ネクソンが提供するスマートフォン/PC(Windows)向けMMORPG『HIT:The World』。2024年10月17日に、サービスインから半年を迎えた。
ハーフアニバーサリーを迎えて人気が落ち着くかと思いきやユーザー数は多く、盛り上がっているという噂。めまぐるしく新作タイトルが飛び交う昨今において、すばらしいことだ。
この記事はネクソン『HIT : The World』の提供でお送りします。
これは広告記事だが、いわゆる提灯記事を書くつもりはない。本当にユーザー数が多いかどうかを知りたくて、現役プレイヤーを直撃したところ、返答は「多いです」。まじですか。
話を伺ったのは、kiki2サーバー、kiki5サーバーそれぞれで名を馳せるギルド連合主・ふぃの氏とすなっちょ氏。長らくほかのMMORPGもプレイしてきており、本作でもプレイヤー側から盛り上げようと奮闘中だ(ちなみに、リアルの兄弟でもある)。
そんなおふたりから見て、『HIT : The World』は何がいいのか、どこを直してほしいのか。正直に話を伺った。本当に正直に。
ふぃの氏
『リネージュ2M』や『エターナル』など、多数のMMORPGを駆け抜けてきた。サービスインからYouTubeにて毎日『HIT:The World』の配信を続けており、動画数は公式クリエイターの中でもずば抜けている。プレイサーバーはkiki2。文中ではふぃの。
すなっちょ氏
『リネージュ2M』など、さまざまなMMORPGでヒール(悪役)ロールプレイを楽しんでいる。『HIT:The World』では傭兵団を組織しつつ、イキり、煽りPK推奨の大暴れをくり広げて対立構造を盛り上げる。ふぃの氏の弟であり、プレイサーバーはkiki5。文中ではすなっちょ。
意見を言ったらすぐに対応。この運営はやる気があるのでは
――『HIT:The World』を半年間プレイしてきて、感想を伺えますか。
ふぃの
この半年で自分がいちばん感じたことは、人の多いMMORPGはおもしろいなって。別タイトルもいろいろとプレイしてきましたけど、どうにも人が少ないような。MMORPGはやっぱり人ですね。
あまり褒め言葉にならないかもですが、人が多ければ微妙なタイトルでもおもしろく感じると思うんです。いや、『HIT:The World』が微妙と言ってるわけではまったくないんですけど。
自分はkiki2サーバーでやっていますけど、1番目のサーバーに入れなかったのが20年ぶりくらいなんですよ。(当時の)『ラグナロクオンライン』ではChaosサーバーにどうしても入れなくなったのでLokiサーバーを選んで、それくらいじゃないかな。
――やっぱり1番目のサーバーを狙いますよね。人が多いから。
ふぃの
それ以来の2番目のサーバー。その時点でまずいな、と最初は思ったんですけど、実際に入ってみると2サーバーでも人がすごく多かったんです。たとえば、PKの数は100件まで記録できるんですね。1日で100件を超えて記録しきれなくなりました。
――100回以上やられたんですか。
ふぃの
100人以上キルしました。
――やってる側かい。
ふぃの
最近やってたゲームは人が少なくて、ここまで活発なMMORPGはなかったので、強く印象に残りました。あとはライバル的存在がすごく強くて、前半はすごく楽しかったです。
――すなっちょさんはどのような感想を抱かれましたか。
すなっちょ
自分は否定的な意見から入ったんですよ。体験してみた段階ではテンポの悪いMMORPGだと感じて、これはやらないなーと。
1回目の座談会(※)では、好き勝手に言わせてもらいました。あまりにトップランカーを無敵にしすぎるとつまらんですよ、ですとか。よく言ってる“戦車と竹槍”のたとえを出して話したところ、ターゲットしていけば何とかなるシステムに変わったんです。今回の運営は本気度が違うんじゃないか、やってみる価値があるタイトルなんじゃないかと、興味をそそられました。
※座談会:サービス開始前、MMORPGの古参プレイヤーから意見をもらう座談会が開催されている。――運営側にちゃんと直す気があると伝わってきたわけですね。
すなっちょ
Pay to Winのゲームだと、お金を使ってくれるトップ層の声が大きくなるのはビジネス的に仕方がないと割り切っているほうでして。でも、そこにメスを入れてくる運営というのはおもしろい。
実際、その辺のパワーバランスは半年経ったいまでも維持されているんですよ。ちょっとした課金者でも重課金のトップランカーを大勢で囲めば何とか倒せる。これは先が長い、非常にいいゲームが実現しているんじゃないかという期待を、この半年ずっと感じ続けています。
サービス開始前はもちろんサービスイン後も、『HIT:The World』はオフラインイベント等を通じてユーザーの声を集めている。
――そんなおふたりに、ふだんは『HIT:The World』をどんな風に遊んでいるのか聞いてみたいのですが。
ふぃの
数分か数十分くらい時間ができたら日課をやったりとか、ギルド内の意見を聞いたり管理したりといった感じなんですけど、まとまった時間を取れるときは配信を始めちゃいますね。
――たしかに、配信頻度はかなり高いように思えます。
ふぃの
この半年間で193回配信してます。1日も休まず、長いときはもう7時間8時間とやってみたり。ずっと配信しながら雑談です。MMORPGのエンドコンテンツは雑談だと思っていますので。
ただし自分の場合、配信には不利なんですよ。娘がまだちっちゃくて元気すぎてかわいくて仕方がないわけですが、ゲーミングマイクが光っているから、娘がおもしろがっていじっちゃうんですよ。音量をいきなり小さくされたり、それが2日に1回くらいのペース。
――いい話。
ふぃの
そんな感じで基本的に配信と雑談をして過ごしてます。いまギルドにいる人も、視聴者さんがかなり多いです。昔は戦闘民族ばかり集めていたんですけど、いまは視聴者さんの集まりみたいな、穏やかな場になっています。
ふぃのさんのYouTubeチャンネルにはずらりと『HIT:The World』のサムネイルが並ぶ。
――なるほど。では、すなっちょさんのプレイスタイルは?
すなっちょ
週1回の攻城戦にフォーカスしています。日課は、たとえばシーズンパスは配信されたその日のうちにゴールドで全部完走しちゃうんですね。
ルチェオ商団のミッションも1日に1~2回、5秒くらいで置き直しするだけで終わります。あとは週明けだとダンジョン消化もするんですけど、ダンジョン消化自体もある程度絞っていて全部はやっていません。
――それとは別に、とにかく攻城戦に注力していると。
すなっちょ
フォーカスするにあたり、ふぃのと同じで人数は多ければ多いだけおもしろいのがMMORPGだと思っているので、とりあえずサーバーを平定したんです。
――三国志みたいなことを言いますね。
すなっちょ
サーバーのみんなで攻城戦をやりましょうと。うまいこと攻城戦を楽しめるバランスが自然に作られればいいんですけど、基本的にMMORPGの攻城戦は圧勝か惨敗の2択だと思っていまして。偶然敵と味方の戦力が拮抗する確率って1~2%程度だと思うんですよ。
そんな確率に賭けるよりは、人工的にでもバランスを作ってやろうと。まず連合単独でも城を取れるくらいまで自分のギルドを強くしたうえで、そこから「“全員に勝ち筋がある”ようにバランスを調整するから全員で参加しようぜ」とサーバー全体に呼びかけたんです。それでほかのギルドや連合も巻き込んで、いま全部で200人くらい集めました。
――しれっとサーバーを平定したという話が出ましたが、話し合いや政治の盤外戦術ですか?
すなっちょ
いえ、武力です。
――やっぱり三国志だった。
すなっちょ
最初は完全に敵対していた勢力もいましたし、そことはガチでやりあいました。勝ち筋を潰す形にして、この枠組みに参加するんだったら勝ち筋を残す、参加しないんだったら勝ち筋は潰すという環境を作りました。
――言葉だけ聞くとインテリな脅迫みたいですが、戦争をスポーツにしちゃったんですね。開発・運営側が用意するのを待つのではなく、プレイヤーたちでルール自体を作ってしまった。
すなっちょ
MMORPGはPK云々で感情が入るので、最後までなかなか納得できない人ももちろんいました。そういう人たちは、サーバー移動しちゃいましたね。
――それでも100人、200人が賛同するレベルのものを作ったわけですよね。それはたしかに、注力するにふさわしい。
ギルマスはサーバーを盛り上げる重要な役どころ
――せっかくの場なのでお聞きしたいんですが、ギルドマスター(ギルマス)ってどんな風にゲームをプレイしているんですか?
すなっちょ
ギルマスはギルドの中でいちばんわがままを言える立場だと思っています。自分がやりたいように遊べるのもギルマスなので、自分に合った遊び方ができるギルドが見つからなかったら、自分で作ればいい。
――なるほど。実際の運営の仕方なども伺えますか。
ふぃの
自分の場合は会社的な経営をしています。自分もすなっちょも経営者なので、最初に役割分担と人材配置をして、ギルマスの自分は外交役。対外的にはギルマスでないと、言ったことをひっくり返されるかもと思われてしまうので。
細かく事務的なものをまとめてくれる人は、別途配置しています。いろいろなMMORPGをやってきたので、そういう人材が全部揃っているんですよ。たとえば、秘書検定一級を持っている人にギルド運営をサポートしてもらっています。
――まさかのリアル秘書。
ふぃの
おかげで完璧にまとまった報告書がつぎつぎと手元に上がってくる。収支計算なんかも。それを見ながら、相談役の顧問と運営方針を決めています。そんな感じで分担してやっていかないと、負担がでかすぎるんです。疲れちゃいますよ。
すなっちょ
分業は間違いなく大事ですね。こっちも事務仕事はほぼやっていませんし。
ふぃの
すっごく優秀な人材がそろっていて、そのおかげでいままでやってこれたと思っています。そういうメンバーが引退してしまうと、一気に難しくなるんですけど。
――より人を惹きつけるギルドにしていかないと、人離れは来てしまうでしょうね。
ふぃの
惹きつけるという話に関連しますけど、MMORPGにはサーバー移動がつきものじゃないですか。だから、とにかく人が集まるサーバーを目指すという方針でやっています。成功したかどうかはまだ微妙だなと思っています。
だいたいは税金をすごく安くしたりするんですが、この件に関してはちょっと税金のシステムがあれなので……。
――なぜか税率設定した人がその税金を回収できず、つぎの城主に渡りますからね。
ふぃの
ほかにもいろいろなイベントをインターサーバーではなくこちらのサーバー内でやったりして、人が集まる場所を目指しています。ギルドの基礎はサーバーにあると思うんですよね。ギルド運営というよりサーバーを運営するつもりというか、マクロな目線を持つようにしています。
――サーバーを盛り上げないとギルドも盛り上がらないと。ふぃのさんの場合、配信活動にもかなり比重が置かれていますが。
ふぃの
配信を始めたのもギルド運営のためなんですよ。ボイスチャットが活発なほうがギルドは盛り上がると考えていたんですけど、ボイチャやる組とやらない組にメンバーが分かれ始めたんです。それなのにギルマスがボイチャやる組にいたらまずいですよね。
――やらない組に置いてけぼり感を感じてしまう人が出てきそう。
ふぃの
そうなんですよ。「どうせボイチャ組優先なんでしょ」みたいな空気が流れたり、(ギルド内の)テキストチャットに自分がボイチャでしゃべった内容への返事が来ちゃったりして、これはまずい。その流れを改善しようしたのが配信のきっかけでした。
要するにおしゃべりが好きなんですよ。ボイチャに来てマイクをオフにしているとちょっと目立ちますけど、配信なら見ているだけでいい。心理的ハードルが低くなりますよね。
――めちゃくちゃ参考になります。おふたりの話をまとめると、まさに外交なんですよね。それに加えて、自分がいるサーバーを盛り上げようという共通点がある。
ふぃの
返す返すも、それなんです。やっぱりサーバーが盛り上がらないとギルドは盛り上がらない。サーバー内外でもいろいろな人と話しますけど、盛り上げようとしているのはだいたいギルドマスターをやっている人ですね。
――ギルマスの皆さんの熱意には脱帽するばかりです。それが『HIT:The World』を半年続けてきた理由につながるのでしょうか。だから、しっかりと人が多い。
ふぃの
これはオフレコでお願いします。はくしんさん(日本運営ディレクター)がめっちゃがんばっているというのはあると思います。
――そこは素直にほめてあげましょうよ。
ふぃの
みんなから評価されていると思われると、今後に響きますので。
――スパルタですね。
ふぃの
公式生放送ではいつも虚ろな目で出演していますよね。その様子をすごくがんばっているんだと好意的に受け止められるくらいには、プレイヤーたちにも伝わっていると思います。
すなっちょ
そうだ。あと、言いにくいことではあるんですけど、ここ半年は競合タイトルが少なかったというのもあるかと。
ふぃの
正直、それはある。最近は競合タイトルも出てきて、そっちは運営がめちゃくちゃ優秀に感じます。攻城戦を信じられない時間帯にやっていたりしなければ、初動はもっとすごいことになっていたのでは。
すなっちょ
たしかに気にはなる。自分の遊び方としてはもともと覇権ギルドを運営するタイプじゃなくて、覇権にたてつく小悪党タイプだったんですよ。持論ですが、戦争やGvG系のコンテンツは敵対する相手がいるとゲーム自体のやる気も出ますし、小悪党側も勝ちたいなぁとモチベが上がるんです。そのコツは、負けている側が元気であること。
すなっちょ
戦う場所がある限り折れないという相手がいれば全体も盛り上がると考えていまして、だから自分は小悪党を続けてきています。自分が折れなかったらみんなも盛り上がる。どんなに叩かれようが、どこかに穴があれば突いてやるぞと。(前に遊んでいた)過去タイトルではそれが可能だったんですが、『HIT:The World』だとそういった小悪党の活躍の場がなかったんですよね。
――フィールドボスでPvPをしかけて独占を狙うとか、そういうこともシステム的に通常サーバーではできませんね。
すなっちょ
最初は害悪ギルドを立ち上げたんですが、なかなか活躍の場がない。なので方向転換。人工的にPvPを楽しむ場を作る方向に舵を切ったんです。これが200人くらい集まると実際におもしろいとわかったので、それが半年続いてきた原動力のひとつですね。とはいえ、これも現状のままだと楽しさを継続できるかは微妙なところですが。
――なるほど、また別の楽しみ方も考えていく、と。
すなっちょ
しょうもない煽りとPKは大歓迎。リアルではお仕事をまじめにがんばっているんだからゲームの中くらいはハメを外そうっていう方針で遊んできただけですけどね。これもゲームのいいところだと思います。
兄弟対決も辞さない覚悟。世紀末覇王みたいなふたりが求めたおもしろさ
――おふたりがご兄弟ということで訊いてみたいのですが、本作以外でもふたりでゲームをされてきましたか?
すなっちょ
かなりありますね。
ふぃの
格ゲーとか流行っていたころ、家でやるにはネット対戦もない時代ですから、お互いが対戦相手です。いっしょにゲーセンにも行きましたし。
――いまでは示し合わせて同じゲームをやる、ということはあるんでしょうか。
ふぃの
いまでもどころか、(オンラインゲームでは)なかったかな。それぞれ好きに始めたゲームを遊んでいる感じです。
すなっちょ
むしろ昔は意識的に避けてました。
ふぃの
えっ、そうなの?
すなっちょ
ふぃのは負けず嫌いで、熱くなりすぎるところがあるんです。万が一にもこちらから火をつけてしまったらまずい。
すなっちょ
ゲーム内のことでガチで怒る人がほかにけっこういたので、まさかふぃのがそうなっていたら嫌だなぁと。実際はそんなことはなかったわけですが。
ふぃの
あるわけがない(笑)。
すなっちょ
ゲームでは、自分とふぃのはいつ敵対しても一向にかまわないと考えてます。自分たちはある程度仲のいい兄弟ですし、ゲームで敵対したくらいでは壊れない信頼関係もしっかりある。兄弟だと知られているから、裏では組んでるんだろと思われることも多いんですけど。
――そういう敵対ロールプレイも、信頼があればできるでしょうしね。
すなっちょ
お互い組織を持っているから、その利益やビジョンのためにゲーム内で敵対するケースは本当にありえるんです。
ふぃの
兄弟だからってそれをタブーにしたらおもしろくない。
すなっちょ
ゲーム内でやりあった程度だったらお互いに恨みっこはなしですよ。
“ビジョン”が見えれば期待はより高まる
――ここからは半年を通じて『HIT:The World』に物申したいところを聞かせてください。
すなっちょ
せっかくのハーフアニバーサリーなのでネガティブなことを言うのはあれですけど、22時にボスコンテンツなどが集中しているのがちょっと。22時以外がヒマになんですよね。ボイスチャットで雑談するくらいしか。
これだと昼メインのプレイヤーがかわいそうじゃないですか。そういう人が活躍できるステージがあったり、24時間どこでイベントが起きるかわからないシステムだったり、それぞれのプレイスタイルに合わせた遊び方ができたら非常にうれしい。
――22時にしか遊ばないというのは寂しいですね。長時間だらだら遊ぶのもMMORPGのいいところですし。
すなっちょ
その22時に一発でやることが終わってしまうのも問題だと思うんですよ。5分休憩を挟んでまた集合、みたいなことはなく、一斉にボスなどが湧いて一斉に終わるので。
ふぃのなんかは、ピークタイム以外にかくれんぼイベントを開催しています。ユーザー側でゲームコンテンツとは関係ないところで退屈を紛らわす何かを作り出さないと、22時以外の過疎化が始まってしまうのではという危機感があります。
――逆にそのバランスが改善できて、時間帯ごとにピークがバラけられれば、遊ぶ要素が増えるのでは、ということでしょうか。
すなっちょ
これもふぃのの言葉を借りることになるんですが、MMORPGでは何を遊ぶかというゲーム性よりも誰と遊ぶのかが重要視されていると思います。気が合う人と遊べばどんなゲームもおもしろい。
正直、いまはまだギリギリ「暇だね」って言いながら仲間と麻雀やりつつ、ゲームは基本的に放置でほしいアイテムを掘るみたいな。1日1回画面を見れば済むとか、そういうレベルに陥ってしまう。ほとんど『HIT:The World』の画面を開かないというのはどうなんだろう、と。
ふぃの
そういうことはあるな。
すなっちょ
もともと『HIT:The World』でつながった仲間ですから、『HIT:The World』の話題で盛り上がりたいんですよ。何とかしてくれないかなと期待しつつ、自分たちでおもしろいことを探したいとと思ってます。
――意見を聞く開発運営なんだということは見えているわけですしね。期待はしたいところです。
すなっちょ
より具体的に言えば、22時以外に何をやることを想定してるのか、そこのビジョンまで見せてほしいんです。最近は運営のビジョンが見えなくて、うちの周辺は元気がなくなってきてる部分があるので。ぜひそこは何とか、どういうところで盛り上げようとしてるんだよって、ビジョンを見せてほしいです。
最近で言うと“討伐の戦場”が追加されてみんなで期待していたんですけど、あれは盛り上がり方も正直よくわからない。ひたすらモブを倒してポイントが表示されていく。それはわかるんですけど、3グループで競っているのによその点数が見えない。いま自分のグループが押しているのかピンチなのかわからないんですね。だから競ってる感覚は皆無。
――戦略を練りようがないですね。
すなっちょ
たとえば自分たちが3位だとわかれば「いまの戦略は間違ってる、このままじゃ負けるぞ」と戦略を変えられる。それで追い抜けたらこれが正解だったと盛り上がれる。逆に1位なら、どっかにまくられたらやばいぞ、と。
現状だとこういった盛り上がりがまったくなくて、終わったら順位が出るだけ。これはどこで盛り上がることを想定しているんだろうなと、どういう設計をしているんだろうと思いまして。
――勝っても「へー」で終わっちゃいますね。
すなっちょ
感動も何もなくて、30分間真っ暗闇でプレイする感じなんですよね。これがそういう設計だというならそれはそれで、どこで盛り上がる想定なのか開発側の意図を見せてほしいです。
こういう辛辣な言い方になるのも、きっと何とかしてくれるんじゃないかという期待が『HIT:The World』の運営さんにはあるからです。それができるゲームだと自分は信じている。プレイヤーとの距離が近い運営さんであるという点、そこが『HIT:The World』にハマった大きな理由ですから。
公式生放送などでも紹介された討伐の戦場だが、現状プレイヤーをのめり込ませるコンテンツにはなれていない模様。
――今後まだまだ競合タイトルが出てくる可能性は続くわけでして、そうしたライバルに『HIT:The World』が勝っていくためには何をすべきと考えますか。
ふぃの
まずは何より、イベントの拡充ですね。現状、薄すぎるんですよ。サービスインのころに何回かやっていた“結束の証明”もいつの間にかなかったことになっていますし、アップデート告知に新規イベントと書いてあっても累計課金額の報酬だったりして、これはイベントと呼んではだめだろうと。
同じネクソンさんのMMORPG過去作だと『FAITH』がありましたけど、こちらではちゃんとイベントらしいイベントをやっていたんですよね。『マビノギ』だって昔からいいイベントを考えられていたように思います。ここは一回、初心に返ってみてほしい。
いっそのこと、はくしんさんに似せたGMキャラクターを登場させて、みんなでボコボコにするとかいうイベントでも全然いいと思いますけどね。
――懐かしのMMORPGノリ。
日本運営ディレクターのはくしんさん。いろいろやらされがち。
いろいろやらされすぎて、テーマ曲『Let's HIT』のMVでは屋台ラーメン屋の店主を熱演。
ふぃの
そういうのでもいいと思うんですよ。動きが見えることが重要なので。イベントらしいイベントがないというのは、MMORPGとしてはかなりのマイナスになっていると思います。なので自分のほうでもかくれんぼイベントを開催したりいろいろ考えているんですが、他タイトルにあるようなアリーナ施設などがないので、PvP系のイベントが開催できないんですよね。バトルロイヤルイベントですとか。
――イベント開催の自由度が高くなることに期待したいですね。公式では経験値2倍イベントなども開催されていますが。
ふぃの
経験値2倍系は乱発できないのが弱点ですよね……。経験値ダンジョンにみんなでこもってしまうと、さらにやることがなくなってしまうという。
すなっちょ
イベントが終わった後にふだんの経験値量に戻ったのを見たときがきつい。モチベの急激な低下も怖いので、何らかのフォローは必要かなと。
新規勢や復帰勢を応援したい。運営もぜひ応援を!
――ここにいる人間はだいたい『リネージュ』や『ラグナロクオンライン』、『ファイナルファンタジーXI』といったMMORPG黎明期を知っている人ばかりなのでうなずくばかりですけど、最近の若い世代のゲーマーは感覚が違うのかもしれません。
すなっちょ
そうかもしれませんね。最近はゲームの中でも、リアルと同じく人に迷惑をかけないという常識を求められることが主流ですから。それもわかるんですけど、ゲームのシステム上、コンテンツ内でもPvPを非推奨し続けるのはちょっとどうかとも思います。
――PvPは日本だと嫌われがちですが、求めている層もけっこういるということは大事ですね。
すなっちょ
攻城戦でPKされたとしても、それで恨みを持ち越すということはさすがにないと思うんですよ。そんな感じで状況次第。コンテンツ内でルールに則って行うPvPやPKはいいのではないかと。フィールドで無差別に放置狩りをPKするのは迷惑行為と言われても仕方ないとは思いますが。それらをいっしょくたに排除するとなると、運営のビジョンへの不信感にもつながりかねません。
ふぃの
うちでも戦争中の中立に対するPKは止めています。理由のないPKはやめてほしいと。ただ、何となく気に入らないというのも理由としておかしくないとは思います。人によって基準は難しいでしょうけど。
うちは“サーバーを盛り上げる”という目標を掲げていますから。その観点から言うと、PKをやりすぎてしまうのはまずい。やりすぎなければいいスパイスです。
――極論を言えば、PKでいちばんまずいのは初心者狩りですよね。最初のPKをくらって、そこでゲームをやめる人も多いですし。
すなっちょ
いま示されているビジョンですと、とにかくPKをなくせば日本人にウケると考えているようにも見えてしまうんですよ。盆栽眺めて楽しんでいる人だけじゃないんですよ、と。期待感と新しい遊びができたことで半年は続けられてきましたが、そろそろつぎのビジョンを見せてほしいです。
『リネージュ2』のころは、大して強くないのに、詐欺ロールプレイとPKだけで名前を売ってました。最近のタイトルだと、ああいうロールプレイはできないなぁ。最近はPKすると、リアルで悪いことをしたくらいの勢いで責められたりすることがありますから。
――そういうことが可能な世界での冒険や生活を楽しむのがMMORPGというジャンルだと思うんですけどね。
ふぃの
生産職だけで生きていけるタイトルも最近はほとんどないですし、戦闘ロールしかないタイトルが主流ですから、ロールプレイはしづらい時代ですね。一回、うちのギルドメンバーがPvPエリアでPKしたら、配信中に凸られたことがありました。それはPvPエリアだからルールの内なのでは? という話でおしまいでしたけど。
新実装のコンテンツは期待十分。あとは運営スタンスが気になる
――思い出話も楽しいですが、今後のアップデートについての所感も伺いたいです。まず近日実装予定の“聖物占領戦”についてはどう思われますか。1on1のGvGで、MOBAのようなルールになるようですが。
“HIT:The World Meeting”東京会場で先行公開された、聖物占領戦の情報。
すなっちょ
話を聞いた感じ、めちゃくちゃ楽しみです。
ふぃの
むしろこれがコケたら、まずいというレベルじゃないですかね。
――たしかに、時期的にも大きな流れが決まるきっかけになるような気もします。公式的にも大会などで、しっかり盛り上げてくれると最高なんですが。
すなっちょ
自由に他ギルドと試合ができればすごくおもしろい。ギルド内で戦略を練っている時間自体も、かなり盛り上がるんですよ。できるだけ早めにお願いしたいなぁ。
ふぃの
自分がいちばん楽しみなのは、反王ケンラウヘルさんが実況してくれるかどうか。
ケンラウヘル そうですね(急に出てきましたが、取材には最初から同席していました)。S嶋さんか俺が実況するだろうなと考えています。どちらにしろ、盛り上げ隊として絶対に参加します!
ふぃの
実況があると仮定して、ケンラウヘルさんがやってくれるとしたら本当に楽しみ。
すなっちょ
それは俺も楽しみです。
ケンラウヘル 別タイトルの第0回攻城戦の地獄のような状況は、もはやいい思い出。
ふぃの
あのとき参加していましたけど、第0回を3回くらいやり直しましたよね。
ケンラウヘル そんなとんでもない状況でも、しっかりまとめていく姿勢を運営が見せてやること、できることを増やしていってくれればよし、それができなければ終息に向かっていってしまうということですよね、すなっちょさん!
すなっちょ
そうですね、ビジョンが見えれば何とかなるんですよ。この先のビジョンが見えない現状と、PKをとりあえずなくしたと思われている空気を壊していただきたい。
ふぃの
公式実況みたいなことをちゃんとやっているMMORPGは少ないので、強みになりますね。もし大会が開かれるなら、実況されている中でしっかり勝てれば最高だと思いますので、実況は外さないでいただきたいです。でも、ケンラウヘルさん以外の実況だったらやる気が出ません。
すなっちょ
もし公式でそういった大会について発表されたら、めちゃくちゃ発破をかけやすいですね、ギルド運営の視点でも。こういう構成にしたいから、このロールを育てておいてほしい、みたいな。
韓国で実施された聖物占領戦のイメージ画像(画像は開発中のものです)。
すなっちょ
やる気がある人はいっぱいいるんですよ。個々じゃ勝てないからチームバランスをよくしようとか、前衛職がまだまだ足りないからがんばろうとか、そういう声掛けをやりたいですね。楽しみですよ。
――こういうところから、新規のプレイヤーも増えてほしいです。もともとMMORPGは初心者や復帰勢に対するウェルカムの姿勢がすごいジャンルではありますが。
すなっちょ
うちのギルド関係の人がギルドを運営しつつ配信を始めて、新規の課金者を5人くらい入れたんですよ。一生懸命に配信をして、盛り上げようとしてくれています。その人は公式(※)にはなれなかったんですけど、そういった人へのフォローは何かできないかなあと。現金をあげてくれってわけじゃなくて、ちょっとしたゲーム内のアイテムでもいいんですけど。
※公式:HIT : The Worldクリエイターズ参加者のこと。『HIT:The World』では関連コンテンツを制作する人の支援活動を行っている。現在は登録を停止中。すなっちょ
ギルマスって、新規を獲得するタイプじゃないかもしれないけど、既存のプレイヤーを離さない側面を持っていると思うんです。しっかりギルドが運営されれば退屈しなくて、やめていくのを防止できる。
ふぃの
見えないインフルエンサーだよね。
すなっちょ
ほんとにそう。現金を配ってくれって話じゃなくて、“ギルド運営を支援します”というスタンスを見せてもらえたらうれしいですね。何らかのアイテムがもらえるんだったら、それがギルマスの懐に入るんじゃなくて、ほかの人にも配れたりですとか。そうなれば、「この運営のもとでギルマスやりたいな」と思いますよ。
ふぃの
いろいろなプレイヤーに、ここでギルドをやりたい、このゲームを遊びたいと思わせるような運営になってほしいですね。
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