石橋蓮司さん:『龍が如く OF THE END(オブ ジ エンド)』【週刊ファミ通Face完全版】

ゲーム プレイステーション3
週刊ファミ通のニュースページ“エクスプレス”で毎週掲載中のゲームに関連した著名人へのインタビューコーナー“Face”。誌面スペースの都合などからカットした部分を網羅した完全版をファミ通.comでお届け。今回のゲストは、石橋蓮司さんです。

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今週のお題
龍が如く OF THE END(オブ ジ エンド)
プレイステーション3  2011年6月9日発売予定  各7980円[税込]

男たちの物語を描く『龍が如く』シリーズの最新作では、神室町にゾンビが出現。崩壊の危機に瀕した街を救うため、桐生一馬、真島吾朗、秋山駿、郷田龍司が立ち上がる。キャバクラを始めとするプレイスポットは本作でも健在。毎回話題となるキャスト陣も、若手からベテランまでを揃えた豪華な顔ぶれとなっている。


●女を愛し、女を知ることで男とは何者なのかがわかる

PROFILE
1941年8月9日生まれ。東京都出身。中学生時代の1954年から役者としての活動を開始し、現在まで映画、舞台、テレビドラマなど幅広いジャンルで活躍している。また数多くの受賞歴を持ち、2010年の第53回ブルーリボン賞では『アウトレイジ』『今度は愛妻家』で助演男優賞を受賞している。

 セガの『龍が如く』シリーズ最新作、『龍が如く OF THE END(オブ ジ エンド)』がいよいよ2011年6月9日に発売される。今回のゲストは、同作でたこ焼き屋を営む“おやっさん”を演じた、俳優の石橋蓮司さん。若いころから新宿に足繁く通う石橋さんが本作で注目したポイント、そして男のあるべき姿などについて聞いた。

――インタビューを始める前に、ブルーリボン賞の助演男優賞おめでとうございます!
石橋 ああ、ありがとう(笑)。撮影では散々(北野)武にいじめられてね。歯医者のシーンとか(笑)。

――あのシーンは、いい意味でヒドかったです!(編注:『アウトレイジ』で、歯医者の治療中に北野武演じる大友の襲撃を受け、非常にオリジナルな拷問を受けるシーンがある)
石橋 あれは本当に器具を口の中に突っ込んで撮影したから、口のまわりが腫れちゃっりもしたね(笑)。

――今回のブルーリボン賞もそうですが、石橋さんは俳優としてはかなりのキャリアをお持ちですが、ゲームへの出演は今回が初めてになりますよね。
石橋 長いこと俳優をやってきたけどゲームは初めてだね。でも、人生経験のあるたこ焼き屋の“おやっさん”として郷田龍司を導くという味のある設定だったから、ふつうに役者の感覚で引き受けたんだよ。

――ゲームならではの苦労はありましたか?
石橋 むしろふつうの撮影よりは楽だったかな。体を使って演技するわけじゃないし、表情も作る必要もなく、声を入れるだけだからね。また、その収録にしても名越監督は俺の好きなようにやっていいと言ってくれたからさ。でも相手役がいない状態で、ああいったことをやるのはちょっと難しかったかな。

――収録時は映像がないですよね。そちらはどうでしたか?
石橋 俺の役はシチュエーションがそれほど複雑じゃないから、いろいろな相手に合わせて役を作るという必要がなかったんだよ。だから自分がイメージしたキャラクターを演じられたね。でもまあ、その分自分の演技にすべてが掛かっているというプレッシャーはあったかな。

――演じるうえではどんなところに気をつけましたか?
石橋 彼が、たこ焼き屋以前にどんな家業へ付いていたのかを、俺なりに想像して演技に臨んだね。

――具体的にはどんな想像を?
石橋 まあ彼はハグレモノだろうな。郷田なんかと同じ世界にいたのかもしれない。そして、その世界に嫌気がさすようなことがあり足を洗った。郷田を世話しているのも、極道の世界から足を洗わせたい気持ちからなのかも……まあ、ここら辺は全部俺の想像だけどね(笑)。

――かなり的を得ていそうです。おやっさんのキャラクターは、石橋さんか泉谷しげるさんしか演じられなかったと思います! それくらいイメージがピッタリだったのですが、演じるうえでは自分の素を出したのでしょうか? それとも役作りをしっかりしたのでしょうか?
石橋 なるほど、泉谷か(笑)。まあ、あのゲームの舞台は新宿がモチーフだろ? 若いころから遊んでいるから、新宿は俺の縄張りだと思っているし、そこにどんな人間が生きているかも知ってるんだ。だから“新宿を終着点にした男”がどんなヤツなのかもだいたいわかる。それらの経験……青春時代から築き上げてきたものをそのまま演技に取り入れた感じだよ。そういう意味で、素の自分だったと言えばそうだし、記憶を辿っているという点では役を作っているとも言えるかな。

――石橋さんの人生を振り返りながら演じたというわけですね。
石橋 新宿は自分の庭だからね。だから、新宿がモチーフの舞台じゃなかったら、かなり考えなきゃいけなかったかもしれない。

――ブルーリボン賞の受賞コメントで、つぎはオカマ役で受賞したいとおっしゃっていましたが、その役にも過去の経験が活かされるんでしょうか。
石橋 そういった人たちも友だちだからさ、気張らずにスッと役作りに入れると思ったんだよ(笑)。

――若いころはゴールデン街に足繁く通っていたそうですが。
石橋 うん、よく行ってたね。ゲームでもあそこら辺をモデルにしたエリアがあるっていうから、それを見るのをすごく楽しみにしてるんだよ。俺はゲームで戦ったりとかはたぶんできないけど、散歩くらいならできると思うから(笑)。

――神室町のような歓楽街にもよく行かれていたんですか。
石橋 もちろん行ってたけど、やっぱり俺は飲み屋が中心だから、女の子がいるようなお店にはあまり行かないね。むしろ、自分たちのテリトリーに女の子を連れてくるほうが多かったかな(笑)。

――『龍が如く』シリーズでは実在の店舗がタイアップで登場するのですが、石橋さんが登場させたいお店はありますか?
石橋 そりゃあもちろんゴールデン街の店なんだけどさ、いまじゃみんな潰れちゃってんだよ。俺が行ってたのは1960年代後半から70年代だからさ、店主が亡くなったり、ババアになっちゃてんだ。

――『龍が如く』というゲームに対してどんな印象を持ちましたか?
石橋 この作品は極道者たちの物語を描いてるだろ? いまの時代そういったテーマは逆に新しいというか、映画では正直流行らないんだよ。セリフも本物の役者が言うとクサイけど、ゲームだとハマったりするから、そこが映画にはない強味だと思う。とにかく、このテーマを考えた監督は、頭がいいよな(笑)。

――本シリーズでは男のあるべき姿みたいなものも描かれていると思います。石橋さんが考える理想の男とはどんなものでしょうか?
石橋 やっぱり女を大事にする男こそ男だよ。女を愛し、女を知ることで男とは何者なのかがわかるわけだ。男どうしだと、どうしても許し合ってしまうというか、なあなあな関係になりがちなんだよなぁ。女っていうのはまったく違う生き物だから、付き合うことで「なんで俺はこんなに意地を張ってしまうんだろうか」、「なんでこいつは俺を選んだのだろう」とか悩み、自身の力のなさを痛感することもできる。俺だって、いまでこそ役者としてそこそこ経済力もあるけど、以前は女に守られる対象だったからね。

――そうしたら、最近話題の草食系男子は石橋さんににとってかなりイライラさせられる存在ですね。
石橋 いや、むしろ俺はいまの時代に生まれたかった。俺の青春時代は野郎ばっかで、とにかく女の取り合いだったんだけど、いまなら「よし、俺のとこに来い!」ってすれば総取りできるわけだろ? ほんといまの時代に生まれたかったよ(笑)。

――女と言えば、シリーズの名物としてキャバクラがあります。石橋さんはどうやって口説きますか?
石橋 俺は女を口説くってことは基本やらない。口説かせるんだ。

――口説かせる!?
石橋 昔の男はみんなそう。高倉健さんにしてもそうだけど、無口な男に女が惚れてくるもんだったんだな。もちろん心にはスケベな気持ちがあるんだけどさ(笑)。それをじっと耐える美学なわけだよ。

――自分はとにかく喋っちゃうタイプなのでダメですね……。
石橋 じつは、俺もいまはよく喋るんだよ。ジジイになってからだね、口説くようになったのは(笑)。

――じゃあもう、『龍が如く』ではキャバ嬢を口説きまくりですね!
石橋 ゲームを遊ぶことがあったら、まずはキャバクラに行ってみるか。でもそこでハマったら、ひとつ問題があるな……俺が登場するところまで辿りつけない(笑)。

――(笑)。そこまではぜひがんばって進めていただきたいです!
石橋 いやー、戦ったりするのは本当にダメ。誰か代わりにやってくれねえかな。もし自分でやったら1年くらい掛かって、自分が出演していたことを忘れそうだよ(笑)。

――ちなみに、いままでゲームをちゃんと遊んだことはありますか?
石橋 俺は昔から将棋が好きでさ、ずっと昔に将棋のゲームをやっていた時期があるんだよ。でもある日ゲーム機が壊れちゃって、新しくプレイステーション2ってやつを買ったんだ。けど……ソフトがなくてね(笑)。けっきょくそれはDVDプレイヤーになったよ。でも今回の『龍が如く OF THE END(オブ ジ エンド)』にはミニゲームで将棋入ってるっていうからさ、すごい楽しみにしてんだ。

――念願の将棋ゲームですね。
石橋 スタッフの人から「将棋できますよ」って言われたときは、「えー! 本当に!?」ってはしゃいじゃったよ。

――本作ではゾンビも出てきますが、石橋さんはゾンビ映画はお好きですか?
石橋 ああ、もちろんいろいろ観てるよ。でも、正直ゾンビは怖くないよ。動きが遅いんだから。

――最近はす速いゾンビも出てきますし、本作のゾンビたちもなかなか俊敏です。
石橋 ホントかい!? それはあれじゃないか、マイケル・ジャクソンあたりのせいだろ。あいつの歌がきっかけで、だんだん世の中のゾンビも動きが機敏になってたんだよ(笑)。俺が知ってるゾンビはみんな遅いからさ、観ているときも「あんなもん早く逃げればいいじゃないか」って思っちゃう。日本のお化けのほうがよっぽど怖いよ。

――確かにゾンビは“驚き”という感じで、ジャパニーズホラーは“怖い”という感じですね。
石橋 日本のお化けには怨念があるからね、そりゃ怖いよ。でも考えてみれば、外国のホラーが怖くないのは英語でやってるからかもな。「怨めしや〜」ってあいつら言わないだろ。

――ゾンビはずっと観てると、存在に慣れてきてしまうっていうのもある気がします。
石橋 ああ、そうかもしんないな。お化けってのは人の心に襲い掛かってくる感じだよ。あと対処法がない。やっつけられないっていうのはかなり怖いよ。その点ゾンビは倒すことができちゃうから、やっぱり怖くないな(笑)。

――ゾンビを倒すとのことですが、もしも本作のようにゾンビが街に溢れたら、石橋さんはどうやって対処しますか?
石橋 どうやって……って、まあとにかくやるしかないんじゃないかな。あとはまあ、友だちになる。あいつらって長生きするんだろ? だから「俺も仲間にしてくれ」って言っちゃう。俺自身がゾンビになれば、あいつらもいいようにしてくれるだろ。

――じゃあゲームでもあまりヒドイことができませんね。
石橋 そうだよ、ゾンビは友だちだからな(笑)。でも、倒したところであいつら生き返るんだっけ? じゃあ、とりあえず倒すかもしれないね。

――話は変わるのですが、『アウトレイジ』の北野たけし監督と『龍が如く』の名越稔洋監督、同じ監督として考えかたなどに似ている部分はありましたか?
石橋 まずね、ふたりとも顔の種類がいっしょだね。化物顔って言うのかな。俺なんかは役者としてそういう雰囲気を作るわけなんだけど、彼らはそのままですでに化物。あとは、人間を我々とはまったく違う角度で見ている。なんて言うか、あんまり友だちにはなりたくない(笑)。友だちの友だちくらいの関係でいないと、ソッチの世界に連れていかれちゃいそうなんだよ。とにかく、ふたりとも何を考えているのかが読めない。名越監督は喋りかたや振る舞いはすごくふつうなんだけど、頭の中では何を考えているんだろうって感じさせられるよ。同じ新宿でも、俺とは見えている風景が違うんだろうな。だから、名越監督の目に映る新宿を見せられたら、俺の知っているソレとはまったく違う街に感じるかもしれない。そして、それを垣間見られるのが神室町なんだと思うよ。

――ということは、名越監督にはいまの新宿の人間がゾンビに見えている……?
石橋 そうかもしれない!(笑) 草食系ばっかで覇気がないとか思ってるかもしれないよ。

――名越監督との仕事はいかがでしたか?
石橋 すべてを俺に任せてくれたから、そういう意味ではおもしろい収録だったね。あと、ふだんの演技では自分の体を動かしているわけだから、だいたいどんな絵が撮れたのかがわかるだろ? カメラがあそこにあって、自分はああいう動きをしたから、こういう風に映ってるんだろう、って具合に。でもゲームの音声収録はまったくの手探り。収録の段階ではたこ焼き屋のおやっさんという設定だけで、どんな風貌かも知らなかったんだよ。なので、映像を観たときの感覚が映画に比べて新鮮で、俺なんだけど俺じゃないという感じもしたね。

――CGで表現された自身を最初に見たとき、どう思われましたか?
石橋 俺より演技がうまいじゃねえか、って思ったね(笑)。とにかくよくできていたというか、俺がやりそうな動き、演技をしっかりと当ててくれた感じだったよ。監督やスタッフさんが俺の映像をしっかりと観てくれたんだろうなと思えてありがたかったし、不満はなかったね。

――セリフでとくに印象的だったものはなんですか?
石橋 タコの殺しかたについて郷田へ説明するところかな。タコにしてみればたこ焼き屋というのは残酷な存在なわけで、せめて痛みを味合わせちゃいけない――というメッセージを伝えるんだよ。残酷でありながら愛情深い。恐らくそのセリフが後々、郷田の中で何かとつながるんだろうけど……そこまでは見ていないから、俺にはよくわからないな。

――物語ではおもに郷田と関わるわけですが、郷田にはどんな印象を持ちましたか?
石橋 どっかで見たことがあるやつだよ。ああいうやつは新宿にたくさんいる。それこそさっきの話じゃないけど、友だちにはなりたくないけど、知り合いにいたらおもしろいみたいな感じ(笑)。北野、名越の両監督と郷田は同系統かもしれないな。

――ほかに印象的だったキャラクターはいましたか?
石橋 映像でいろいろと見せてもらったんだけど……やっぱり石橋蓮司がいちばん印象的だよ(笑)。あ! そういえば杉本哲太が出てたな。ってことは『アウトレイジ』に続いての共演になるのか。

――今回はたこ焼き屋のおやっさんを演じましたが、せっかくなので極道として出てみたいとは思いませんでしたか?
石橋 じつはスタッフの方たちにもね、「また出せてもらえる機会があるなら、つぎは極道の会長あたりで、痛めつけられないキャラにしてくれ」と言ったんだ(笑)。そしたら「ふつうのおじさんだけど、じつはスゴイ実力者みたいのはいいでしょう?」って提案してきてくれたんだよ。

――それはなんか、『必殺』シリーズっぽいですね!
石橋 だから俺もそれはおもしろいなあと思って。でも、そんな魅力的なキャラクターならさ、そのままゲームにしてくれてもいいよな!(笑)

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