グラフィックの美しさに誰もが圧倒された
PCエンジンは、NECホームエレクトロニクスから発売された据え置き型ゲーム機。任天堂のファミリーコンピュータや、セガのセガ・マークIIIおよびマスターシステムなどがシェアを競い合う時期に参入してきたハードとなる。
比較的コンパクトなボディーが特徴的で、幅と奥行だけならCDケースほどの大きさ。あるいはプレイステーション5用ソフトのパッケージくらいのサイズ感と思ってもらえばいいだろう。実際に筆者は旅行の際に持っていったことが複数回あり、持ち運びにも便利だった。ゲームソフトはHuCARD(ヒューカード)と呼ばれるカードタイプで、まとめて持っていても嵩張らなかったのがありがたい。強いて言えばコントローラーのほうが相当嵩張る。
当時としてはかなりの性能を有しており、とりわけグラフィックの美しさはすさまじいものがあった。画面の半分くらいある巨大なキャラクターどうしが戦う『THE 功夫』のビジュアルインパクトは絶大で、カンフー映画の中から飛び出してきたようなリアルな映像にゲームファンの誰もが感嘆の声を漏らしたと思う。
筆者的には『ボンバーマン』、『スーパー桃太郎電鉄』、『モトローダー』、『プロテニス ワールドコート』、『フォーメーションサッカー』、『ファイヤープロレスリング』といったタイトルで回すのが仲間内の定番となっており、週末は夜遅くまで夢中になっていたのを覚えている。
もちろん、マルチプレイだけでなくひとり用のゲームも名作揃い。アーケードゲームの移植作のクオリティーの高さも評判で、前後編で発売された『R-TYPE』には感動した記憶がある。ナムコ(当時)作品は別格の出来栄えで、『スプラッターハウス』、『ワルキューレの伝説』、『源平討魔伝』、『妖怪道中記』、『ワンダーモモ』、『ドラゴンスピリット』など、話題作が目白押し。『ビックリマンワールド』や『PC原人』、『スーパースターソルジャー』などの定番タイトルのほか、『エイリアンクラッシュ』のようなピンボールゲームも高評価を得ていた。
また、PCエンジンは家庭用ゲーム機としては世界初となるCD-ROMを採用したことでも知られる。専用のCD-ROMドライブである“CD-ROM2(※)”を接続することで、当時主流だったロムカセットよりも圧倒的な大容量を使用できた。CDプレスによって量産するのも容易でコストを少なく抑えられるため、ゲームの定価が安くなるといううれしいメリットもある。