
- ジグソーパズルを解くような新機軸の味わい
- 魅力的な登場人物たち
- 得も言われぬ余韻を残すストーリー
古屋陽一がおすすめするゲーム
『未解決事件は終わらせないといけないから』
- プラットフォーム:Nintendo Switch、PC(Steam)
- 発売日:Switch版 2024年9月19日、Steam版 2024年1月18日
- 発売元:Switch版 PLAYISM、Steam版 Somi
- 価格:Switch版 990円[税込]、Staem版 800円[税込]
ユニークなゲームシステムの推理アドベンチャー
いちミステリファンとして、何ともキャッチーなタイトルに心惹かれて“タイトル買い”してしまった本作だが、プレイしてみてとても印象的だったのは、そのゲームシステムだった。
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真相究明を目指す女性警官が追いかけることになるのは、ある日公園で遊んでいた少女が行方不明になってしまい警察が捜査に乗り出したものの、未解決のままで終わってしまった12年前の事件。
女性警官は、元警部の清崎蒼から当時の事件の詳細を聞くのだが、なにぶん昔のことゆえ、清崎を介して明らかにされる関係者の証言は時系列もバラバラで、そもそも誰の発言かわからないものも多い。さらに、関係者はいずれもいわくありげで、しかも全員が嘘をついているというからタチが悪い。
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女性警官は、そんな証言をひとつひとつ分析しながら、事件を紐解いていくことになる。その推理のスタイルは、ブロック単位で表示される登場人物たちのかつての証言を読み解きながら、12年前の出来事をつなぎあわせていくというもので、それはまさにバラバラになっている証言の欠片をつなぎ合わせてジグソーパズルを完成させていくような感覚だ。
ピースを正しい場所に当てはめることで、さらに新たな証言が手に入り、時系列も明確になっていく。そして、徐々に事件の全貌が見えてくるようになっているのだ。新機軸のテキストアドベンチャーとして、すっかり堪能してしまった。
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『REPLICA(レプリカ)』に始まる3作が“罪悪感三部作”と称されていることからもわかる通り、Somi氏にとって罪悪感は大きなモチーフであるようで、それは本作でも変わらない。
一方で、2024年11月に実施されたインディーゲーム開発者向けカンファレンス“Indie Developers Conference 2024”での講演では、本作に対して “誰も傷つかない”、“誰も悪意がない”、“理由のないやさしさ”、“見返りのない善行”をシナリオに盛り込んだと語っている。それらがないまぜになった本作は、プレイ後に独特な余韻を残す一作と言えるだろう。
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パブリッシャーであるPLAYISMの公式サイトによると、本作はSomi氏が“「開発者としての歩みの締めくくりになるゲームを世に出す」との覚悟をもって制作に取り組んだ集大成ともいうべきタイトル”とのこと。Somi氏のつぎの歩みが気になるところだ。
Writer:古屋陽一
子どものころからのミステリ好きで、本格モノからサスペンス寄りのものまで幅広く愛する。犯人を当てられることは滅多にない。好きな探偵はエラリー・クイーン。