『FF7 リバース』オケコンリポート。オーケストラの生演奏でドラマチックに旅路を追体験。意外なあの曲がオケコンアレンジ! バスターソード型のコンサートライトで音楽との一体感も

by杉原貴宏

更新
『FF7 リバース』オケコンリポート。オーケストラの生演奏でドラマチックに旅路を追体験。意外なあの曲がオケコンアレンジ! バスターソード型のコンサートライトで音楽との一体感も
 2024年9月7日、8日の両日、スクウェア・エニックスは神奈川県にあるパシフィコ横浜 国立大ホールにて“FINAL FANTASY VII REBIRTH Orchestra World Tour”の神奈川公演を開催した。

 本公演は、8月のロサンゼルス公演を皮切りにアジア、ヨーロッパ、アメリカなど、世界をまたにかけたワールドツアーとして開催。植松伸夫氏作曲によるテーマソング
『No Promises to Keep』を始め、『ファイナルファンタジーVII リバース』に使われていた名曲の数々がオーケストラで生演奏されるコンサート。巨大スクリーンにはゲームの名場面も映し出され、『FFVII リバース』を追体験できる内容にもなっている。

 指揮は“Distant Worlds: music from FINAL FANTASY”など、スクウェア・エニックスのオーケストラコンサートではおなじみのアーニー・ロス氏。演奏は東京フィルハーモニー交響楽団。

 本稿では、9月7日の神奈川公演の模様をリポートする。
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『クイーンズ・ブラッド』『ルーファウス歓迎式典』などさまざまなジャンルの曲がオーケストラアレンジ。『忠犬スタンプ』も壮大な楽曲に!

 1曲目はゲームのオープニングと同様、いきなり『片翼の天使』のフレーズで気分が一気に高揚する『The Unknown Journey Continues』。コーラスも美しく、途中から『生命の流れ』や『FFVII』のメインテーマなども盛り込まれ、『FFVII』の世界に引き込まれる。
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 アーニー・ロス氏(上写真)の挨拶に続く2曲目の
『FFVII REBIRTH Opening』は、クラウドとザックスにまつわる楽曲をメドレーにしたもの。木管や弦楽器の存在感が際立ち、コーラスも美しい曲。
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 3曲目は
『FFVIIメインテーマ Battle Edit』。疾走感のあるバトル曲にアレンジされたメインテーマを聴くと、本格的な冒険やバトルが始まるグラスランドを思い出される。
 
 4曲目と5曲目はさまざまなロケーション曲をメドレーに。草原が広がるグラスランド(
『からっぽの空 -ミッドガルエリア-』も)、砂漠が広がるコレル地域、鬱蒼とした森が広がるゴンガガなど、バリエーション豊かなロケーションに合わせ曲のテイストも変わり、それぞれにスケール感のあるオーケストラアレンジ。ゲームの流れを反芻しながら聴くことができた。

 6曲目は
『クイーンズ・ブラッド』。ピアノで大人な雰囲気から一転、ジャズっぽくビッグバンド風になる『クイーンズ・ブラッド』はオーケストラアレンジでさらにスケール感もアップ。

 なお、本コンサートツアーの物販ではバスターソード型の“コンサートライト”が実戦投入(新発売)。この
『クイーンズ・ブラッド』の演奏時は、刀身部が赤と青に光るように制御され、音楽と観客との一体感も味わえるよう演出になっていたのが印象的。

 7曲目は
『忠犬スタンプ REBIRTH メドレー』。忠犬スタンプ関連の楽曲は『FFVII リメイク』と『FFVII リバース』のサウンドトラックではボーナスディスクに収録されていたが、本ツアーではメドレーになり、堂々の7曲目に演奏。しかも、歌はコーラスとなりスケール感も超絶アップ。筆者個人的には本コンサートいちばんのサプライズだった。「バウワウワウ バウワウワウ」

 8曲目は
『ルーファウス歓迎式典 -新社長の歌-』。『FFVII リバース』前半のハイライトとも言えるルーファウス歓迎式典はゲーム内でも前半の見どころのひとつ。ブラスバンド風のアレンジでスケールもある曲だが、神羅を称えるコーラスも美しく、観客もリズムに合わせてコンサートライトを振るなどノリノリで、このときばかりはみんなでルーファウスの社長就任を祝福。

 そこから一転してリゾート気分を味わえる
『太陽の海岸 -コスタ・デル・ソル-』の後、10曲目は『ヘリガンナーカスタム』。印象的なメロディーをさまざまな音色でくり返し、そのリフレインでぞくぞくさせてくれるボス曲だ。

 続く
『終わりゆく世界 メドレー』、『星降る峡谷 -コスモキャニオン-』で第一部は終了。『星降る峡谷 -コスモキャニオン-』では、オーケストラの上を星が輝いているかのようなライティング演出もあり、ホール全体がコスモキャニオンになったかのような空気感を味わえた。

『LOVELESS 組曲』はオペラや歌劇を鑑賞したようなスケール感

 約20分の休憩を挟んで始まった第二部は、『Welcome Dance -ハダカノココロ-』で筋肉スタート。オーケストラで奏でられるダンス曲で、ボーカルも重厚なコーラスに。スクリーンに映し出されるディオ園長の筋肉の迫力も満点で、そのポージングにユフィならずともノックアウト。

 続く14曲目は
『ウェルカム・トゥ・ゴールドソーサー』。テーマパークらしいファンファーレのようなイントロからおなじみのゴールドソーサーのメロディにつながっていき、楽しい雰囲気が会場を包み、“コンサートライト バスターソード”を思い思いに振るオーディエンスが印象的だった。
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 ゴールドソーサーと言えば古典叙事詩
『LOVELESS』を原作にした舞台。15曲目はその中から浜渦正志氏が作曲した『LOVELESS 組曲 -女神の贈り物-』が演奏。作中で古典的な作品の舞台として描かれる『LOVELESS』の組曲は、オペラや歌劇のようにドラマチックな展開を見せ、スケール感も段違い。それがオーケストラ演奏でさらに臨場感ある仕上がりにもなっていた。

 16曲目はこちらもゴールドソーサーの舞台で披露されるテーマソング
『No Promises to Keep』の『LOVELESS Ver.』。多彩が楽器で奏でられるオーケストラアレンジの『No Promises to Keep LOVELESS Ver.』は、ローレン・オルレッドさんの歌唱バージョンとはまた違ったエモさ。後半の盛り上がりにはグッとくるものが……。

 続く17曲目はヴィンセントがフィーチャーされた
『ガリアンビースト』。『No Promises to Keep LOVELESS Ver.』から一転、コーラスとブラスが迫力満点の怪しげなバトル曲となっている。

 コンサートも終盤の18曲目は
『J-E-N-O-V-A LIFE 交響曲』。『エアリスのテーマ』のメロディーからスタートし、『J-E-N-O-V-A』へとつながる『J-E-N-O-V-A LIFE 交響曲』は、おなじみのメロディーが多彩に奏でられ、コーラスも加わってこれでもかというくらいドラマチックに演奏。ゲームでも胸アツなシーンが怒濤のように展開されたところだけに。観客の“コンサートライト バスターソード”を振る手にもこの日いちばん力が入ったように感じられた。

 ラスト19曲目は
『リバース=セフィロス 交響曲』という、ゲーム終盤でのセフィロスとの死闘が思い出される交響曲。ゲームでも終盤のバトル曲、ということもあってその盛り上がりは言うまでもなく(だが、不気味な静けさを感じる緩急もあり)、満を持しての曲の後半に聞こえてくる『片翼の天使』のコーラスでクライマックス感も最高潮に。圧巻のエンディングを迎えて演奏が終わると会場からは万雷の拍手がしばらく鳴り止まなかった。
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アンコールはセフィロス戦の『片翼の天使』、そして『エアリスのテーマ』……『FFVII リバース』の追体験が完結

 アンコール1曲目は『片翼の天使 -再誕- メドレー』。美しいコーラスの出だしから、一拍おいて『片翼の天使』のイントロがスタート。『リバース=セフィロス 交響曲』でまだまだセフィロス成分を欲している観客の心を見透かしているかのようなセットリストに、会場の温度が上がったのでは!? と感じたのは気のせいではないはず……。

 そして本コンサート最後の演奏となるアンコール2曲目は
『エアリスのテーマ -星に帰る- メドレー』。賛美歌のような美しくも儚げなコーラスと、慈愛に満ちた演奏でエアリスのテーマが奏でられると、コンサートが終わる寂しさも相まって何とも切ない気持ちに。『FFVII リバース』のコンサートの最後を飾るに相応しい選曲、アレンジに仕上がっていた。

 休憩を挟んで2時間余りにおよんだ本コンサート。演奏と映像、会場内を照らすライティング演出、さらにはバスターソード型コンサートライトによる一体感(多少の戸惑いも)なども感じられ、これまで以上にエンタメ色の強いコンサートになっていたのが印象的。

 どの曲も聴きどころたっぷりのアレンジになっていて参加した人も大満足だったはず。コロナ禍を経て、コンサートが開催されることにも感謝。
『FFVII リバース』にはまだまだたくさんの楽曲があるので、セットリストを変えたオーケストラコンサート、もしくはブラスバンドのように編成を変えてそれ用にセットリストを組んだコンサートも見てみたい! という勝手な願望を記しつつ、リポートを終えさせていただく。

 なお、9月8日のパシフィコ横浜でのコンサートの模様を収録した音楽CD
『FINAL FANTASY VII REBIRTH Orchestra World Tour LIVE 2024.09.08』が2024年11月6日に発売されることが決定している。気になる人はこちらもぜひ聴いてみてほしい。

【イベント概要】

FINAL FANTASY VII REBIRTH Orchestra World Tour
日時: 9月7日(土) 開場17:00/開演18:00
場所: パシフィコ横浜 国立大ホール
指揮: アーニー・ロス
演奏: 東京フィルハーモニー交響楽団
主催: キョードー東京
協力: スクウェア・エニックス
企画制作・招聘:キョードー東京

【セットリスト】

<第一部>
M01 The Unknown Journey Continues
編曲:島翔太朗
M02 FFVII REBIRTH Opening
編曲:島翔太朗
M03 FFVIIメインテーマ Battle Edit
編曲:島翔太朗
M04 広がる世界 -グラスランド~ジュノン~コレル山-
編曲:中川峻彰
M05 星を巡る旅 -コレル砂漠~ゴンガガ~コスモ~ニブル-
編曲:葛西竜之介
M06 クイーンズ・ブラッド
編曲:とくさしけんご
M07 忠犬スタンプ REBIRTH メドレー
編曲:とくさしけんご
M08 ルーファウス歓迎式典 -新社長の歌-
編曲:とくさしけんご
M09 太陽の海岸 -コスタ・デル・ソル-
編曲:葛西竜之介
M10 ヘリガンナーカスタム
編曲:古川亮
M11 終わりゆく世界 メドレー
編曲:宮野幸子
M12 星降る峡谷 -コスモキャニオン-
編曲:中川峻彰

<第二部>
M13 Welcome Dance -ハダカノココロ-
編曲:とくさしけんご
M14 ウェルカム・トゥ・ゴールドソーサー
編曲:古川亮
M15 LOVELESS 組曲 -女神の贈り物-
編曲:宮野幸子
M16 No Promises to Keep LOVELESS Ver.
編曲:佐藤泰将
M17 ガリアンビースト
編曲:伊藤翼
M18 J-E-N-O-V-A LIFE 交響曲
編曲:森悠也
M19 リバース=セフィロス 交響曲
編曲:宮野幸子

Enc.1 片翼の天使 -再誕- メドレー
編曲:森悠也
Enc.2 エアリスのテーマ -星に帰る- メドレー
編曲:中川峻彰

写真撮影:星野麻美
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