遊び心が満載の大冒険
本作について真っ先に思い浮かべるのは、やはり俳優・歌手の木村拓哉さんが出演していたテレビCMではないだろうか。兄弟がふたりでお茶をしていると、突然周囲の客たちが「マザ~ツ~」と合唱を開始。兄弟ふたりも戸惑いつつ同調して歌い始めるのだが、子役の「まざつー、まざつー」と少し調子を外した感じの歌いっぷりがおもしろおかしくて鮮明に記憶に残っている。
「大人も子供も、おねーさんも。」というキャッチコピーも印象的だったので、いまでも覚えている人は多いはずだ。そう言えば、主人公たちの名前を決める際に“おまかせでいい”を選ぶと、元SMAPのメンバーの名前にちなんだ候補も出てきた気がする。懐かしい。
ゲームの舞台は199X年の地球。前作は当時のアメリカが舞台の中心となっていたが、本作では世界規模へと拡大。さまざまな国をモチーフとしたエリアを行き来しながら、大冒険をくり広げることとなる。敵を倒すとお金が銀行に振り込まれ、キャッシュディスペンサーから引き出すというようなシリーズ独特の現代風なシステムは本作でも健在で、宅配ピザを注文してHPを回復するなんてこともできた。
バトルではHPやPP(PSIの使用に必要なポイント)表示が特徴的で、スロットのドラムが回転するように数字が増減していくのがおもしろい。大きなダメージを受けた際などはゼロになるまでにある程度の猶予の時間が生まれるため、そのあいだに回復して戦闘不能を回避するなどのテクニックも使用できた。
筆者の中では、このキャラクターのインパクトを超えるものに29年経ったいまでも出会っていないレベル。でかい鼻と濃い眉毛、頭に生えた1本の毛には赤いリボン。しかも肌色で一頭身(?)という見た目も衝撃的なのだが、しゃべるときは独自の特殊なフォントで表示されるというこだわりよう。「ぽえ~ん」や「ぐんまけん!」といった謎の言葉も発したりする。
どせいさんに対し、多くの人はかわいらしいというような印象を抱いていると思うのだが、なぜか筆者にはちょっと怖かった(笑)。特殊なフォントでしゃべるのが異世界の住人っぽくて苦手だったのかな……?
そんな本作と前作『MOTHER』は、Nintendo Switch Onlineでプレイ可能なので、遊んでみてはいかがだろうか。
また、『MOTHER』シリーズには読者のみんなにもいろいろな思い出があると思うが、そんな人たちには名だたる作家陣がシリーズへの想いを込めた1冊『Pollyanna』(ポリアンナ)をおすすめしたい。この公式トリビュートコミックには、浅野いにお、トビー・フォックス、松本大洋、山本さほなど35人の作家が参加。エッセイ、ギャグ、長編、イラストなど、いろいろな形で作品を寄稿している。「あったあった」と共感できること請け合いだろう。
30周年を迎える今年は関連イベントの企画が目白押しで、6月22日には記念ライブ「MOTHERのおんがく。」が行われたり、現在進行形で全国のPARCOにてイベント「MOTHER2のひみつ。」が開催されたり、ファン垂涎のグッズが発売されたり……。最新情報は、“ほぼ日「MOTHER」プロジェクト”のサイトをチェック!