」というところからスタートしています。
先ほど、宗教をテーマにしているというお話しがありましたが、難しいテーマでもDMM GAMESだったら攻めてもいい風潮ってありませんか(笑)。正直にいうと、実現できるかどうかはギリギリの状況ではありましたが、プロットがおもしろかったので、チャレンジすることにしました。
小高
宗教といっても、本当の反社まではいっていないので。
一同 (笑)。
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――本当の反社はマズい(苦笑)。そのようなギリギリを攻めた、本作のコンセプトを教えてください。
中澤
小高のプロットを見る前に、つぎは宗教をテーマにやりたいという話がありました。大丈夫かなと思いましたが、実際にプロットを読んでみると、完全にオリジナルの宗教でしたし、その宗教の価値観を利用したストーリーや、ミステリアスな雰囲気を描きたいということでしたので、いけるかなと。それがコンセプトのひとつになっていて、あとは方向性の異なる直球なアドベンチャーゲームを5本揃えるということも作品の特徴になっています。
小高
物語の舞台が宗教国家なので、特殊な状況下にあるんですよ。常識が異なる環境を利用したストーリーがベースになっています。そのうえで、余計な要素は入れずに、ドストレートなアドベンチャーゲームを作っていますが、それだけだとパンチが足りないので、ルートごとにジャンルの異なる5本のアドベンチャーゲームを用意しました。
本作はストーリー上、5つのルートが必要ですが、5つとも同じシステムで作ってもつまらないなと。それで、アドベンチャーゲームのジャンルごと変えちゃえと。とはいえ、サスペンスでありミステリーである作品の根幹の部分、トゥーキョーゲームスのアクの強さは全編を通して感じられるようにしています。5つの中には恋愛アドベンチャーチックなルートもありますが、いわゆるギャルゲーのようになっていません。
中澤
作品の軸は終天教団の教祖が殺された殺人事件で、5つのルートはそれにまつわるストーリーになっています。5つのアドベンチャーゲームは雑多に混じっているのではなくて、1本のゲームの中でいろいろな見せかたがある、とイメージしてもらうのがいいかもしれません。
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――5つのルートは後ほど詳しくお聞きするとして、まずはストーリーや舞台から教えてください。
中澤
小高が考えた世界ですが、作品の舞台は終天教団の信者たちが暮らす小さな国になります。終天教団がどのような宗教かといいますと、人類の滅亡、世界の終焉を望んでいる、終末思想の宗教です。とはいえ、人類を根絶やしにしてやるとか、皆殺しにしてやるとか、そういった過激な思想は持っていません。小さな国の中で、世界が緩やかに終わっていくことをただ望んでいる平和主義者の集まりです。
国の考えでは暴力や殺人はとんでもないことで、信者たちは仲良く暮らしていましたが、そうじゃない考えの人たち、作中では異教徒と呼ばれていますが、そういった人たちは終天教団の考えを否定しています。過激になるとテロを起こすなど、最近は物騒になってきています。そんな中で、主人公である教祖が殺されるという、とんでもない事件が起こって物語が始まります。
――そこから犯人を探していくってというストーリーになるってことなんですね。
小高
冒頭のストーリーを簡単に説明すると、建国記念日の1月1日に空から教祖のバラバラ死体が降ってきます。死体を発見した5人の教団幹部たちは、教祖の遺体の一部を聖遺物としてそれぞれ持ち帰ります。幹部たちは誰が犯人なのか疑心暗鬼になりながら、それぞれが担う省庁の業務を続けますが、いろいろな陰謀が渦巻く中で、教祖は神の力で復活します。ただ、蘇った教祖は記憶を失っていたので、天使を名乗る自称・神の使いのヒメルとミコトルに協力してもらいながら、自分を殺した犯人を探すことになります。
中澤
蘇ったといっても、仮の復活みたいなものなので制限時間があって。制限時間が過ぎると本当に死んでしまうので、それまでに犯人を見つけなければいけません。なぜ犯人捜しをするのかと言うと、天使から、自分を殺した犯人に自供させれば本当の復活ができる、と教えられたからです。
――ストーリーはショッキングな内容ですが、デザインはポップなイメージになっているように感じました。どのような意図でデザインを考えたのですか?
小高
本作のデザイナーは、しまどりるを起用していますが、彼はうちのもうひとりのデザイナーの小松崎類よりも、ビビットなカラーや明るめのカラーを多用するのが特徴のひとつです。宗教をモチーフにしたときに、宗教のイメージのままデザインを考えてしまうと、おどろおどろしい雰囲気になってしまいますよね。でも、本作はあえてカラフルな街並みにすることで、宗教のイメージとのギャップを出したいという狙いもありました。しまどりるは背景デザインも得意なので、彼にお願いしています。
中澤
しまどりるのおかげで独特の雰囲気が出せたのかなと思います。現実にない雰囲気と言いますか、プレイしたときにふつうじゃない人たちが暮らす国だということは、ひと目見て感じてもらえるのではないでしょうか。
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――事前に本作のオープニングを見させていただきましたが、街の雰囲気はたしかに独特だなと感じました。
小高
しまどりるが起こしたデザインをもとに、協力会社のスタッフとディスカッションして開発していますが、イメージが固まるまでは時間がかかりましたね。
中澤
けっこう試行錯誤しましたね。ビビットな色合いと、ちょっとレトロな街並みのバランスを、どういう塩梅にしようかなと。レトロにし過ぎないように、でもあまりハイテクにし過ぎないように。色合いだけじゃなくて、街の中にへんな物を配置するなど、しまどりるがいろいろ工夫したところも、協力会社のスタッフに汲み取ってもらって背景を仕上げていきました。
――本作は、資料に書かれている“ハッピーニューエンド…よい終焉を”というキャッチコピーも印象的です。この言葉には、どのような意味があるのでしょうか?
中澤
作中では、“ハッピーニューイヤー”と同じ意味になります。「新年おめでとう」みたいなニュアンスで、終天教団の信者たちの新年の挨拶ですね。物語の時期が建国記念祭、現実世界の正月で新年のお祭りの最中なので、お祭りを祝う中での挨拶として使われています。新年の挨拶なのに、“エンド”というちょっと不吉な言葉が入っているのを疑問に思うかもしれませんが、終末に近づいたことをお祝いしています。
小高
作品の中では、世界の終わりに近づいていることをカウントダウンしています。時間が経てば経つほど世界の終焉に近づいていっているので、終天教団の信者たちにとってはおめでたいことなんですよね。
殺害された教祖とクセの強い容疑者の5人の教団幹部たち
――ここからはキャラクターについていろいろお聞きしたいと思います。まず主人公で教祖の下辺 零 (しもべ れい)ですが、性別は明らかになっていますか?
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中澤
女性ですが、ほとんどの人たちは教祖が女性であることを知りません。周囲に伝えていないので、「たぶん男性だろう」という認識なんですね。性別が明らかになっていないからこそ、展開していくストーリーもあります。当初は主人公の性別を隠す方針でしたが、明らかにしておいたほうがフェアなんじゃないかということで、シナリオを書く段階で女性であることを明かすことにしました。
稲垣
ただ、英語にするときにちょっとややこしくて(苦笑)。
――なるほど。年齢はいかがでしょう? 見た目はかなり若そうですが……。
中澤
主人公に限らず、登場人物は全体的に若いですね。
小高
年齢設定では、20代、30代のキャラクターが多いかな。
――終天教団は、若いメンバーが中心を担っていると。
小高
そうですね。登場人物の中には違う年代もいますけど。
――主人公は、記憶喪失なのも特徴的だと思います。
中澤
物語が始まったときに記憶喪失で、自分のことがわからないし、生前に何をしていたかも知りません。何も知らないまま、自分探しを行いながら犯人を探すことになるので、プレイヤーは主人公と同じ視点でストーリーを体験できるようになっています。
小高
主人公がふたりの天使から伝えられるのは、神様の力で特別に復活できたこと。そして、自分を殺した犯人を突き止めれば、教祖として復活できますよということだけです。主人公は終天教団のことも忘れているので、教団の非常識なルールを学び直しながら、終天教団の謎や自分が殺された理由、犯人を探すことになります。
――神様というのは、終天教団の神様なんですか?
中澤
う~~~~~~ん……。
小高
どうなんでしょうね(苦笑)。
中澤
いまの段階では神様としか言えませんが、言葉から連想するイメージを思い描いてください。
――ストーリーで明かさられるのを楽しみにしておきます。教祖の案内役として、ヒメルとミコトルが登場しますが、彼らは一般的なイメージの天使なのでしょうか?
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中澤
我々が天使と聞いて抱くイメージと同じです。天使と自称するキャラクターが突然現れたら、どう思いますか、と。その感覚と、主人公が抱く感覚はまったく同じなので。
小高
ふたりは胡散臭い感じで現れるので、主人公も信じていいのかどうかわからないまま、ほかに頼れるキャラクターがいないこともあって行動をともにします。天使と名乗っていますが、本当かどうかはわからない。不気味な存在ですが、主人公のサポートはしてくれるので、怪しいけど手を組まざる得ないような関係性ですね。
――主人公をやさしく導いてくれる?
中澤
やさしいかどうかはわかりません(笑)。
小高
少なくとも、犯人を探すという目的は一致しているので、主人公も協力するしかないんですよね。
中澤
ヒメルとミコトルは、わりと強引なところがありますね。強引だからこそ、主人公がゴールに向かっていけるのですが。
――続いて5人の幹部についても教えてください。法務省ルートの犬神 軋 (いぬがみ きしる)はどのようなキャラクターですか?
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中澤
犬神が最高幹部を務める法務省は、法を司る部署になります。問題が起こったときにジャッジするのが彼の役割なのですが、型破りな性格で して、じつは薬物中毒なんです(苦笑)。
――法務省の最高幹部なのに(笑)。
中澤
ただ、終天教団の国では合法ドラッグなので、違法ではないけど、何をしでかすかわからない。言っていることも奇天烈で、本当か冗談かわからない、掴みどころのないキャラクターです。作中では、主人公を振り回すポジションで登場しますね。
――続いて、丑寅 幽玄 (うしとら ゆうげん)は保健省の最高幹部とのことですが。
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中澤
丑寅は医療関係のトップで、性格は仲間思いの人情家です。5人の幹部の中でいちばんまともそうに見えますが、すごく神経質なところもあって、押しつけがましいというか、鬱陶しい一面もあります。
――科学省幹部の伊音 (いおん) テコは?
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中澤
科学省は街のテクノロジーを統括するポジションで、伊音はとにかく頭がいい大天才です。かつ発明家であっていろいろなものを作れるのですが、頭がよすぎるがゆえに周りを見下していて、協調性がまったくありません。自分がよかれと思ったことを勝手にどんどんやっちゃうタイプです。
――見た目は幼く見えますが……。
小高
年齢不詳だよね?
中澤
そうですね。若く見えますが、やっていることはものすごく老練です。あと、いちばんイヤなやつです(笑)。
――(笑)。文部省幹部の黒四館 仄(こくしかん ほのか) は?
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中澤
文部省は国の教育と情報を司る部署なのですが、黒四館はコミュニケーションを取らない、人と距離を置くタイプです。思慮深いことも言いますが、実際はうわべだけで、見るからに腹黒さがにじみ出ていて、公然の秘密としてつぎの教祖の座を狙っています。わりと油断のならないキャラクターです。誰も知らない情報を彼女だけが知っていることもあって、情報を武器にいろいろなことをするわけですね。
――地位を悪用していると。警備省幹部の伏蝶 (ふしちょう) まんじはどのようなキャラクターなのですか?
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中澤
警備省はわかりやすくて、警察のような治安維持の部署のトップです。
小高
警備省は、基本的に異教徒と戦います。
中澤
先ほどお伝えしたように、終天教団は暴力を嫌う平和主義者たちの集まりなので、基本的に傷害や殺人事件は起きないのですが、異教徒のような不穏な連中もいるので、そういったものを取り締まるのがおもな仕事になります。この国で唯一、法律で暴力が許可されていて、伏蝶自身も気性が荒くて口よりも先に手が出るタイプです。所属しているスタッフたちも荒っぽいメンバーが多いですね。
――宗教的にも暴力が許されていると。
小高
異教徒をつぶすためには、終天教団の一般人を巻き込んでしまっても仕方ないと考えています。
中澤
この国では、異教徒はかなり危険な存在です。話し合いが通じないうえに、放置しておくと仲間は洗脳されるし街は破壊されるしで、一刻も早く根絶やしにしないといけない。そのためには手段を選んでいられない、といった状況です。
小高
5人の幹部はみんな教祖のことが大好きなのですが、なぜか教祖が殺されてしまいます。
中澤
幹部はもちろん、街の信者たちも教祖が大好きなので、教祖が殺されることは本来ありえないのですが、なぜか教祖の殺人事件が起きてしまう。
小高
しかもバラバラ殺人事件。
――事件の容疑者は、5人の幹部なのですよね?
中澤
はい。一般的な信者は教祖と接する機会がほとんどないので、殺せることができたのは幹部の5人しかいないという。
――幹部どうしの関係性は?
中澤
めちゃくちゃ仲が悪いです(笑)。みんなプロフェッショナルなので、能力に関してはそれぞれ一目置いていますが、考えかたや思想は合いません。教祖がいるおかげでそれぞれの長所を活かして国を運営していましたが、教祖が殺されてからはみんなバラバラになってしまいました。
――天使や5人の幹部のほかにも、たくさんのキャラクターが登場するとうかがっています。
中澤
各ルートでは、教祖の殺人事件とは別の事件がそれぞれ起こるのですが、それらの事件に関連したキャラクターが登場します。
――なるほど。キャストは公表されていませんが、どのような形で発表していく予定なのか教えてください。
稲垣
本作は新規IPのタイトルなので、発売までに順番に紹介していく予定です。続報にご期待いただければと思いますが、映像などからある程度予想ができてしまうかもしれません(笑)。
ジャンルとシステムを変えることで新鮮な気持ちが楽しめる
――ゲームシステムについていろいろお聞きできればと思いますが、改めてルートごとにジャンルやシステムを変えた理由を教えてください。
小高
プロローグが終わった後、どの順番で5つのルートを進めるかは、プレイヤーが自由に選べるようにしています。各ルートのプレイ開始時に新鮮な気持ちで楽しんでもらえるよう個別に用意したかったので、ルートごとにジャンルやシステムを変更しました。とはいえ、ドストレートなアドベンチャーゲームを作るというコンセプトもあったので、ジャンルやシステムはアドベンチャーゲームの枠の中で変えるようにしています。
――なるほど。
小高
プレイする順番をプレイヤーが自由に選べるようにしたことで、生まれたよさもありました。本作にはたくさんの謎が散りばめられていて、明かされる謎はルートによって異なります。ですから、どの順番でプレイするかによって開示される謎の順番も変化し、プレイヤーごとにそれぞれ違った謎解きの体験ができるんですよ。
中澤
シナリオの内容自体は変わりませんが、情報を知った状態で体験するのと知らない状態で体験するのでは、同じシナリオでも印象が大きく変化すると思います。とあるルートをプレイしてある謎がわかっている状態で別のルートをプレイすると、「そういうことか」と気づくこともあったりして。そういった伏線をあちこちにたくさん用意しているのですが、組み合わせは5の5乗なので、3125通りの進めかたがありますね。
稲垣
僕は2回目のほうが楽しかったです。「あれはこういうことだったのか」と思い出しながらプレイできたので。
小高
選んだルートによっては、大事な情報を最初のほうに知ることもあって。
中澤
そうですね。どのルートでも、通常ならストーリーの終盤で明かされるような情報を出すようにしているので、プレイした方はおどろくかもしれません。でも、それはそれでちゃんと楽しめるような構成になっていて、誰もが自分だけの一度きりの体験ができます。
――遊んだ印象がプレイヤーによって大きく変わりそうですね。
小高
途中まで遊んだ感想は変わると思います。
中澤
各ルートのシナリオは同じなんですけど、事前に得ている知識によってプレイしたときの感想が大きく変わるので。
――当然ながら狙って作っているんですよね?
小高
もちろんです。
――ルートが複数あると、シナリオの制作がかなりたいへんだと思いますが……。
小高
めちゃくちゃ時間がかかったよね?(苦笑)。
中澤
かかりましたね。教祖殺しの事件に関しては、小高が細部まで設計して書いたプロットを踏まえたうえで、複数のライターで分担して5つのルートのシナリオを書き上げました。そこから僕が全体をチェックして、リンクさせる情報を追記していきました。たとえば、とあるルートで倒れていた看板は、別のルートをプレイすると倒れた理由がわかるとか。また、あるルートだと駅前で騒ぎが起きていて近づかないほうがいいと言われるのですが、別のルートでは騒ぎの現場に居合わせるとか……。このようなリンクもたくさん用意しています。
――ということは、同じ期間をループしながら謎を解いていくと……。
中澤
ひとつ言えるのは、選んだルートで起こった事件を解決できなかったときは、ルートを選び直して再挑戦してもらいます。そういう意味では、時間が巻き戻ってプレイすることになりますね。
小高
ストーリーのベースはオカルティックな宗教の話ですし、そもそも殺された主人公が神の力で生き返っているので、とんでもないこともあり得る世界だと思ってもらえたら。
中澤
超常的なことも起きたりします。どういったことが起こるかは、実際にプレイしてもらえるとわかると思います。
――超常的な力がトリックに使われていることもある?
中澤
超常的な現象がどんどん出てくる世界ですが、もちろんなんでもありの世界ではなくて、超常的な力もストーリーの根幹にしっかり関わるようになっています。殺人事件のトリックもフェアなロジックで作られていて、きちんと推理で解けます。
――そういった謎はすべて解明されるんですか?
中澤
はい。いろいろとわからなかったことは全部解明されます。
稲垣
モヤモヤが全部なくなったこともあって、2周目がより楽しくなりました(笑)。
――実際にプレイするのが楽しみです! では、各ルートのゲームジャンルやシステムについて教えてください。法務省からお願いします。
中澤
法務省はマーダーミステリー風の推理アドベンチャーになっています。
小高
主人公と犬神がとある殺人事件に巻き込まれて、犯人を探すことになります。
中澤
事件が起きた後、『ダンガンロンパ』シリーズの捜査パートのように、いろいろな場所を捜査して物証や証言を集めていきます。ただ調べたり、聞いたりしただけでは得られない情報もあって、入手した情報の中にキーワードが仕込まれていることもあります。これらのキーワードに、法務省ルートならではの“スナッピング”のシステムを使うと、情報を深堀りしてさらに調べたり、聞いたりできます。
こうして集めた情報をもとに法務省ルートで起こった事件の真犯人を特定するのですが、容疑者を一同に集めて犯人を探す会議の中で証拠を突きつけるだけではなくて、パズルのように手掛かりと手掛かりを組み合わせてそこから導き出した新たな真実を突きつけるといったこともします。パズル要素のある推理ゲームをイメージしてもらうといいかもしれません。
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小高
ちなみに、法務省ルートのシナリオは北山さん(※)が担当しているので、トリックがすごいですよ。
※小説家・推理作家の北山猛邦氏。『ニューダンガンロンパV3』や『レインコード』のトリック作りに協力しているほか、『ダンガンロンパ霧切』のノベライズを担当。中澤
トリックがきっちりと設計されていて、とんでもない真相が明らかになります。もちろんそれだけではなくて、法務省ルートの事件を解きながら、犬神から教祖殺しに関する情報を引き出していく展開も見どころです。犬神も教祖殺しの容疑者のひとりなので、法務省ルートではパートナーになりますが、疑いの目を持ちながら捜査を進めていく感じになりますね。どのルートも、シナリオは基本的に同じような設計になっていて、5つのルートをプレイすることで自分を殺した犯人に近づくことができます。
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――同時にふたつの事件を調査する二層構造になっているのですね。保健省ルートは?
中澤
保健省ルートは極限脱出アドベンチャーで、デスゲームに巻き込まれた主人公と丑寅が監禁された謎の迷宮から脱出することが目的になります。デスゲームには、いわゆるゲームマスターのポジションで、『ダンガンロンパ』シリーズのモノクマのようなキャラクターがいて、いろいろなお題を出してきます。「ここから脱出したければ、このゲームを解きなさい」といった感じで、提示されたゲームやルールの中で、主人公はほかのデスゲーム参加者と駆け引きを行っていきます。たとえば”数字当てゲーム”では、参加者全員にそれぞれ数字が割り当てられていて、数字がわからないまま自分の数字が相手よりも大きいかどうかを予想する、インディアンポーカーのようなゲームに挑みます。
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――保健省ルートは、デスゲームが実況されているような画面になっているのも印象的でした。
中澤
ご指摘の通り、デスゲームが実況されているのも保健省ルートの特徴です。どのようなデスゲームにしようかと考えたときに、担当ライターから実況したらおもしろいんじゃないかというアイデアが出てきて。小高に提案したところ、「おもしろい」と好感触だったので、実際に採用されています。誰が実況しているかはお伝えできませんが、ストーリーに絡んできます。
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――では、科学省ルートは?
中澤
科学省ルートはマルチ視点ザッピングノベルのシステムを採用していて、『428 〜封鎖された渋谷で〜』のように、複数の登場人物の視点から物語を描いています。数多くの分岐やフラグを用意していて、いろいろなバッドエンドを回避しながらエンディングを目指すことになります。複数の登場人物の視点から物語を描くにあたって、科学省ルートだけは主人公以外のキャラクターを操作することもありますね。
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――ちなみに、バッドエンドになる条件は?
中澤
選択肢を間違えるとバッドエンドになりますし、自分の行動だけではなくて、ほかのキャラクターの行動が影響することもあります。どうしても先に進めないときは、操作するキャラクターを変えて行動を変えてみると、突破できるかもしれません。たとえば、主人公は爆弾の存在を知らないので、そのままだと爆発に巻き込まれて死んでしまいます。でも、爆弾の存在を知っているキャラクターを操作して主人公と情報を共有させることで、主人公が爆死することを回避できる、といった感じです。
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小高
科学省ルートがいちばん長いよね?
中澤
長いですね。サウンドノベルというのもあるのですが、テキスト量が尋常じゃなくて。科学省ルートだけで、通常のアドベンチャーゲーム1本分のシナリオがあると思います。長くする気はなかったのですが、結果的に長くなってしまいました。
稲垣
シナリオは、当初の倍くらいの量がありますからね。
中澤
担当ライターに詳細なプロットを書いてもらった時に、長すぎたので短くしたんですよ。でも、実際にシナリオを書いてもらったら、また長くなっちゃいました(苦笑)。
――ザッピングシナリオだと量が増えますよね。文部省ルートはいかがでしょうか?
中澤
文部省ルートは“恋愛アドベンチャー(?)”ですね。
――恋愛に“?”がつくということは、ふつうの恋愛アドベンチャーではない?
中澤
小高のゲームでまともな恋愛をさせてくれるわけがない(苦笑)。
一同 (笑)。
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中澤
詳細はプレイしてみてのお楽しみではありますが、プレイヤーの体験としては、一般的な恋愛アドベンチャーをイメージしてもらっていいかなと思います。とある学園が舞台で、いろいろな場所を移動して攻略キャラクターを見つけて、その子と仲良くなって最後に告白するので。告白はリアルタイムの会話システムを採用していて、成功すると結ばれるのですが、3人のヒロインを攻略する必要があります。
――黒四館仄のほかに攻略できるキャラクターがいるのですか?
中澤
主人公は、学園で変装している黒四館を見つけ出し、告白を成功させることになるのですが、なぜか黒四館を名乗る女の子が3人登場するんですよ。主人公にひと目惚れした黒四館仄が主人公に毒薬を飲ませて学園での恋愛、作中では“学園ラブ”と呼んでいるんですけど、それを強制させます。3人の自称・黒四館は、本人とは顔も性格も違うのですが、3人の中から本物の黒四館仄を見つけ出さないといけないっていう。
解毒薬を入手するためにつき合わされている主人公は、女の子たちと恋愛したい気持ちなんてないのに、そもそも主人公も女なのに、自分の気落ちを押し隠して、表面上は3人のヒロインを真剣に追いかけることになります。しかも、相手に「あなたは黒四館仄なのか?」と聞いてはダメとか、いろいろめんどうなルールを守りながら仲良くならないといけないっていう。
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小高
言うなれば“サイコ学園ラブコメ”ですよね。
一同 (笑)。
小高
黒四館仄の一方的な愛がとにかく重くて、彼女は「私の運命の人なら私を当てられるはず」だと思っているんですよ。「当てられないならあなたは死ぬ。でも、あなたは死なないわ。大丈夫」みたいな。
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――サイコすぎる(苦笑)。主人公は生き残るために、3人のヒロインを攻略して誰が黒四館仄なのかを当てなければいけないと。
中澤
感覚的には、主人公はデスゲームをやらされているんですけど、黒四館仄としては大好きな男の子と学園生活が楽しめる恋愛アドベンチャーの気持ちなんですよ。
小高
でも、プレイしていくうちにヒロインたちのことがかわいく見えてくるようにはしています。
中澤
3人ともタイプが異なりますからね。
――“?”はつくけど、恋愛アドベンチャーとして楽しめると。最後の警備省ルートはどのようなジャンルやシステムになっているのでしょうか?
中澤
警備省ルートはステルスアクションホラーです。アクションといっても、敵と戦うわけではなくて、3Dのマップを探索して追手の殺人鬼ネフィリムから身を隠したり、逃げたりする感じです。
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小高
イメージとしては、『クロックタワー』(※)ですよね。アクションよりも、パズルとホラーの要素が強くなっています。
※巨大なハサミを持ったシザーマンから逃げて洋館からの脱出を目指すホラーアドベンチャー。1995年にスーパーファミコンで発売された。![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/41972/ac62e60838b1b1e1cb8aa10b540bb1d3c.png?x=767)
中澤
そうですね。ネフィリムから逃げながら、パズルを解いて先に進む内容になっています。
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小高
警備省ルートはいちばん時間がかかったよね。
中澤
開発に時間がかかることはわかっていたので、5つのルートの中で最初に着手したのですが、ゲーム性が固まるまで何ヵ月もかかりましたし、アクション部分はギリギリまで調整していました。フル3Dだったこともあり、予期せぬトラブルがいろいろと起こりましたし、バランス調整もたいへんでしたね。
稲垣
最初に着手してよかったですよね。これが最後だったらとんでもないことになっていました(苦笑)。
――アクションの難易度はいかがでしょう?
中澤
アクションゲームが苦手な人でもクリアーできる難易度にはなっていると思います。そもそも歯応えのあるゲームを作る気はなくて。これは小高がほかのタイトルでも伝えていることなのですが、我々が作るタイトルにおいてゲームシステムは、シナリオへの没入感を高めたり、感情移入してもらったりするための装置でしかありません。テキストで怪物が襲ってきました、逃げましょう、どこへ隠れますかと表現するよりも、実際にプレイヤーが操作して怪物から逃げて隠れたほうがドキドキしますよね? そのために実装しているので、そんなに難しくなくてもいいんです。もちろん、ゲームとしてある程度の歯応えは必要ですが、何度かプレイすればクリアーできるバランスに調整しています。
――あくまで演出のためにアクション要素を入れていると。通してプレイすると、クリアーまでにどれくらいの時間がかかる想定ですか?
稲垣
40~60時間くらいになると思います。
中澤
セリフの音声をちゃんと聞いて、考えながらプレイしたときの平均時間がそれくらいでした。つまる場所はプレイヤーによって違ってくると思います。アクションゲームが苦手な人は警備省ルートで時間がかかるでしょうし、俯瞰的な思考に慣れていない人は科学省ルートのザッピングシナリオに手間取ると思うので。ただ、いろいろな形でヒントを用意していますので、完全につまることはないかなと。
――かなりのボリュームで、遊びごたえがありそうですね。
稲垣
全体の文字量は、100万文字にギリギリで届きませんでした。そこまでいくなら、100万文字は超えてほしかったな(笑)。
――たしかに(笑)。ジャンルの異なるルートを、複数同時に開発していた時期もあったと思いますが、混乱することはなかったですか?
中澤
僕は大丈夫でしたが、開発会社のネイロさんのスタッフがたいへんだったと思います。アクションゲームを作りながらザッピングシナリオのサウンドノベルや恋愛アドベンチャーを作らないといけなかったので、頭の切り換えがたいへんだったんじゃないかな。UI(ユーザーインターフェース)もルートごとにちゃんと変えているので、ボリュームはさておき、5本分のゲームを作っただけの苦労はあったのではないでしょうか。UIの発注を行ったときは、「制作費を5本分請求していいんですか」と言われました(苦笑)。
――そうですよね。皆さんの苦労の甲斐があって、9月に発売されることも発表されています。公開可能な範囲で、発売までの展開を教えてください。
稲垣
今後の情報出しに関して言いますと、皆さんにどういったゲームなのかを知ってもらうことを大事にしたいと考えています。そのためにも、新しい情報を出すタイミングでネタバレに注意しつつ、丁寧に説明を行っていきたいですね。
――メインのターゲットはアドベンチャーゲームファンになるのですか?
小高
もちろんそうですが、せっかくDMM GAMESさんとタッグを組んだので、今後もIPを育てていろいろ展開していきたいですね。いまの時代、完全新作のアドベンチャーゲームがいきなりドンと売れることはないと思いますが、おもしろいゲームができたという自負はあるので、じわじわ売れてくれると信じています。ゆくゆくはDMM GAMESのほかのタイトルとコラボなども実施したいですね。
それから、DMM GAMESのタイトルに慣れ親しんでいるPCゲームやスマホゲームユーザーにも遊んでもらいたいですね。ソーシャルゲームは、ストーリーやシステムがアドベンチャーゲームに似ているところも多いので、抵抗はないんじゃないかなって。本作をきっかけに、本格的なアドベンチャーゲームを遊んでもらえるとうれしいです。
中澤
ジャンルとシステムの異なる5つのルートを収録しているので、アドベンチャーゲームのファンに遊んでもらいたいですが、最近のアドベンチャーゲームを遊んでいない方や、聞いたことあるけど遊んだことはない方も、ぜひ注目してください。5つのアドベンチャーゲームが楽しめるので、入門編にピッタリだと思います。この機会に、アドベンチャーゲームの可能性を体験してほしいです。
――せっかくなので、豪華版の特典についてもお聞きしたいです。特典のひとつがスノードームで、なぜと思いましたが、もちろん意味はあるんですよね?
稲垣
はい。最終的にすべてのルートをクリアーしていただけると、建国記念スノードームのよさに気づいてもらえるんじゃないかなと。ネタバレになるのでお話しできることはあまりないのですが、建国記念スノードームの中にはしまどりるさんがデザインしてくれたちびキャラが入っていますので注目してください。60ページのアートブックや高田雅史さんが手掛けた楽曲のうち、12曲を収録したミニサウンドトラックもついていますので、いっしょに楽しんでもらえたらうれしいです。
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――ほかに、早期予約特典もあるとのことですが……。
稲垣
終天教団のことを知っていただくために、前日譚のエピソードを作ってもらいました。伏蝶まんじが警備省の幹部になるまでのストーリーを描いた小説を予約者にプレゼントしますので、こちらもお楽しみに。
――最後に本作の発売を楽しみにしているファンや読者にメッセージをお願いします。
稲垣
小高さんがお話したように、『終天教団』は皆さんといっしょに、時間をかけて育てていきたいと考えています。私自身、2周目のプレイで新しい発見がありましたし、開発中に何度もシナリオを読んでいても、気づいていないことがあると思います。プレイするほど楽しめるタイトルになったと手応えを感じていますので、発売後はじっくり楽しんでいただいて、末永く応援してもらえるとうれしいです。
小高
このインタビューを見ているタイミングでは、まだ『ハンドレッドライン』をクリアーしていない人がいるかもしれません。終わっていない方は、頭の片隅に『終天教団』のことを入れつつ、発売までに『ハンドレッドライン』をクリアーしておくように(笑)。すでに終わっている方は、今後もDMM GAMESさんとの新しい取り組みに注目してください。
中澤
5つのルートをプレイする順番によって、本作への印象が変わるところはとくにこだわりました。3125通りの楽しみかたができるゲームですが、これは知らないから楽しめるのであって、ネタバレを食らうと楽しさが大きく損なわれてしまいます。プレイするときはインターネットやSNSを遮断して、攻略情報に頼らずに自力でクリアーを目指してください。そのほうが絶対におもしろいです。
小高
ただ、SNSなどに感想はどんどん発信してほしいですね。
中澤
遊んでいることはどんどんアピールしてください!