『フーカーヘイズ』体験版レビュー。シーシャとドット絵、BGM、対話が生み出すチル感は極上。これはきっと自分と向き合う物語

byミス・ユースケ

『フーカーヘイズ』体験版レビュー。シーシャとドット絵、BGM、対話が生み出すチル感は極上。これはきっと自分と向き合う物語
 せわしない現代社会に生きていると、ぼんやりしたいときがある。羽を休める選択肢としてシーシャ(水たばこ)が現れたのはいつのことだろうか。

 煙をくゆらせて穏やかな時間を過ごすシーシャには漠然とした憧れがあった。香りを味わい、虚空を見つめて煙をはき出し、物思いに耽るぜいたくな時間。くぅ〜! である。

 その空気を活かしたゲームが出ると知り、ずっと気になっていた。それが『Hookah Haze(フーカーヘイズ)』だ。シーシャ屋を舞台に、会話を通してお客さんと心を通わせていく。とてもいい。僕も一刻も早く心を通わせたい。剣道の達人くらいのスピードで踏み込みたい。
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 PC(Steam)とNintendo Switchで2024年7月11日に発売となり、6月11日にはSteam用の体験版が配信開始。我慢できなかったので、ひと足先に遊ばせてもらった。

 そしたらとてもよかったのでこの記事を書いている。

何気ない会話とチル感がいい

 ゲームを起動すると、心地いいBGMが耳をくすぐった。ドット絵で描かれた窓の外に都市部の夜景が広がる。紫色の世界には艶やかさが眠る。

 見てくださいよ、この雰囲気。こういうゲームが好きなので、これはもう勝ち確と言っていい。

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 主人公の炭木トオルはシーシャ屋“Hookah Haze”の店長。本編ではお店での14日間のできごとが描かれ、体験版では2日間を過ごすことになる。なお、ストーリーは体験版用のオリジナル。製品版へのデータ引継ぎはなし。

 1日はSNS“Hookah LINK”におすすめシーシャを投稿することから始まる。シーシャはフレーバー付きのたばこの葉などを熱し、水を通った煙を楽しむ嗜好品だ。僕はシーシャ未経験だが、クセのあるスパイス系の味が好きなので“超スパイシーMIX”を選択した。

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 すると、華やかな女性がご来店。赤い髪をこれでもかとばかりにピンで飾りつけ、キャミソールの上にアウターを着崩している。メイクもとっても個性的。控えめなアイラインに、目の下を彩るカラフルなフェイスシール。あえてチープにポップに仕上げるのが彼女流なのだろう。

 常連客の明月院こころさんだ。オーダーは「スパイス系をお任せで」。ここは店長としての腕の見せどころ。SNSへのおすすめ投稿によって訪れるお客さんは異なり、彼女たちのリクエストに応えてシーシャのフレーバーをミックス。そしてゆったりしたチル感と会話を楽しむ。

 これが本作『フーカーヘイズ』の基本的な流れとなる。

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ショップ店員の明月院こころさん。ヘルシーな色っぽさが漂い、同性が憧れるかっこいいお姉さんといった感じ。


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コンカフェ(コンセプトカフェ)店員の愛上あむさんは自分が大好きで承認欲求に忠実。大きい。


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ぬいぐるみ作家の古森くるみさんはマイペースで言葉少な。シーシャ屋“Hookah Haze”を作業スペースとしても活用している。

 BGMは店内に流れる音楽という設定だ。画面下のMusicウインドウからプレイリストを作成できる。2分ちょっとの楽曲が20曲用意されており、それを好きなように並べる作業は、自分の城を組み上げていくようで気分がよかった。

 個人的には“A New Day”と“Jazzy Nights”が好きでよく聴いている。

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 お気づきかと思うが、この‟何気なさ”がすごくいいのである。世の中は些細なドラマに満ちていて、たいていは個人的な問題だ。シーシャは日常と非日常の境目。香りに身をゆだねると少しだけ心が無防備になり、つい本音をもらすこともある。

 体験版の2日分では彼女たちの悩みに寄り添うことはできなかったが、願わくば、あまり傷つかないでほしいと思う。

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シーシャの煙を吸うシーンをよく見ると、それぞれが専用のマウスピースをつけている。こういうところに凝っているのがいい。

 さて、話をゲームシステムに戻す。

 フレーバーにはフルーツ、スイーツ、ドリンク、スパイス、ナッツの5種類があり、ここから3つを選択。お客さんの好みは会話から読み取れるほか、「スパイス系てんこもりのフレーバーをお出ししよう」などのヒントも表示される。あえてど真ん中からずらすと違う一面を見られたりして、喜んでもらえるとすごくうれしい。

 少なくとも序盤は悩まずに済みそうだが、物語が進むにつれて、全然好みじゃないミックスで提供する機転も求められるかもしれない。たとえば、気が動転していたら落ち着く香りをゆっくり楽しんでほしい。

 お客さん自身も気付いていない要望を察知するのはバーの熟練マスターみたいで、ちょっと憧れる。

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火加減の調整も重要。炭交換を待つ間に話が弾むこともある。

これはきっと自分と向き合う物語だ

 失礼ながら、2016年にリリースされた『VA-11 Hall-A ヴァルハラ』のフォロワー的なゲームだと思っている。ディストピアに生きるバーテンダーとして人生に向き合うアドベンチャーゲームは、『コーヒートーク』をはじめ、多くのゲームに影響を与えた。

 『フーカーヘイズ』もそのなかのひとつではないか。丁寧なピクセルアート、ずっと聴いていたくなるBGM、ときにちくりと胸に刺さる会話、そして全編を通して流れる気だるい空気。第一印象は“似ている”。

 だからと言って悪いわけではなく、むしろこの見せ方を選んだことこそ正解であると、僕は思ってしまった。女の子キャラ3人をフィーチャーしたのはちょっとあざとい。それもいい。

 ‟自分に向き合うこと”をストレートに描きたい。だからキャラを粒立たせて、シンプルにわかりやすくしたい。そういう意図をひしひしと感じる。

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1日は意味深なカレンダーの画像から始まる。

 というのも、今回の体験版では直接的には描かれていないが、主人公の炭木トオルは余命わずかなのである。痛み止めを飲まないと日常生活もままならないトオルは、好きなことをしてみてはどうかと医師から勧められ、落ち着いた時間を過ごすシーシャを選んだ。

 長い入院生活も相まって、きっと世界が少し狭いのだろう。たった2日間のお客さんとの会話の中からでも、前向きな影響を受けている様子が見て取れる。

 終末医療を受けているということは、明るい未来は訪れないのかもしれない。それでも、3人の女の子との交流で何らかの光を見出してほしいと祈りつつ、トオルの行く末を見守ろうと思う。シーシャ屋“Hookah Haze”のカウンターの片隅で。

製品情報

  • タイトル:Hookah Haze(フーカーヘイズ)
  • 発売時期:2024年7月11日(木)
  • ジャンル:ヒューマンドラマアドベンチャー
  • 対応機種:Steam、Nintendo Switch
  • 販売価格:1,980円[税込](※Steam版は発売後、2週間10%オフの1,782円で購入できるローンチ割引が実施されます)
  • 対応言語:日本語、英語、中国語簡体字
  • 企画・開発:株式会社アクワイア
  • 販売:株式会社アニプレックス
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