2024年は、『東方スペルカーニバル』や『魔導物語 フィアと不思議な学校』など、大きな話題を呼んだタイトルを発売したコンパイルハート。『ネプテューヌ』シリーズや『デス エンド リクエスト』シリーズなどの既存IPだけでなく、完全新作や初挑戦となるジャンルのゲーム制作にも意欲的に取り組んでいる。そんなコンパイルハートの2025年のタイトルラインアップは……? 新発表のタイトルを含め、各タイトルのプロデューサーに開発状況やその内容を訊いてみた!
また、コンパイルハートは新発表のタイトルのティザーサイトもオープン。詳しくはこちらの記事にてご確認を!
冨長直人(とみながなおと)
コンパイルハート取締役社長、エグゼクティブ・プロデューサー。コンパイル、カプコン、タイトー、Ubisoftなどのゲーム会社を経て2020年よりアイディアファクトリー、2023年にコンパイルハートの取締役社長に就任。ブランドやプロジェクトのコンセプト設計などを担う。
アオキヒロシ
コンパイルハート・プロデューサー。タイトーにて『サイキックフォース』シリーズや『ダライアスバースト』のディレクター・プロデューサーを担当。現在は、コンパイルハートで新作を鋭意制作中。
安井 光(やすいひかる)
コンパイルハート取締役。『ネプテューヌ』シリーズのプロデューサー・ディレクターを務める。ほかにも、2024年リリースの『魔導物語 フィアと不思議な学校』など、多数の作品を手掛けてきた。
2024年の振り返りと2025年のコンパイルハートの展開
――2024年は『東方スペルカーニバル』や『魔導物語 フィアと不思議な学校』などが発売されましたが、昨年を振り返ってのご感想などをお聞かせください。
冨長
2024年は『ネプテューヌ』や『Death end re;Quest(デス エンド リクエスト)』といった既存IPのリリースだけでなく、“東方Project”や“魔導物語”といった新しい取り組みで進めてきたタイトルのリリースが始まった年でした。引き続き意欲的に取り組んでいきたいと思っています。
――『東方スペルカーニバル』はシューティング要素が強く、王道のRPGを得意とするコンパイルハートの印象を大きく変えたのでないでしょうか?
冨長
ゲーム開発に大事な要素はチャレンジだと僕は考えています。『東方スペルカーニバル』では、新しいゲームシステムの実装に挑戦しました。現在コンパイルハートでは、どういったチャレンジができるかを意識して制作しています。『東方スペルカーニバル』だけでなく、『爆走次元ネプテューヌ VS巨神スライヌ』や『Death end re:Quest Code Z』、そして『魔導物語 フィアと不思議な学校』もコンセプトを意識し、プロジェクト単体だけでなく、その後も意識して取り組みました。
――『魔導物語 フィアと不思議な学校』は、旧コンパイルの『魔導物語』の正統派続編ということで、かなり注目を集めたタイトルでもあります。発売後のユーザーの反応などを見て、冨長さんはどのような感想をお持ちですか?
冨長
『魔導物語』に直接的、または間接的に関係がある数々のゲーム、さまざまな世界観、物語設定などなど、どの時期にどのゲームやメディアで触れたかで皆様の印象が違うという、稀有なIPであることもあって、反応は千差万別でした。長い時を経て本作が実現できたことも含め、概ね前向きな反応がいただけたと考えています。D4エンタープライズ様やセガ様、さまざまな個人の方、団体の方々の協力で、本作は実現できました。改めてお礼を申し上げたいと思います。
――2025年のコンパイルハートの展開は?
冨長
2025年は完全新作中心の年になる予定です。それぞれいろいろ挑戦しています。内容は担当プロデューサーがこの後お話しますが、先に僕のほうからひとつだけ。……先日、新作シューティングとして発表をしていたプロジェクトですが、D4エンタープライズ様とエムツー様の協力のもと進めています。そしてタイトル名が決まりました。『ザレスタ』です。『ザナック』や『アレスタ』にゆかりがある会社が集まって制作している“完全新作”です。まだ具体的なゲーム内容は明かせないのですが……。コンパイルハートがシューティングを、というだけでなく、システム的にも新しいチャレンジを試みていますので、ぜひご期待ください!
新発表は『スカーレッドサルベーション』と『魔法司書アリアナ ~七英傑の書~』
――ときに、アオキさんはいつごろ、どのような経緯でコンパイルハートへいらしたのでしょうか?
アオキ
2021年の秋から所属しています。以前タイトーに所属していたときに、冨長とともにゲーム制作をしていたことがあり、その縁でいまにいたります。
――そして、いよいよアオキさんが手掛ける新作が発表となりました。まずは『スカーレッドサルベーション』について軽くご紹介ください。
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『スカーレッドサルベーション』/プレイステーション5、プレイステーション4、PC(Steam)/2025年5月29日発売予定 各8580円[税込]/スペシャルエディション:12980円[税込]/デジタルデラックス版:10780円[税込]※プレイステーション4版はダウンロード版のみとなります。※Steam版はIdea Factory International, Inc.が発売元です。
アオキ
本作はコンパイルハート初の“死にゲー”という位置づけで制作されたゲームです。プレイヤーキャラクターに少し変わったギミックが施されていて、その魅力を強調させるべくTPSというジャンルを選択したのですが、自分自身がTPSファンでもありますので、そういった意味では楽しんで制作できたかなと思っています。動画も公開されているので、そちらもチェックしてみてください。
――RPG主体のコンパイルハートの中で、TPSやアクションを作ることになった経緯や、戸惑いなどはありませんでしたか?
アオキ
とくに戸惑いはありませんでした。自分だからこそ作れるゲームを制作することで、コンパイルハートに新風を巻き起こすのが、自分に課せられた役割だと考えているからです。
――“死にゲー“と銘打つと、かなり難しいゲームという印象が持たれますが……。とくに『カイザーナックル』の隠しボスを知る人は余計に……。
アオキ
あのときは“死にゲー”という言葉すらない時代でしたから、『カイザーナックル』は結果論として“死にゲー”みたいな難易度になってしまいました。しかし自分自身が“死にゲー”を意識して制作したゲームは正真正銘『スカーレッドサルベーション』が初めてになります。“死にゲー”好きの皆様には、どのくらい難しいか、ぜひチャレンジしてほしいですね。
――10種の武器の説明などを見ると、エイム(照準を敵に合わせる操作)が苦手という人でも、自動追尾機能がある武器や、広範囲に敵を射程に収めればいいタイプの武器などを選べば心配なさそう……?
アオキ
そうですね。当初はコンパイルハートのタイトルを好んで遊ぶお客様にとって、自分でエイムするゲームは難しい印象があるのではないか、オートロックオン機能を付けたほうがいいのではないかなどの意見が社内で出ましたが、そこはTPSファンとしてやりたくありませんでした。しかし、武器種の中にホーミング性能がある武器を付け加えることで、そういった方にも難なく遊んでいただける工夫は必要だろうと考え、狙い撃ちをしなくても戦える武器を用意しています。“死にゲー”らしい高難度のTPSだからこそ、操作性でつまずくようなことがないように遊びやすく調整していますので、ご安心を。
――SFもの、相対する軍用ロボットなどなど、ハードであり、画面写真などを見ても雰囲気がとてもカッコイイですよね。
アオキ
さきほども少し触れましたが、プレイヤーキャラクターに施したギミックを生かすにはSFの世界観が合うだろうと思い、全体的にシリアスな方向性に持っていきました。あとコンパイルハートのタイトルに多く使われているバストショットの会話シーンをあえて採用せず、ゲームのバックグラウンドでキャラクターの会話を流すようにし、ゲームを止めることなく細かい情報を拾うことができるようにしました。ファイルーズあいさん演じる主人公のウィロと、諏訪部順一さん演じる案内役の軍事AIの会話が、シリアスながらもボケとツッコミのようなノリがあって面白いので、そのへんもぜひ楽しんでいただけたらと思います。
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トライ&エラーをくり返しながら、ダンジョン脱出を目指す、コンパイルハート初の“死にげー”TPS。
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シナリオの展開は、基本的にステージ攻略中にリアルタイムで進んでいく。
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武器による攻撃だけでなく、ミラージュシフトという高速移動&回避、近接であるストライカー攻撃といったアクションも。
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10種類ある武器は、ステージ上で取得し強化していく。また装備武器は2種まで選択可能。
――もうひとつの新作発表『魔法司書アリアナ ~七英傑の書~』は、一転してミステリアスで、ファンタジー色が強そうですね。
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『魔法司書アリアナ ~七英傑の書~』/Nintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4/2025年夏発売予定 価格未定
アオキ
こちらはサイドビューアクションを独自の世界観で魅力的に描いたゲームで、こちらも『スカーレッドサルベーション』と同様に完全新作となります。主人公のアリアナを操作して“司書官魔法”という一風変わった魔法ギミックを使う新しいおもしろさを体感できる作品です。
――こちらもクリアーが難しいゲームになるなのでしょうか?
アオキ
いえ、こちらは“死にゲー”として制作しておりませんので、どなたにでも手軽に楽しんでいただけるゲームになる予定です。ゲーム性のほうも遊びやすい内容になるので、ぜひご期待ください。
――『魔法司書アリアナ ~七英傑の書~』の詳しいゲームの内容は、いつごろ明かされる予定になるのでしょうか?
アオキ
今年の春には、詳細な情報をお届けできると思っていますので、その続報が届くまでもう少しお待ちいただければと思います。
『届けろ!戦え!カラミティエンジェルズ』や『ザレスタ』の続報
――昨年は続報がなかった新作シューティングのタイトル名が決まったお話が先ほどありましたが、ほかにも続報がまだ出ておらず、気にしているユーザーもいるかと思います。そのあたりのお話をお聞きしたいのですが……。
冨長
昨年、延期を発表したタイトルはふたつありまして、ひとつが先ほどの新作シューティングの仮称だった『ザレスタ』。そして、もうひとつが『カラミティエンジェルズ(仮)』でした。こちらもタイトル名が決まりまして、『届けろ!戦え!カラミティエンジェルズ』という名前になります。リリースは、2025年の夏を予定しています。
――どちらも正式タイトルが決定し、内容のほうも期待が高まります。『届けろ!戦え!カラミティエンジェルズ』は、どんな魅力があるゲームになるのでしょうか?
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『届けろ!戦え!カラミティエンジェルズ』/Nintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4/2025年夏発売予定 価格未定
冨長
個性的なキャラクターが活躍するゲームは、ほかにもたくさんあると思いますが、キャラクター設定やストーリー上は勝手気ままなのに、バトルの際は主人公(プレイヤー)の言うことに従順、というものがほとんどだと思います。ゲームなのでプレイヤーのコマンド入力に沿うのはあたり前なのですが……。でも、本当にキャラクターゲームなら、バトルの最中だって個性的(わがまま)であるはずでは? 指示されたことよりも、やりたいことをするはず! 『届けろ!戦え!カラミティエンジェルズ』では “仲間のキャラクターが自分に正直で勝手気まま”というコンセプトをバトルシステムに実装する挑戦をしています。
登場するキャラクターたちは、たとえば魔法使いだけど殴りたいメイジ、仲間への治癒要請でも金勘定優先のヒーラー、タンクとしていつかは皆を守りたいけど、いつかはいまじゃない守護騎士、といった感じです。彼女たちはバトル中、自分らしく行動するので、主人公(プレイヤー)の指示なんておかまいなしです。モンスターが跋扈する世界で、人々の思いがこもった荷物を届ける仕事を担う配達ギルドに所属する主人公は、個性的な仲間たちが所属する配達チームのリーダーとして抜擢され、仲間に振り回されつつ戦い、荷物を届ける、というのが本作になります。配達に関しては、日本郵便様とのインタビューの中で教えていただいた用語や、よもやま話をヒントにゲーム内に織り込んでいます。
――なにやら賑やかなゲームになりそうで楽しみですね。一方『ザレスタ』ですが、こちらはエムツーさんと開発されているとお聞きしていましたが?
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『ザレスタ』/Nintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4/2025年発売予定 価格未定
冨長
旧コンパイルといえば、やっぱりシューティング。『ザナック』を管理されているD4エンタープライズ様と『アレスタ』を管理されている有限会社エムツー様と組み、シューティングゲーム開発で定評のあるエムツー様と心(ハート)を込め、続編ではなく完全新作として『ザレスタ』の開発を進めることになりました。
アオキ
冨長の言う通り『ザレスタ』はエムツーさんに開発をしていただいております。『ザナック』と『アレスタ』というコンパイルシューティング2作品からインスパイアされていますが、中身は移植やリメイクではなく完全な新作です。メインシステムが新しい試みになりますので、ぜひご期待を!
――コンパイルハートの看板タイトル『ネプテューヌ』の動きも知りたいです。
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『超女神信仰 ノワール 激神ブラックハート』/Nintendo Switch/2025年2月13日発売予定 5280円[税込]/『超女神エディション』:9680円[税込]/デジタルデラックス版:8580円[税込]
安井
今年は2月13日に『超女神信仰 ノワール 激神ブラックハート』のNintendo Switch版が発売となります。ノワールが主役の戦略性豊かなシミュレーションRPGの復活、ぜひ楽しみにしていてください。そして、2025年は『ネプテューヌ』の大きな節目となる15周年となりますので、ファンの皆様といっしょに『ネプテューヌ』を盛り上げる年にしたいと思っています。
――節目としてよさそうな15周年! 何か特別な試みなどはされるのでしょうか?
安井
はい、もちろんです! 『ネプテューヌ』は、15年にわたりファンの皆様の支えによって、20以上の多種多様なタイトルを発売することができました! また、アニメやミュージカル、グッズ化など多岐に展開するコンテンツとしても成長することができました。この場を借りてファンの皆様に感謝を申し上げます。そんな15周年という大きな節目に、ナンバリング最新作の発表ができるように、スタッフ一同がんばっております。発表を楽しみにお待ちください。
――『ネプテューヌのナンバリング新作』は、どのようなコンセプトで開発されているのでしょう?
安井
今後のネプテューヌの“飛躍”となるナンバリングタイトルを目指して開発してます!! 『ネプテューヌ』のナンバリングとしては、2015年発売の『新次元ゲイム ネプテューヌVⅡ(ビクトリィーツー)』以来の久しぶりのタイトルとなります。これまでスピンオフタイトルを開発していた期間に何もしていなかったわけではなく、平行してナンバリング最新作も進行させていました。これまでのスピンオフタイトルの開発ノウハウを活かして完成度を高めたいと思っています!
――その開発の進捗は……、いつごろ『ネプテューヌ』ファンが目にできそうですか?
安井
3~4年ほど前から、つなこさんにも参加していただき、『ネプテューヌ』の世界観を見直しながら過去のナンバリングタイトルと地続きのストーリー案を構築してきました。現在は本格的にゲーム開発に取りかかっている段階ですが、ネプテューヌたち四女神はもちろん登場しますし、新展開が盛りだくさんな内容になっております。今年のどこかでナンバリングタイトルの発表ができるようにがんばっていますので、正式な発表にご期待ください。