『ストリートファイター6』国内100万本突破記念。照ノ富士親方インタビュー「昔から格ゲーが好き、エドモンド本田を強く使いたい」

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『ストリートファイター6』国内100万本突破記念。照ノ富士親方インタビュー「昔から格ゲーが好き、エドモンド本田を強く使いたい」
 2025年3月5日~9日の期間、『ストリートファイター6』の世界最高峰の公式世界大会“CAPCOM CUP 11”と、カプコン公式チームリーグ戦の集大成“ストリートファイターリーグ: ワールドチャンピオンシップ 2024”が開催される。

 両大会の開催地は日本。『ストリートファイターII』シリーズの全国大会から30年の時を経て、大相撲の聖地“両国国技館”に世界中から代表選手が集結することになる。

 そして、
『ストリートファイター6』が国内100万本※を突破したことを記念して、照ノ富士親方(元横綱・照ノ富士)にインタビューを実施。結構なゲーマーな横綱の素顔が明らかになっていく。聞き手はファミ通グループ代表の林克彦。
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※2024年秋頃に取材を実施。 ※2024年12月20日時点の販売本数。(DL版販売実績を含む)[IMAGE]

照ノ富士春雄

元第73代横綱。1991年11月29日生まれ、モンゴル・ウランバートル市出身。伊勢ヶ濱部屋所属。

 CapcomChannelではインタビューの模様を配信中。コチラも合わせてチェックしてみよう。

『スト6』のエドモンド本田はよく相撲を研究して作られている、でも足技はダメ(笑)

——まずは照ノ富士親方のゲーム遍歴を教えてください。いつごろからゲームで遊んでいたのでしょうか?

照ノ富士親方
 モンゴルにいたころ、子どものころお父さんがゲームハードを持っていて、戦車ゲームなどで遊んでいました。お父さんがゲーム好きだったので、お父さんが遊んでいるのを見たり、親戚たちとゲームを楽しんだりして、それがゲームに触れた始まりですね。

——来日して尾車部屋で合宿があったときにも、ゲームで遊んでいたとお聞きしています。

照ノ富士親方
 その時期は、それこそ『ストリートファイター』シリーズにハマっていた記憶があります。たしか尾車部屋の天風関などといっしょに遊んでいたと思いますね。
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——『ストリートファイター6』以前から、『ストリートファイター』シリーズには触れていたんですね。

照ノ富士親方
 ゲームハードがモンゴルの家庭には普及していなくて「1時間いくらで遊べますよ」みたいな形でゲームをレンタルして遊べるお店がありました。そこでみんなで遊ぶことが多かったですね。お小遣いをもらったらそれを溜めて、またつぎの機会にレンタルしていました。

——最新作である『ストリートファイター6』に触れてみた感想を教えてください。

照ノ富士親方
 演出がカッコよくて、グラフィックもいいです。技を出すときの迫力がものすごく伝わってきますし、とにかく「楽しいな!」と思いました。また、チームバトルも好きではありますが、1対1の対戦ゲームは個人的に大好きです。すごく楽しめそうだと思いました。
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——『ストリートファイター6』には従来のクラシックタイプ操作と、簡単操作のモダンタイプ操作があります。今回、モダンタイプ操作で遊んでみていかがでしたか?

照ノ富士親方
 いちばん使いやすいです。昔は「これこれこうして!」と、いろいろなボタンを押さないといけなくて、技を出すために覚えるのがたいへんでした。それよりも簡単に出せるので、とてもよかったです。

——先ほど『ストリートファイター6』を遊ぶ様子を見させていただきましたが、お上手で驚きました。

照ノ富士親方
 いえ、うまくはないですね(苦笑)。ある程度はこなせるのですが、これ以上は上達しないと自分で思っています。このボタンでこの技が出て、こう操作すればこの技は出せる、みたいなところはひと通りできますが、もちろんプロ並の腕前があるわけではありません。ただ、センスはあるかもしれませんね(笑)。

——しかも選んでいたキャラクターは、エドモンド本田でした。最初から本田を使っていたのでしょうか?

照ノ富士親方
 もう最初から本田です。お相撲さんですし、本田の強いところを見せたいと思っています。ほかのキャラクターを使うよりも、本田でほかのキャラクターを倒したい気持ちがありますね。

 昔
『ストリートファイター』シリーズで遊んでいたときは、本田とディージェイ、そして春麗の3人をよく使っていました。とくにディージェイは大好きで、子どものころは身体も小さく、まだ自分がお相撲さんになるとも思ってなかったです。でも、本田は昔から選んでしまうキャラクターのひとりでした。
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ファミ通編集部・とよまんとプレイ。とよまんのアドバイスをすぐに吸収して対戦に活かしていた。
——『ストリートファイター6』は、昔遊んでいたときよりもリアルになっていると思います。照ノ富士親方から見て、本田の肉体はどう見えましたか?

照ノ富士親方
 こんな身体のお相撲さんがもし実在したら、“怖い”と思いました(笑)。もう、とても勝てるレベルではないなと。いままでこんな身体のお相撲さんが実在したのでしょうか(笑)。ただ、やはりカッコいいですよね。筋肉質で、身体が大きくてカッコいいです。
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——本田で対戦するときに心がけていることはありますか?

照ノ富士親方
 流れるような動きで、相手に何もさせない連発攻撃を仕掛けるようにしています。たとえば、かち上げからツッパリに移行して、最後の投げ技を決めるような。とにかく技を続けて出すように心がけていますが、うまくできるときとできないときがあります。なぜそこに差があるのかは、自分ではよくわからないのですが(笑)。

 あと、ガードが苦手です。もうガンガン攻めるタイプなので、本田を使ってもとにかく前に相手を押す。もうそれが、相撲の理想形でもあるので。

——ゲームの要素が、相撲に通じる部分もあるんでしょうか。

照ノ富士親方
 それこそ、かち上げ、ツッパリ、そして投げといった連携は実際の相撲でも使えると思います。そこはちゃんと考えて作っているんだなと感じられて。打撃系で前に出ながら相手を押していって、土俵際で相手を投げるような。開発陣はきっと相撲をちゃんと見ているんだな、と思いました。

 ただ、エドモンド本田は足技を使いますが、相撲ではダメです(笑)。けたぐり(※)とかいうレベルじゃなくて、ふつうに蹴ってますよね(笑)。相撲だったら、反則負けです!
※相撲の決まり手のひとつ。相手の足を蹴り、相手の手を手繰って倒す技。[IMAGE]
取材の時間いっぱいまで夢中でプレイしていた。
——今後も照ノ富士親方は『ストリートファイター6』を続けて遊びますか?

照ノ富士親方
 もちろんです。親戚の子などを呼んで、みんなで遊びたいですね。いまの自分に時間がないのが残念ですが、もし時間があるときがあればプレイしようと思います。

稽古の積み重ねれば、大一番で緊張しない

——昨今は『ストリートファイター6』なども含めて、eスポーツとして、ひとつの競技として世界中に浸透しています。大相撲の関取たちも、eスポーツ選手たちもここぞという“大一番”で、緊張はすると思います。照ノ富士親方はどのように緊張感をやわらげて、取組に臨んでいたのでしょうか?

照ノ富士親方
 うーん、自分は緊張しないんです。昔は確かに緊張していたと思いますが、ここ10年くらいは緊張した記憶がなくて。取組するにあたって、緊張ですとか相手への恐怖みたいなものは、感じていません。

——それはなぜですか? 稽古のおかげなのでしょうか。

照ノ富士親方
 自分なりに考えてみましたが、きっと自分の中でできる限りの準備をしてきたから、緊張しないんだと思います。「負けたらしゃあないな」と。負けたら相手は自分より稽古を積んできたわけでしょうし。勝てばそれだけ自分が稽古を積んだのだから当然だろうと。ですから勝ち負けにこだわっているのではなく、稽古を積み、いつも通りに取組に臨んでいるだけです。

 たとえば学校のテストを受けるとき、教科書に書かれていることをすべて覚えていれば、テストへの不安はないわけじゃないですか。ですが、教科書を読んでいない部分が多いとなると、どうすればいいのかわからず緊張・不安につながります。

 なので自分としては、どんな分野でも十分に稽古をしていないと、緊張してしまうんだと思います。
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——それを10年ほど感じていない、というのがすごいですね。

照ノ富士親方
 もちろん、負けたら悔しいですよ。悔しいですが、だからと言って結果が変わるわけではありません。また稽古を積んで、つぎに挑めばいいので。

——きっと学生や社会人、あらゆる立場の人が感心すると同時に「なるほど」と思ったのではないでしょうか。ちなみに伊勢ヶ濱部屋で、力士の皆さんで休憩時にゲームで遊んだりすることもあるのでしょうか?

照ノ富士親方
 部屋の中では、とくに熱海富士はゲームが大好きですね。熱海富士の部屋に何人か集まったりして遊んでいました。自分も、時間がいまよりも空いていたときは携帯のゲームで、関取衆といっしょに遊んでいたりしました。携帯のゲームはとくに、部屋のみんなに教えて、全員でチームを組んで戦ったりしてましたね。

——ゲームはもちろんおもしろいですが、コミュニケーションツールになるのもいいですよね。

照ノ富士親方
 オンラインで遠く離れた人とも仲良くなれるのは、とてもいいことだと思います。

“CAPCOM CUP 11”優勝賞金は夢があるね。eスポーツチームを作ろうかな

——『ストリートファイター6』の世界大会“CAPCOM CUP 11”が、2025年3月に両国国技館にて開催されます。相撲の聖地でもある両国国技館での開催について、どう感じていますか?

照ノ富士親方
 両国国技館はいまの自分を作り上げた場だと思うので、思い入れは数えきれないほどあります。その場所で、子どものときから遊んできた『ストリートファイター』シリーズが、世界大会が開催されるのは、とても縁を感じます。3月まで練習するので、出場できませんかね? 本田で出たいです(笑)。ちなみに優勝賞金っていくらくらいですか?

——100万ドル(約1億5000万円)ですね。

照ノ富士親方
 そんなにもらえるの? すげえな。夢があるね。若くてセンスのある子たちを集めてeスポーツのチームを作って優勝を目指そうかな。eスポーツチームを作ったモンゴルの知り合いがいるから興味があります。

——親方がeスポーツチームを作ったらかなり話題になりそうですね。最後に対戦をがんばっているプレイヤーや大会に臨む選手たちにメッセージをお願いします。

照ノ富士親方
 子どものときから、ゲームは自分に近しい存在でした。親からは「ゲームばっかりして!」とよく言われていました(笑)。それは、そういう時代だったというのもあると思います。いまの時代はeスポーツとして注目されていて、とても盛り上がりを感じます。スポーツのひとつとして成り立つ時代まで来ているわけです。

 単なる遊びだったゲームが、いまは仕事としてもできるようになりました。楽しいうえに、仕事にもなるのがすごいことだと思います。
『ストリートファイター』シリーズが世界中にもっと広がって、ひとつのスポーツとして楽しめる存在になるためには、選手たちが試合をどれだけ盛り上げられるかが重要だと思います。

 自分もできれば、両国国技館の場で試合を観戦したいと考えています。選手の皆さんも大会までに、稽古をたくさん積んでほしいです。
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