メタネタまみれの展開。尖った演出。過去作をめちゃくちゃにいじりまくるテキスト。2020年のクリスマスに「こんなお祭り騒ぎはもう二度と味わえまい」なんて思いで『デジボクEDF』をプレイしていたことをいまでも覚えている。
しかし『デジボクEDF』は帰ってきた。それも『地球防衛軍』(以下、『EDF』)シリーズ20周年という節目の年に。考てみればそりゃそうだ。これまでのシリーズを振り返るのに、ここまで適した作品はない。
何より驚いたのは、本当に“理想的な2作目” だと感じられたこと。前作のいいところは一切消さず、それどころかしっかりとパワーアップ。ちょっと物足りなかったところはがっちり補強。まさに全方位に対してシカクのない仕上がりになっていたのだ。
地球にあらわる二度目のシカク! 再び団結“ワールドブラザー”!
プレイヤーは部隊を指揮する“コマンダー”となり、ふたたび事態の収束に向かうことに。隊員となる歴代のシリーズに登場した“レジェンド隊員”、世界各地の“ご当地ブラザー”たちとともに、バラバラになった地球をガイアークから取り戻すのだ。
うまく使えば、キャラクターごとの短所を帳消しにすることも。たとえば広範囲殲滅が得意だが機動力のないキャラクターと、飛行が可能な機動力が高いキャラクターを同時に編成すれば、移動担当と殲滅担当でキレイに役割分担ができる。
安全な場所へ移動して殲滅担当へブラザーチェンジ→こちらを追ってきた敵に全力の範囲攻撃→また追ってくるので移動担当へブラザーチェンジ……という動きをくり返すだけでも、このシステムの強力さが手軽に体験できるはずだ。
新生ブラザー&シスターは、前作以上に“濃ゆい”
今作も“ウマっぽい娘”なサラブレッドシスターを筆頭に、“口から謎の弾を吐くモアイ”を生み出すペンギンブラザー、“玉の輿を狙う足の生えた人魚”マーメイドシスターなど、登場するのは相変わらず濃いメンツばかり。前作のブラザーたちも相当濃かったが、その色を覆いつくさんばかりの精鋭揃いとなっている。
しかも全員にちゃんと個性たっぷりのテキストが用意されているのだからたまらない。これらご当地ブラザー&シスターは歴代『地球防衛軍』にあまり関係していない要素であるため、いままでのシリーズを知らないユーザーも楽しめること請け合いだ。
さらに今作には、歴代シリーズの敵を模した“ドリームブラザー”たちも登場。なかでも『THE 地球防衛軍』や『THE 地球防衛軍2』に登場するダロガの姿をしたダロガシスターは、“ネオン”という名前のヒロインとして登場する。
ネオンの存在はかなりストーリーでも重要な立ち位置となっているので詳しい言及は省くが……彼女がめちゃくちゃにかわいいことだけは言わせていただこう。ちょっとお転婆な彼女がどう成長するのか、ぜひとも楽しみにしていただければ幸いである。
そんな、歴代シリーズを遊んだユーザーだからこそ楽しめる部分もたくさん用意されている。過去作から登場する大量の敵はもちろんのこと、それぞれに対するリアクションなんかは、思わずニヤッとしてしまうものばかり。
なかでもコロニスト(カエル)やリング(『地球防衛軍6』) の登場シーンは必見。『デジボクEDF』のテキストが個性的なのは前作からの特徴だが、その魂はきっちりと引き継がれている。
ここまでテキスト面の魅力について語ってきたが、もちろんシステム面の改善も油断なし。アビリティは“ムーブアビリティ”と“サポートアビリティ”のふたつに増え、キャラクターによっては近接攻撃専用のアクションが追加。これにより前作では扱いづらかったブラザーの使い勝手がよくなり、いろいろな戦術を試しやすくなった。
ミッションの数も増え、シナリオの厚みもかなりのものに。前作『デジボクEDF』のような「このあたりのシナリオいる……?」みたいな部分もほとんどない(もちろんそういった部分も魅力のひとつではあったが)。
深くは語らないが、本作は“地球”そのものを強く意識したようなストーリーになっている。全体に漂う雰囲気ちょっとおバカでありがらも、根底にあるテーマはなかなか侮れないものであり、物語の後半に待っている『デジボクEDF』シリーズだからこそなアツい展開には思わず涙してしまった。
『デジボクEDF』らしいお祭り騒ぎはそのままに、さらに魅力が増した
しかし、そんな不安はゲームを起動してものの5分で見事に砕け散ることになる。最初のミッションでいきなり登場したNPCが、明らかに某タイムでボカンな一味だったからだ。
しかも名前も“エッサ”と“ホイサ”に“アネサン”ときたもんだ。「そうそう、こういうのがやりたかったんだよ!」と、満面の笑みでそのまま寝食を忘れ、プレイに没頭したのは言うまでもない。
本作は5月23日に発売予定。再び危機に陥ったシカクい地球を救うため、多くの隊員たちが出動してくれたらとても嬉しく思う。