『シャドウ・オブ・ザ・ダムド: ヘラ リマスタード』は令和の世に降り立った“不適切にもほどがあるゲーム”!? 三上真司・須田剛一による地獄×ロケンロールな対談企画【gamescom 2024】

byででお

『シャドウ・オブ・ザ・ダムド: ヘラ リマスタード』は令和の世に降り立った“不適切にもほどがあるゲーム”!? 三上真司・須田剛一による地獄×ロケンロールな対談企画【gamescom 2024】
 2024年8月21日~24日の4日間、ヨーロッパ最大級のゲームイベントgamescom 2024がドイツ・ケルンにて開催。

 NetEase Gamesは、2024年10月31日に発売するNintendo Switch、プレイステーション5(PS5)、プレイステーション4(PS4)、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Steam)向けソフト『
シャドウ・オブ・ザ・ダムド: ヘラ リマスタード』を出展した。会場で試遊したのち、本作のエグゼクティブディレクターである須田剛一氏と、オリジナル版のプロデューサーを務めた三上真司氏へインタビューを行った。そのロケンロールな内容をお届けする。
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『シャドウ・オブ・ザ・ダムド: ヘラ リマスタード』のブース。

三上真司氏みかみしんじ

ゲームデザイナー。『バイオハザード』や『GOD HAND』、『サイコブレイク』など数多くのヒット作を⼿掛けた。Tango Gameworksを退社したのち、株式会社カムイを設⽴。(⽂中は三上)

須田剛一すだごういち

『シャドウ・オブ・ザ・ダムド: ヘラ リマスタード』エグゼクティブディレクター。グラスホッパー・マニファクチュア代表取締役社長。(文中は須田)

不適切にもほどがある本作。令和の世にリマスター化するのは簡単じゃない

――まずは『シャドウ・オブ・ザ・ダムド』から13年経ったいま、どういった経緯でリマスター版を出すことになったのでしょう?

須田 
8年前くらい前に某会社から『シャドウ・オブ・ザ・ダムド』を出したいというお話が来まして、うちもやりたいということで、販売権を持っているエレクトロニック・アーツ(EA)に問い合わせたんですよ。しかし、当時はEAの配信プラットフォームであるOriginがあったので、Origin以外での配信はNGと言われ、一度は諦めてしまいました。

 そして2021年、NetEase Gamesのグループに入ったタイミングで、SteamなどのPCプラットフォームでグラスホッパーのカタログ化をやっていきたいと考えました。Steamでは『
キラー7』や『シルバー事件』、『ノーモア☆ヒーローズ』などがすでに遊べるので、やはり『ダムド』だろうと。NetEaseのほうで予算を出していただきまして。

――『シャドウ・オブ・ザ・ダムド』の復刻を決める際、三上さんには連絡されたのですか?

須田 
はい。事後報告で(笑)。ある程度作って形が見えたときにようやく三上さんに「じつは……」と。

三上 
そのときは「何でいま?」と驚きました。

――なるほど。ところで本作は単なる“リマスター”ではなく“ヘラ リマスタード”というタイトルになっていますが、どんな意味が込められているのでしょう?

須田 
コミュニティーマネージャーのジェームズが考えたんですが、“地獄のように”、“めちゃくちゃ”、“ヤバい”といった意味のスラングなんです。

――作品にピッタリのスラングですね。先ほどリマスター版を試遊させていただいたのですが、すごく楽しいです。オリジナル版が出たときの反響はいかがでしたか?

須田 
当時は宣伝にかけられる予算があまりなく、知名度的にはいまひとつでした。

三上 
タイトル名だけは覚えていただけたんだけど、もう一歩という印象でしたね。
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――プレイした人には好評でも、刺さる人に手を取ってもらうところまで行けなかった感じですか。何だかもったいない。

三上 
遊んでみると、おもしろいネタが満載なんですけど。須田さんの台詞回しやキャラデザとか、ぶっ⾶んだテイストが最終的に残ってよかったかなと。

――原作でプロデューサーを手掛けていた三上さん的には、令和6年になって『シャドウ・オブ・ザ・ダムド』がまた多くの人に知られるということについて、どんなお気持ちですか?

三上 
本作のストーリーは、須田さんが手掛ける、最初でおそらく最後の王道なんですよ。グラスホッパーらしくぶっ飛んでいつつも、「わけがわからん」とはならずに話の大筋をしっかり理解して楽しめるという。

 そういったものがリマスター化されるのはうれしいですね。

――台詞回しや演出、最高ですね。全力でバカをやってる感じがすごく好きです。
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三上 
バカ度が当時より上がっているんですよ。いま見ると「けっこうアホなことやってるな」と思います。よくも悪くも世間が全体的に真面目な時代になってきているというのもありますが。

須田 
いまはコンプラ時代ですからね。時代に反して『シャドウ・オブ・ザ・ダムド』は不適切の塊みたいな内容ですし。

三上 
そう、不適切。令和6年にもなって、こんな不適切にもほどがあるゲームを世に出して大丈夫なのかと心配にもなりますが。

――不適切にもほどがある作品(笑)。まさに“地獄×ロケンロール”ですね。

須田 
じつは裏のテーマがあって、これ言っちゃっていいのかな。“地獄の『●ー●ー●●●』”という。ファミ通ドットコムには書けなさそうですが。

――伏字多めで掲載します! どのあたりが『●ー●ー●●●』なんでしょう?

須田 
ガルシアとポーラの関係って、まんま●●●と●ー●姫なんですよ。●●●にポーラがさらわれて、彼女を助けにいくという。

――リマスター化にあたって苦労されたところはありますか?

須田 
開発自体はこれまで『キラー7』や『ノーモア☆ヒーローズ』を出しているオランダの会社にお願いしているので安心しています。

 とは言え、原作がUnreal Engine 3やフラッシュがベースなんですよ。UI周りはミドルウェアのScaleformで。現代では環境が違うので、まるっきり最初から作り直すのと変わらないんですよ。最初のうちは無理では? という話もありましたし。

三上 
そういう話を聞くとゾッとするね。自分はリマスターには関わりたくない(笑)。リメイクならイチから作れるからいいんだけど。

――何も知らない人からすれば「ほぼコピペすれば作れるんでしょ?」と思われるかもしれませんが、ものすごい努力があったわけですね。

三上 
自社エンジンを使っていたとしても、10年経ったらもう使えない可能性が高いじゃないですか。担当者もいなくなっていたりして。

須田 
今回はそのあたりの問題を全部クリアーでききたので、本当に奇跡のリマスターなんですよ。
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レトロクラシック全開。『シャドウ・オブ・ザ・ダムド』の魅力について語る

――ゲーム内容の話に戻りますが、本作のテイストはすごく尖ってていいですね。

三上 
『ドロヘドロ』でおなじみの、林田球さんのタッチが独特なんですよね。

須田 
唯一無二ですね。『ドロヘドロ』は日本の漫画ですが現在はアニメ化もされ、海外でもよく知られるようになりました。リマスター版では海外の林田ファンにも届いたらいいなと思います。

――主人公のガルシアもすごくかっこいいですね。最近、イケおじのブームが来ている気がするので時代の波に乗っているというか。というかガルシアはおじさん扱いしていいのかどうか……。
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須田 
ガルシアは30歳くらいなので、イケおじに入りますね。漢くささ全開の。

三上 
ああいう30歳って、そうそういないよね。ふつうのイケメンにはしたくなくて、ラテン系の主人公を目指した覚えがあります。

――あとジョンソンもすごくいいキャラですね。頭しかないですが。

須田 
ジョンソンはもともとの発想では女の子(=ポーラ)だったんですよ。でも当時EAさんから思いきりNGを食らったんですよ。絶対やめてくれと。

三上 
30歳くらいの主人公が小さな子どもに指示されるのは絶対やりたくないと。「何でそこまで拒絶するの?」って不思議でしたけど。

須田 
そんな経緯でデザインも設定も変わって、いまのジョンソンに落ち着いたわけですけど、ガルシアの相棒という部分は残りました。女の子だったポーラは現在のポーラとして継承されています。

――ガルシアとの掛け合いがすごく楽しいです。攻略のヒントとかも教えてくれて。

須田 
そうなんですよ。日本語ボイスは浅野忠信さん(ガルシア役)と我修院達也さん(ジョンソン役)の黄金コンビなので、より楽しめると思います。

――見た目やぶっ飛んだセンスに目が行きがちですが、ゲーム部分も展開が早く、操作も難しくなく遊びやすいという印象を受けました。

須田 
そうですね。三上さんにも久しぶりに触っていただきました。

三上 
遊びやすいですね。基本的に軽くて速いんですよ。

須田 
とくにドッジロールが気持ちいいと思うんですよ。当時けっこうフレームをいじった記憶があるんですよね。遊んでいるとドッジロールが遅いので、「もっと早くしてほしい」とプログラマーに指示を出した結果、めちゃめちゃ早くなったんです。

三上 
ファミコンのゲームくらい早くなりましたね。

須田 
そのくらいクイックリーにしました。

――あの軽快さにはそんな背景があったんですね。本作には成長要素もありますが、今回の試遊では少ししか体験できなかったので、製品版が出たらモリモリ成長させつつじっくり遊びたいです。

須田 
リマスター版では“強くてニューゲーム”モードもひとつのウリなので、存分にお楽しみください。あと、コスチュームもいろいろと追加しています。キャラクターの見た目が変わると、まったく違うゲームのような感覚も得られますので、そこも楽しんでいただければと。
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プラカ・ガルシア(左)、オチョ・コラソネス(右)
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デモニオ・ガルシア(左)、カミカゼ・ガルシア(右)
――13年前にオリジナル版をプレイしたファンも、新鮮な気持ちで楽しめそうですね。

三上 
あとは、Steam版ではキーボード+マウス操作でプレイできるので、これもオリジナル版にはなかった要素かと。それと、Nintendo Switch版ではジャイロ操作、PSハードではモーションセンサーに対応しています。

須田 
あと、4K対応もリマスター版からです。

――盛りだくさんですね。いよいよ2024年10月31日に発売日を迎えます。原作のファンはもちろん、このインタビュー記事を読んで本作に興味を持った人たちにメッセージをお願いします。

三上 
ぶっ飛んだレトロクラシックなゲームをお手頃価格で楽しめる1本です。グラスホッパーファンはこれを機会に手に取って、遊んでみてください。

須田 
まずはウィッシュリストにご登録を! オリジナル版からして三上さんやサウンドディレクターの山岡晃さん、林田球さん、吉田鋼太郎さん……と、ものすごく豪華な方々が集まったタイトルです。

 いまはなかなか、全力でおふざけしたゲームには出会えないと思いますので、ぜひ不適切なものをお探しの方は本作をお買い求めください。
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集計期間: 2025年05月01日10時〜2025年05月01日11時