
テキストとグラフィック、サウンドが生む臨場感
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恐怖心を煽るように絶妙なタイミングで音楽や効果音が流れたり、ビジュアルをアニメーションにするなど、プレイヤーの臨場感をとことんまで盛り上げてくれるのが大きな特徴。画面いっぱいにビジュアルが表示され、しかも頻繁に差し替わることもあり、当時の一般的なアドベンチャーゲームの画面構成よりもかなりの迫力を感じることができた。『弟切草』はホラーテイストの作品だったため、恐ろしい体験としていまも記憶に刻まれている人が多いはずだ。
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選択肢に応じてその後の物語が大きく変化し、まったく異なる結末へと向かっていくところも多くのプレイヤーを惹きつけたのだろう。その後は多くのフォロワータイトルが他社から発売されていることからも、本作が当時いかに斬新だったか窺い知ることができる。現在ビジュアルノベルと呼ばれているジャンルの先駆け的作品と言ってよく、少なくとも多大な影響を与えているのは間違いない。
サウンドノベルはシリーズ化し、続く『かまいたちの夜』、『サウンドノベル 街 -machi-』(『街 ~運命の交差点~』)でさらなる人気と圧倒的な評価を獲得。後に発売された作品『428 ~封鎖された渋谷で~』も含め、これらは現在でも名作として語り継がれている。移植版も多く発売されているので遊んだことがある人はかなりいるんじゃないかな。
『弟切草』のシナリオを担当していたのは、江戸川乱歩賞作家で脚本家の長坂秀佳氏。本作だけでなく、『街』でもシナリオを担当していたので知っている人も多いだろう。
ある夏の夕暮れ、山道でクルマを走らせていた主人公と同級生の奈美は不意に事故を起こしてしまう。助けを求めるために弟切草の咲き乱れる洋館へと足を踏み入れるが、そこで恐ろしい体験をすることになる……というのが導入のストーリー。
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弟切草にまつわる悲劇を軸として話が進むのだが、遊ぶたびに新たな選択肢が現れ、異なる展開へと突入していく。周回を重ねるとちょっとコメディー寄りの選択肢なども追加されておもしろかった。10種類のエンディングを見るとデータ選択画面のしおりがピンク色へと変化。突如としてメタネタ全開のギャグやアダルトな雰囲気の選択肢が増え、思わず吹き出してしまったプレイヤーもいたはず。なお、“ピンクのしおり”は以降の作品でも定番になっており、多くのプレイヤーたちをドキドキさせてくれた。
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1999年4月10日には小説版の『弟切草』が角川ホラー文庫より発売。こちらは長坂秀佳氏本人が執筆している。ゲームと似たシチュエーションになっているが、ストーリーはオリジナル。2001年1月27日には、映画版が奥菜恵さん主演で公開された。