グローバルでのパブリッシングは、VRゲームを中心に開発するエンターテインメントスタジオMyDearestが担当しており、日本では2024年に配信予定。対応プラットフォームはMeta Quest/Steam VR/Picoを予定している。
今回は、開発のキーマンであるMing Studioのソン・イハン氏にインタビューを実施。日本のロボットアニメやゲームが大好きなソン氏に、本作の特徴やこだわり、開発秘話などを伺った。さらに、本作のボス戦の映像をファミ通TUBEで先行公開。どんなバトルがくり広げられるのか、ぜひチェックしてみてほしい。
ソン・イハン
『メカフォース』のプロデューサー兼プランナー。スタートアップ企業や大手ゲーム企業でスマホゲームやVRゲームを開発。2021年に独立してMing Studioを設立し、同社の処女作となる『メカフォース』を鋭意開発している。文中はソン。
ロボットを操縦したい! 自分の夢を実現させるために開発に着手
――最初に簡単なプロフィールと、本作における役割を教えてください。
――『メカフォース』の開発は、いつごろ、どのような経緯でスタートしたのですか?
――ジャンルにアクションを選んだ理由は?
出ないのなら、自分のロマンが詰まった作品を作ろうと考えました。あとは、VRとロボットアクションの相性がよかったというのも大きな要因です。すばらしいゲームにできるという自信がありました。
オンラインミーティングを実施して、グローバルでのパブリッシング契約の話はすごくいい方向に進んでいました。その後、BitSummit(京都で開催されている日本最大級のインディーゲームの祭典)で岸上さん(岸上健人氏。MyDearest代表取締役CEO)と実際にお会いし、意気投合してパブリッシング契約の締結を決めました。
それに僕はもともとMyDearestが開発した『ALTDEUS: Beyond Chronos(アルトデウス: ビヨンドクロノス)』のファンでしたし、柏倉さん(柏倉晴樹氏。『アルトデウス: BC』でディレクターを担当)がモーション監督を務めたフルCGアニメ映画『楽園追放 -Expelled from Paradise-』も大好きだったので、MyDearestさんにはものすごく縁を感じましたね。
――MyDearestと仕事をしてみた感想は?
――MyDearestのいちばんの魅力は?
「こんなゲームを待っていました!」。ファンの応援を糧にゲーム開発を継続
――本作を開発するうえで、とくに苦労したところは?
というのも、VRゲームの設計やプログラミングなどの知識や経験、資料は、一般のゲームと比べてまだまだ少ないです。何か問題が発生しても、自分たちで解決しなければいけない状況が続きました。
でも、いちばんたいへんだったのは資金問題でしたね。投資をしてもらえないし、銀行もお金を貸してくれませんでした。DEMO版の評価はよかったのに、それでも資金調達がものすごく難しい。そのギャップも本当に辛かったですが、DEMOを見てくれた皆さんの応援がなければ、とっくの昔に倒産していたと思います(苦笑)。
――『メカフォース』の開発は、どれくらいの規模で進めているのですか?
当初、アート関連の内部スタッフがいなくて、DEMO版を公開したときはアートが弱いなと感じていましたが、想像以上の評価を得ることができたので、結果的によかったと思います。
――DEMOを体験したファンからはどのような反応があったのか教えてください。
――開発者冥利に尽きますね。本作を開発するうえで、とくにこだわっているところは?
たとえば、必殺技をくり出すときは叫ばないと威力が上がらないとか、エネルギー切れのロボットを根性で動かすとか……。挙げるとキリがありませんが、こういった例はほかの国の作品とはぜんぜん違います。『機動戦士ガンダム』シリーズのようなリアル路線の作品でも、νガンダムがアクシズを押し返すようなシーンがあるじゃないですか。こういったロボットのロマンには、本作でもこだわって演出しています。
――ソンさんがとくにロマンを感じる必殺技は?
たとえば、ドリルなら敵を貫いてほしいですよね? でも、3DのVRゲームで敵を貫く演出を実装するのは簡単ではありません。すぐに実装するのが難しい必殺技は、ひとまず後回しにして開発を進めています。ただし、ロケットパンチはすでに実装していますのでお楽しみに(笑)。
――どんな必殺技が登場するのか楽しみです! ロボットの操縦方法も気になります。
――その気持ちわかります!(笑)
――変形機構というのは……。
あと、まだ計画中の段階なので実装できるかどうかお約束はできないのですが、エンディングでロボットを“変身”させる予定があります。もし、エンディングでお見せできなかったときは、ダウンロードコンテンツなど、何らかの形でプレイヤーが操縦できるようにしたいですね。
――こちらも楽しみですね。そもそも主人公やロボット、敵の設定は明かされていないと思いますが、今回公開できる情報はありますか?
主人公が乗り込むロボットは、古い遺跡から発掘された神のような存在の鋼の巨人で、ストーリーを進めていくと、ロボットの謎が明かされていきます。ぜひどんなストーリーが展開されるか、楽しみにしていただければ。
――迫力のあるバトルが楽しめる一方で、VRゲーム特有の“VR酔い”の対策も重要だと思います。本作ではどのような対策を行っているのですか?
そこで新しいバージョンには、VR酔い対策をしっかりとしたうえで、ダッシュやブーストなどの刺激的な要素を追加しています。現在は多くのプレイヤーにテストプレイに参加してもらい、バランス調整を行っています。
お気に入りのロボットが生み出せるカスタマイズシステム
――公開されているPVには、ロボットのパーツを付け換えているシーンがありました。どのようなカスタマイズが行えるのか、システムの詳細を教えてください。
武器は10種類以上実装していて、武器の性能を強化できるほか、すべての武器にスキルとアップグレードツリーも用意しています。自分なりのカスタマイズやセッティングも楽しめますよ。
武器やスキルは、ゲームをプレイしながらショップなどで購入して、すべてアンロックできるように調整しています。たとえば、輻射波動のような武器は、スキルをアップグレードすることによって効果範囲を広げたり、波動のスキルをビームにすることができます。どの武器にも開発スタッフがいろいろなロボットのロマンや愛を注入していますので、すべて使用してロマンを感じてもらえるとうれしいです!
――ソンさんがとくにお気に入りの武器はやっぱり……。
――ロボットや兵器のデザインのこだわりもお聞きしたいです。
超古代のロボットなので、人類の科学力で造られたロボットではなく、もっと生物的な特徴をデザインに取り入れた見た目にしたかったんです。背中の骨格が見えているとか、足の関節が昆虫に近いとか……。それで肩のデザインを丸くしてストロングな感じにしたのですが、社内の評判はよくなくて。開発スタッフには「肩が丸いのは変だ!」と言われました(苦笑)。
それでも僕がこだわった部分でもあったので、多くのプレイヤーが丸い肩のデザインを気に入ってくれるとうれしいですね。僕の判断は間違っていなかったと社内で胸を張れます(笑)。
――肩のデザインが気に入った方は、ぜひ応援メッセージを送ってほしいですね(笑)。ロボットの大きさはどれくらいあるんですか?
――なるほど。武器のデザインについても教えてください。とくにお気に入りのロケットパンチもお聞きしたいです。
――インタビューを通して、ソンさんはもちろん、開発スタッフの皆さんも日本のロボットアニメの影響を強く受けていると感じました。作中に登場するもので、とくに影響を受けているシステムや演出を教えてください。
このシステムを担当したのはうちのUIの責任者でしたが、『ファイナルファンタジー』シリーズが大好きな子で、ロボットゲームやロボットアニメに対する印象は『機動戦士ガンダム』シリーズだけでした。
ですから、最初に作ってくれた“中二ポップアップ”のデキに、僕がどうしても満足できなくて……。このシステムをもっとよくするために、UI担当者に『スーパーロボット大戦OG』のアニメを見てもらい、ロボットゲームやロボットアニメのロマンを勉強してもらいました。
僕が毎日のようにSRXやダイゼンガーの魅力を語っているうちに、興味を持ってくれたのか、“中二ポップアップ”のデキが格段によくなっていったんですよ。僕のこだわりに最後までつき合ってくれたUI担当者はもちろん、『スーパーロボット大戦OG』のアニメにもお礼を言わないといけません(笑)。
――(笑)。社内に新たなロボットファンが誕生したのですね。
本当は、ゲッターロボのような空中合体みたいなシーンも作りたかったのですが、そこに手を出すと予算が尽きてしまいそうなので、我慢しています。クラウドファンディングが成功したらすぐに開発したいと考えていますが(笑)、たとえ製品版に入れられなかったとしても、DLCには絶対入れたいですね。
日本のロボットアニメの主人公たちの姿に共感して感動
――せっかくの機会なので、ソンさんがクリエイターとして、とくに影響を受けた日本のロボットアニメをお聞きしたいです。
僕は中国の小さな町の出身で、子どものころはプレイできるゲームがほとんどありませんでした。唯一の楽しみが、E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ。1995年から20年以上にわたって開催された世界最大級のゲームイベント)のPVを見ることだったんですね。
そこから少しずつ大きな街に出て、ゲーム業界に入り、いまでは海外に赴いて自分のゲームをプレイヤーたちに紹介できるようになりましたが、そういった境遇もロボットアニメと重ねて共感するところがあります。『天元突破グレンラガン』のシモンのように地底からはるか遠くの星空に辿り着いたり、『マクロス7』の熱気バサラのように海や山、銀河に向かって歌い続けたりするロマン溢れるシーンは、本当に心に響きました。『トップをねらえ!』のノリコからは、ふつうの女の子が猛特訓を経て成長する姿に勇気をもらいましたね。
――ソンさんが感じる、日本のロボットアニメの魅力とは?
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、アムロとシャアは最後までララァのことを乗り越えることができませんでした。ふたりともすぐれたニュータイプで、アムロはみんなと協力してアクシズを押し返すほどの力はあるのに、ひとりの少女に対する感情だけはどうしても整理できなかったんですね。
また、『トップをねらえ!』のように、女性の底力を感じられる作品もなかなかありません。ハリウッド映画の主人公みたいな超人ではなく、どこにでもいるふつうの女の子のノリコが、恐怖心を抑えて人類の未来のために立ち上がる。そういった感動するシーンは、日本のロボットアニメでしか見られないと思います。
――いずれロボットアニメを作ってみたいという気持ちは……。
――夢が広がりますね。現在の開発状況や発売時期、DLCで予定している展開を教えてください。
現在の状況でリリースすることもできますが、正直、物足りないところもあって。これ以上、新しい要素を実装するには予算が足りないので、クラウドファンディングを行うことにしました。ロボットアニメやゲームが好きな方は、満足できる内容になっていると手応えを感じていますし、さらにクオリティーやボリュームをアップさせたいと思っているので、クラウドファンディングで応援してもらえるとうれしいです。
DLCに関しては、予算やスケジュールの都合で、本編に入りきらなった要素を実装したいと考えています。可能なら勇者系のロボットや仮面ライダーのような変身して戦うキャラクターも作ってみたいですね。
『メカフォース』では、僕たちが生み出した大きな歴史の中で、とある時代の一部のエピソードしか描いていません。ゆくゆくはDLCや続編でほかの時代も描いて、『ガンダム』シリーズや『マクロス』[シリーズのように、ひとつの壮大な物語として完結させたいと考えています。/NOLINK]<br /><br />――最後に、読者やファンに向けてメッセージをお願いします!