ゲーミングネックスピーカー“SC-GNW10”レビュー。耳の痛さから卒業、ヘッドホンに負けない定位感でゲームに没入

byあぶ~山崎

ゲーミングネックスピーカー“SC-GNW10”レビュー。耳の痛さから卒業、ヘッドホンに負けない定位感でゲームに没入
 ヘッドホンでの長時間ゲームプレイで耳が痛くなるのはゲーマーあるあるだろう。

 昔から、この耳の痛み問題に悩んでいた筆者が前から気になっていたパナソニックのゲーミングネックスピーカー“SC-GNW10”に手を出してみた。

 2024年に入ってから購入し、使用から数ヵ月経ち、いまではすっかりネックスピーカーの虜になってしまったので、本稿ではその魅力を紹介していきたい。
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長時間装着しても疲れにくいし、音もバッチシ!

 まず、ネックスピーカーについて簡単に説明していく。ネックスピーカーとは、首にかけることで耳を塞がず、耳元で立体サラウンドを楽しめるスピーカーのこと。

 “SC-GNW10”は、2023年11月17日に発売されたパナソニックのブランド“SOUND SLAYER(サウンドスレイヤー)”の新モデル。有線タイプの“SC-GN01”をベースに、無線(ワイヤレス)化し、スピーカーの定格が34mmから38mmに、出力が計4Wから8Wへとボリュームアップ。マイクも自分の声だけ伝わるようゲーム音がカットされるなど性能が上がっている。ちなみにメーカー参考価格は36300円[税込]だ。
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 重量は約400g。持つと多少ずっしり感じるものの、人間工学に基づいた鎖骨と僧帽筋を避けつつ、装着した際に左右4点で重さを分散するような設計になっている。ふだん4~6時間ほど装着して作業していても、個人的には重さによるストレスはあまり感じない。

 また、駆動時間は約9時間、充電時間は約4時間かかる。ちなみに、付属の充電専用USBケーブルは20cmと非常に短いため、筆者は延長ケーブルを使用している。
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 音がちょうどよく聴こえるベストポジション(スイートスポット)は、4点の支えからなるボトム型の形状部分に鎖骨と僧帽筋をフィットさせるように置くこと。首にかけるというより、肩に乗せるようなイメージ。

 筆者的にスイートスポットの維持は簡単だが、前のめりな姿勢やポリエステルなど滑らかな素材の服を着ていると滑り落ちてしまうため、体勢には少し気を使う必要がある。
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 どうしても難しい場合は、首に掛けるように装着してもOK。音質が大幅に下がるようなことはない。ただ、掛けたことでフロントスピーカーが鎖骨付近の位置にきてしまうと、全体の音のバランスが崩れ、立体的に聴こえづらくなってしまうため要注意。

 とくに、リアスピーカーとの音量バランスに違和感を感じるようならPC専用ソフト“SOUNDSLAYER Engine”で調節しよう。
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 ほかにも後述するサウンドモードや、マイクのチャット音量、バスレベルなどの設定をいじることができる。筆者は低音が好きなのでバスレベルは最大にした。

 ちなみに、5分以上無音だとネックスピーカーの電源が自動で切れてしまうため、気になるならアプリ設定にある“オートオフ”をオフにしておくのがおすすめ。筆者としては10分や20分など電源の切れる間隔を、もう少し細かく設定できるようにしてほしいところ。

ヘッドホンにも負けない定位感で敵の足音をしっかりキャッチ

 続いては音質や音響について。“SC-GNW10”では、口径38mmのフロントスピーカー2基と、リアスピーカー2基の計4つが内蔵されていることで、前後左右から立体的に聴こえるのが特徴。テーマカラーの水色を基調としたLEDライトもカッコいい。
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 筆者の場合、『VALORANT』『オーバーウォッチ2』といったFPSゲームや、HoYoverse作品の『ゼンレスゾーンゼロ』『崩壊:スターレイル』などを遊ぶ機会が多いので、そこでの使用感をお伝えしていく。

 まず、FPSゲームで重要になってくるのは銃声や敵の足音。一瞬聞こえた音をきっかけに勝敗が左右されることも多いはず。そこでポイントになるのが定位感だ。簡単に説明すると、画面上で起こった音の発生位置が、スピーカー上でも再現されているのかというもの。
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 結論から言うと、ヘッドホンに負けない定位感で満足している。前後左右からの音がはっきりと聴こえるため、敵味方の位置が把握しやすく、どこから銃声がしたのかも感じられる。ただ、かすかな物音や混戦状態などさまざまな場所で同時に音がしたときはヘッドホンのほうが聞き取りやすい。

 ほかのゲームではBGMや環境音が包み込むように聴こえるため、奥行きが感じられゲームに没入することができた。

 音質に関して、中音から高音はクリアーかつ音のこもりもなくパワフルな一方、低音は物足りなく感じた。

 また、音漏れについては耳に焦点が当たるようになっているため、本質としてはスピーカーながらもできる限り抑えられている印象だ。
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 マイクは、AIボイスプロセッサーを搭載した高性能ノイズ&エコーキャンセリング技術により、ゲーム音や周囲の音を大きくカット。自分の声だけを相手に届けることができる。
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 実際に『VALORANT』で、銃声の大きいオーディン(マシンガン)をずっと撃ち続けても、ゲーム音を拾うことは一切なかった。マイクの音質は、ゲーミングマイクなどの性能と比べると落ちてしまうが、友人と通話するだけなら問題はないレベルだ。
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サウンドモードを駆使して『VALORANT』『ゼンゼロ』『ウマ娘』をプレイ

 サウンドモードではゲームジャンルに合わせた、さらに臨場感と迫力が楽しめる“RPGモード”、足音などが正確に聞き取りやすくなる“FPSモード”、人の声が聞き取りやすくなる“ボイス強調”のプリセットが用意されている。ほかにはふだん使い用としてシネマ、ミュージック、ステレオモードも。

 まず、
『VALORANT』では、サウンドモードのプリセット“FPSモード”を使用。遠くから聴こえてくる敵の走る音やジャンプ音など、ちょっとした音がより鮮明に感じられる。

 ただ、ヘッドホンでもよく耳を澄ましていないと聞き逃しそうな、瞬間的な音はこのモードでも確実に把握するのは難しかった。
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 設定画面ではほかの音域に比べ、中音域が強調される形になっている。ただ、通常でさえ大きな音がするオーディンの銃声が、FPSモードだとさらに大きく聴こえるのでボリュームをうまく調節する必要がある。
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 つぎに『ゼンレスゾーンゼロ』では“RPGモード”を使用して戦闘に挑戦。キャラクターのボイスと攻撃のヒット音とのバランスがちょうどいい。主人公の拠点である“六部街”のBGMや環境音なども、さらに心地よく聴こえるようになり没入感が増している。
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 設定画面では中音域だけが標準で、低音域と高音域が強調されている。ふだん私たちが耳にする音以外の音域にフォーカスが当たっているため、世界観に浸れるゲームならRPGモードが適している。選ぶモードに困ったらひとまずこれにしておけば安心だ。
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 最後に『ウマ娘 プリティーダービー』では“ボイス強調”を使用してライブを鑑賞してみた。楽器の音や歓声が小さくなり、ウマ娘たちのかわいい歌声がくっきりと目立つようになった。

 今回はライブパートでボイスを強調してみたものの、歓声含め会場全体の雰囲気を味わうなら音がパワフルに聴こえるFPSモードにするのもアリだろう。
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 設定画面では、低音域を下げつつ中音域を強調。高音域は標準になっている。ストーリーを楽しみたい方や、キャラクターのボイスをちゃんと聴きたい方におすすめだ。
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 ちなみに、ミュージックモードと比較すると強調の幅はほぼ真逆でRPGモード寄り。さらにそれよりも低音域と高音域が強調されているため、楽器の音を中心に聞こえるようになっている。
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 また、自分の環境に合わせたサウンドモードのカスタマイズも行える。3つまで枠があり、それぞれフロントとリアのEQ(イコライザー)をいじることが可能。すでに用意されているプリセットの設定は変更できない。
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ボタンや音量調節は左手ですべて完結

 操作にまつわるインターフェースについて説明しよう。まずはボタン部分から。電源ボタンをはじめ、サウンドモードの切り換えボタン、マイクミュートボタンがすべて本体左側に集約。左手だけで済むため操作が非常に簡単になっている。音量ボリュームも物理ダイヤル式。直感的に調節できて楽だ。
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 また、ボタンの位置にも注目。電源ボタンはすぐに触れられないよう上段。中段のサウンドモードは、押すといまどんなモードなのか教えてくれる音声ガイドが付いている。

 そして、友人とゲームをプレイしている際に、使用することの多いミュートボタンはさっと手が届きやすい下段に。ミュートにするとライトが青から赤へと変化するため、視覚での判別も可能だ。
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 接続方法はBluetoothではなく、送信機による2.4GHz帯の専用無線。これにより、低遅延を実現しつつ、ペアリング時のトラブルも回避している。重量は70gと非常に軽く、サイズも手のひらほど。
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 送信機はPC以外にNintendo Switchやプレイステーション5、プレイステーション4にも接続可能。さらに、弱い低音部分を補うため、別途サブウーファーを用意すれば送信機につなげることもできる。
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 耳に負担をかけず耳元でダイナミックなサラウンドを味わえるというのは、筆者みたいな没入感に浸りたいゲーマーにとって大変うれしい。実際に“SC-GNW10”を購入したことで、ヘッドホンをあまり使用しなくなり、耳の痛さを考えずに長時間プレイできるようになった。

 ただ、個人的に気になるのはやはりマイクの性能。ゲーム音を極力拾わないという高性能なノイズカットを持っているものの、マイクの音質という点において“SOUNDSLAYER Engine”にボイスEQやゲインなどの調節機能がないため淡白に感じられる。

 ネックスピーカーにおけるマイク性能の向上は難しいと思うが、より高音質になれば配信にも使えるようになるなど、さらに用途が広げられそうだ。

 値段はけっして安いとはいえない。ただ、悩みを抱えているヘッドホンやヘッドセットユーザー、音響に物足りなさを感じていた方などに新たな提案としてぜひおすすめしたい。

商品仕様・スペック

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※一部画像は“『SC-GNW10”』製品ページから引用。
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