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すべてを知るPRのトップが語る、ベセスダ・ソフトワークスの哲学【E3 2011】

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オープンワールドRPG最新作『ザ エルダースクロールズ V: スカイリム』など、大作ハードコアゲームをE3に出展していたベセスダ・ソフトワークス。PR・マーケティング担当副社長のピート・ハインズ氏に、同社のポリシーを中心に話を聞いた。

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 オープンワールドRPG最新作『ザ エルダースクロールズ V: スカイリム』や、FPS(一人称視点シューティング)のキングであるid Softwareの最新作『Rage(レイジ)』、そして新作『Prey 2(プレイ 2)』など、大作ハードコアゲームをE3に出展していたベセスダ・ソフトワークス。

 そのベセスダ・ソフトワークスブースで、PR・マーケティング担当副社長のピート・ハインズ氏に話を聞いた。ハインズ氏はこれまで何度かファミ通.comインタビューしているように、ちょっとした質問やインタビュー程度なら自分で答えてしまうほど、ありとあらゆることを知り尽くしている人物。そんなハインズ氏が語るベセスダ・ソフトワークスのポリシーとは? なお、ブースでのプレゼンテーションの模様などはすでに別記事でご紹介しているので、そちらも合わせてチェックしてみてほしい。

●『スカイリム』はドラゴンとの本当の戦いを実現する

――先ほど『スカイリム』を見ました。武器の扱いのバリエーションが増えたり、天候変化が入ったりと、これまでに入っていなかったものも全部入っていて、究極のRPGを創るという意思が感じられました。
ピート・ハインズ(以下、ピート) ありがとう。それこそ、私たちの目標だ。

――そのためにトッド・ハワード氏(『Fallout 3』、『ザ エルダースクロールズ IV: オブリビオン』などを手掛けたクリエイター)の開発チームを『Fallout: New Vegas』ではなく本作の開発に向かわせたのでしょうか。
ピート そうだ。それに『スカイリム』は確かに『オブリビオン』の続編だが、我々のRPGタイトルとしては、『Fallout 3』で学んだことを活かす場でもあったんだ。もっとプレイヤーに選択肢を与え、したいことをしてもらう、楽しく大きなオープンワールドゲームを遊んでもらうためにね。

――『スカイリム』では、ドラゴンと戦っているシーンがすごかったですね。スクリプトで決められた動きをするのではなく、AIで自立して動かすのは大変だったと思いますが、それでもドラゴンを入れたいという理由があったのでしょうか?
ピート ドラゴンとの本当の戦いを表現したかったんだ。タイミングに合わせて表示されたボタンを押すようなものではなく、魔法やシャウト(特殊スキル)を使って、試行錯誤しながら本当に戦うということを重視している。ドラゴンのタイプによって戦略も変わってくるので、毎回それに合わせて戦略を考えて遊んでもらいたい。

――世界もすごいきれいで印象的でしたが、ディスクが増えてしまうということもあると思います。大丈夫でしょうか?
ピート ディスクの枚数はそんなに問題にならない。一般的にはプリレンダーのカットシーンムービーなどが容量を食うものだが、本作はすべてエンジンで表現しているしね。
――良かった。では、次の街に行こうとしたら「ディスク2を入れてください」というようなことはありませんね。
ピート そういうことはないよ。大丈夫だ。

――『オブリビオン』では小さなジャンプをくり返してアビリティーをあげようとしていました。今回はどうでしょうか?
ピート 一日中ジャンプしててもスキルは増えない。木を殴って打撃武器のアビリティーを上げられるだとか、そういう抜け道はないよ。ちゃんとやらないと成長はしない。まぁその……60ドルとか払ってだね、一日中木を殴って遊びたいのなら「あ、うん、そうなんだ……まぁ、やりなよ」と止めないけど、そうじゃないよね(笑)。

●どこに熱意を持つかが重要

――『Prey 2』はただのFPSでもないし、すごい変わったゲームですね。
ピート 『Prey』は知っているかな。本作では“エイリアンに連れ去られて、未知の惑星で異邦人として戦う”という構造を活かしている。プレイヤーはエイリアンにアブダクトされて、賞金稼ぎとしてオープンワールド世界を探索し、やがて前作の主人公トミーとも会い、徐々に全貌が明かされていくんだ。ゲームとしては戦闘システムに凝っていて、スライディングしてカバーリング姿勢に入ったり、ホバリングしたり、透視したり、さまざまなガジェットを使って戦える。

――非常に戦闘のアクションが豊富でしたが、ああいったものはスキルツリーなどで成長させることができますか?
ピート さまざまなガジェットをアップグレートして、強化していくことができるよ。遊び方のバリエーションも広く、隠れて進めてもいいし、正面から突破してもいいし、好きなスタイルに合わせてアップグレードして遊んでほしい。

――『Prey』は必ずしも成功したゲームではなかったですが、なぜ本作を発売することにしたのですか?
ピート 『Fallout』も、最初の2作はハードコアなファンの心を捉えたものの、必ずしも成功したわけではなかった。でも『Fallout 3』では成功することができた。大事なのはどこに熱意を持つかということなんだ。我々はこの話の構造が気に入ったし、開発元のHuman Head Studiosとどこを強化すべきか話をして、もっと普通とは違うものを作りたいという彼らの考えに共感したので、一緒にもっといいゲームを作ることにしたんだ。

――『Rage』はついに発売になりますが、ゲーマーとしていまの出来はどうですか?
ピート FPSの元祖であるid Softwareの新作として、違う武器をもったり、弾丸の種類を変えただけでも違ったフィーリングになるように作られている。だから街中でもいろいろなことができるんだけれども、とにかく早く撃ちたくてたまらなくなるんだよ! 8時間、10時間とガンガン遊べるし、遊べば遊ぶほど引き込まれる。例を挙げると、普通のゲームだったらバンバン撃って、倒れたら「じゃあ次に行くか」という感じだけど、本作の敵キャラクターは死んだと思っても立ち上がってくるんだよな! もう一度撃って「今度こそ」と思って通り過ぎたら、立ち上がって後ろから撃ってきた! これは本当に戦いなんだということが感じられたね。

――この武器を使ってこう攻めればもっと楽に倒せるといったような仕掛けがところどころにありますね。
ピート “隠れて、バンバン撃って、ハイ終わり”というゲームではない。AIも非常に優秀なので、自分がどんな状況にあるのか考えて戦わなければいけないんだ。ラジコン爆弾で倒そうとしても、敵が発見したら撃って壊してくるし。こっちもちゃんと頭を使って戦わないといけないんだ。

――ミュータントがある意味“かわいい”ですよね。本当に色んな所から出現するし。高いところからいきなり出てきて、着地して、前転して……あちらこちらから迫ってくる。
ピート いろんなタイプがいて動きも非常に豊富で、バク転して逃げていくヤツを見つけたときにはびっくりしたよ。いろんな戦い、いろんな遊びがある。

――今回はid Softwareのこれまでのタイトルのように「超悪いエイリアンが出てきて、とにかく倒す」というようなゲームではないですね。
ピート ストーリーやキャラクターにはすごい力を入れていて、ユニークなキャラクターや会話もバンバン出てくるよ。
――ジャンル名をつけるとしたら?
ピート これは確かにFPSなのだが、これまでになかった挑戦をいくつもやって、新たなものを作り出そうとしている。次世代のFPSと考えてもらいたいな。『スカイリム』もそうだ、ただのRPGじゃなくて新しいRPGなんだ。

●自分たちがやりたいゲームを提供する

――さて今年のE3のラインアップを見ると、すべてがハードコアゲームで、ひとつもカジュアルゲームはありません。これはやはりベセスダ・ソフトワークスのスタイルなのでしょうか。
ピート 我々の哲学は、自分たちがやりたいゲームを開発し、みなさんに提供することなんだ。それが我々の強みでもある。それに、『Rage』が好きな人だったら、多分『スカイリム』も気に入ってくれるだろう。
――流行ってるからといってカジュアルゲームをやるのは、自分たちではないということですね?
ピート そうだね。まぁお金儲けがしたければそこでTシャツを売ってもいいわけで(笑)、どこに熱意を感じるということだ。

――普通、広報の人は必ずしもゲームに詳しいわけではなくて、「はいこちらがディレクターです、じゃあ後はインタビューをどうぞ」と繋ぐ感じですが、あなたはちょっとした質問やインタビューなら自分ですべて答えてしまいますよね。……一体全体、何でそんなにゲームに詳しいのですか?
ピート ははははは! いい質問だ。何と言ったらいいか……私は広報である以前にまずゲーマーなんだ。広報とかPRというのは後からやってきたことだからね。そして私たちは、マーケティングもゲーム開発の一部だと思っている。ゲームを世にお披露目する動画や画像や記事は、マーケティングが関わることだからね。それからそこでどんな反応があったかを見て、開発にも活かす。マーケティングと開発が一体になってゲームを良くしていくという考えを持っている。それぞれの開発チームとは個人的にも非常に仲良くしていて、2週間ほどまえには、ティム・ウィリッツ(id Software)のオフィスに2日間ほど行って『Rage』をずっと遊んで、どこがいいとか悪いとかフィードバックしていたよ。そうすることでゲームをもっと良くしてくれる。
――恐ろしいPRですね(笑)。
ピート そうかい?

――新たなRPGの『スカイリム』、新たなスタイルのFPS『Prey 2』、そしてFPSのキングが作る『Rage』と、これからすごいことになりそうですね。
ピート ああ、2012年にかけて非常にいいラインアップになった。ベセスダ・ソフトワークスとしては、これからも三上真司率いるTango Gameworksのタイトルなど、新作がどんどん登場してくるので、楽しみにお待ちください。

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